広報誌

かわら版 No.10

ようやく出てきました、年金財政検証。

 

ようやく、本当にようやく、年金財政検証が発表されました。5年ごとの検証ですが、少なくとも参院選挙前に発表されるべきもの。残念ながら選挙で年金議論が盛り上がりませんでしたが、極めて大切な報告書なので、以下中身と評価についてご報告いたします。

公的年金(国民年金と厚生年金)については、5年ごとにその財政を検証することになっています。年金の給付水準が現役世代の手取り収入の50%を下回らないように設計することになっています。

具体的に想定しているのは、平均的な賃金で40年間厚生年金に加入して働いた夫と40年間専業主婦からなる「モデル世帯」です。例えば令和元年度は、現役男子の手取り収入35.7万円に対して、モデル世帯の年金22万円(夫婦の基礎年金13万円+夫の厚生年金9万円)。モデル世帯の年金は現役世帯に対して61.7%(22/35.7万円)で50%超えている。しかし、2060年度は、現役世帯収入54.3万円に対してモデル世帯の年金は27.6万円で、50.8%と予測される。大幅に下落するけれどもギリギリ50%超えているので大丈夫、このような判断をしています。

検証の結果、モデル世帯の将来の給付水準は現在の61.7%から51.9~36%に低下する見通しが示されました。経済成長と労働参加が進むケースでは50%維持できるものの、進まない場合は50%を確保できない見通しになっています。

以下のような根本的な問題があります。

  • 「モデル世帯」はもはやモデルではない。単身が最大世帯になると予想されています。「モデル世帯」だけでは生活実態はわからない。
  • 経済成長や人口増加の見通しが甘すぎる。厳しい見通しを基本に年金を考えるべき。そうなると大幅な年金改革が避けて通れない。
  • 基礎年金だけでは生活は大変苦しくなることが示された。「100年安心」とは言えない。年金は一体何のための制度なのか。

若い世代には、「高い年金保険料払いたくない。正社員じゃない方が保険料払わなくて、手取りが多くていい。年金なんてどうなるかわからない。」という声があります。

このような声がなくなるような年金改革が必要です。

 

令和元年九月十四日

衆議院議員 いなとみ修二

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