国会活動

令和元年11月22日 法務委員会「会社法一部改正について」

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案件:
■会社法の一部を改正する法律案
■会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

松島委員長 次に、稲富修二さん。

稲富委員 立国社の稲富修二です。
 きょうも質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 そして、きょう、修正案ということで、与野党、今回この合意に至ったということに際し、まず、委員長始め各理事の皆様、そして委員の皆様、与野党ともに深く敬意を払うものでございます。本当にお疲れさまでございます。
 まずは、修正案の提出者にお伺いします。
 改めてですけれども、先ほど来、重なりますが、この修正案提出に至った経緯、そして趣旨、内容について、まずはお伺いします。

山尾委員 ありがとうございます。
 修正案提出に至った経緯と趣旨ということなんですけれども、やはり、今回の会社法改正案の中でも特に、追加的に、株主提案権の内容に着目をして規制をする条項ですね、その条項が、株主総会における議案の提案、これはいわゆる当日の提案ということに実質的にはなるんでしょうけれども、会社法三百四条ただし書き、そしてもう一つが、議案の要領を株主に通知することの請求、会社法三百五条六項、これは当日ではなく、事前の提案についてもこれを制限すると。この各規定について、対政府質疑や対参考人質疑を通じて、やはりその内容に疑義が生じたということで、慎重を期するために、やはり一度この規定を削除しましょうということに至ったんだと思います。
 この内容というのは、今言った条項、三百四条ただし書き及び三百五条六項における追加的な株主提案権の内容規制、ここの部分を削除をするというのがこの修正案の内容であります。

稲富委員 ありがとうございます。
 お手元、一枚、資料を配らせていただきました。修正前の、この真ん中の段が政府提案ということで、三百四条ただし書きの二号、三号が削除され、そして現状と全く同じということになったということでございますが、改めて伺います。
 この二号、三号、この質疑を通じて何が問題だったのかということを修正案提出者にお伺いします。

山尾委員 ありがとうございます。
 今回、修正案では削除を提案している条項の何が問題だったのかという御質問でありました。
 この委員会を通じて、まず指摘があったのは、やはり今も民法の権利濫用という一般条項を通じて一定の濫用規制がかかっている、その上で更に、会社法において、提案権の内容に着目をして制限をする必要性の有無、それを支える立法事実の存否、これが弱いのではないかという指摘が、この委員会において複数の委員、あるいは参考人からもなされたというふうに認識をしています。
 その上でさらに、今回の二号、三号に象徴されるような内容規制が成立する場合には、権利濫用とみなされる範囲が広がるのではないかというような疑義も生じました。
 それは、先ほども申し上げましたけれども、一方当事者である会社側が他方当事者である株主側の内心を推知して、その目的が、専ら会社や役員の名誉を毀損する目的であるとか、会社や役員を侮辱する目的であるとか、会社や役員を困惑させる目的であるとか、そういうふうに会社側が認定した場合には拒絶できるというふうになるとしたら、やはりその拒絶の範囲というのは広がるのではないか、権利濫用の範囲が広がるのではないかという懸念が生じました。
 そしてさらに、とりわけ対参考人の質疑を通じて、権利濫用の範囲が広がるだけではなくて、権利濫用に必ずしも当たらない場合であっても、もしこの改正案がそのまま成立すると株主提案権の拒絶が正当化されるというような場合が出てくる可能性があるおそれ、これが生じたということで、今回の修正案の提出に至ったというふうに認識しています。

稲富委員 ありがとうございます。整理をしていただきました。
 まず立法事実がどうかということ、そして権利濫用を超える部分についても、権利濫用とされない、民法上されないものがそこに該当して拒絶の対象になり得るということ、そして主観、客観でいうと、やはり主観的な判断でこれが拒絶し得るということ等々、まとめていただいたのかと思います。
 もう一点、私が今回思いましたのは、法制審の中での議論でございます。
 先日も、参考人の先生からこういった御発言がありました。
 串田委員からの質問に対して、濫用的でない場合まで制限されるのではないかという御懸念をお持ちじゃないかと思うんですけれども、条文を書いたというか、少なくとも法制審の部会では、そういう懸念を持ってこういう具体的な議論は全くされていませんでしたというくだりがございました。
 その他、当委員会でもありました、困惑という言葉が非常に主観的ではないかという非常に鋭い御指摘があり、そういったことは法制審でどの程度議論をされてきたのかということを改めて伺います。

小出政府参考人 お答えいたします。
 法制審議会におきましては、例えば、改正法第三百四条第二号において提案しております「専ら」、あるいは「著しく」といった要件につきまして、このような厳格な要件を設けると、株式会社が株主が提案した議案を拒絶する判断をちゅうちょするおそれがあるため、それぞれ、主として、あるいは特にといった要件にすべきではないかといった議論がなされたものの、株主提案権の内容を制限する規律を設けること自体については異論がなかったものと理解しております。
 また、法制審議会において、委員から、株主提案が権利の濫用に該当し得る場合をより広く規定すべきであるとの指摘等もあったことを踏まえまして、株主が専ら当該株主又は第三者の不正な利益を図る目的で株主提案を行った場合には、会社は当該株主提案を拒絶することができるという規律を設けるといったことについても議論がされました。
 この法制審議会における中間試案につきまして、パブリックコメントにかけまして集計したところ、株主提案権の内容を制限することについては賛成が多数でございまして、そのような結果を踏まえまして、法制審議会において改めて審議して、中間試案に文言上の微修正はございましたけれども、コンセンサスを得て、この立法のような、今回の改正法のような文言で改正するという結論に至ったものでございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 ですので、内容規制をすることについては同意があったということなんですけれども、今申し上げたのは、その中の二号のところですね。二号のところのその文言については、私が知る限りですけれども、これについて非常に議論があったわけじゃない。議論がなかったからそれは同意をされているんだ、そういう御趣旨かと思いますが、しかし、やはりこれは、困惑という言葉もそうですし、目的という言葉もそうですけれども、それについて委員の中から、これはどういうことなんだ、これは客観性が担保できるのか等々の議論がやはり法制審の中で十分じゃなかったのではないか。
 あるいは、もうこれは神田先生もおっしゃっているとおり、濫用的と、いわゆるその的の部分が果たして民法上の濫用の中に入っているのか、外側に出るのかということもなかったということを踏まえると、法制審の議論で半ばもう内容規制はやるんだということがあって、そしてこれが進んでいったのではないかということを思わざるを得ないなと思うんです。
 そこで、今後のことがありますので、ぜひ、やはり大部にわたる改正ですので、ここをどうするかということはありますが、ただ、株主提案権というのは極めて大事であるということを当委員会でも何度となく、これは大臣も答弁でおっしゃったとおり、今後の改正についてはやはり丁寧にそのことを、声を、先ほどもありましたけれども、各方面から吸い上げていただきたいなということを思います。
 そして、次に、立法事実についてでございます。
 これも何度となくありましたが、まず、先ほどの参考人の中でも御答弁があったんですけれども、今回の二号の立法事実としてたびたびあらわれてきたのが二例、そして七、八年前のことである、それは最近ではなかなかそういった事例はないんですよねということが参考人質疑でもございました。
 この立法事実が、それでも今なお当局としては十分にあるんだというふうにお考えなのかどうかということをお伺いをします。

小出政府参考人 お答えいたします。
 株主提案権が濫用される事案、事例が現に生じており、今後も同様の事態が生ずるおそれがあるというふうに考えております。
 実務上、株主提案権が濫用された場合でありましても、株式会社は、なるべく提案株主とコミュニケーションをとって提案の理由や意図を確認し、提案株主の同意を得た上で、提案する議案の数を減らしたり、あるいは表現ぶりを変更したりした上で招集通知に記載することが多いと言われておりまして、そのようなものも含めますと、裁判例や株主提案権に関する統計にはあらわれないような潜在的な濫用事例も存在しているものと考えられます。現に、経済界からは、株主提案権が濫用的に行使されている事例があって、対応に苦慮しているんだという指摘もございます。
 今回、繰り返しになりますけれども、株主提案権の濫用的な行使、これが実際に存在し、今後も発生するおそれがある、それから、現行法の制度ではそういった濫用的な株主提案に対する対応が困難であるという指摘もされたことを踏まえまして、提案権の濫用を制限する措置を設けるものでございまして、立法事実はあるのではないかと考えております。

稲富委員 修正案提出者にお伺いします。
 私は、やはり、ここは意見がもちろん政府と私は違っておりまして、もしそうであるなら、裁判例を確実に、こういうものがある、たくさんある、直近まであるというのであればそうだなということを思うんです。
 二号で書かれていることは目的でございます。目的があると議長が判断すればその提案権を拒絶できるということは、先ほど来話が、従前よりあるように、よほどのそれは、これは目的を持っているかどうかなんということは、その提案している人がどういう目的かなんて誰も判断できない。もちろん、議長が、その人がそういう目的を持っているかなんという判断はできない。
 だから、議長は、やはり、客観的にそれをどう言えるかというと、これは主観に頼らざるを得ないということの中があるからこそ、その立法事実が十分にあって、積み上がっていて、だからこれは、立法事実に照らして、目的を、議長が、こうだね、だから拒絶をしていい、拒絶をするべきだと判断するのではわかります。
 しかし、要するに、目的という、内心の、はっきりしない、主観のものを判断をする上での事実あるいは過去の事例というのが蓄積されていない中で、それは比較考量かもしれませんが、それがない中でこれをやるのかどうかというふうに私は思うわけです。
 修正提案者に伺います。
 今回の件で、立法事実に関する基本的認識についてお伺いします。

山尾委員 提出者としてお答えすると多少枠がはまるんですけれども、事実として指摘をするならば、やはり、この委員会質疑を通じて、追加的内容規制を必要とするというまでの立法事実が弱いのではないかという指摘が複数の委員、そして参考人からあったというのは事実だというふうに思います。
 その上で、今回仮に修正案と修正を除いた原案が通れば、数の規制は入るわけですね。そこから先、更に株主提案権の行使の制限を個別具体に規制をする会社法の新たな立法が必要なのかどうかというこの立法事実については、ここから先、やはり、さまざまな裁判例の蓄積とか、そしてまた、実際に総会でどのように株主提案権が、きちっと保障されるべきものは保障されているかとか、場合によっては、やはり権利濫用がこういった形で出ていてなかなか苦慮しているとか、そういうことも含めて吟味をしていくということだというふうに思います。これが枠の中の話であります。
 一言だけつけ加えると、やはり立法事実というのは、ただ、きちっと数あるいは統計で示されるというのが基本だと思います。暗数とか潜在的な事象とかいうことを言われることがあるんですけれども、それこそ性犯罪の被害が、どれぐらい暗数があって、そういう方にどんな被害があるのかというようなことは本当に難しいし、暗数をきちっと思いに入れてつくっていかなきゃいけないけれども、それでもなかなかその暗数とか潜在的被害では動かないから、当事者の方や支援する方が頑張って、しっかりその数を浮かび上がらせたり、つらい思いをしてそれを顕出させたりして可視化するわけですよね。
 この問題については、暗数とか潜在的事象、株主総会でどれだけ濫用行使があって会社が苦慮しているのかということは、今言ったような事例と比べると、よりきちっと事態をみんなにわかるように示した上で、立法事実だというならそれを顕出する、そういう努力が必要だというふうに思います。

稲富委員 ありがとうございます。
 次に、引き続き修正案提出者にお伺いします。
 今回この削除をすると、やはり他方で、この内容規制が必要ではないか、どうするんだという御意見があるかもしれません。
 そこについて、基本的なことですけれども、株主提案権の濫用については一定の制限が必要と考えるかどうかということについて、提案者にお伺いします。

日吉委員 株主提案権の濫用に対して一定の制限は必要であると考えます。
 ただ、現時点においては、権利の濫用の規定により対処することが可能であり、また、今回、会社法の改正により、株主が提案することができる議案の数の制限の規定が設けられることから、まずはこれらの規定により対処していくべきであり、これらの規定に加えてさらなる制限が必要となるのか否かについては、裁判例や株主総会の実務の集積等を踏まえた上で、権利の濫用に該当する株主提案権の類型について更に精緻に分析を深めた上で検討すべきと考えます。

稲富委員 ありがとうございます。
 先ほど修正提案者からもありましたように、数の制限というのはこの法案でしっかりと書き込んであるということをつけ加えて申し上げておきたいと思います。
 そこで今回、二号では、例えば、当日の提案に対して、理由をはっきりと明示せずとも、議長によって、二号に該当すれば拒絶をできるということになっておったわけですが、それを削除するということで、そうすると、民法の権利濫用規定では十分対応できるのかという御懸念がやはりあるかもしれません。その点についてはいかがでしょうか。お伺いします。

日吉委員 株主提案権の濫用につきましては、現行法のもとでは、民法第一条第三項の権利の濫用の規定により対処することが可能と考えております。また、過去の裁判例においても、株主提案権の行使について、権利の濫用として許されない旨の判断も出ているところであります。
 現状におきましては、株主提案権の濫用については権利の濫用の規定により対処することが可能と考えられており、権利の濫用の規定では対処できないような事例への対応の必要性については、なお今後の事例の蓄積を待って検討すべきものであると考えます。

稲富委員 ありがとうございます。
 次に、三号のことをお伺いをします。
 私、この二号と三号の関係についてなんですけれども、二号は、「専ら人の」ということで、人に対してさまざまな規制、制限をかけていく、三号は、最終的には「株主の共同の利益」というものが出てきまして、それが害されるおそれが認められる場合は拒絶ができるということで、その対象がまたちょっと違うし、二号と三号、これは事務方の方にもお伺いしたら、重なる部分もあるけれどもそうじゃない部分もあるということで、同じ拒絶事由にしても、何だか二号と三号の関係が、カテゴリーも違うものがあって、非常にわかりにくいな、どういう関係にあるのかということを思うわけですが、この点、どういう、この三号、二号、この規定を設けているその趣旨、そして関係にあるのかということをお伺いします。

森国務大臣 不当な目的等による株主提案を制限することとした趣旨は、株主総会における審議の時間等が濫用的な提案に割かれ、株主総会の意思決定機関としての機能が害されたりするなどの弊害を防ぐというものでありますが、改正法案第三百四条第三号は、例えば、株主が不必要に長大な内容の条項を含む定款の変更に関する議案を提案したことにより、株主総会において当該議案の検討に多大な時間がかかり、他の株主による株主総会の議場における質問の時間や他の議案の審議の時間が大幅に削られ、株主総会の意思決定機関としての機能が害されるような場合等には株主提案を拒絶することができるものとするために設けたものであります。
 このように、第三号は、株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されるおそれがあるかという客観面に着目したものであります。これに対し、第二号は、株主が専ら人の名誉を侵害する目的等で議案の提出をするかどうかという、議案を提出する株主の主観面に着目したものでございます。
 このように、第二号と第三号とではその適用対象が異なり、例えば仮に、株主が専ら人の名誉を侵害する目的等で議案の提出をするとは認められないため第二号には該当しない場合であっても、その議案が不必要に長大な内容の条項を含む定款の変更に関するものであるような場合には、三号に該当し得るということになります。

稲富委員 ありがとうございます。
 ここの「株主の共同の利益」という言葉なんですけれども、これは他の条文にも出てくる言葉でございまして、共同の利益というのは多数の利益、こう解してよろしいんでしょうか。

森国務大臣 「株主の共同の利益」とは、文言のとおり、株主全体の利益をいうものと考えられますが、例えば、少数の株主と多数の株主との間で見解が対立しているような場合における多数の株主の利益を指すわけではなく、客観的に、少数の株主も含む株主全体の利益を指すものと考えられております。
 なお、会計帳簿閲覧請求の拒絶事由について定めた会社法第四百三十三条第二項第二号においても、「株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的」という文言が使われております。
 同号でも先ほど御説明したのと同様の解釈がされておりまして、例えば、不必要に多数の帳簿書類の閲覧を求める場合、不必要に多数の株主が同時に若しくは計画的に間隔を置いて相次いで閲覧を求める場合、殊さらに会社に不利な情報を流布して会社の信用を失墜させ株価を低落させるために閲覧を求める場合などが、この文言に該当すると解されております。

稲富委員 その後に、「害されるおそれがあると認められる場合」ということで、先ほど来大臣がこういう場合はということをおっしゃってきたんですけれども、そういうことの裁判例、そういったものはあるんでしょうか。

小出政府参考人 具体的な裁判例については承知しておりません。

稲富委員 ありがとうございます。
 これも、「おそれがあると認められる場合」という、要するに、まだ何か共同の利益が害されていなくても、可能性がある場合は提案権が制限をされる、こう解してよろしいんでしょうか。

宮崎大臣政務官 今の御質問、要するに、可能性が少しでもあれば制限されるのかというふうな御質問であると理解をすれば、そういうことではないわけであります。
 株主の共同の利益が害されるおそれが認められるというのは、株主の共同の利益が害される可能性が少しでもあると認められることを意味しているわけではないということでありますので、そういう趣旨ではないというふうに考えております。

稲富委員 要するに、まだ利益が害されていなくても、その可能性があると議長が判断をすれば制限ができるということですよねという、その確認でした。

小出政府参考人 お答えいたします。
 ここで「株主の共同の利益が害されるおそれ」で足りるとしているのは、株式会社におきまして、株主提案権の行使により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が実際に害される前に、あらかじめ株主提案を拒絶することができるようにする必要があるからでございます。
 したがいまして、ここで言う「おそれ」でございますが、株主提案を拒絶しなければ株主総会の適切な運営が妨げられ、株主の共同の利益が害されることが、先ほど政務官からも答弁がございましたが、少しでも可能性があるということではなく、そういった共同の利益が害されることが強く推認される場合を意味するものと考えます。

稲富委員 ありがとうございます。
 要するに、まだ何か害されていない時点で、当然、これは拒絶することによって、害されることがないわけですよね。なので、そうすると、未実現のことを事前に防ぐためにこれを拒絶をするというのであれば、当然ながら裁判例もない、そして先ほどさまざまな御説明ありましたけれども、何らかの、これもこういうことがあったから、だからこれが必要なんだという、未実現のものを拒絶する以上は相当の理由がないと私はこれは書けないんじゃないか、要するに立法としてはやはり理由づけとして不十分じゃないかというふうに思うわけです。
 時間が最後になってきましたので、最後、修正提案者にお伺いします。
 今回、株主提案権をやはり五十六年の商法改正によって実現をし、少数の株主の意見を尊重する、あるいはそれを取り入れることがまさに会社の発展にもつながる、ある意味、少数の意見を取り入れ、そして対話をすることによって会社は発展をするということからこれを大事にしてきたわけです。しかし、他方で、やはり権利濫用の制限、これをどうするかということは、常にこれは同時にあるわけです。
 やはりこれをどうバランスをとって考えるかといったときに、どこに重心を置くか、あるいはどうそれについて考えるかということについて、最後、お伺いをしたいと思います。

山尾委員 まず大事な視点は、どこに重点を置くべきかという御質問でしたので、申し上げると、やはり株主提案権の今委員がおっしゃったような重要な意義に鑑みて、要件に当てはまる限りはその株主提案権の行使をきちっと保障していくということが前提として必要なんだろう、肝要なんだろうというふうに思います。
 その上で、しかし一部に存在する権利濫用事例、この事例をどうやって正当に拒絶することによって株主総会の意義を全うしていくかということ、このバランスをどうとるかということは大事な視点だと思います。
 今の時点で申し上げれば、先ほど同じく修正案提出者の日吉さんからもありましたけれども、まず民法の一般条項で、権利濫用、これを通じて濫用行使を除いていく。それは実際、裁判例でもそういったロジックが使われている。あわせて、今回、数の規制は入りますので、今、この法案が成立した暁には、そのバランスの中で今後の推移を見て、本当に、より規制方向の立法の必要性があるのかどうかということも含めて検討していくということだと思います。

稲富委員 以上で終わります。ありがとうございました。

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