国会活動

令和元年11月13日 法務委員会「裁判官の報酬、検察官の俸給について」

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案件:
■裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
■検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案

松島委員長 次に、稲富修二さん。

稲富委員 立国社の稲富修二と申します。
 きょうは質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 給与法の質疑をまずさせていただきます。
 先ほど来、同僚委員の皆様が質問されてまいりましたが、今回の給与改正の中で、裁判官の報酬については判事補、簡易裁判所判事の若年層、若手、そして検察官の俸給については検事、副検事の若手が今回引上げの対象ということでございますが、若い方々を手厚く引上げするということに大いに賛同するものでございますが、その意味と目的についてお伺いをいたします。

金子政府参考人 裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額につきましては、その職務と責任の特殊性を反映させつつ、人事院勧告の重要性を尊重し、国家公務員全体の給与体系の中でのバランスにも配慮するため、従前より、人事院勧告を受けて行われる一般の政府職員の俸給表の改定に準じて行っているところでございます。
 そして、本年の人事院勧告は、民間の初任給との間に差があること等を踏まえ、初任給及び若年層の俸給月額を引き上げること等を内容としております。
 御審議いただいている二法案は、このような人事院勧告を受けて行われる一般の政府職員の俸給表の改定に準じて行うものであるため、これに対応する裁判官及び検察官の給与を改定する、こういう趣旨に基づいているものでございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 次に、検察官の人権教育についてお伺いします。
 先日、同僚の日吉議員からも刑事手続について質問がありました。その際、大臣からは、刑事手続における身柄拘束については長期にわたる等々批判があるということは認識はあるという御答弁があり、また同時に、刑事訴訟法に基づき、具体的な事例に応じて適正に運用されているということも御答弁がございました。
 長期勾留、家族との接見禁止等々で、人質司法などと批判をされることもございます。まさに人権意識が問われているわけでございますが、仕組みそのものをどう考えるかということもそうですけれども、やはり検察官自身の、人権というものが、また同時に意識が必要なのではないかと思います。
 「検察の理念」という紙がありまして、二〇一一年九月二十八日制定ということで、「検察は、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、」ということ、あるいは「基本的人権を尊重し、」ということも明記をされております。
 検察官の人権教育、その必要性について、大臣の基本的なお考えを伺いたいと思います。

森国務大臣 御質問ありがとうございます。
 人権教育及び人権啓発の推進に関する法律において、人権教育とは、人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動をいうと規定されておりますけれども、このような人権教育は、検察官に対するものを含め、重要なものと認識しております。
 同法律に基づく人権教育・啓発に関する基本計画においては、人権にかかわりの深い特定の職業として、検察職員について、研修等による人権教育、啓発の充実に努めるものとされております。
 このようなことも踏まえて、法務省においては、検察官に対し、国際人権関係条約に関する講義など必要な人権教育を実施しているものであり、今後も徹底してまいりたいと思います。

稲富委員 この点はぜひ、これまでもそうでしょうけれども、引き続き、大臣のもと、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 引き続きまして、裁判官と検察官の働き方改革について、これも同僚委員から累次にわたって質問がありましたが、私からも、重なりますが質問させていただきます。
 裁判官にしても検察官にしても、超過勤務手当は支給されないということになっている、あるいは労基法の適用がされないということ、裁判官については、勤務時間を決めることがそもそも困難である、一般職の職員とは異なるという取扱いをしているということ、あるいは検察官については、時間外の勤務時間は計測困難であり、裁判官に準じて俸給水準を決めている等々ございます。
 なかなか、実務上あるいは仕事の中で労働時間を管理していくというのは、長時間をどうするかということは難しいということかと思いますが、政府として働き方改革を進める中で、どのようにこの長時間労働の是正をしていくかということはこの両者にも当てはまるものと思いますが、どのように対応するのか、お伺いをいたします。

堀田最高裁判所長官代理者 まず、裁判官についてお答え申し上げます。
 裁判官につきましても、仕事と家庭生活の両立、いわゆるワーク・ライフ・バランスは重要であると考えておりまして、各庁の事件動向等に応じた配置や担当事務の分担の工夫などを行いますほか、仕事と家庭の両立支援制度の周知に努めるなどいたしまして、積極的に取り組んでいるところでございます。
 裁判官につきましては、委員御指摘のとおり、勤務時間の定めはないところでございますけれども、その職責の重大さに照らしまして、心身ともに健康な状態で職務に当たることができるようにすることは重要であると考えております。
 そのため、事件動向等を踏まえて、各裁判所に適切に人員を配置いたしますとともに、各地の裁判所におきましては、個々の裁判官が休日や夜間にどの程度仕事をしているのかや、手持ちの事件数や内容も含めた負担がどの程度かについて、部総括裁判官を始めとする周囲の者がさまざまな形できめ細かく把握するように努めておりまして、必要に応じて、その働き方について指導助言をいたしましたり、事務負担を見直したりするなどして、裁判官の心身の健康に配慮しているものと承知しております。

小山政府参考人 検察官の関係についてお答えいたします。
 検察官の長時間労働の是正に関しましては、心身の健康確保、人材確保等の観点から、管理職員において、勤務状況や休暇の取得状況等について適切かつ実効的に把握し、業務量を調整するなどしているところでございます。
 引き続き、良好な職場環境を構築、維持できるよう努めてまいりたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
 次に、裁判官、検察官についての定年引上げの検討についてお伺いします。
 国家公務員の定年に関しては、平成三十年八月、定年を段階的に六十五歳に引き上げるべきとの方針が人事院から意見として発出、申出がございました。
 今後、裁判官、検察官、定年年齢のあり方についてはどのような検討をされていくのか、あるいはされているのか、現状をお伺いします。

堀田最高裁判所長官代理者 裁判官についてお答え申し上げます。
 裁判官の定年は、最高裁判所及び簡易裁判所の裁判官が七十歳、高等裁判所、地方裁判所及び家庭裁判所の裁判官が六十五歳となってございます。
 最高裁といたしましては、裁判官の定年年齢を引き上げるか否かにつきましては、国家公務員全体の定年年齢のあり方等も踏まえる必要があると考えておりまして、裁判官の職務の性質や求められる資質、能力等を前提としつつ、慎重に検討すべきものと考えているところでございます。

小山政府参考人 検察官の関係についてお答えいたします。
 検察官につきましては、検察庁法によりまして、検事総長は六十五歳、その他の検察官は六十三歳が定年年齢と規定されておりまして、他の一般職の国家公務員とは異なる定年年齢となっております。
 国家公務員の定年に関しましては、平成三十年八月、人事院から、定年を段階的に六十五歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出がなされ、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるべきとの方針が示されたところでございます。
 検察官の定年の引上げにつきましては、人事院から示された意見の趣旨を踏まえ、また、検察官の職務と責任の特殊性等も考慮しつつ、検討を進めているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 次に、外国人の技能実習生、そして新しい在留資格について質問してまいります。
 まず最初に、大臣にお伺いをいたします。
 この外国人、先ほど来も質疑にもありましたけれども、長期の収容の問題もあり、外国人の人権をどう考えるのか、あるいは、外国人を労働者として受け入れる際に我が国としてどういう態度をとるのかということは、私は極めて大事だなと思います。
 大臣の所信にも、こうあります。来年四月に開催される京都コングレスにおいて、法の支配や基本的人権の尊重といった基本的価値を国際社会において確立させるべく指導力を発揮すると。あるいは、司法外交の積極的な推進ということを強くうたっておられます。
 私は、外国人というのは、もちろん日本では少数派になってくる、その少数派に対してどう社会として受容し、受けとめるかということは、まさに国柄にかかわることだと思います。ですので、以降、幾つか私は質問させていただきますが、外国人労働者、昨年の国会でも大変問題になりましたけれども、私は、人権の面からもちろん外国人を守らなければいけないと同時に、やはり、外国人を、ある意味外から見ると食い物にしているとか、あるいは搾取をしているというような姿は、日本の国益を著しく傷つけていると私は思います。
 この問題は、単に日本国内だけではなくて、日本があらゆる外交のステージにおいてどうしても克服しなければいけない課題だと私は思います。それはやはり政治主導でこれをやらないといけないのではないか、そう強くこの問題は思っております。
 その意味で、ぜひ大臣の基本認識を、この点を伺いたいと思います。

森国務大臣 技能実習制度については、多くの技能実習生が実習を全うし、中には、帰国後、身につけた技能を生かして起業する者も出るなど、送り出し国政府から評価をされております。そのため、適正化を図りつつ維持発展させるべきものと思っております。
 技能実習生については、一部の受入れ企業等における労働関係法令違反等の問題や失踪の問題などが生じ、指摘されていることは重く受けとめておるところでございます。そのため、技能実習制度については、その適正化に向けて、技能実習PTが取りまとめた改善方策を実施するなどの取組を進めておりますし、また、失踪技能実習生の減少に向けて改善方策を更に充実させる施策を取りまとめたところでございます。
 技能実習制度についてはこのような取組でございますが、今ほどの委員の質問を聞いておりますと、技能実習生を含む外国人全般ということでございますので、私の考えということで述べさせていただきますと、委員も留学経験があり、私も海外に行った経験があり、海外では少数派になるわけでございますが、そこにおいてどう扱われるかということ、国柄にかかわる問題だという委員の指摘、共通認識を持っているところでございます。
 京都コングレスにおいて我が国の取組を広く世界に広めてまいる、そういう機会もございますので、この外国人にかかわるさまざまな問題については、しっかりと、日本国の取組が世界から評価されますように、前に進めてまいりたいと思います。

稲富委員 ありがとうございます。
 お手元の資料一ページをごらんください。技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況という、これは厚生労働省が八月八日に出した監督状況のものでございます。
 この中には、実習実施者に対して七千三百三十四件、監督指導を実施し、しかし、七〇・四%に当たる五千百六十件で労働基準関係法令違反が認められたということで、この下にグラフが出ております。
 これを見ると、大体、労働関係法令違反というのが七〇%台で変わらず推移している、そして件数自体はどんどんふえていっているということ、そして労働時間の違反が一番、下の欄ですけれども、労働時間の違反、労働基準法違反、割増し賃金の支払い、この違反等々、非常に、まあ言うと、その問題があるということなんですけれども、大臣、もう一問だけおつき合いください、これだけ。
 先ほど申し上げたように、こういったことがまだ続いているわけです。これは何とかやはり解決しなきゃいけないと思うんですが、先ほど来、同じような質問になってしまいますが、ぜひ、これ、大臣の指導力を私は発揮していただきたい。後ほど細かな質問をさせていただきますけれども、やはり大臣の決意、あるいは大臣の率先した取組が何としても必要だと思います。
 その意味で、もう一度、率直な、こういう数字を見ての大臣の思いを教えていただければと思います。

森国務大臣 技能実習生の労働環境等に関する御質問だというふうに思います。
 技能実習生については、その適正化に向けて、平成二十九年十一月に施行された技能実習法に基づく措置に加えて、平成三十一年三月に技能実習PTが取りまとめた改善方策を実施するなどの取組を進めてきました。また、今般、失踪技能実習生の減少に向けて改善方策を更に充実させる施策を取りまとめたところでございます。
 技能実習制度については、関係省庁とも連携し、技能実習法の趣旨に沿った適切なものとして活用されるように、引き続き制度の適正化に努めてまいりたいと思います。

稲富委員 ありがとうございます。ぜひ積極的な取組をお願いいたします。
 以下、さまざまな、少し細かな点も含めての質問をさせていただきます。議事録にしっかりと残して、私としては引き続きこの問題を追っていきたいと思いますので、御答弁をお願いいたします。
 まず、先ほど来ある、技能実習制度の運用に関するPTの調査という中で、これは昨年の失踪技能実習生の件で、PTが、調査対象五千二百十八人分、実習実施機関が四千二百八十機関ということがあったと思います。しかし、その中で百十三の機関が調査拒否をしていたということがございました。
 この実習実施機関については平成三十一年度末までに実地検査をするということになっていたかと思いますが、この拒否をした百十三の実施機関、所属する技能実習生の数、実地検査の状況、調査結果、あるいは新たな技能実習計画の認定、あるいは特定技能の在留資格申請についてはどのような対応をしているのか、まとめて御答弁を賜ればと思います。

高嶋政府参考人 まず、お尋ねの技能実習生の数、それから申請の件数等につきましては、調査協力を拒否した機関に特化したものの集計というのはしていないものですから、直ちにここでお答えすることが難しいことを御理解いただければと思います。
 もっとも、委員御指摘のように、調査協力を拒否した百十三機関につきましては、本年四月以降、順次実地検査を実施しているところでございます。現在も継続しております。
 当該機関から新たな申請がなされたような場合には、実地検査の結果、違反が認められないことが確認されるまでは、技能実習の在留資格に関するものはもちろんですが、新たな制度であります特定技能の在留資格に関するものも含めて許可等は行わないこととするなど、厳正に対処しているところでございます。
 また、監理団体等につきましても、必要に応じて適切な対応をすることとしているところでございます。

稲富委員 引き続いて、運用の改善方策の中で初動対応の強化ということが強くうたわれております。技能実習機構又は出入国在留管理当局が、失踪届があったらすぐに実地検査を行うということ、そして、技能実習生の賃金、労働時間に関する証拠を確保、保全するという国会答弁もございます。
 この初動対応の強化、もう半年たっておりますが、この間の失踪、死亡事故の件数、あるいは実地検査、どのような件数になっているのか、現状をお伺いします。

高嶋政府参考人 委員御指摘の初動対応につきましては、失踪とそれから死亡の場合と、二つに分かれます。
 まず失踪についてでございますが、技能実習生の失踪者数は、昨年は九千五十二名報告を受けておりますが、ことし上半期、六月までにおきましては四千四百九十九人を把握しているところでございます。初動対応はこの四月以降の実施でございますが、この上半期、一月から六月の数字でいえば四千四百九十九でございます。
 それから死亡者数でございますが、昨年は三十八人でございましたが、本年分は、現段階で集計が済んでいないため正確な数字をここでお答えすることが難しいのですが、上半期でおおよそ約三十人を把握しているところでございます。六月までで約三十人を把握しているところでございます。
 本年四月以降、技能実習生の失踪、死亡事案について、初動対応として実地調査を順次行っているところですが、その検査数は、これは機構も実施しているところでございまして、集計中で、本日この場でお答えすることは難しいことを御理解いただければと思います。
 いずれにしましても、入管庁におきましては、技能実習PTの改善方策の中で示された初動対応の強化も含めまして前に進め、引き続き制度の適正化に努めていきたいというふうに考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
 この半年間、初動対応の強化といって実際に、すぐに対応するということを国会でも御答弁があったかと思いますが、いかがですか。もう半年たっていますけれども、これまで、そういう御答弁があったような対応、実際できているかどうか、いかがですか。

高嶋政府参考人 実際に実施はしておりますけれども、現在、その中身一つ一つ、私がここで答えられるほどの情報を把握しておりませんので、順次実施しているというお答えで御了解いただければと思います。

稲富委員 ごめんなさい、私、引き続き、今回はこれでやめますけれども、ぜひ、この国会では引き続き追っていきたいと思います。
 と申しますのは、これ、累次にわたっての国会審議を経てやってきたわけですので、司令塔としての役割を負うということになっておりますので、常に現状把握をし、どうなっているのかということをこれからもお伺いしてまいりますので、ぜひお取組をよろしくお願いします。
 次に、失踪防止のために、実習実施者や監理団体に対する審査、検査等を厳正に実施ということがありますが、具体的にはどういうことをされているのか、お伺いします。

高嶋政府参考人 委員御指摘の点でございますが、この三月に公表されました技能実習PTの報告書におきましては、実地検査や送り出し機関の情報などの各種情報を機構、入管及び厚生労働省が迅速に共有し、実施者や監理団体に対する審査や検査等を厳正に実施することが示されているところでございます。これは御指摘のとおりです。
 これを受けまして、機構、厚労省及び当庁で、慎重審査を要する機関のリストを新たにデータベースとして作成して、これを共有しているところでございます。
 このデータベースの中には、実習実施者や監理団体に対する、不正行為等の最新情報をどんどん更新することにしておりまして、これらの最新情報が関係機関の間で常に共有できているという状況でございます。
 これらの情報は、実地検査のみならず、技能実習計画の認定、監理団体の許可等に係る審査、それから在留資格、特定技能、新しい制度の方の特定技能でございますが、これに関する在留諸申請等の審査にも活用しているところでございます。
 入管庁としましては、技能実習PTで取りまとめられた改善方策を着実に実行しまして、引き続き制度の適正化に努めていきたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
 次に、特定技能についてお伺いします。
 新しい在留資格として導入されてから半年がたちますが、現在の取得者数、そして、最大見込み数を分母としたときの割合、今後の見通しについてお伺いします。

高嶋政府参考人 御質問の特定技能制度でございますが、ことし四月一日に施行されたものでございますが、その受入れ状況は、本年十一月八日時点の速報値としまして、特定技能の許可に係る手続をとられた方が三千二百九十九名、そのうち特定技能の許可に至った者、許可を受けた者が八百九十五名です。また、初年度受入れ見込み数は四万七千五百五十人という数字がございますが、これに対する許可数の割合はまだ約一・九%でございます。
 一号特定技能外国人につきましては、その技能水準を確認するため、技能試験を実施することとしておりますが、現在まで、介護、航空、宿泊、農業、飲食料品製造業及び外食業の六分野で技能試験が実施されており、国外試験としましても、六カ国で実施されております。これまでの各分野における試験の合格者数は三千二百人を超えているところでございます。また、更にビルクリーニング分野、造船・舶用工業分野で今月中に技能試験が実施される予定であります。
 このように、分野、それから国において若干違いはございますが、既にもうこの運用が走り出している分野、それから最近開始されたもの、それから今後開始されることになるもの、さまざまございますが、順次運用が行われておりまして、特定技能の資格を有する外国人数は、今後、着実に増加していくと考えているところでございます。

稲富委員 ちょっと重なるかもしれませんが、十四業種の中で、この八百九十五名という方の、かなりまだばらつきがあるということでしょうか。もし御答弁いただければ。

高嶋政府参考人 御指摘のとおりでございます。業種によりましては、まだ許可件数がゼロのところもございます。百を超えている分野もございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 次に、悪質ブローカーの排除についてです。
 これも外国人技能実習制度で問題になった件ですけれども、二国間の取決めの進展についてお伺いします。

高嶋政府参考人 特定技能制度では、特定技能外国人から保証金などを徴収する悪質なブローカーの存在が指摘されておりまして、このようなブローカーの介在を防止するため、さまざまな措置を講じております。
 とりわけ、本制度におきましては、保証金等の不当な金銭の徴収が認められないことを特定技能外国人本人が就労開始前に認識できるようにしているところでございます。
 そのほか、送り出し国との間で御指摘のように二国間取決めの作成を進めることなどの取組もしているところでございます。本日までに、九カ国との間で協力覚書の署名、交換を行うに至っております。
 これらの対策は、悪質ブローカーを排除するためのものとして非常に有効なものというふうに考えているところでございます。

稲富委員 次に、技能実習生から特定技能へ移行する際の課題についてお伺いします。
 二年十カ月以上の実習経験がある技能実習生は、同じ職場であれば無試験で特定技能に移行することができる。移行すればそのまま実習先で働くことは可能だけれども、別の職場を希望した場合、実習で学んだ技能を証明する試験に合格するか、又は実習先に評価調書の作成をいただく必要があるということですけれども、この評価調書の作成を拒まれて、転職できないケースがございます。
 これをどれぐらい把握をされているのか、どう対応されるのか、お伺いします。

高嶋政府参考人 御指摘のような、評価調書の作成を拒否する事例が存在するということにつきましては、関係者からの問合せなどを通じて把握しているところでございますが、その性質上、網羅的なものはなく、統計も作成してございませんので、その数についてここでお答えすることは難しいことを御了解いただければと思います。
 しかし、いずれにしましても、当庁としましては、御指摘のような事例に対応する必要があるというふうに考えておりまして、法務省ホームページに公表しております特定技能外国人受入れに関する運用要領をことし九月二十七日に改定いたしました。評価調書を提出できない場合に柔軟な取扱いを行う旨、明確化して周知しているところでございます。
 具体的には、実習先から評価調書の提出を受けることができない場合には、評価調書を提出することができない理由書やかわりになる資料を提出していただいた上で、出入国在留管理庁において、技能実習二号を良好に修了したか否かを総合的に判断することとしております。
 いずれにしましても、制度の活用が進む中で、運用の改善を不断に図ることが大事であるというふうに考えておりまして、制度を利用される皆様の御意見に耳を傾けながら、引き続き制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。

稲富委員 次に、特定技能の取得者の在住地についてお伺いします。
 これは法案審議の際にも、都市部に外国人材が集中するのではないか、あるいは地方の人材不足解消にはつながらないのではないかということは累次にわたって議論がされたものと思います。
 そこで、この新たな在留資格では、勤務先、住む場所等々、把握をされているのか。実際に今現在、八百九十五名という方、数字、先ほどありましたけれども、どういうところに住んでいらっしゃるのか、お伺いします。

高嶋政府参考人 日本に在留することとなる特定技能外国人につきましては、日本で住居地を定めた日から十四日以内に、入管庁に住居地を届け出ることとされております。これによりまして、当庁は、日本に在留する特定技能外国人の住居地を把握することとなっております。
 出入国在留管理庁におきましては、特定技能外国人の在留状況について三カ月ごとに公表することとしておりまして、九月末の在留状況につきましては近々公表する予定としております。
 その公表資料の中におきまして、日本に在留する特定技能外国人の住居地を市町村単位でお示しすることとしておりまして、これにより国内における特定技能外国人の分布状況がわかるということになりますが、これまでのところ、御指摘のような、大都市に集中しているというような状況はまだ認められません。
 これらの資料につきましては、公表後、関係各省庁にも共有することとしておりまして、関係各省庁とともに、特定技能外国人が大都市圏に集中しているか否かを検証し、必要な方策をとりたいと考えております。
 出入国在留管理庁としましては、引き続き、関係省庁と協力し、適正な受入れに努めてまいりたいと考えております。

稲富委員 少し時間が少なくなってまいりましたので、少し質問を飛ばします。
 大臣にお伺いします。
 本年四月に出入国在留管理庁が発足して半年ということでございますが、従来の入管が担っていた業務のみならず、共生社会の実現の司令塔としての役割を負ってくるということでございますが、例えば、全国市長会では、外国人受入れ問題について、国の対応が十分ではないんじゃないかという御指摘もあったかと聞いております。
 この半年にわたってのお取組についてお伺いします。

森国務大臣 昨年七月の閣議決定「外国人の受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について」により、法務省は、外国人の受入れ環境整備に関する企画及び立案並びに総合調整を行うことになりました。
 昨年十二月、官房長官と法務大臣が共同議長として主宰する外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において、関係省庁と調整の上作成した、百二十六の施策を盛り込んだ外国人材の受入れ・共生に関する総合的対応策を決定し、さらに、本年六月には、その内容を充実させるための充実策を取りまとめたところでございます。
 出入国在留管理庁においては、共生施策の課題の把握のため、「国民の声」を聴く会を開催し、関係省庁とともに全国知事会等の幅広い関係者から継続的に意見を聴取するなどしながら、この総合的対応策及び充実策に掲げられた施策を推進していきたいと思っております。その上で、関係省庁と協力しながら、必要な施策を随時加えて充実させていくための検討を行ってまいりたいと思います。
 出入国在留管理庁においては、引き続きこれらの施策の実現、実施のための総合調整機能を果たすべく、関係省庁と連携して、外国人との共生社会の実現に向けた受入れ環境整備に万全を期してまいりたいと思います。

稲富委員 今大臣御答弁いただいた百二十六のうちの一つが、一元的窓口の設置支援ということがございます。
 この現状、整備状況についてお伺いします。

高嶋政府参考人 一元的相談窓口についての御質問でございますが、この窓口の整備、運営に関しましては、それを支援するため、外国人受入環境整備交付金を交付することとしておりまして、本年七月末時点で、入管庁から九十五団体に交付決定しました。
 さらに、現在も、全ての地方公共団体を対象に、第三次の交付金の募集を行っているところでございます。
 この九十五団体のうち、十月末時点で、八十団体でこの窓口を開設済みで、既に運営が開始しているというふうに承知しているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 この資料につけさせていただきましたけれども、この二ページで、一元的窓口で、「外国人が必要とする情報に」ということがあって、これは私も他の委員会で指摘をさせていただいたんですけれども、実は問題は、もちろん外国人のよろず相談をするということは必要なんですけれども、まあ言うと、生活者として受け入れる側の日本人がどう対応していいのかわからないということが、非常に多く課題としてあります。外国人と共生する中でのごみの問題、音の問題、さまざまな課題があって、日本人がどこに相談に行っていいのかわからないという課題があるということを従来から私は指摘をし、改善してほしいということを申し上げてまいりました。
 今回、六月の充実の施策の中で、多文化共生の、三ページ、資料ですけれども、実現に資する日本人からの相談への対応の検討ということが入っているのがその一つなのかなと思いましたけれども、この意図と、そして、大事なのは、もちろん外国人からのも必要ですけれども、日本人が、受け入れる側がどこに、生活者として外国人を受け入れる、その相談をするか、そこが必要だと思いますが、その点についてお伺いします。

高嶋政府参考人 委員御指摘の点はもっともでございまして、受け入れる日本人の側においてやはり相談をしたいという場合がございます。
 御質問の中にもございましたとおり、確かに、ごみの出し方を含めた生活習慣は随分、諸外国と日本の間では違うところがございますので、そういう点について、苦情のような形で相談が来る場合もございます。そういう場合が当初の総合的対応策には抜けていたのではないかという指摘もありまして、この充実策の方ではそれを加えさせていただいたということでございます。
 こういう点も含めて、細かいところに手が届くような形の施策を進めてまいりたいと思います。

稲富委員 終わります。ありがとうございました。

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