活動報告

国会

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案件:所得税法等の一部を改正する法律案
■いなとみ修二の主な質疑事項:
(1) 住宅ローン控除制度の見直し
ア 同制度の目的
イ 令和3年度及び4年度における減収見込額
ウ 住宅需要が旺盛であるにもかかわらず経済対策として同制度を維持する必要性
エ 同制度により高額所得者への所得移転が起こっており公平性に疑義あるとの意見に対する大臣の見解
(2) 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の所得要件が教育資金や結婚・子育て資金に係る贈与税の非課税措置の要件と異なる理由
(3) 賃上げに係る税制の拡充
ア 我が国において賃金が上がらない理由
イ 低賃金労働者の賃金向上効果の有無
ウ 低賃金労働者の賃金向上効果に疑義があるとの意見に対する大臣の見解
エ 減税総額に比して給与総額が巨額であることを踏まえると賃金向上効果に疑義があるとの意見に
対する大臣の見解
オ 我が国において賃金が上がらない理由を再検証する必要性
(出典:衆議院財務金融委員会ニュースより抜粋)

稲富修二  稲富修二でございます。今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
先ほど、同僚の下条議員が住宅ローン減税について御質問をされました。それに倣って、ちょっと私も順番を変えて、そこから質問をさせていただければと思います。
今回の控除の見直しということなんですけれども、元々この住宅取得の控除制度が始まったのが、昭和四十七年に導入されて、昭和六十一年に住宅取得促進税制として設立をされた。昭和四十七年ですから、持家促進であるとか、景気対策のために導入をされたものと思います。
改めて是非お伺いをしたいのは、この住宅ローン控除の制度の目的、これは何でしょうか。

鈴木国務大臣   現行の住宅ローン控除制度、これは、住宅ローン残高の一定割合を控除する制度としまして、昭和六十一年度の税制改正で創設されたものでありまして、目的といたしましては、住宅取得者の初期負担を軽減して住宅取得を促進するということ、それと、住宅建設の促進を通じた内需の拡大等に資するということでございます。
したがいまして、住宅取得の促進という側面と内需拡大という側面と、両面あるというふうに認識しております。

稲富修二 ありがとうございます。持家の促進と経済対策、言い換えればそういうことかなと思います。
ちょっとごめんなさい。事実関係で、先ほど主税局長、お答えいただきましたが、この住宅ローン控除で、国は七千六百七十億というお話でしたけれども、地方を合わせて幾らかということと、あとは、令和三年度の予算ということだったんですけれども、令和四年度と多少プラスマイナスがあるのかということ。ごめんなさい、ちょっと通告していなかったので、分かれば教えていただけますか。

住澤政府参考人  お答え申し上げます。
令和三年度予算ベースの国税分につきましては、今御指摘いただいたとおりでございます。地方分につきましては、ちょっと、通告もいただいておりませんでしたので、今直ちに手元にございませんので、後ほど確認できればお答えしたいと思います。
また、令和四年度予算ベースの数字につきましては、様々なデータに基づきましてこれから試算をしていくという段階でございます。ですので、現時点で正確な数字を申し上げることは困難でございますけれども、今回の国税の方の税制改正におきます税収への影響というのは余り大きくございませんので、大幅な変動というのは想定しにくいかなというふうには考えております。

稲富修二 済みません、ありがとうございます。
ということは、様々、例えば、控除対象者を若干要件を変えたり、年限を変えたりしているものの、ほぼ全体としての、控除全体としては変わらないのではないかという御回答だったと思います。
やはり、今おっしゃっていただいた、まず持家促進という面でいうと、これだけもう人口が減少局面に入って、空き家も増えている、そして、これから単身世帯がもう二〇四〇年には四〇%になると言われている中で、この昭和六十一年のときの設立目的がそのまま今も生きているというのは、もう時代に合わなくなっているんじゃないかとまず思います。
次の、経済対策について少し申し上げますと、まず、今、住宅価格、非常に上昇しております。例えば、首都圏の二〇二一年の十月の新築マンションの平均価格は一戸当たり六千七百五十万円である、バブル期の一九九〇年を超えて最高値をいっている。とすれば、要するに、需要と供給の意味でいえば、需要は旺盛にあるということであります。
したがって、経済対策として、なぜ需要を更に刺激するような政策が必要なのかということは是非お答えをいただきたいというふうに思います。

鈴木国務大臣 今回の改正では、我が国の経済状況も踏まえた当面の措置といたしまして、控除期間については十三年と広げる一方で、会計検査院の指摘を踏まえまして、控除率の方は引き下げるということを行っていることから、全体として住宅価格等を始め住宅需要に大きな影響を与えることはないのではないか、そのように考えております。

稲富修二 先ほど主税局長がおっしゃったように、全体のインパクトとしてはほぼ変わらない、要するに減税幅としては変わらないということであれば、それは昨年度も今年も変わらないと私は思うわけです。
だから、経済対策として、これだけ、例えば私の福岡では、相当にマンション中心ですけれども高騰していっております。それに対して、なぜ需要刺激をするような政策が必要なのかということは、もうちょっと真正面から答えていただきたいなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

住澤政府参考人  お答え申し上げます。
まず、先ほどお尋ねのありました地方税の方の令和三年度予算ベースの減収額でございますけれども、千八百十三億円というふうに聞いております。国、地方合計で申し上げますと、九千四百八十三億円というふうになります。
その上で、経済対策としてなぜ必要なのかというところでございますが、ただいま大臣からも御答弁がございましたように、今回は、控除期間を長くする一方で、控除率の方を引き下げるという見直しになっておりまして、税収に及ぼす影響もかなり小さいというものでございますので、マクロ経済に対する影響という意味で、需要を刺激したり、あるいは価格に影響を及ぼすといったような効果はさほど大きくないのではないかというふうに認識をいたしております。
また、住宅価格が昨今上昇しております背景には、資材価格の高騰など様々な要因があるものと承知をいたしております。

稲富修二 ちょっと、何かかみ合わない気がします。全体としては、先ほど国、地方合わせて、今伺ったところ、九千五百億の減税インパクトがある、ほぼ今年、令和四年度も変わらないのではないかということだったので、それは年度を引き延ばそうが全体としての減税幅は変わらないということだと思うんですね。
じゃ、ちょっと視点を変えてまた質問します。公平性の話、先ほど下条議員もおっしゃいました。
資料の二ページを御覧いただけますでしょうか。持家の比率なんですけれども、これは所得階層別に持家の比率を表にしたものでございます。
現在の状況ですので、この政策はどうかということは一概には言えないとしても、明らかに言えることは、所得が高ければ持家の比率が高いということでございます。
したがって、先ほど、これも下条先生が御指摘あったように、所得が高ければ高いほど持家の比率が高いということであれば、当然、所得が高いほどこの控除の制度も利用できる、利用している人も多いのではないかと言えるわけです。
そうすれば、当然、全体として、税ですからみんなが負担をして、そこに対して控除しているということですから、どこだけが負担しているというわけではないけれども、少なくとも言えることは、やはり高額所得者に対しての所得移転が大幅に起こっているということは言えると思います。
それに対して、先ほど大臣は、いや、低所得者に対しても様々な住宅政策としての支援があるんだ、だから、たとえ中高所得者に対しても支援があったとしても、低所得者に対しても支援があるんだという御答弁だったかと思うんですが、そもそも、先ほど申し上げましたように、高額所得者に対してこれほどの一種の補助金を、あるいは減税幅を与える必要があるのかということなんですね。
それは公平かと考えればおかしいんじゃないかというふうに思うわけですけれども、大臣、もう一度、これは本当に公平と言えるのかということについてお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣  今回の見直しでは、まず、所得要件を三千万円から二千万円へと引き下げることとしておりまして、本来、住宅ローンを組む必要がない高所得者による借入れや控除の適用が起こりにくい仕組みへと見直しをしております。
また、住宅ローンについては、例えば、国税庁の統計によりますと、五百万円超六百万円以下の給与水準において最も住宅ローン控除適用者が多いなど、必ずしも高所得者のみが住宅ローンを利用しているわけではないと考えております。

稲富修二 確かに、三千万から二千万に減らしたというのは当然のことだと思いますし、従来よりも狭めているというのはそのとおりだと思います。
ただ、二千万の方は一億のローンも組めるわけです。当然、頭打ちになって、そこまでの対象じゃないけれども、その方に対しての控除があるというのはおかしいというふうに思うわけです。だから、景気対策あるいは経済対策としても、公平性の観点からも、私も、この住宅ローン減税というのはやはり考え直すときが来ていると思うんです。
昭和六十一年からずっとこれは続いている。創設は、若干、始まったのは、住宅補助という制度として昭和四十七年から始まって、もう五十年続いているんですね。景気対策、経済対策というのが、昭和六十一年からしても三十五年続いているんですね、途切れることなく。これをずっと続けるんですか。経済対策というのは一時的にやるものじゃないですかと私は思うし、やはり考え直すべきときに来ているんじゃないかと。私は住宅政策は必要だと思います、先ほど大臣がおっしゃったような。住宅政策は必要だけれども、このローン控除の制度については、やはり考え直すべきときではないかと思います。
続きまして、住宅取得に関する贈与税の非課税措置というのが、今回の中でもまた延長されております。
そこで、ちょっと質問なんですけれども、贈与税の非課税措置を、住宅取得資金に係る非課税措置を二年延長ということは、私は、贈与の非課税措置というのは政策としてありだと思います。同時に、今、同じように、教育資金に関しても贈与税の非課税措置の制度がある。同時に、結婚・子育て資金の贈与の非課税措置もある。これは、私は、政策として、やはりあると思います。いい制度だと私も思っています。
ただ、今回の住宅取得に関して言えば、受ける側の所得は二千万まで受けられるというのに対して、教育資金は一千五百万、結婚資金、子育て資金については一千万ということで、住宅取得の方に対しては幅広く受けられるようになっている、非課税措置が受けられるようになっているということなんですけれども、なぜそこに差があるのかということをお伺いします。

鈴木国務大臣  住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置は、子や孫が住宅の購入資金の贈与を受けた場合に非課税とする措置でありまして、所得要件を原則として二千万円以下としております。
一方、先生からお話ございました教育資金や結婚・子育て資金に係る贈与税の非課税措置は、子や孫が一括して贈与を受けた場合に非課税とする措置でございまして、これは住宅取得等の場合とは異なり、これらの措置を使わずとも、例えば、結婚したときですとか子育てとか、そういう必要な都度贈与されてもこれは非課税であるということ等を踏まえまして、所得要件を一千万円以下としているところでございます。
このように、それぞれの措置で制度の趣旨等が異なっているために、所得要件の水準についてもそれぞれの制度の趣旨等を踏まえ設定されているところと考えております。

稲富修二 ありがとうございます。
その制度の趣旨はもちろんそうなんですけれども、なぜ住宅が幅広く受けられるのか、所得要件がより広いのかということについて、やはり私は納得がいかないですね。むしろ、子育て世帯、あるいは教育資金、そういったところについての幅がなぜより狭いのか、所得要件がよりきついのかということの説明は直接はいただけなかったものと思います。私はそれを考えるべきだと思います。
続きまして、賃上げ税制についてお伺いをしたいと思います。
今回の最大の目玉ということで、岸田政権の目玉政策です。低い賃金が日本の経済の最大の課題であるという認識は、全く私も同じです。
本当に驚きました。OECDの二〇二〇年の調査では、日本の一人当たりの年収は二十二位である、韓国は十九位ということで、日本より年収が四十万円ほど高いということ。これもよく言われていることですが、この三十年で米国は一・五倍になったけれども、日本は五%しか上がっていない。時給でいっても、この二十年で日本はマイナス八・八%、約九%、二〇一二年比でいえば二%増であるということ。非常に衝撃的な数字であります。
しかし、他方で、何でこうなっているのかということなんですよね。今、企業は、内部留保を増やしてもうかっているということ。そして、コロナになって多少状況は今は違いますけれども、その直前期は人手不足だったわけです。人手がいないということが、あらゆる業種で私も言われました。普通に考えれば、人手不足であって、企業にお金があれば賃金は上がるはずだと思うわけです。なぜ賃金が上がらないのかということは、これは最大の課題だし、それに応えることがやはり政府の、私は必要なことだと思うんです。
ただ、これまで様々、委員会、本会議でもありまして、私も答弁を見ましたけれども、なぜそれが上がらないのか、人手不足で、企業はもうかっているのになぜ上がらないのか。ここについて、是非、理由を教えていただきたいというふうに思います。

鈴木国務大臣  日本でなぜ賃金が上がらないのかということでございますが、我が国では、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレによりまして、企業は投資や賃金を抑制し、消費者も将来不安などから消費を減らさざるを得ず、結果として、需要が低迷し、デフレが加速し、企業が積極的に賃上げを行う環境ではなかったと考えているところでございます。
こうした中、ある程度デフレでない状況というものがつくり出され、二%程度の賃上げを実現したものの、相対的に賃金水準の低いパートで働く方々の比率が上昇する中で、雇用者全体の一人当たりの賃金が伸び悩んでいる状況にある、そのように考えているところでございます。

稲富修二 ありがとうございます。
資料三を御覧いただけますでしょうか。
これまでなぜ賃金が上がらないのかという理由について、岸田総理を始め、質問主意書に書かれていることをちょっと抜粋をさせていただきました。今大臣が御答弁いただいたこととほぼ同じことです。なぜ上がらないのかということについて、下線のところで、雇用が増加する中で、相対的に賃金水準の低いパートで働く方の比率が上昇したこと、質問主意書に対しても、ほぼ同じような、賃金水準の低い女性や高齢者の労働参加が進んだことというふうにおっしゃっている。
デフレが続いて、しかしデフレではない状況になったということですので、そのことが原因ではなくて、今、唯一おっしゃったのは、賃金水準の低いパートで働く方、あるいはその低い方が労働参加をすることが賃金を抑制した原因であるということをおっしゃったと思います。
であれば、今回の対策、税制の対策というのはその対策になる、要するに低賃金の方に対する賃金を上げる政策になるというふうにお考え、そういうことでよろしいんでしょうか。

鈴木国務大臣  賃上げ、今一番大切な局面だと思っておりまして、政府といたしましては、賃上げに向けてあらゆる施策を総動員することにしております。
まずは、賃上げ税制の拡充、それに加えまして、看護、介護、保育等の公的価格の引上げ、さらに、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備、さらには、パートで働く方々にも影響すると思いますが、最低賃金の引上げを目指す、そういうような政策を総動員して、賃上げの実現に向けてしっかり取り組んでいきたいと思っております。

稲富修二 もう一度伺います。
今回の税制改正というのは、何の問題に対して、要するに賃上げ税制、何の問題を解決するため、それは賃金を上げるためということでしょうけれども、今おっしゃった、賃金が低い方の賃金を上げるためにこの税制は利くんでしょうか。そのことをまず伺います。

住澤政府参考人  今回の措置でございますけれども、大企業につきましては、継続雇用者全体の賃上げに着目した要件設定となってございますので、当然、パートの方々を含めて、賃金が必ずしも高くない方々も含めた、賃上げ全体に貢献できる制度設計になっているというふうに認識いたしております。

稲富修二 資料四枚目を御覧ください。ちょっと、済みません、見にくいんですけれども。
正規、非正規、必ずしも非正規の方と正規の方という分類ではないとしても、賃金が低い方、低いであろうと思われる方が、より会社が大きい方に多いのか、より会社が小さい方に多くいらっしゃるのかということなんですけれども、この表を見ていただきますと、五百人以上の規模の会社の非正規の職員さん、従業員さんの割合というのは一番右下の三五・二%である、より小さい会社であれば、一番右にありますけれども、非正規の割合は四二・六%になるということで、正規と非正規の、まあ同一労働同一賃金になったとはいえ、全体としては非正規の方が賃金は低いというデータがあると思います。そういう意味でいえば、中小企業、それも小規模事業者の方がより非正規の割合が高いわけです。
したがって、今、さっき局長さんがおっしゃいましたけれども、今回の税制は、先ほど来議論がありましたけれども、主に大企業です、やはり。七割が黒字なんだから、赤字は三割なんですから。すなわち、非正規の方がより少ないところなんですよ。数としても、中小企業あるいは小規模事業者と比べてもやはり少ないんですよ。だから、確かに、この税制をやることによって、今おっしゃった効果はありますよ。だけれども、最初大臣がおっしゃった、賃金が低い方が労働市場に入ってきたから賃金が下がるとおっしゃったけれども、それは全然、その原因に対する対応になっていないんじゃないですか、この税制は。黒字の企業の、もうかっている企業の非正規の賃金が低い方のところが減税措置になっているだけであって、賃金が低い方の賃金を上げる政策じゃないんじゃないですか。大臣、答弁お願いします。

住澤政府参考人  お答え申し上げます。
税制につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、賃上げに向けて、政府としては、これまで大臣からも何度も御答弁申し上げておりますとおり、あらゆる施策を総動員するという姿勢で臨むこととしておりまして、この賃上げ税制の拡充に加えまして、看護、介護、保育等の公的価格の引上げ、それから中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備、また、補助金におけます中小企業向けの手当て、こういったものを通じて、中小企業において、パートの方々も含めてしっかりとした賃上げができるように、あらゆる施策を投入しているということでございます。

稲富修二 大臣、国があらゆる施策を投入してとおっしゃっていますけれども、国があらゆる施策を投入して賃金というのは上がるんですか、上がるとお思いですか。
先ほど効果がどうかという質問が、ちょっと、どなたかあって、一定程度の効果があるであろうというふうにおっしゃいましたけれども、岸田総理、三%という数字まで出しておっしゃっていましたけれども、あらゆる施策を国が投じて、今回の税制でいえば、税の減税幅というのは全体として三千億弱ですよ、国全体の給与総額といったら二百四十兆とかですよ。そんな規模感で、その全体の給与を上げるということなんてできるんですかね。そもそも、こんな政策で賃金なんか上げられるんですかね。是非お答えいただきたいと思います。

鈴木国務大臣  賃上げ、今とても重要なことでございまして、賃上げ、是非実現していきたい、こう思ってございますが、税制だけで賃上げをできるとは思っていませんし、それのみをもってすることはできないわけでございますので、先ほど来政策を総動員するというのは、税制も行う、それから、そのほかの、例えば、公定価格の引上げを行う、最低賃金の引上げを目指す、そうした様々な取組をやって、それによって賃上げの方向に向かっていこう、こういうことでございます。税制だけをもって賃上げを実現するという考えではありません。

稲富修二 私の趣旨は、大臣、税制もそうですけれども、補助金でもそうです。先ほど来ありましたように、赤字企業に対して、中小企業に対しては、様々な補助あるいは公定価格を引き上げることによって何とか上げようという政府の趣旨は分かります。だけれども、私は限界があるんじゃないかと思うわけです。なので、これはむしろ、本当に政府がここまで賃金に介入していくこと、あるいは労働市場に介入していくことが本当に国のためになるのかと私は思うんです。
当初、賃上げ税制が平成二十五年に始まった当時は、もう政府がそこに介入をする、あるいは賃上げを財界に要請することについて相当抵抗があったと思いますよ。だけれども、もう八年たって、当たり前のようになって、毎年、当然のように、総理が三%という数字まで出して、是非期待すると、言葉は分かりませんけれども、賃上げを要請すると。国が賃金というものを介入して何か上げるということは私は非常に難しいんじゃないかと思うんです。
もう一つ言えば、先ほどのローン控除もそうですけれども、あのローン控除は三十五年続いているんですよ、毎年一兆円弱あるいは九千億もの税金を使って。
これからも、この二千億あるいは多額の税金を使って、そして、上がるかどうかも分からない、先ほど効果は一定あると言いましたが、私はそんなにないと思います。効果があるかないかも分からないところに二千億の税金を毎年突っ込んでいくのかと。私は、本当にこういうことをやっていて、日本の税金の使い方もそうですし、賃金が上がるのかというふうに思うんです。
最後になりますが、やはり、これは何で上がらないのかという原因をもっとはっきりとした方がいいと思います、政府として。最後、是非御答弁お願いします。

鈴木国務大臣  なぜ上がらないかというのは先ほど申し上げたとおりで、繰り返しになりますので繰り返しませんけれども、一九九〇年代以降のバブルの崩壊の中で、企業の方も、こうしたマインドの問題としても、投資をするとか賃上げをするとか、そういう方に行かなかった、そして消費者の方もまた、将来不安等によって消費を抑え込んだ、こういうような両面をもって賃金が上がらなかったということが続いてきてしまっている。先ほどの答弁のとおりでございます。

稲富修二 どうもありがとうございました。

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