活動報告

国会

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案件:国土交通行政の基本施策に関する件

稲富修二 主な質疑内容
(1)住宅政策の重要性に対する大臣の認識
(2)高齢者への住宅政策
   ア 増え続ける高齢単独世帯に係る対策の内容
   イ 創設から10年が経過したサービス付き高齢者向け住宅制度に対する評価及び今後の対応
   ウ 当初計画より遅れているサービス付き高齢者向け住宅の整備に係る今後の対応方針
(3)住宅取得促進及び賃貸住宅への支援
   ア現役世代の持家比率が減少していることに対する大臣の分析及び基本認識
   イ 住宅取得促進の理由及び住宅ローン控除制度の目的
   ウ持家重視の支援から賃貸住宅重視の支援 を政策的に重視することへ転換していく必要性
   エ令和3年に閣議決定された住生活基本計画の内容を賃貸重視の政策に変更することについての大臣の見解
   オ 住宅ローン控除以外の住宅政策に係る住宅局における予算額
(4)本邦航空会社欧州便のロシア領空の迂回
   ア ロシア領空の迂回の状況及び理由
   イ 本邦航空会社による自主的な判断とならざるを得ない理由
   ウ 迂回ルートを利用することによる 運航距離、運航時間、コスト等への影響
   エ 本邦航空会社への支援
     aコロナ禍においてワクチンを輸入することの公益性の高さに対する大臣の認識
     b 公益性が高い空輸を行っている本邦航空会社への更なる経済的支援に向けた大臣の決意
(出典:衆議院財務金融委員会ニュースより抜粋)

稲富修二 
 立憲民主党の稲富でございます。
 まず、住宅政策について伺います。
 先ほど、他の委員の先生が住宅について御質問をされました。昨年の衆議院選挙の各党の公約を改めてちょっとレビューを私自身してみたところ、住宅に対しては、各党様々な御主張をされていることがよく分かりました。そして、やはりコロナの影響で、事業者も、個人宅もですけれども、家賃の負担が大きな固定費だということが認識をされたものと思います。
 そこで、なぜこれほど住宅政策というのが大きく注目をされ、重要になってきたのかということ、基本的な認識についてまず大臣にお伺いをいたします。

斉藤国務大臣  
 住宅政策の重要性についてお伺いがありました。
 住宅は、人々の生活を支える基盤であり、社会の礎であります。様々なニーズに応じて、国民一人一人が真に豊かさを実感できる住生活の実現に向けた施策を総合的かつ計画的に推進してきているところです。
 昨年三月に閣議決定した住生活基本計画においては、本格的な人口減少、少子高齢化社会の到来、自然災害の頻発、激甚化、気候変動問題、コロナ禍による新たな日常への対応など、社会経済情勢の変化や人々の価値観の多様化に対応した豊かな住生活を実現するため、一つは社会環境の変化、居住者・コミュニティー、住宅ストック・産業の、この三つの点の下、住宅確保要配慮者が安心して暮らせるセーフティーネット機能の整備とか、脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成など、八つの目標を掲げております。
 国土交通省としては、今後も、関係省庁等とも連携しながら、この住生活基本計画に基づく施策を推進していきたいと思っております。

稲富修二
 ありがとうございます。
 なぜこれほど住宅の政策というのが重要になってきているのかの一つの要因として、やはり所得が上がっていないということが私はあると思います。 
 これは、今回、賃上げ税制ということで、法案としては成立をしましたけれども、この約三十年間、日本はほとんど所得が上がっておりません。そして、欧州に比べると、例えば、イギリスであればこの三十年で一・五倍、アメリカも一・四倍、そして、日本は一人当たりの年収はもう韓国にも抜かれてOECDの中で二十二位ということで、一人一人の収入が増えていないということがやはり大きいと思います。
 そこで、この住宅のところで、先ほど大臣が新たな住生活基本計画にのっとってという御答弁がありました。果たして、これが我々が今直面する住生活に応えるものかどうかということを、少し議論させていただきたいと思います。
 地元を歩く中で非常に強く感じておりますのは、やはり、大きな一軒家に御高齢の方がお一人で住んでいらっしゃるという光景でございます。あるいは、私のずっと御支援をいただいた方が、御夫婦でいらっしゃった方が、お一人お亡くなりになっている、お一人で住んでいらっしゃるということがございます。
 そういうことが、たまにということではなくて、よくあることでございまして、私は、率直に、この家をどうするのか、そして、お一人でここの住宅にお住まいになっているけれども、ここをどうされるのか、それは単に人ごとではなくて、私自身もそうですけれども、どうして住を確保していくのか、安心して暮らせるのかということは極めて切実に思うわけでございます。その中で、この住生活基本計画がそれに応えているのかということなんですよね。今申し上げた、単独の高齢世帯が増えているという問題について、一つお伺いをしてまいります。
 やはりお独り暮らしの高齢者がいらっしゃるというのは、これは私、これからの日本の構造的な課題でありまして、例えば二人、お二人暮らしであれば様々なリスクも回避できるけれども、お一人で高齢者が住まれているということは、経済的なこと、あるいは介護のこと、あるいは孤独、そういった様々なリスクが更に大きくなるわけでございます。
 そこで、資料一を御覧ください。
 今、単独世帯というのが非常に増えておりまして、上のグラフの一番左横の令和元年の①が単独世帯でございまして、二八・八%ということで、一人世帯が今や最大の世帯であるということ。そして、横の②が二人世帯、夫婦のみ世帯でございまして、二四・四%。つまり、単独、一人お住まいか、お二人お住まいかということでもう五割を超えているということ。そして、いわゆるマイホームと言われる御夫婦と子供二人という四人のようなかつての姿は、この③のところでございますが、夫婦と未婚の子のみの世帯というのは二八・四%で、実はもう少数になってきているということなんですよね。
 だから、単独世帯が今や主流になっていて、更に言えば、人口問題研究所によれば、世帯主六十五歳以上の世帯における単独世帯の割合は今三〇%であると。そして、二〇四〇年にかけて増え続けて、高齢単独世帯は二〇四〇年には四割に達するということ。そして、単独世帯は、夫婦のみ世帯や子供と同居する世帯に比べて、賃貸の割合が高くて、住居費に負担を感じている割合が高いというのが内閣府の調査でもございます。
 未婚者が増えている中、ますます単独、お独り暮らしが増えていくということで、かつての独り暮らしといえば、我々が学生時代、東京に来て、結婚するまで一人で暮らしているというのが独り暮らしでしたが、今や、独り暮らしというのは高齢単独世帯というのが主流になってきている。そういう衣食住の単独世帯に対する住の対策、現在、どういうことを国交省として考えていらっしゃるのか。今後、これだけ二〇四〇年にわたって高齢単独世帯が四割にも達すると分かっている中で、どういう対策を取ろうとされているのか、お伺いをいたします。

斉藤国務大臣
 住生活基本計画においては、多様な世代が支え合い、高齢者等が健康で安心して暮らせるコミュニティーの形成とまちづくりというのが、八つの目標の一つに位置づけられております。この目標の実現に向け、高齢者、特に単身世帯の増加を踏まえて、単身の高齢者等が安心して暮らせる住まいの確保に向けた、健康管理や遠隔地からの見守り等のためのIoT技術等を活用したサービスの普及とか、多世代が支え合いつつ共生する持続可能で豊かなコミュニティーの形成に向けたコミュニティースペースの整備、三世代同居や近居、住み替えの推進などの施策を推進することとしております。
 これらの施策を推進することにより、単身世帯を含む高齢者世帯が安心して暮らせる居住環境の整備に取り組んでいかなければならない、このように思っております。

稲富修二
 ありがとうございます。
 いや、今私が申し上げたのは、単身世帯がもう主流なんですよ、なっていくんですね。だから、単身世帯を含めてじゃなくて、単身世帯をどうするのかという対策が必要だということだと私は思うんです。しかし、この新たな住生活基本計画を見ると、余りそこははっきりと打ち出されていないというのが私の印象で、余り、いわばこれは構造変化ですから、何か政策によって大きく変えられるものであればいいですけれども、先ほどの三世代同居の世帯に変えられればいいですけれども、恐らくそれは難しいんじゃないかと思います。
 決してそれを、是非ではなくて、やはり単身世帯が増えていくということが分かっている、それに対してどうするかという政策を伺っております。
 その中で、恐らく国交省としては、生活、安心して暮らせるという意味で出してきた対策の一つは、やはりサ高住だったと思うんですね。これは、度から十年たって今どのような評価をされて、今後どうしようとされているのかということをお伺いします。

斉藤国務大臣
 サービスつき高齢者向け住宅、いわゆるサ高住は、単身高齢者を含めた高齢者世帯が安心して生活できるよう、バリアフリー化され、状況把握サービスと生活相談サービスの提供を必須とする住宅でございます。
 平成二十三年に厚生労働省と共管の制度として創設をいたしまして、制度創設から約十年が経過した令和四年二月末現在、約二十七万戸が整備さ
れております。介護保険サービス等との連携により、自立した高齢者から要介護状態の高齢者まで、幅広い高齢者が安心して生活できる住まいとして定着してきているものと認識しております。
 今後も、高齢者世帯数の緩やかな増加が見込まれる中、地方公共団体が、地域の需要や医療・介護サービスの提供体制を考慮し適切な関与を行いながら、その整備や情報開示を推進することにより、単身高齢者を含めた高齢者世帯が安心して暮らせる住環境の整備を進めてまいりたいと思っております。

稲富修二
 ありがとうございます。
 しかし、これは計画より遅れていますよね。登録の戸数が鈍化をしています。これはどうされようとしているのか。当初は二〇二五年までに百万戸供給を目指していたと承知をしておりますが、今後これはどうするのか、またお伺いします。

淡野政府参考人
 お答え申し上げます。
 住生活基本計画におきまして、高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合として、令和十二年に四%を目指すということがうたわれてございます。今現在は二%台でございますので、こちらを、引き続き、国として補助制度等を通じた支援などを行いまして、整備の方を進めてまいりたいと考えております。

稲富修二
 何か心もとない感じでしたね、今の。
 要するに半分だということだし、今から団塊の世代がいよいよもう七十五歳が迫っているわけで、これをどうするのかということで、補助金とおっしゃいましたけれども、これも事業者向けの補助金であって、やはり最大のネックは、低所得者の高齢者が入居しづらいということだと思います。
 これは引き続きちょっとテーマとして追っていきたいと思います。
 続きまして、住宅政策全般についてお伺いします。
 資料二を御覧ください。これは持家の比率なんですけれども、世帯主の年齢別の持家の推移が書かれております。
 一九七八年、一九九八年、二〇一八年と二十年ごとにプロットをしておりますが、この薄いところが一九七八年、濃いところが二〇一八年ということで、全体としては持家比率はほとんどこの四十年変わっておりませんが、これは御覧になっていただけるように、若い方々、二十代、三十代、いわば現役世代の持家比率が減少しているということでございます。この点、なぜうなっているのか、大臣の分析、基本認識を伺います。

斉藤国務大臣
 その原因としましては、生涯未婚率の上昇等による単身世帯率の上昇が原因との指摘がございます。
 今後、必要に応じて分析してまいりたいと思っております。

稲富修二
 ありがとうございます。
 結婚しない、未婚率が高くなっているということを御指摘がありました。
 それはつまり、先ほど冒頭申し上げましたように、じゃ、なぜ未婚率が高いのかということは、非正規が増え、そして給与が上がっていないということが大きいものと思います。冒頭申し上げましたように、日本の給与が上がっていないというこの三十年、それが大きいと思います。
 それともう一つは、資料三を御覧ください。価値観も変わっているんじゃないかと私は思うんですね。
 これは、ちょっと見にくいんですが、借家、借地、土地、建物を所有したいと思うかどうかということで、真ん中の年齢のところが、土地、建物共に所有したいという二十から二十九歳、そして三十歳から三十九歳、これを見ると、やはり若い方々は土地、建物共に所有をしたいというのが低いと出ているわけでございます。年齢が高いほど、所有したいと。
 やはり、住宅がそもそも資産なのか。右肩上がりであれば、それは資産と言える。しかし、本当にそれが、持つことにどれほどの意味があるのかという価値観も変わってきているのではないかと私は思うわけです。したがって、昔のような借家住まいから、さっき大臣からもお話がありましたように、借家から、そして働いて持家まで至る住宅すごろくの時代というのが、果たしてこれからそうあるべき姿なのかと思うわけです。
 そういった中で、住宅ローン控除を今回延長をいたしました。改めて、そういう中で伺いますが、なぜ持家促進をするのか、住宅ローン控除の目的は何なのかということを大臣に伺います。

斉藤国務大臣
 住宅ローン控除制度は、住宅ローン残高の一定割合を控除する制度として、一つは、住宅取得者の初期負担を軽減し住宅取得を促進すること、そしてもう一つが、住宅建設の促進を通じた内需の拡大等に資すること、これらを目的として創設されたものでございます。
 令和四年度税制改正による住宅ローン控除の見直しでは、これらに加えて、省エネ性能等の高い住宅を取得する場合に借入限度額の上乗せ措置が講じられたところであり、省エネ性能等の高い住宅の普及拡大を通じて、カーボンニュートラルの実現等にも寄与するものと考えております。

稲富修二
 ありがとうございます。
 つまり、二つおっしゃいました。ローン控除の目的としては、住宅取得を促進することと、内需拡大、経済対策という、その二つの側面があるという御答弁だったかと思います。
 取得を促進するというのはまさに目的そのもの、内容そのものなんですけれども、経済対策として、要するに、需要サイドを刺激をする政策としてこれをやるということが、どれぐらいの意味があるのかということなんですよね。
 この制度そのものは、前身のところを含めればもう五十年続いている。昭和四十七年に補助制度から始まって、今のローン控除になるまで、昭和六十一年、ローン控除になるところから、もう五十年以上続いているということでございます。
 私は、今、済みません、大臣、一つ質問を飛ばします、住宅ストックそのものは、空き家が増えて供給過剰になっている。あるいは、今申し上げた、住宅を持つことに対する促進政策というのは、もうまさに高度成長のときの話で、人口がどんどん増えて給料がどんどん上がって子供が増えてということであれば、そのときにはマッチした政策だと思います。そういう中で、住宅は供給がたくさんある、しかもそれに需要刺激策というのは合わない。
 更に言えば、先ほどもありましたけれども、住宅価格は上がっております。私の地元の福岡でも、億ションが続々できているなんということもある。都心では、バブル期を上回るような平均、新築のマンションは平均を上回っているなんということもある。そういう中で、なぜ補助金を出さなきゃいけないのかということなんですよね。
 更に言えば、持家比率は、高額所得者ほど持家が高いということで、私は格差の拡大にもつながっていると思うわけです。  
 したがって、もう、持家に対する支援を国としてこれ以上政策的に重視をすることから、先ほど申し上げましたような賃貸や借家への支援というふうに、私は重心を徐々にでも移していくべきじゃないかと思うんです。この点、大臣の見解を伺いたいと思います。

斉藤国務大臣
 私も議員になりましてから、住宅政策、関心がございまして、ずっと議論してまいりました。今、稲富委員から提起された問題は、まさに住宅政策の基本的な考え方に関わる議論で、ずっと議論されてきたところでございます。
 そして、これまでは、先ほど申し上げたような考え方での政策、持家促進というのも一つの大きな柱、そして賃貸住宅も充実させるという柱でやってきたわけでございますが、今後、この問題については、大きな社会転換の中で、どのような住宅政策がこれからの日本にとってふさわしいのかということを真剣に議論していかなければならない問題だと思います。

稲富修二
 ありがとうございます。大臣に真摯に御答弁をいただきました。
 私は、住宅に関わる予算を減らせと言っている意味じゃないんですよね。要するに、使い方を変えてほしいということを申し上げております。
 先ほど来申し上げたように、給料が上がらない、賃金が上がらないという中で何が起こっているかといいますと、固定費が上がって、可処分所得がやはり減るんですよね、当然ですけれども。なので、私は、先ほど大臣おっしゃったように、大きくやはり転換をしていく時期にあるし、恐らくそれはお感じになっていると思います。
 しかし、そのことが、この新たな住生活基本計画にはほとんど感じられないんですよ。例えば検討するぐらいあればいいんですけれども、検討すらしていない。いわば、これまでの延長にしかすぎない。もちろん、環境対応とかされているというのは重要なことですけれども、基本政策を変えるというところの入口にも何か至っていないような気がします。
 是非、大臣、もう一度御答弁いただきたいんですけれども、これは令和三年に閣議決定されたばかりですから、令和十二年度の計画期間ですけれども、少しぐらい検討するとか、やはり、持家促進から賃貸に対する政策の重点を少しずつ変えるとか、検討するぐらいは私はしていただきたいと思うんですが、大臣の見解を伺います。

斉藤国務大臣
 これまでが持家主体だったということを言ったわけでは先ほどありません。持家政策も大きな柱、そして、いわゆる公営住宅等を柱とする賃貸住宅、これを充実させるということも一つの大きな柱でやってまいりました。
 今、大きな社会の転換点にあり、住宅というのは、先ほど来議論がありますように、我々の生活の根幹ですので、どのような社会の大きな変化の中で対応していくべきかということはしっかり議論をしていく必要があるのではないか、このように思います。

稲富修二
 ここはちょっと見解を異にします。いや、はっきりと持家重視だと思います。
 例えば、住宅ローン控除の減収、要するに、いわばその額は国と地方を合わせて九千四百八十三億円、令和三年度予算ベースですけれども。そして、今回の令和四年の減収もほぼ同じだと私は伺っております。
 しかし、じゃ、ほかの住宅政策にどれぐらい予算をつぎ込んでいるのか。住宅局の局長さんのところの、住宅局の予算、国費、幾らですか。

淡野政府参考人
お答えを申し上げます。令和三年度予算額といたしましては、住宅対策費として約千六百億円となってございます。

稲富修二
 ということで、全然違うんですよ。やはり持家重視なんですよ。だから、是非それは、今後、基本計画もできたばかりですけれども、大臣御存じのとおり、是非検討ぐらいはやはり始めていただきたいということを申し上げて、次の質問に移ります。
 先ほど同僚の城井議員からありました、航空機の課題です。ロシアによるウクライナ侵略を踏まえて、先ほど燃料のお話がありましたけれども、本邦エアラインが、これは渡辺周先生からもありました、ロシアの領空を回避をしているという現状について、少しお伺いします。まず、二つ伺います。本邦のエアラインがロシア領空通過を回避をしているということ、現状そうなのか、そしてその理由をどのように把握をしているのか、これをお伺いします。

久保田政府参考人
お答え申し上げます。本邦航空会社の欧州便につきましては、現在、各社の判断によりまして、ロシアの領空を迂回し、
中央アジアを経由する南回りルートや、北極を経由する北回りルートにより飛行を行っているところでございます。このことは、現在、欧米諸国等におきまして、ロシアに対する制裁措置の一環といたしまして、航空機メーカーによる部品供給の停止、アメリカの航空関連品目の輸出規制、そして英国による航空保険への規制などが行われていることから、これらの影響につきまして各社が総合的に判断し、ロシアの上空を迂回するルートで運航を行っているものと承知をしてございます。

稲富修二
資料四を御覧ください。今御説明があったロシア領空回避の現状でございます。大きく南回り、北回りということで、中国そしてトルコの南回りと、アンカレッジを経由する北回りというふうに、通常よりもこうなっているわけです。先ほど何度も自主的にという言葉を使われましたけれども、自主的にやっているんだというお話でしたけれども、現状であれば、じゃ、何で自主的にそういうふうにならざるを得ないのかということはどう考えますか。

久保田政府参考人
お答え申し上げます。現状、欧米諸国におきまして、ロシアに対する制裁ということで、要は、航空機の部品供給、ロシア国内において停止をしております。また、イギリスにおきましては航空保険、これは再保険を含めてですけれども、そんなものについて規制をしておるということでございます。こういうことにつきまして非常に影響がある、そういうふうに考えておるところでございます。

稲富修二
ちょっと理由が分からないですね。じゃ、ちょっと伺います。運航距離、所要時間、機体のサイクル、燃料消費量、運航クルー体制、旅客数、貨物量、それぞれ影響がありますよね、恐らく。南北ルートで、これは通常よりももっと長くなっているんだと思うんです。これによる影響、そしてコストはどのように上がっているのか、お伺いします。

久保田政府参考人
お答え申し上げます。迂回ルートを利用することによる影響につきましては、各社のルートや機材等々違いますので、一概に申し上げることはなかなか難しゅうございますが、各航空会社は、乗員編成、これは増えます。それから、航続距離が長くなることによって、燃料消費量、これも増えてきます。また、搭載貨物量が影響を受けることによりまして、コスト的にはおおむね二割から三割程度のコスト増になると聞いておるところでございます。

稲富修二
ありがとうございます。運航時間はどれぐらい違うんですか。

久保田政府参考人
南回りと北回りで、そして、日本から行く場合と向こうから帰ってくる場合でちょっと違ってきますけれども、おおむね三時間から四時間程度、ロシア上空を通過する場合に比べて運航時間が長くなっているというふうに聞いておるところでございます。

稲富修二
ということは、やはり三時間、四時間分だけ、単純に言えば、要するに、二割とおっしゃいましたけれども、例えば十時間であれば、トータルではどうなんですか。何時間から何時間というふうにちょっと答えていただけますか。

久保田政府参考人
お答え申し上げます。例えば、JALのロンドン便につきまして言いますと、従前は、日本から行く場合には十二時間四十五分、それが、現在、迂回して北回りで行っておりますが、これは往路で十五時間二十分かかっておるところでございます。プラス約三時間弱ということでございます。

稲富修二
 分かりました。ありがとうございます。単純に言えば二割あるいは三割、その間ぐらいの、トータルでやはりアップしているということだと思います。そこで、これも渡辺議員からもありました御指摘で、コロナ禍においてのワクチンの輸入についてです。かなりの部分がベルギーから空路、欧州便にて搬入されているとされております。厚労省の担当所管に確認したところ、モデルナ製は、スイス、スペインから原料等を搬入後、ベルギーで製造され、ブリュッセルより全量を日本へ空輸されていると。ファイザー製は、保守、保秘の契約上明らかにできないが、アメリカ、欧州より空輸されております。ワクチン、次、四回目という話もありますが、やはり公益性が高いというふうに思われますが、大臣、この認識をお伺いします。

斉藤国務大臣
極めて高いもの、高い公益性を持っていると思います。
本邦航空会社の欧州便は、ウクライナ侵攻直前の本年二月ベースで、週約七十便が運航しており、従前より、欧州との観光、ビジネス、貨物輸送のメインルートとして重要な路線です。
さらに、コロナ禍の下、ワクチンを含む医薬品、医療機器を始めとして、国民生活を支える重要な貨物輸送を担うなど、社会経済活動を支える重要な路線であると認識しております。

稲富修二
大臣から、公益性があるというお話がありました。
したがって、先ほど原料の話もありましたけれども、航空機燃料税がその対象にないという話、これはとんでもない話ですし、この戦争によって、迂回して二割、三割長くなって、コストも恐らくそれぐらいは上がっているであろうということを考えれば、やはり、持続可能な対ロ制裁を維持するためには更なる経済支援が必要だと思うわけで
す。
更に言えば、このウクライナ侵略は当然予算をつくった後に起こったことで、迂回してなんということは当然航空会社も考えていなかったことです。自主的に自主的にとおっしゃいましたけれども、これは誰だってやらざるを得ないような、追い込まれているわけで、大臣、経済対策等で、さっきもしっかりとやるということだったかと思い
ますが、改めて、この経済的支援、これは公益性があるわけですから、これについて、最後、決意、御答弁をいただきたいと思います。

斉藤国務大臣
 国としましては、これまでも様々な形で踏み込んだ支援を行ってまいりました。令和四年度においても、七百億円規模で空港使用料や航空機燃料税の減免を行うなど、しっかりと支援をしていくこととしております。
 こうした支援を通じて航空ネットワークの維持、確保を図ってまいりますが、引き続き、ウクライナ情勢等が航空業界に与える影響を丁寧に注視し、各事業者の声もよく聞きながら、適時適切に対応してまいります。

稲富修二
終わります。ありがとうございました。よろしくお願いします、大臣。

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