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【議事録・動画】令和5年3月22日内閣委員会「新型コロナウイルス感染症の水際対策等」について

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案件:新型コロナウイルス感染症の水際対策等について
いなとみ修二 主な質疑内容:
(1)新型コロナウイルス感染症の水際対策
(2)法律案
ア 総括庁設置による政策判断
イ 損失補償
ウ 総括庁と専門家の関係
エ 国民への情報発信

稲富修二 立憲民主党の稲富でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、水際対策について、ちょっと順番を変えて、大臣に伺います。この委員会でも、各委員から、初動体制が大事だという御指摘が随分ありました。もし次のパンデミックということを想像すると、日本の公衆衛生のレベルを考えると、例えば今回のコロナのような、海外からの感染症の流入ということを考えるのが大きなシナリオだろうと思います。この意味からすると、まさに初動というのは、感染症が海外で発生をし、それを日本国内に入れるか入れないか、また、海外からの入国を制限するかどうか、あるいは拒否をするのか、入国する人を隔離するのか、その最初の判断をすることがまさに初動の意味だと思います。
先日この委員会でも指摘があったように、仮にそういう場合を想定すると、専門家ですら病原体の正体が全く分からない段階で、政治的な重い判断を下さなければならないという事態が想定をされます。したがって、そのときに大切なのは、判断の理由を明確に国民に知らせることであろうかと思います。
そこで、伺います。国内でコロナ感染確認後、二〇二〇年三月から四月にかけて、国際線の旅客便の就航に制限がかけられました。国交省が航空会社に航空便の制限の要請をしたのは、いずれの主体によって、またどのような理由でそれが判断をされたのか、御答弁をお願いします。

大沼政府参考人 お答え申し上げます。
政府の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、検疫の適切な実施を確保するために、今委員御指摘のとおり、令和二年三月に、日本に到着する航空機の到着空港を限定することが決定され、また、同年四月に、搭乗者数を抑制することが決定されました。
この決定に基づく措置といたしまして、検疫の確実な実施を図るため、国土交通省航空局より航空会社に対して、到着空港の限定や搭乗者数の抑制の要請を行ったということでございます。

稲富修二 誰が決定をしたのかという質問です。

大沼政府参考人 繰り返しになります。政府の新型コロナウイルス感染症対策本部、これは総理が本部長だったと思いますが、こちらで決定をされ、これを受けて、私ども国土交通省航空局から、検疫の確実な実施を図るため、到着空港の限定や搭乗者数の抑制の要請を行った、こういう事実関係でございます。

稲富修二 つまり、総理が決めたということかと思います、今の御答弁は。
それで、その後、二〇二一年三月五日には、検疫体制を確保するため、航空機の搭乗者数を抑制して、入国者数を管理する仕組みを導入いたしました。最初は、一日当たり例えば二千人とする入国者の総数管理を開始いたしました。そして、感染状況や、オリパラの開催など経済と感染状況によって、入国者の総数をその時々に応じて変えてまいりました。最初は二千から始まり、途中から例えばそれが五千人になることもあり、七千人になることもありました。毎回これは、要するに総理が決めたということでよろしいんでしょうか。

大沼政府参考人 各航空会社に対して、具体的な搭乗者数の抑制の人数を状況に応じて変更させているという経緯があったのは御指摘のとおりでございまして、これは全て、繰り返しになりますけれども、感染症対策本部での決定を経て、私どもが検疫の確実な実施を図るため航空会社に要請をする、こういう段取りで実施したものでございます。

稲富修二 ありがとうございます。少し振り返ってみます。
二〇二〇年一月十五日に、国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認をされました。同二十八日、検疫法上の検疫感染症に指定をされ、検疫法に基づく質問、検査、消毒が可能になり、しかし、隔離、停留はできませんでした。二月十四日、新型コロナを検疫法第三十四条の感染症の種類として指定したことで、入国者による検疫法上の隔離、停留が可能となりました。そして、三月九日、入国拒否対象国からの入国者に入国後十四日間の自宅待機と公共交通機関不使用を要請し、その後、四月に全ての国からの入国者に拡大をしました。
他方で、我が国は、訪日外国人旅行者数の国家目標が当時ありまして、二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人というのを掲げておりました。実際にウナギ登りに訪日外国人の観光客が増えていたということがありました。そういったことを全て振り返ってみて、大臣に伺いたいんですけれども、最初の、初動の判断ですね、まず入国をする入国者数の制限、そういったことについてうまくいったと考えているのか、反省点は何かという基本的な認識をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 まず、海外において感染が広がっている感染症が国内に入ってこない、特に、それがどういう感染症であるのか、対象が不明確なときに、まずは水際対策において前向きに、前向きというのはあらかじめですね、しっかりと水際対策を行うということの意味は重要だろうというふうに判断をして、これはもちろん対策本部で決定したわけでありますけれども、これは、検疫法を所管している厚生労働省、また、人の出入りを所管している担当者、関係者が集まって、対策本部においてそういう決定を行っている。
今、振り返って評価はどうかということからいえば、やはり、えたいがまだ明確に分かっていない、そういう感染症を水際で止めて、そして、どういう対応が可能であるのか、海外でどういうものがはやっているのか、そうしたものをしっかりと分析できる時間を稼いでいくということは合理的な対応だというふうに考えたと思います。

稲富修二 ありがとうございます。
今考えればということはいろいろなことを言えますけれども、おっしゃるとおり、えたいが知れない段階でどうするかというのは非常に重く難しい判断であるということは、そう思います。そこで、統括庁ができたらこの意思決定がどう変わるのかということを伺いたいんです。要するに、この水際の入国の管理ということに関しては、さっきちょっと大臣も触れられましたけれども、厚生労働省であったり、国交省であったり、法務省であったり、各省庁の、誰がこれを決めるんだという、極めて高度な恐らく判断の場面だろうと思います。そこで伺いたいんですけれども、統括庁ができたらこの意思決定はどう変わるのか、お伺いいたします。

後藤国務大臣 統括庁ができれば、初動対応のときから、関係者が司令塔機能によって掌握された新しい統括庁において、危機管理をしっかりするということになります。それに加えて、常日頃から恒常的に、平時から、有事になった場合の体制を整えておくということをやる、そして訓練もしていく、PDCAサイクルも回していくということでありますから、そういう意味でいえば、統括庁ができることによって、そうした平時の体制、そうしたものが恒常的な組織によって行われ、権限のある関係省庁との間の一体的な対応が可能になるという、そういうメリットがあると思います。

稲富修二 ありがとうございます。
次に、損失補償について伺います。先ほど少し触れましたように、一日当たりの入国者総数の管理が、例えば一日二千人であるとか五千人であるとかということが行われました。コロナ禍の前は一日平均十四万人が入国していたわけでありますので、これは航空会社あるいは関係の事業者については直接の強い影響があるわけでございます。先日、当委員会で、國重先生と大臣とのやり取りで、様々な、インフル特措法における損失補償いかん、あるいは給付についてどうするのかというやり取りがございました。
そして、そこの中で、インフル特措法の規定による緊急事態措置等に伴う営業制限については、受忍の限度を超える制約とは言えず、事業活動に内在する制約であり、損失補償の対象とならないという整理がございました。また、時短要請や休業要請など事業者の経営への影響を緩和するために、インフル特措法六十三条の二によって事業者に対する支援を対応するということが説明がありました。そして同時に、損失補償が必要となるのは、特定の者が社会生活において一般的に要求される受忍の限度を超えるほどの特別の犠牲を受けた場合に限られるという大臣からの御説明がありました。
そこで伺いたいんですけれども、最初は事務方です。政策と損失の因果関係が明確である場合には、特別の犠牲を受けた場合として、まさにこの損失補償の場合に当たり得るのではないかと思いますが、見解を伺います。

後藤国務大臣 今、委員の方から前回の私の答弁をもう紹介していただいたので、同じ答弁になってしまって恐縮かもしれないんですけれども、損失補償というのは、これは財産権に対する制約について憲法上必要になるとされているものでありますから、特定の者が社会生活において一般的に要求されている受忍限度を超えるほどの特別の犠牲を受けた場合に限られるというふうに考えられているわけであります。
水際措置について言えば、今御紹介していただいたとおりでありますけれども、特定の者に当たるのか、特別な犠牲に該当して受忍限度を超えているのか、そういうことからいうと、そうしたことにならないというふうに考えておりますけれども、先生の御趣旨が具体的個々の事案に即して判断をすべき事項であるという御指摘であるとすれば、それはそういう特定の事項、あるいは受忍限度を超えるほどの特別の犠牲であるかということは、事態によって考えるべきことだと思いますが、申し上げていることは、一般的な水際措置、あるいは一般的な経営の自粛要請、こうしたものが感染症法下においてそういったものに当たるものではないだろうということを考えているわけであります。支援については、御紹介いただいたとおりであります。

稲富修二 そうしたら、具体的に航空会社のことをお伺いしたいと思います。今回、先ほど来言っているように、入国者を制限して経営が悪化をしているということでございます。それは極めて直接的な因果関係がはっきりしている。そして、そのことによって、業界全体で離職者が大幅に増加した、あるいは、国際線だけではなく、国内の人流抑制もあって、航空会社の経営の自由度が失われ、収入を大きく逸失したということは事実だろうと思います。現在、需要回復局面における人手不足につながっており、空港での荷物検査で長蛇の列ができているのはその結果であります。事業者からすれば、航空会社が今回であれば特定のということで、航空会社からすれば、いわば天の声のように入国者数の制限がかけられ、直接的な損失につながるのでありますから、その政策決定の説明は欠かせないわけでございます。
そこで、もう一度伺います。政策決定の合理的な説明と政策の結果としての補償が、今回はということだったんですけれども、今後も個別にやはり考え得るということだろうと思いますけれども、改めてその点を伺いたいと思います。

大沼政府参考人 先生御指摘の前回の話の手前で、まず航空当局として、事実関係、それから今どういう状況であるのかということを御説明させていただきます。先生御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症に対する水際措置として、航空会社に対して、私ども、到着空港の限定ですとか搭乗者数の制限の要請を行ったところでございますけれども、航空会社で発生した損失について、個別の減収補償は、先生御指摘のとおり、行っておりません。
一方で、コロナ禍による航空会社への影響は甚大でございます。極めて厳しい経営状況に置かれているということで、いまだ回復途上でございますが、これまでも危機対応融資等の活用による資金繰り支援や雇用調整助成金などの支援をしてきたほか、着陸料、航空機燃料税等、いわゆる公租公課に当たる部分につきましても、令和三年度に千二百億円規模、令和四年度七百億円規模の減免を行い、令和五年度予算案においても五百億円規模の軽減を計上するなど、相当踏み込んだ支援を実施しているところでございます。今後とも、航空業界の声をよく伺って、どういった対応をしていくのかという点に関して、私どもとしては適時適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。

稲富修二 今後どうするかということについて、更にこういった感染症あるいはパンデミックが起こったときどうするのかということについては、やはり損失補償ということも含めて、是非議論を深めて考えていくべきことかと思います。そのことを申し上げて、この質問を終わります。
続いて、統括庁と専門家の関係についてお伺いします。これは、この法案審議において、専門家はどれほどその意見が反映されるのかということについて、随分と多くの委員から質疑がございました。まず、大臣、順番を変えて、十二番目の質問をさせていただきます。有識者会議の提言の中で、専門家の役割は科学的助言にあり、判断は政治と行政が行うことが適切であるというふうにありますけれども、この点、大臣は賛同されていらっしゃいますでしょうか。お伺いします。

後藤国務大臣 新型コロナウイルスは、その性状を急激に変化させることなどから、状況に応じて、感染拡大防止と社会経済活動のバランスが取れた効果的な対策を講じることが重要であります。このためには、幅広い分野の専門家の科学的知見やエビデンスに基づく検討が極めて重要である、これはもう委員御指摘のとおりであります。
このため、これまでも、コロナ対策分科会を始め様々な場面において、感染症や経済などそれぞれの専門的立場からの知見を伺った上で、それらを踏まえて政府として必要な判断をし、責任を持って対策を講じてきた、講じてこようとしてきたわけでございます。
専門家と政治の役割分担については、有識者会議報告書においては、専門家の役割は科学的助言にあり、判断は政治と行政が行うことが適切であると指摘がなされているところであり、私としても、政策判断は専門家の科学的知見を踏まえた上で政府において行うべきものと考えています。

稲富修二 政府としては、当然、専門家の知見を活用して、あるいはそれに応じて、それに基づいて政策判断をするというのはそうなんですよね。私の質問は、専門家の役割とは何かといったときに、科学的助言にあるのかという、このことを大臣にお伺いをしております。

後藤国務大臣 それは委員の御指摘のとおりでありまして、専門家の役割というのは、科学的知見に基づいて、エビデンスに基づいた、そうした判断の材料を提供していくことが専門家の役割だというふうに思います。

稲富修二 ありがとうございます。
先ほど大臣から御答弁があったように、これまで、政府としては、幅広い専門家の知見に基づいて政策判断をしてきたという御答弁がありましたし、先日、同僚の青柳議員の質問に対しても同じ御答弁をされました。しかし、実際には、塩川議員とのやり取りの中で、例えばアベノマスクだとか、全校の一斉休校であるとか、GoToトラベルのことであるとか、濃厚接触の待機期間の短縮であるとかということについては、専門家会議あるいはコロナ分科会の意見が届いていないという事例が御紹介がありました。
もう一度申し上げますと、では、専門家の提言、政府の判断の間にどのような課題があったのかということを、どういう認識をしているのかということを伺います。

菊池政府参考人 この三年間の新型コロナ対応につきましては、先ほど大臣から申し上げましたとおり、基本的には、コロナ分科会を始めとする専門家の助言や提言を基に、政府として講ずるべき政策を判断し、実行してまいりました。ただ一方で、昨年六月の有識者会議報告書において、専門家との関係を含めた意思決定プロセスが明確だったか、科学的な知見に基づく評価、分析は十分だったかなどの点において問題がなかったとは言えないと指摘を受けております。また、有識者会議の場では、専門家の方からも、専門家助言組織からの提案に対して、政府からその採否や判断の理由、実行状況などの説明が十分でなかったとの指摘があったところでございまして、私ども、こういうことは課題であると認識しております。

稲富修二 専門家の知見がどう活用されたのかについての質問は、ここで一旦終わります。
そこで、少し具体的に申し上げたいんですけれども、今回のコロナで、やはり、専門家の中で最もいわば世の中で活躍をし、世に出て、あるいは我々がよく目にした専門家というのは尾身茂先生だったと私は思います。恐らく衆目の一致するところだと思います。八面六臂のすさまじい働きというのはこのようなことでありまして、大臣も厚生労働委員会の筆頭もされていたとき、私も委員だったんですけれども、委員会での質疑、政府での発言、専門家会議の取りまとめなど、私は、あの危機的状況の中で、尾身先生の役割というのは非常に大きかったなということを思っております。
その点、大臣、尾身茂分科会会長の果たしてきた役割について、大臣の評価を伺いたいと思います。

後藤国務大臣 今御指摘をいただいたように、分科会の会長でもありましたし、実際に分科会の活動に、活動自身は会則によりまして権限移譲されておりますけれども、その上にある全体会の方の会長もされておられますし、厚生労働省のアドバイザリーボードの主力メンバーとして、本当に今回の感染症対策において多くの知見をいただいて、御協力をいただき、御貢献をいただいた方だというふうに評価をいたしております。

稲富修二 改めてちょっと、これは事務方で結構です。
尾身会長はどのような立場あるいは権限を有して、この間コロナ対策に取り組んできたのかということをお伺いします。

菊池政府参考人 尾身会長のお立場でございますけれども、先ほど大臣から申し上げました、新型インフルエンザ等対策推進会議の議長であり、かつ、その下に設置されました新型コロナウイルス感染症対策分科会の分科会長、そして基本的対処方針分科会の分科会長という立場でいらっしゃいました。
政府におきましては、こうした基本的対処方針の作成の変更、それから新型インフルエンザ等対策に関する調査審議につきまして、議論の取りまとめを行っていただくというふうな権能をお願いしているところでございます。

稲富修二 あわせて、厚生労働委員会でも、何度も質疑の場に参考人として来られておりました。どういう立場で来られたか、御説明できますか。

後藤国務大臣 今は退任されましたけれども、当時の尾身会長は、私の記憶するところでは、JCHOの理事長として、これは自動的に政府参考人として国会に出席される立場にありましたし、参考人として、委員会での答弁を、答弁というか御発言を度々お願いしたと思います。

稲富修二 決して言葉尻をつかまえるつもりじゃないんですけれども、大臣、そうなんですよ。まさに答弁をしているというか、お立場が、いわば一参考人という立場にとどまらないものがあったと私は思います。私が調べた範囲だけでも、いわば三十回近く厚生労働委員会だけで出席をされて、ある意味、参考人としてなんですけれども、いわば答弁をされていたように思います。
したがって、私が何が言いたいかというと、そのいわば身分とか権能があやふやなままといいますか、あの事態ですので、全部整理をされた中で、ある意味そこに出て答弁ができるという状況ではなかったということは理解しつつも、では、今後どうするのかといったときに、私は、やはりあれだけ危機のときに専門家として発言をする、それは、国会で発言するということはいわば国民への説明でもありますし、国会議員から質問をするということは、国民の声を聞くという場でもあります。そういう意味でいうと、やはり何らかの役職、権能があって初めてやるべきじゃないかと私は思うんです。
そこで、次、伺います。国民への情報発信、ここもリスクコミュニケーションということで、随分とこの委員会でも取り上げられました。国民への情報発信についても、随分と大きな役割を果たされました。最大の場面は、やはり総理会見だと思います。総理と尾身会長が並んで会見をされている場面、随分ありました。総理と尾身会長が並んでいるこの会見、何回あったのかということをお伺いします。

菊池政府参考人 尾身会長が総理会見に同席した回数でございますが、コロナ室で調べた限り、安倍総理との会見で五回、菅総理との会見で十七回、合計二十二回と承知してございます。

稲富修二 どのような立場で同席されたんでしょうか。

菊池政府参考人 尾身会長は、先ほど申し上げましたが、新型インフルエンザ等対策推進会議の議長、そしてコロナ分科会、基本的対処方針分科会の分科会長、様々な立場を併せ持った方であり、総理との同席は緊急事態宣言に絡むものが多かったので、その直前に基本的対処方針分科会を開催されておりますので、その会長としての側面が強いかと思いますが、ほかの機会での御同席もございましたので、どの立場というのを一つに絞るのはなかなか難しいかと考えております。

稲富修二 ありがとうございます。
総理会見というのは、当然、いわば最も重い会見ですよね。今ちょっと御紹介がありましたけれども、こういう身分の方が大きいけれどもとか、そういうことではなく、やはり、あれだけの存在と発言をされる方がどういう身分か確定しないまま総理と並んで会見するということに、私は次に関しては整理が要るんじゃないかと思うんです。
再度伺いたいんですね、大臣に。更に言えば、専門家の役割は科学的助言にとどまるべきなのかということなんです。今回我々が経験した中でいえば、科学者は政策決定のための知見を提出すればいいんだでとどまらずに、いわば科学的助言にとどまらないんじゃないかと。それは今回我々が経験したことではないかと思うわけですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

後藤国務大臣 助言という言葉の範囲をどのぐらいの広さで考えることかとも思いますけれども、基本的には科学的助言だというふうに思いますし、それから、例えば役所におきましても、事務職の職員もいれば、科学的な専門分野について言えば、技官と呼ばれるような、あるいは専門職で公務員の資格を取っている者もいれば、医療に精通した人たちが働いたり、あるいはいろいろな形で専門的に知見のある方たちが職務に就いて仕事をするということはあるだろうというふうに思います。
そういう意味では、先生がおっしゃるような、そういう意味でのいろいろな知見を持った人たちをしかるべきに利用しながらしっかりと決断をしていくという趣旨においては、おっしゃることについて私も同じ意見だというふうに思いますけれども、しかし、科学的知見を提供していく、そして客観的な科学的な根拠に基づく、そういうデータを供給しながら、最後は政策内容について決断をしていくところとの間に、当初申し上げたような政策決定の責任を伴う決断と、それから科学的知見を提供して、その決断が間違わなくならないようにしっかりとサポートするということとの間には、やはり大きな一つの区切りがあるべきではないのか。
そして、我々、今思いますのは、そうした意味で、専門家の科学的妥当性を、きっちりと科学的助言を担保していく、そういう透明な仕組みと、それからもう一つ言えば、専門家組織そのものを強化して、そういう専門家の判断がきっちりと決定の中に埋め込まれていけるような、そういうことが必要なんだろうというふうに思います。

稲富修二 それは、政策決定において、先ほど来申し上げていますように、専門家の立場で、今回我々が経験して、私が学ぶべきことは、専門家の知見を活用するのは当然、それが一つ、だけではなく、やはり国民に対する説明をするという場面がどうしても出てくるのではないかということなんですよ。それは、本来は政治家が全部やればいいですよ。だけれども、そうはならなかったから、総理とわざわざ並んで会見をしたわけじゃないですか。それは、説明をし、大臣も何度もおっしゃっているように、国民に対して理解を求め、国民に対して更に行動変容を促したりする必要がある上には、専門家の言葉が必要だったわけですよね、あの場合には。だからこそ尾身会長が出てきていた、私はそう理解しています。そういう意味でいえば、では、今回、統括庁ができた後、一体誰が尾身会長の役割、いわば科学者として国民に対する説明をしたり発信をしたり、これはどういうふうに、誰がやるんでしょうか。お伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 一言つけ加えて説明をするならば、岸田総理になってからも、科学的知見をお示ししながら国民に説明する局面はあったと思いますけれども、その場合、岸田総理ないしは大臣が責任を持って、そして必要であれば各役所の専門的な事務方も含めて、しっかりと国民に対する知見を申し上げていたというふうに思ってはいます。
統括庁においては、司令塔機能をしっかり発揮しながらも、新たな専門家組織として設置される国立健康危機管理研究機構、日本版CDCから提供された科学的知見を踏まえて決定した政策について丁寧に説明を行っていく、また、政府の方針に基づいて、関係省庁も含めて一体的な情報発信についても、これをしっかりと統括庁において取り組んでいくというふうに考えています。

稲富修二 今おっしゃったように、一体的な情報発信の主体がどうしたって専門家に頼らざるを得なかったというのが今回の事態であって、それが今回の法案に埋め込まれていないことが私は問題だと思っているんです。それが根本的な今回の法案の欠陥であるということを申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。
ありがとうございました。

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