活動報告

国会

平成30年6月14日 本会議

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案件:
■内閣委員長山際大志郎君解任決議案
■永年在職議員の表彰の件
■日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書
■日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

議長(大島理森君) 稲富修二君。
    〔稲富修二君登壇〕

稲富修二君 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま提案のありました内閣委員長山際大志郎君の解任決議案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 山際委員長は、平成二十九年十一月二十二日の内閣委員会における委員長の就任挨拶において、「円満かつ規律ある委員会運営に努めてまいりたいと考えております」と述べられました。
 今国会における内閣委員会では、子ども・子育て支援法改正案、TPP関連法改正案、カジノ法案などを始めとした、さまざまな重要法案が議案となりました。
 山際委員長は、これら重要法案について、ことごとく、委員長による職権をてこに、拙速な法案の審議入りを決める、十分な審議を行わないまま採決の日程を決めるなど、政府・与党の思惑どおりの強引な委員会運営を行ってまいりました。山際委員長が、みずから述べた円満かつ規律ある委員会運営に努めていくことを実践しているとは到底思えません。
 いわゆるカジノ法案については、しっかりとした審議を繰り返し要請したにもかかわらず、山際委員長は、職権で強引に十三日の内閣委員会で採決を行うことを決めました。
 時間は有限であるからどこかで決をとらなければいけないという委員長の思いは理解をいたします。であるなら、先週の定例日である水曜日、金曜日の審議時間が、わずか一時間十五分と一時間四十五分だったのが全く理解できません。与党による審議拒否と言われても仕方がございません。会期末が迫る中で、いたずらに時間を無駄にした上、審議拒否を許した委員長の責任は免れることはできません。
 私を含め多くの野党は、終始一貫、特にカジノ法案については時間をかけて審議することを強く求めてきました。
 以下、その理由を二つ申し上げます。
 さらなる審議時間が必要な一つ目の理由は、本法案は本則二百五十一条にわたる大部な法案であるからであります。二百条を超える新法は介護保険法以来二十一年ぶりのことであり、極めて重要な法案であることは与野党共通の認識であります。さらに、本法案には三百五十項目に及ぶ政省令事項があり、中には制度設計に当たっての重要な項目も含まれております。
 介護保険法が三国会にわたって五十時間超の審議を行ったことを踏まえれば、それらを下回らない審議時間が必要であります。しかし、参考人質疑を一度行っただけで、わずか十八時間十分の質疑時間をもって委員会で採決しようとすることは、国民の声を聞く姿勢に欠けていると言わざるを得ません。
 さらなる審議時間が必要な二つ目の理由は、審議するにつれて、論点が絞られるのではなく、むしろさまざまな論点が噴出しているからであります。
 その基本的な論点を一つだけ申し上げます。それは、本当にカジノで収益を上げることができるのかという点であります。これが明らかではありません。IRがカジノで収益を上げることを前提としているビジネスモデルであるにもかかわらず、根拠となる経済効果の試算がございません。
 法案第一条の「目的」で、カジノ事業の収益を活用してIRの整備を推進するとありますが、本当に収益が上がるのでしょうか。我々は、委員会質疑の中で再三、政府による経済効果の試算を出すよう求めてきましたが、政府からは、具体的な立地地域や施設の規模が明らかとなっていない段階で試算することは困難であるとの答弁があるのみでありました。
 カジノで収益を上げることを前提としているにもかかわらず、政府による試算がなく、なぜもうかると断言できるのか、私には理解できません。議論の前提となる根拠に欠けていると言わざるを得ません。
 また、海外のカジノと比較した場合の日本の優位性が明確ではありません。アジアにおけるカジノ市場は既に飽和状態にあるとの指摘もあり、日本にカジノをつくったとしても、もうかり続ける保証はありません。
 なぜ海外からの来訪客を日本のカジノに集客できるのか、その根拠も薄弱です。例えば、日本のカジノは、空港アクセスがよいとか、ギャンブルでもうけやすいとか、コンプが充実しているなど、そのような明確な優位性があるとは思えません。
 カジノ誘致を目指している各自治体は、日本人客が七割から八割を占めると想定しています。その割合ですら、海外からの来訪客の想定としては楽観的に過ぎるかもしれません。本法案のうたい文句は、海外から観光客を呼び寄せるとなっております。本当のところは、日本人客がターゲットなのではないでしょうか。
 なぜカジノはもうかるのかという質問に対し、政府答弁では、海外事例からするとカジノはもうかる、あるいは、もうかる区域整備計画しか認定しないから、もうからないことはないという説明であります。
 経営不振に陥っている多くのカジノには目をつぶり、きらびやかな成功事例だけをもってカジノは必ずもうかると本当に言えるのでしょうか。もうかる計画しか認定しないからもうかるのだというようなおめでたい話に、誰が納得できるというのでしょうか。全く説得力がございません。市場経済において、もうからないことはないなどと政府が断言できるはずがございません。
 さらに、こうした無理な前提を置いてしまうと、仮に経営不振となった場合、余りに巨大な施設ゆえに、潰せなくなるのではないでしょうか。事業が失敗した場合の責任の所在も含めて、議論が不十分であります。
 ほかにも、なぜカジノが合法化できるのか、カジノ管理委員会はしっかり機能するのか、カジノをつくればギャンブル依存症がふえるのではないか、カジノ周辺地域の治安が悪くなるのではないか、公営ギャンブルはだめなのに、なぜカジノ事業者だけ金貸しが認められるのかなどなど、さまざまな疑問に対し、いまだ明快な回答はございません。さらなる審議が必要なのであります。
 カジノ法案に関しては美辞麗句が並んでおります。いわく、世界じゅうから観光客を呼び寄せる、日本の魅力を広く世界に発信、観光先進国、世界最高水準のカジノ規制、日本型IRを通じて変革がもたらされるなどであります。
 にもかかわらず、本法案に対しては、各種世論調査、パブリックコメントでも反対が大きく上回っております。新聞各社社説においても反対ばかりでございます。「巧言令色鮮し仁」とはまさにこのことであります。
 中央公聴会や地方公聴会を開催し、国民の声をもっと聞くよう何度も要求してまいりました。一度の参考人質疑で終わらせるつもりでしょうか。
 法案成立後に、国民の理解を得るためにキャラバンによる宣伝活動をするそうです。全く冗談のような話であります。法案成立の前に国民の理解を得るためにならまだしも、法成立後にキャラバンなど、時間と税金の無駄遣いとしか思えません。
 政府は、国民の反対が多いのはIRが知られていないからと答弁をされております。しかし、そうではありません。なぜ賭博が成長戦略になるのか、なぜカジノが合法化されるのか、カジノをつくればギャンブル依存症がふえるのではないかという素朴な疑問に対し、国民感情を説得できる材料を政府が持ち合わせていないからであります。
 立ちどまって、時間をかけて、日本にふさわしい観光立国の姿をしっかり議論すべきであります。そのためにも、山際委員長にはさらなる審議時間の必要性を要請してまいりましたが、残念ながら耳を傾けていただけませんでした。
 公明公正な委員会運営を行わず、政府・与党の党利党略と一体となって委員会運営を行う山際委員長は、もはや委員長としての資格はございません。内閣委員長山際大志郎君の解任決議案について賛成することを申し上げ、私の討論を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

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