■案件:旅費法改正案、政治活動と課税等について
■いなとみ修二 主な質疑内容:
(1)旅費法改正案
(2)政治活動と課税
(3)日産自動車株式会社が賃上げ促進税制の適用を受ける資格を失ったとの報道(令和6年4月)における
その具体的内容及び資格が失われる期間
稲富修二 立憲民主党の稲富でございます。どうぞよろしくお願いします。
今回の旅費法改正については、基本的には実費精算にするということ、また、旅費精算業務を効率化、簡素化する、この趣旨には賛同をいたします。と申しますのは、現行法では、国内宿泊、例えば、二つの地域に分類されていて、私の福岡、地元であれば、指定職の方が一泊一万四千八百円、内閣総理大臣が一泊一万九千百円という定額が規定をされております。それは実態とかけ離れているということ。また、外国の宿泊費も同じような別表と、同じように安価過ぎて実態とかけ離れているということから、その趣旨には大いに賛同するものであります。とはいえ、法定していた旅費を政令に変えるということになりますので、幾つか確認をさせていただきます。まず最初に、政府全体の現在の実質的な年間旅費総額は幾らなのか、お答えをお願いします。
吉野政府参考人 お答え申し上げます。
令和四年度決算における旅費の支出済歳出額は八百三十九億円でございます。
稲富修二 ありがとうございます。
財務省の旅費総額は幾らでしょうか。
宇波政府参考人 お答え申し上げます。
財務省の令和四年度決算における旅費の支出済歳出額、七十四億円でございます。
稲富修二 ありがとうございます。
本改正によって、旅費総額はどれぐらい増減をするのか。増加するのか減少するのか、いかがでしょうか。
吉野政府参考人 お答え申し上げます。
今回の旅費制度の見直しにおきましては、具体的には政令で規定することとなりますけれども、旅費制度本来の趣旨である実費弁償の考え方に基づきまして、これまで定額で規定されていた宿泊料等を実費支給とすることとしております。今回、実際に支給される旅費の金額につきましては、現行の旅費法では宿泊料等を定額支給としており、現在の執行額には実費が定額を上回ったが増額していない場合や、実費が定額を下回ったが減額調整をしていない場合の双方が含まれること、実際に宿泊したホテル等の料金によって定まります面がございますことから、予算総額の影響について、現時点で一概に申し述べることは困難と考えられます。ただし、現行の運用におきましても、宿泊料等について、法律上の実費支給の原則に基づき、実費が定額を超える場合には現在も実費支給とする対応を取っておりますことから、制度の見直し後も旅費が大幅に増加することはないものと考えております。
稲富修二 ありがとうございます。
定量的にはなかなか見通せないけれどもということかと思います。来年度から実施を想定しているということでございますが、旅費総額については今御答弁あったとおりです。ただし、最後、少しおっしゃっていただきましたけれども、政令になり、国会の審議を通らないということになりますので、全体としては、常識的な範囲内で実費運用するということを是非御答弁願いたいと思います。
吉野政府参考人 お答え申し上げます。
改正後の旅費法は、その目的の一つとして、第一条で国費の適正な支出を図ることを掲げておりまして、政令につきましても、そのような考え方で制定することを予定しております。その上で、政令で規定する旅費の具体的な内容は今後検討していくこととなりますけれども、例えば、宿泊料につきましては、現行の定額支給から上限付実費支給に変更し、実勢価格を踏まえた上で上限となる基準額を設定する、移転料につきましても、現行の新旧オフィス間の距離に応じた定額支給から新旧住居間の移転に係る実費支給に変更するなど、経済社会の情勢を踏まえまして適切に規定してまいりたいと考えております。
稲富修二 ありがとうございます。
そこで、先ほどちょっと議論がありました日当なんですけれども、現行法、日当は二十条、三十五条で使われておりますけれども、本改正に伴い、法律上、日当という言葉そのものが法律からなくなる、こういう理解で正しいでしょうか。
吉野政府参考人 お答え申し上げます。そのとおりでございます。
稲富修二 現行法上どのような内容で、法改正によってどのように変えるのかについて、先ほど御答弁ありましたけれども、昼食代をなくす、そして、宿泊のときの夕食代に普通かかるであろうかかり増しの部分を足した分、あるいは朝食の部分を足す、そういう御説明だったと思うんですね。なので、そのかかり増し費用に充てるための費用、そういう説明かと思います。そうであれば、日当という言葉、先ほどちょっと議論がありましたけれども、非常に多義的でございまして、いろいろなことを惹起する言葉でもあります。あらぬ誤解を与えるよりも、今の趣旨であれば、出張食費補填か補助か分かりませんけれども、今回の法の趣旨は、いわば実態に即した形の旅費にするということであろうと思いますので、少し言葉を変えた方がいいのではないかというふうに私は思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
吉野政府参考人 お答え申し上げます。
日当につきましては、今御指摘がございましたとおり、これまで、昼食代を含む諸雑費と目的地内の交通費を賄う旅費により構成されるとしておりましたけれども、今回の見直しにおきましては、昼食代については通常の通勤時でも必要となることから、今後は支給しないこととし、目的地内の交通費については今後実費支給とすることから、日当には含まないという整理をいたしました。あわせて、日当については、宿泊を伴う旅行における夕朝食代のかかり増し費用を含む諸雑費に充てるための旅費と整理する方向で検討をしております。御指摘のとおり、旅費種目の名称につきましては、その使途が分かりやすいことも非常に重要と考えておりますが、他方、日当という名称につきましては、これまで長年、旅行中の諸雑費を賄う旅費の種目として広く使用されてきておりまして、民間企業におきましても、今のところ旅費種目として日当という形で支給する企業も多く見られますことから、引き続き、旅費の種目として日当という形で規定することに特段問題はないのではないかと考えております。
稲富修二 どうしてもその日当という言葉が持つ意味がいろいろなものを惹起すると思いますので、是非、政令を策定する際には御検討いただきたいなと思います。それで、今度は宿泊料についてでございますが、これも先ほど来様々な御議論がありました。実費の支給方式に変更することということで、ただ、上限つきということです。ただ、これも与党からもありましたように、大変難しいところでございまして、今はもうダイナミックプライシングで、ハイシーズンとシーズンオフの価格差がすごく大きくなってしまっております。例えば、私の地元福岡でも、大きなコンサートがあるとホテル代が高騰いたします。海外の宿泊費なども、為替の影響を大きく受ける。先ほどありましたけれども、世界をどう区分をするのか等々、非常に実態に即したものにするというのは難しくなっているなというのを感じています。民間企業は非常にその点は恐らく先行的にいろいろなことを考えてやっておりますので、ちょっと従来とは違う形の合理的な手法というのを民間に倣って考えるべきではないかなというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
吉野政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の宿泊料の上限となる基準額につきましては、具体的には政省令で規定することになりますけれども、実勢価格、特に民間企業等の実勢価格の調査をしっかり行いまして、その結果を踏まえて適切な水準に設定する方向で検討しております。また、毎年度、実勢価格等を確認した上で、必要に応じて上限となる基準額の見直しを行うことを予定しております。その上で、上限となる基準額を超える場合のうちの一定の場合につきまして、現行の運用を踏まえ、各府省の旅行命令権者の責任の下で、個別の財務大臣協議手続を経ずに対応できることを検討しております。具体的には、旅費業務の効率化に向けて、全省庁で一体的に取り組むために設けられました旅費業務効率化推進会議で令和五年九月に決定されました旅費業務プロセスの改善方針におきまして、外国旅行の場合には、在外公館が作成するホテルのリストに基づき、旅行者が職階の区分に応じたホテルを簡易に選択できるような方法を導入するとされております。これを踏まえまして、当該リストに記載されたホテルにつきましては、価格の季節変動等により上限となる基準額を超えた場合でも、個別の増額協議の手続を経ずに旅費を支給することを可能とする仕組みを検討しておりまして、詳細につきましては、今後関係府省とともに調整して運用に当たりたいと考えております。
稲富修二 ありがとうございます。
そうすると、何か上限つきというのがどういう意味があるのかなというのは率直に思います。そこで、やはり、政令にどう結果として策定するのかという内容自体が非常に大事になりますが、この政令が各地方自治体にもある程度影響があるということでございますので、この法律自体が、これからはこの国会では審議を経ずに旅費が決まっていくということでございますので、この政令の策定について、いつ頃になるかという、その想定を教えていただきたいと思います。
吉野政府参考人 お答え申し上げます。
今回の旅費制度の見直しにつきましては、国内外の経済社会情勢の変化に対応するとともに、国家公務員の働き方改革に資する事務負担軽減や業務環境の改善を図るため、旅費の計算等に係る規定の簡素化、旅費の支給対象の見直しを行うものであり、速やかに施行することが望ましいと考えております。他方、法改正の内容を実際の旅費業務に反映させるためには、改正後の旅費法の規定を踏まえまして政省令を整備する必要がございます。御指摘の改正旅費法の政省令につきましては、改正旅費法の施行期日である令和七年四月までの間に、当該政省令の内容を踏まえた上で、システムの整備や会計処理に携わる職員や出張者への周知を行う必要がございますので、法案成立後、必要な手続を経ました上で、できる限り速やかに制定することを目指してまいりたいと考えております。
稲富修二 いつ頃かという、大体のところはお答えできないですか。
吉野政府参考人 確定的な日付をお答えすることにつきましては、今回、七十年ぶりの改正でありまして、新しい仕組みを相当多岐にわたって入れますので、どれぐらいの業務がどれぐらいのスピードでこなせるか、現在も既に準備を始めてはおりますけれども、明らかに見極めることが困難でございますので、ここでお答えするのは差し控えたいというふうに思います。
稲富修二 各自治体にも非常に影響するということもございますので、是非、できる限り早くという御答弁もありましたけれども、御対応をよろしくお願いいたします。それで、この旅費法に際して、私、役所OBの方とも何人かお話をさせていただきまして、どう思うかということを少し話をいたしました。総務省の方にちょっと質問したいんです。総務省OBの方からこういうことを言われました。例えば出張するといったときに、実際の会議は一、二時間、三、四時間、すぐ、日帰りで帰ってこようと思ったら帰ってこられるわけですね、今は。しかし、地方出張に行った場合、地方に行ったら、やはりその地域の方と食事をする、あるいは、その地域の実情を知るという意味で、今、オンラインでなくリアルで行く以上、それなりの付加価値といいますか、価値があるんじゃないかと。そうであれば、何らか、四角四面に帰ってこられるだろうということで、いわばその旅費を削るためではなく、一定、その地方の実情を知り、それを政策に生かすということもあるだろうということがあるんじゃないか、そういう御指摘でありました。そうだなと私も思うんです。
そこで、現在、出張、日帰り、あるいは宿泊という線引きをどうされているのか。また、今指摘したような点で、地方の実情を知るという意味で、ある程度おおらかにというと恐縮ですけれども、当然厳しく歳出については見なきゃいけないけれども、そういうことも踏まえて、どう省として考えているのか。御答弁をお願いしたいと思います。
海老原政府参考人 お答えいたします。
職員の出張につきましては、旅費法の第四条によりまして、旅行命令権者の発する旅行命令書等によって行われなければならないとされております。総務省においても、各府省と同様に、当該規定に基づき運用を行っております。御質問がありました出張を日帰りとするのか宿泊つきとするのかでございますけれども、個々の出張の内容、どういったことを目的にするのか、あるいは用務先、どこに行くのかなどに応じまして旅行命令権者が個別に判断をすることになるということで運用しているところでございます。なお、旅費法の第七条の、旅行は、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算するという規定がございますので、用務が終了いたしまして、その日のうちに帰任できる交通手段がある場合には日帰りとするということで、国費の適正な支出を図る観点から運用を行っているところでございます。
稲富修二 その日に帰れる場合は帰るというお話ですけれども、そうではなくてということで私は申し上げたわけですけれども。少しそれは、省庁の仕事ですから、いわば地方を知るということで、もし会議が終わって帰ってこられるんだったら、そもそもオンラインでやればいいじゃないかと私は思うわけです。なので、そこはちょっと柔軟に考えた方がいいのではないかということを指摘したいと思います。
続きまして、国際会議への出張についてでございます。大臣、来週ワシントンに出張をされます。大事な会議でありますので、しっかり成果を出していただければというふうに思います。そこで、一般的になんですけれども、国際会議への出張に帯同する人数規模というのは、財務省、どんなものなのか教えてください。
宇波政府参考人 お答え申し上げます。
財務省のケースでという御質問だというふうなことを前提に、国際会議に出席する財務大臣に随行する事務方職員の数につきましては、それぞれの会議のテーマや規模などを踏まえて、必要な人数をその都度決定しております。今お話が出ました、例えば、今大臣が出席する方向で調整をしております米国で来週開催されます予定のIMF・世銀春会合について言えば、一つには、G20やG7など閣僚級の会議に参加する大臣をサポートする、これとともに、二つ目には、会議の期間中に、事務方レベルによる気候変動関連を始めとする様々な会合がございます。また、世界銀行などの国際機関幹部職員などとの面会もございます。これらへの対応も重要であるため、全体として、現在調整中でございますが、合計三十名程度の財務省及び金融庁職員が随行する予定でございます。
稲富修二 ありがとうございます。
その多寡がどうかということよりも、今回の法案で、使うべきところは使った方がいいし、実情に合わせたところでお金を使えばいいと思います。ただし、ちょっと私、危惧しておりますのは、例えば、質問レクを我々が受ける際に、多くの職員さんが来ていただくようなことがあります。そして、例えば、質問を翌日に控えた、あるいは翌々日に控えたところで、役所の方が十人、あるいは多いともっと多くなる。総理質疑であればもっと多くの方が来られるということがあるというこの状況を見ていると、恐らく本当に必要な人、その方には決して何かけちる必要はないと思うんですよ、私。ただ、本当に必要なのかなと正直思うところがあります。それは、恐らく国際会議に行かれるときも同じようなことが起こっているのではないかと、ちょっと危惧をするわけです。
それで、さらに言えば、今回は財務省の財務大臣だけですけれども、省庁をまたがるような場合だったら、さらに各省庁でそれぞれ同じようなことが起こっているんじゃないか。それは、縦割りが同じように外国に行っても縦割りになっていて、これはもしかして古い話かもしれませんけれども、そしてその受入れというか、現地の大使館が恐らく仕事をするんでしょうけれども、そういういわば複数省庁にまたがるような場合、そういった場合にも大量の出張になるんじゃないか。それは意味があるものだったら、先ほど来申し上げますけれども、意味があると思うんですよ。ただ、本当にそうなのかということ、改善をされているのか、そういった視点で、是非、この出張、特に海外出張、例えばロジで各省が共通する部分については一元化するなど、そういったことを心がけていらっしゃるのか、現状も含めて御説明を大臣にいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 今までの私の経験からいいますと、私と、それから例えば経済産業大臣とか国土交通大臣とか、他の省庁の閣僚と一緒に参加した国際会議の経験は今まではございませんので分かりませんけれども、ロジということになると、やはりどうしてもそれぞれの省庁ごとで対応しているんだ、そういうふうに思います。私が経験している国際会議は財務省と金融庁ということでありますが、これにつきましては相当適正化をしておりまして、例えば現地で使用する作業室でありますとか面会室等、これを両省庁の職員で共用するとか、現地での移動につきましても、小型バスというんでしょうか、そういうようなものを借り上げまして、そこには私も乗りますし、財務官も乗りますし、一般の職員の人も乗って移動するというような、そういう統一的な行動もするということになっているということであります。
稲富修二 ありがとうございます。
これは、先ほど同じ、井上先生もおっしゃったように、国際会議で、役所の方、そして閣僚の方、あるいは副大臣、政務官がいらっしゃるということは重要なことだと私も思います。他方で、先ほど申し上げた、重複するようなこと、本当に必要なのかどうかということを、改めてそこの中で是非御検討いただければと思います。ありがとうございます。
それでは、旅費法の質疑は終わりまして、次に、政治活動と課税について少しお伺いをしたいと思います。まず、毎年、確定申告の際に、我々議員に、所得税及び復興特別税の確定申告についてというパンフレットが、配付をいただきます。質問、四番目からいきますので。この中で、選挙運動に関して受けた収入は課税されませんということがあります。これはなぜ課税されないのかということについてお伺いしたいんですが、例えば旧文通費も非課税で、これも国会で議論がありました。しかし、旧文通費が非課税であるのは、いわば政治活動の経費的な扱いであるという当時の答弁もある。選挙運動に関して、なぜ非課税なのか。これ、度々問題になるのは、選挙運動の際に余ったお金が誰に帰属をするのかということもありまして、この課税関係がどうなるのかということもやはり大きく左右するわけです。なぜ非課税なのか、その点、御説明をお願いします。
青木政府参考人 お答えします。
公職選挙法の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、公職選挙法に基づく選挙運動に関する収入及び支出の報告書が提出されたものについては、個人からの贈与は相続税法により、法人からの贈与は所得税法により、それぞれ非課税とされております。その理由につきましては、それぞれの規定の創設時、相続税法では昭和二十五年から、所得税法では昭和二十七年なんですけれども、選挙の公共性に鑑みて非課税とするというふうに整理したものであると承知しております。
稲富修二 ありがとうございます。
ちょっとここも議論すると多分長くなるんですけれども、では、公共性だけでそれを言えるのかという、非課税でいいのかということは、非常に議論があるところかなと思いますね。かつてそれは設けられた立法趣旨ということでございますけれども、それは公共性一言で、じゃ、非課税ということが言えるというのはなかなか難しいなというのが率直な思いです。そこで、次に、この同じパンフレットで、このような説明がございます。政党から受け取った政策活動費は雑所得の収入金額になるので、所得金額の計算をする必要がある、政治資金に係る雑所得の金額は、年間の政治資金収入から政治活動のために支出した費用を控除した額であり、課税対象になるということでございます。仮に、申告をする場合、領収書がないにもかかわらず、これは政治活動のために支出した費用であるといって収入からその分を控除した場合に、それは認められるのかどうか、その点をお伺いをいたします。
星屋政府参考人 お答え申し上げます。
まず、政治資金につきましては、それが政治家の関連政治団体、又は政治家個人のいずれに帰属するかによりまして課税関係が異なるため、個々の事実関係を精査する必要がございます。その上で、一般論として申し上げますと、政治資金が政治家個人に帰属する場合には、雑所得の収入として取り扱われ、一年間の総収入金額から必要経費として政治活動のために支出した費用の総額を差し引いた残額が課税の対象となるということでございます。なお、必要経費の判断に当たりましては、単に領収書等の書類の有無のみで必要経費となるかどうか判断するのではなく、その支出の事実の有無及び当該支出が必要経費に当たるかどうかの検討を行うこととしております。いずれにいたしましても、申告納税制度の下では、まずは納税者の方々において御自身の収入や必要経費を計算していただくこととなりますが、その上で、国税当局におきましては、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどいたしまして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。
稲富修二 つまり、申告納税なので申告をして、それで実態で判断をする、そういうことかなと思います。次に移りますけれども、相続税、贈与税の括弧二番のところを質問いたします。政治団体間の資金移動については、税金はかかりません。これは、伊東先生が相続のことを御質問されました。その際に、資金を有する政治団体を家族が引き継いだ場合、これは個人ではない、団体間の引継ぎであり、個人ではないので、相続税がかからないということでありました。同じく、贈与についても同じ考えかなと思います。しかし、一般に考えれば、例えば事業承継を考えると、普通の民間企業であれば、親の事業を承継しようとする場合、普通は株式相続をする。その際、株式の評価額が高いと、事業から、収益では払えない相続税負担が発生することがある。相続税のために事業承継がうまくいかないこともあるという中にあって、団体であるからということで、個人ではないからかからないという理屈で果たしていいのかというふうに思うわけです。先ほどありましたけれども、実態で判断をするということからすれば、実態からすれば、相続についても実態で判断すれば、誰がその政治資金を引き継いでいるかということは明らかになる場合であって、それを、その場合は形式的な、形上、団体間であるから課税はしない。でも、実態を見れば、明らかにこれは個人の相続ではないかと言われる場合がやはりあると思うんです。実態判断ということであれば、実態判断を、この政治団体間の相続、あるいはその資金移動についても当てはめるべきじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
星屋政府参考人 お答え申し上げます。
一般論として申し上げますと、相続税と贈与税は、個人から相続又は贈与等により財産を取得した場合に課される税でございまして、政治団体は個人ではないことから、政治団体が他の政治団体から寄附を受けたとしても、相続税や贈与税の課税関係は生じないということでございます。
稲富修二 なので、実態としてどうなのかということを考えるべきじゃないかということを申し上げましたけれども。形式上、団体の人間であるからということで、先ほどおっしゃいました、実態で課税関係を見ると、所得の場合は。であれば、この相続の場合も、実態としてその人が、誰が引き継いでいるのかということを実態として見たものに基づいて相続税を考えるべきじゃないかということを申し上げているんですが。その点、もう一度御答弁をお願いします。
星屋政府参考人 お答え申し上げます。政治団体に帰属する財産は政治団体の財産でございますので、個人の財産ではないということで、相続税又は贈与税の課税関係は一般的には生じないということでございます。
稲富修二 それでは、団体を解散した場合、解散した場合のその団体が持つ資産は誰に引き継がれるか。個人が持った場合は、この場合は課税関係はどうなるんですか。
星屋政府参考人 お答え申し上げます。
政治団体が解散された場合の残余財産の課税関係につきましては、その残余財産の帰属先に応じて異なるということでございます。その上で、一般論として申し上げますと、残余財産が個人に帰属する場合には所得税の課税関係が生じることとなり、こうした取扱いは、当該納税者が政治家であるか否かに関わらず同様でございます。
稲富修二 残余の財産があれば、政治家とかそういうことに関わらず、個人に帰属する場合には課税関係が発生する、そういう御答弁だったと思います。先ほど、政治団体間の資金移動、それが事実上家族間での相続に当たるような場合というのはある、あり得るわけでございまして、先ほどおっしゃったような、実態で判断をしていくということが私は必要だと思うんです。それで、時間がもう少しで、最後となるかと思います。ちょっと政治と課税とはまた別の話題でございますが、先日、日産自動車が賃上げ優遇税制を利用する資格を失ったという報道がございました。賃上げ優遇税制を利用するに当たっての要件を失ったということかと思います。公取から下請法違反で勧告を受けたことに伴いということがございますが、この賃上げ優遇税制の利用を失う、その具体的、今回の内容、あるいは、どのような場合にどれぐらいの期間失うのかということを御説明お願いします。
菊川政府参考人 今委員から御指摘ありました報道についてですが、報道についても承知しておりますし、また、日産自動車が公正取引委員会における下請代金法に基づく勧告を受けた点についても承知をしております。その上で、個別の企業の税制の適用状況等について、個別についてのお答えについては差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますと、賃上げ促進税制の仕組みといたしまして、下請代金法に基づく勧告を受けた事業年度については賃上げ促進税制の適用は受けられないということになってございます。賃上げ促進税制の現行の仕組みをもう少し具体的に申し上げますと、資本金十億円以上かつ従業員一千人以上の法人が賃上げ促進税制の適用を受けようとする場合には、マルチステークホルダー方針というものを自社のホームページに公表することが必要になってございます。その方針におきましては、パートナーシップ構築宣言ということを公表している旨の記載が必要でございまして、下請代金法に基づく公正取引委員会の勧告が行われた場合には、そのパートナーシップ構築宣言の掲載を取りやめることとなっております。そして、その掲載取りやめ後一年間経過しなければ再掲載できないことにもなっております。このため、マルチステークホルダー方針も一年間公表できないというところでございまして、下請代金法に基づく勧告を受けた当該事業年度については賃上げ促進税制の適用が受けられないことというふうになってございます。
稲富修二 どうも御説明ありがとうございました。以上で終わります。