国会活動

平成31年2月19日 総務委員会「国際観光旅客税、森林環境税について」

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27年ぶりの「新税」。
国際観光旅客税、そして森林環境税についての質疑を45分間行いました。
■国際観光旅客税
■森林環境税

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。稲富修二君。

稲富委員 国民民主党の稲富修二と申します。
 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 大臣の所信に対する質疑ということで、まず大臣にお伺いをしたいと思います。
 ことしは、消費税が十月に上がるということ、そして今回の新税の導入ということと、直接的には、負担という意味ではことしは変わりませんけれども、この新税に関しては、しかし、増税の年を迎え、やはり我々として非常に大きな節目の年になるかと思います。
 私、先輩のある議員に、新税というのは悪税であるということを教わったことがございます。やはり、新しい税を入れるということはよほどの理由がないといけないということかなと。やはり、増税をするということは、もちろん各家計においての大きな負担もそうですけれども、マクロ経済に対する影響、あるいは、新しい税を入れるということは、きょうの、後ほどある、さまざまな法案の紙、人員、さまざまなコストをかけてこれをやるということ。
 したがって、昨年には観光旅客税が二十七年ぶりに新税として導入され、そして、きょうは、ことしはまた新たな新税ということで森林環境税が議論をされ、そして消費税が増税ということで、税を重たくしていく年でございます。もちろん観光とか環境ということはこれからの時代にとって必要なこととは理解するものの、やはり、増税あるいは新税ということに関しては、覚悟を持って我々臨まなきゃいけないというふうに思います。
 まず、その点について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石田国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。
 今おっしゃられるように、新税というのは、国民の皆さん方のやはりきちっとした理解をいただく、そのための理由も要るわけでございますし、御理解をいただくためのさまざまな取組をしていく、慎重にやるべきことというのは同感でございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 それでは、森林環境税について、少し基本的なことからお伺いをしてまいりたいと存じます。
 まず、私の地元福岡で、二年前に九州北部豪雨災害というのがございました。大分を始め福岡で集中豪雨があって、その際、甚大な被害が起こりました。
 現地に赴きますと、大量の流木が流れ落ち、そして、その流木によって家屋が倒壊をし、川がせきとめられて、そのことによって更に豪雨が鉄砲水のようになって市内を流れていくということがございました。
 現地を見て、改めて、森林の持つ防災力、そして同時に、逆に言うと、それがないときには豪雨に対して大変な被害が出得るということ、必ずしも森林がしっかりと間伐されていなかったからそれが起こったとは、専門家の方はそれだけが要因ではないとはおっしゃっておりましたけれども、やはり、間伐をしっかりしていくこと、そして森林の防災力を高めることが必要だということは改めてその場で私も勉強させていただきました。
 それと同時に、今回の森林環境税については、目標の中で、パリ協定の枠組みのもとにおける温室効果ガスの排出削減の目標の達成というものが書かれております。
 そこで、パリ協定については、二〇一五年に採択をされ、我が国も、二〇一六年発効し、締結をしているということ。その中で、二〇三〇年度に温室効果ガス削減が二〇一三年度比でマイナス二六%というのを国際公約というか、コミットしております。その中で、森林吸収源対策でマイナス二%ということも政府として掲げているわけでございます。
 そこで、お伺いをいたします。
 その目標達成のために幾らの財源確保が必要かということを試算をされているか、お伺いをいたします。

織田政府参考人 お答えいたします。
 森林吸収量目標の達成に向けた間伐等の森林整備等につきましては、国庫補助事業によるもののほか、地方団体ですとか森林所有者等が単独で行うものなどもございます。さまざまな事業をあわせて進めているということでございます。
 このため、この達成に必要な費用の総額については試算をしたことはございませんけれども、京都議定書第一約束期間におきましては、森林吸収源対策関係の、国の予算事業の、国費といたしまして、補正予算を含めまして年間約二千三百億円を措置して、当該期間の目標を何とか達成したというところでございます。
 一方、森林環境税の制度検討の過程におきまして、整備が進んでいない条件不利な私有林を対象に、年間十万ヘクタール程度の間伐等を市町村が主体となって進めるということを前提といたしまして、森林整備やその促進に要する費用について農林水産省で試算をいたしましたところ、年間六百億程度となったところでございます。

稲富委員 もう一回確認です。
 二〇三〇年度に森林吸収源対策としてマイナス二%ということを国際公約としてというか、我が国としてマイナス二%というのを目標に掲げているわけですよね、それを達成するということも掲げている。その達成のために幾らかかるのか、幾らの財源が必要かということは、結論的には試算がないという理解でよろしいんでしょうか。もう一回、御答弁お願いします。

織田政府参考人 御指摘のとおり、試算をしたものはございません。

稲富委員 ありがとうございます。
 それは問題じゃないかと私は思います。率直に言って、今回の森林の税に関して言うと、その二〇三〇年度の我々の国際公約のために、それが実質上、目的の一つとしてパリ協定の枠組みにおける温室効果ガス削減の目標の達成ということが掲げられているわけであって、そのためには幾らかかるのか、財源が幾らなのかということは、極めて大事な話だと思うんです。
 それがない中で、幾らかかるかもわからないけれども、でも税が必要だということであれば、じゃ、結局、最終的にこれ、今回の森林環境税にとどまらないんじゃないかということも考え得るわけです。
 そこで、改めて伺います。
 先ほど六百億ということがございましたが、それでは、なぜ一人千円なのかということをお伺いをいたします。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。
 森林環境税の税率についてでございますけれども、まずは、森林環境税の税収規模を検討するに当たりまして、これは先ほど林野庁から御答弁があったわけでございますが、整備が進んでいない条件不利な私有林を対象として、その整備をする必要がある、ここから算定をされておられるというわけでございますけれども、そういった森林整備あるいはその促進に要する費用等について、六百億円という試算が示されている。
 これを前提といたしまして、森林は、地球温暖化防止あるいは災害防止等の公益的機能を有しまして、広く国民一人一人が恩恵を受けているということで、その整備等に必要な財源となる森林環境税につきましては、国民の皆様に広く均等に御負担をいただくという観点から、個人住民税均等割の枠組みを活用することとしておるわけでございますけれども、その納税義務者数が六千万人強と見込んでいるというところでございます。
 森林環境税の税率については、こうした状況と国民の負担感などを総合的に勘案いたしまして、年額千円というところとしたところでございます。
 以上でございます。

稲富委員 今のお話、総合すると、林野庁としては試算はしていない、幾らかかるか、国際目標を達成するために幾らかわからないけれども、とりあえず六百億円が必要だと。それに対して、だから税を千円ずつかけるというお話かと思いますが。
 繰り返しになりますが、これ、本当に六百億で、林野庁さん、足りるんでしょうか。二〇三〇年度の国際目標達成のために足りるのかどうか、お伺いします。

織田政府参考人 お答え申し上げます。
 吸収源対策につきましては、いろんな主体がいろんな財源を使ってやるということでございまして、林野庁といたしましては、引き続き森林整備のコスト縮減などにも努めながら国の森林整備予算の確保にも当然努めますとともに、この森林環境譲与税も市町村に活用いただいて、条件不利地も含めた必要な森林整備量全体が賄えるように取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

稲富委員 はっきりと今の段階では言えないということかなと思います。
 まず、先ほどの政務官から御答弁いただいた千円の件なんですけれども、今回の税に関しては、当然、税の原則があって、恐らくいろんな議論をされた中で千円に落ちつかれたのかなと思います。税の中立、簡素、公平という原則からすると、定額の課税というのは極めて珍しい課税だと思います。ほとんど、やはり率であるとかということが普通である。
 しかし、定額ということが、非常に珍しい税をとっているというのは、これはなぜかということなんですけれども、非常に逆進性の高い税とも言えます。なぜなら、所得にかかわらず同じ額を課税するからであります。今、消費税が一方で大変議論になって、逆進性対策をどうするという議論が非常に大きくなっている中で、この千円一律というのは、まあ言うと、非常に逆進性の高い税を採用しているわけです。
 もう一度お伺いします。
 何で定額なんでしょうか。所得割もあるのに、なぜ定額にしているのか、お伺いします。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。
 先ほど御答弁も申し上げたところでもございますけれども、森林は、地球温暖化防止あるいは災害防止等の公益的機能を有しているということでございまして、これは広く国民一人一人がその恩恵を受けている、そういった整備等に必要な財源となる税は、国民に広く均等に御負担をいただく、こういった理念が根本に、今回の税についてはございます。
 そして、この税を検討するに当たりまして、地方財政審議会に設置いたしました森林吸収源対策税制に関する検討会におきましても、森林整備等による効果が国民に広く及ぶものであることを踏まえて、必要な負担を国民一人一人が広くひとしく分任する仕組みとすることが望ましい、この点、個人住民税均等割は、必要な費用について、住民がひとしく負担を分かち合うものであり、森林環境税の考え方に最も合致する、こういった提言をいただいたところでございます。
 こういった考えに基づきまして、今回、定額千円という税率でお願いをしているということでございます。
 以上でございます。

稲富委員 国民一人一人にひとしくということは、それイコール定額というのが、そこがストレートにつながらないところだと私は思います。
 なぜなら、国民に広く負担をお願いをするということがこの森林に関しては必要だということは一定理解できます。ただ、だからといって定額で全部かけるかというのが、それが正しいかというのはそれはまた話が別の話で、先ほど申し上げたように、税の公平性、中立性、簡素という視点からどうかという話です。
 それは、そういう原則に照らしていくと、我が国においてはほとんどが、率を掛ける、あるいは定率をするということがそれに資するという考え方から、多くのサービスであっても、定額じゃなくて定率を掛けていくということが大きな流れだと思うんです。
 改めてお伺いします。
 今回、住民税の均等割に上乗せをするという形だということは、先ほど御答弁をいただきました。しかし、この均等割については、もう御存じのとおり、各市町村によって課税最低限が異なります。
 要するに、国税で今回取るわけですよね。国税で千円一律に取るということだけれども、各市町村によって課税最低限が違うというのが現状です。
 ですので、私は、ここは検討会でも検討されているということはあるとは思いますが、しかし、国税で一律取るのに市町村によって課税最低限が違うものを取るというのは矛盾しているし、だからこそこの均等割を本当に採用してやるのかどうかということは議論しなきゃいけないと思いますが、改めて答弁を求めます。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。
 森林吸収源対策税制に関する検討会におきましてもさまざまな御議論をいただいたわけでございますけれども、個人住民税均等割の枠組みの活用に関して申しますと、既に全国の多くの府県等で実施をしております森林環境や水源環境の保全等を目的といたします超過課税においても均等割が活用されて、課税実務として定着をしておりまして、国民の間で一定の理解を得られている手法である、こういうことを考えられることから、比較的円滑な導入が期待できるという評価のもとに適当とされたところでございます。

稲富委員 であれば、国税でやるということが、理屈が合わないということですよね。
 もう一度申し上げます。各市町村によって円滑に運営されているというのはわかります。そのとおりだと思います。今回は国税として千円一律で取るということであれば、ある市町村によっては課税最低限、この人にはかからない人がいる、同じ収入であってもこの人にはかかるところがあるというのは、国税としてどうなんだ、一律じゃないとおかしいんじゃないかと。日本に住む、国税としては、それは一律じゃないとおかしいんじゃないかということです。
 それから、実務上楽だからそっちだというのは、それをやり出したら、各市町村の実務上やりやすい、あるいはそれが実務上行われているという理由でやっていいのであれば、国税であっても、それぞれの市町村で別の税率、別の税額ということになるんじゃないんですか。それは正しいんでしょうか。

古賀大臣政務官 国税というのは、恐らくナショナルミニマム的な考え方に資するんだろうというふうに思います。
 先ほど申し上げたとおり、地球温暖化防止あるいは災害防止、こういったことは、地域の実情等々もあるかと思いますけれども、基本的には広く全国民的に共有の課題であろう、こういうふうに考えるわけでございます。その上に、各自治体ごとに、地域の実情に応じて超過課税をしていただく。
 今回、このナショナルミニマム的な、地球温暖化防止であるとか災害防止、そういった観点から新たにこの森林環境税を設けてきている、こういう考えであるというふうに考えております。
 以上でございます。

稲富委員 ちょっとなかなか伝わりにくいのかもしれません。ちょっと最後にこの点だけもう一回申し上げて、次の話題に移ります。
 各市町村によってもちろん事情がある、ナショナルミニマムを達成することが必要だということはわかります。であれば、国税でやるのであれば、当然国税に見合う形でやるべきだということで、改めてこの点は少し審議の中でまた御質問をさせていただきたいと思います。
 次に移ります。
 今回は、家計に対して、千円一律、個人に対してかけるということで、本来であれば、二酸化炭素の排出量に応じて、今回の目標がパリ協定の枠組みの中での目標達成ということであれば、CO2の排出削減ということが目標である以上、多く排出をしている人に対して、あるいは法人に対して課税をする、重課していくということが本来じゃないかと率直に思うわけですけれども、なぜ今回家計に対する課税をしているのか、御答弁をお願いします。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。
 地球温暖化対策につきましては、二酸化炭素排出抑制対策と森林吸収源対策の両面から推進しているところでございます。
 このうち、二酸化炭素の排出抑制対策につきまして、産業界は、これまでも自主行動計画等の枠組みの中で温室効果ガスの排出削減を実現いたしますとともに、平成二十四年度の税制改正におきまして創設されました地球温暖化対策のための税、すなわち石油石炭税の上乗せ措置でございますけれども、これを負担をしているところなど、地球温暖化対策に係る取組に産業界として既に一定の貢献をしていただいているところでございます。
 一方で、森林吸収源対策につきましては、先ほども御答弁ございましたように、森林整備等に必要な財源に充てるため、すなわち森林吸収源対策として今般創設するものでございまして、森林の有する公益的機能が、広く国民一人一人が恩恵を受けておりますために、国民に広く均等に御負担をいただくとともに、法人に対してはさらなる負担を求めないこととしたところでございます。

稲富委員 お手元の資料、お配りさせていただいております一ページのところで、これは総務省さんが作成をされている資料で、恐らく今御答弁いただいた中でいうと、家庭部門においても、日本全体のうち約一五%のCO2を排出をしている。ここの円グラフの中でいうと、CO2の排出量の、運輸部門、そしてエネルギー転換部門、産業部門、その他の部門等はそれぞれCO2に対する租税を負っている。ただし、家庭部門はいまだないから、だからここに課税をする、そういう御答弁かなと思います。
 確かにそれは一部言えるんですけれども、でも、総務省さんの資料の中で、この表を見ると、むしろ、円グラフの多いところはもっと、であれば、その七割程度の負担をしているのか、そして、運輸部門は一七・四%で、それに見合うだけの負担をしているのかという、そっちの議論の方にむしろなるんじゃないかと思うんです。もちろん、エネルギー転換部門、産業部門において、ここに書いてあるようにさまざまな、石油石炭税の上乗せがあるということですけれども、であれば、六八・〇%のCO2排出に応じた課税あるいは納税になっているのかということになろうかと思います。
 要するに、これは、個人に課税するのはもちろんそうかもしれません、ただ、排出量が多い企業に対して応分の負担をむしろ求めるべきじゃないかということが意見として出ると思うんですが、その点はいかがでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘ございました地球温暖化対策のための税でございますけれども、これは、税制によります二酸化炭素排出抑制を強化するため、石油石炭税に二酸化炭素排出量に応じた税率を上乗せすることとして、平成二十四年度税制改正において創設されたところでございます。
 先ほどおっしゃられました、比率というんでしょうか、それに基づいて比較をしたのかというような御指摘がございましたけれども、議論の過程におきましては必ずしもそういう比較をしたわけではございませんですけれども、現在、地球温暖化対策のための税につきましては、引上げをいたしました税収規模は大体約二千六百億円ということでございまして、相応の負担をいただいているというふうに認識をしております。

稲富委員 ありがとうございます。
 改めてですけれども、今回の新しい税をつくるに当たっては、恐らく、石油石炭税の上乗せの、今二千六百億だという御答弁がありました、普通に考えれば、これまである地球温暖化対策のための税が今あるわけで、なぜこれに、今の税率を少し上げてそちらに重課をしてということが、普通に、素直に考えれば、そういうことも一つのやり方だということがあったと思うんです。
 にもかかわらず、今回やはり新税をつくったということで、改めて伺いますが、今、地球温暖化対策のための税というのが石油石炭税の上乗せとしてあるにもかかわらず、なぜその上乗せとして、個人に新税をかけるのかということを改めてお伺いします。なぜ石油石炭税の上乗せを更に重課しなかったのか。お伺いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。
 地球温暖化対策のための税、石油石炭税の上乗せ措置でございますけれども、この税収につきましては、省エネルギー対策や再生可能エネルギー等のエネルギー起源二酸化炭素排出抑制のための諸施策を実施していくために用いられるものでございまして、いわゆる森林吸収源対策に用いられるものではございません。
 一方で、森林吸収源対策を進める必要があるという観点、そして、先ほど御答弁申し上げましたように、森林の有する公益的機能が、広く国民一人一人が恩恵を受けている、こういうことを考えて、新しく税を、御負担をお願いをしているところでございます。

稲富委員 次に、その使い道について少しお伺いをさせていただきます。
 年間千円という負担は、普通に考えれば、年間千円、高いか安いかということは、なかなかすぐその千円だけでは議論は私はできないと思うんですね。やはり、それに見合ったサービスといいますか、それに見合った効果があるかどうかということが、年間千円ということに見合うかどうかということに関係すると思います。千円だからいい、あるいは千五百円だからいい、五百円だから安いということではなく、お支払いしたその税金に見合った何らかの効果があるのかどうかということかと思います。
 そういう意味でいうと、今回の森林環境税についてはさまざまな、新聞等でも、賛成のところあるいはむしろちょっと批判的なところ、さまざまありますけれども、共通しているのは、やはり使い道の問題です。ちゃんと使われるのかということが、やはりどうしても一番大切なことだと思います。それに見合った使い方をするのかということです。
 そこで、端的に大臣にお伺いします。
 これは特定財源なんでしょうか。お伺いします。

石田国務大臣 お答えいたします。
 新法案の第一条におきまして、市町村が実施する森林整備等の財源に充てるため、森林環境税について必要な事項を定めることとしておりますことから、目的税として分類されるものであります。
 市町村の森林環境譲与税の使途につきましては、税創設の趣旨を踏まえまして、法律上、森林の整備に関する施策及び森林の整備の促進に関する施策と規定しているところであり、その範囲内で事業を実施する必要があると思います。
 また、各地方団体の森林環境譲与税の使途について、毎年度インターネット等により公表することを義務づけることによりまして、適正な使途に用いられることが担保されるものと考えております。

稲富委員 今の御答弁に従うと、使途が制限される、限定されているということであれば、特定財源という考え方でよろしいんでしょうか。
 もう一度お伺いします。使途が限定をされている、したがって特定の財源であるということでよろしいんでしょうか。

石田国務大臣 先ほど申し上げましたように、新法案の第一条においてそういう規定をいたしておりまして、目的税として分類されるものであります。

稲富委員 そこで、お伺いをいたします。
 二枚目、お手元の資料、お配りをさせていただいております。
 この中で、府県の超過課税の状況ということで、今、三十七の県、府が、それぞれ超過課税という形で森林環境にかかわる課税をされております。
 そこで、ここに書かれているように、都市緑化等の森林・林業関係以外や、木材利用促進、普及啓発など、森林整備以外へも幅広く活用されている状況であるということで、森林・林業関係以外のところでもやはり使われている部分が、今の府県の超過課税の中では使途があるということでございます。
 先ほど来、使い道がどうしても、大丈夫なのかというお話がある中で、この上のグラフの都市緑化、河川等というところが、府県が使われている中で、こういう森林・林業関係以外に使われております。
 今回の森林環境税が、こういう都市緑化、河川等、ここで描かれている上のグラフの一番右のところ、こういったところに使われるということはないということでしょうか。御答弁をお願いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。
 都市緑化、あるいは河川整備でございましょうか、その言葉自体が多義的でございますので、一律にお答えすることは大変難しゅうございますけれども、いずれにいたしましても、森林環境税の使途につきましては、法律上、森林の整備に関する施策及び森林の整備の促進に関する施策と明記をしておりますので、その範囲内でのみ使用が可能だということでございます。

稲富委員 木材の利用促進はいかがですか。これは使用目的に入りますか。

内藤政府参考人 森林の整備の促進に関する施策の中で読めるものと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
 これは、少し詳しくこれから御議論があるかと思います、この使い道の範囲についてでございます。次の質問に少しかかわる部分だと思います。
 午前中の質疑の中でも、なぜ三割なのかということがございました。なぜ人口基準があって、人口割の部分が十分の三ということが規定をされております。それについて御質問がありましたけれども、改めて、なぜこの人口割があるのか、そしてなぜ十分の三ということになっているのか、御答弁をお願いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。
 森林環境税につきましては、都市部の住民の方々も含めました国民全体の理解を得ていく必要がございますので、都市部においても実施されます木材利用の促進や普及啓発を使途の対象としているところでございます。
 また、森林整備が進むことで間伐材の供給がふえるということが想定されるわけでございますけれども、都市部の地方団体が間伐材等の木材利用を進めることで、山間部における森林整備から都市部における木材利用までの間の経済の好循環、これが生まれることが期待されるところでございます。
 さらに、多くの府県等で実施されております森林環境の保全等を目的とした超過課税につきましても、平均すれば、おおむね三割強程度を森林整備以外の事業に充てているところでございます。
 こうしたことを総合的に勘案いたしまして、森林環境譲与税のうち三割を木材利用の促進や普及啓発等に相関する指標でございます人口を基準として譲与することとしているところでございます。

稲富委員 検討会の中では、都市部に配分するのは余り適切ではないんじゃないかということが、御議論があったかと思うんですけれども、なぜ最終的に人口三割ということになったんでしょうか。

内藤政府参考人 重ねての御答弁で恐縮でございますけれども、一つには、都市部の住民の皆様方にも、要するに御負担をいただく皆様方にも御理解を得ていただく必要がある。
 それから、やはり、間伐材の供給がふえますと材の値が落ちる可能性がございます。それを、ある程度木材利用を進めることによって、材の値段を維持あるいは上げていくことによって、川上も結局のところは間伐というのが進む、そういうようなことから、これらについて三割ということで決定をさせていただいたところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 この点は、多分いろんな御意見があろうかと思います。私は、率直に言って、今の特定財源であるということと使い道というのは、受益と負担ということを考えれば、やはり出している人に受益があるのと、要するに課税、税金を払っている方と、その受益があるというのは、まさに特定財源たる意味だと思うので、私は、人口の三割、都市部にあるということは、実は賛成の立場です。ですので、ちょっと委員の方で違う方がいらっしゃるかどうか、私は、やはりそれは受益と負担の関係でいくとそういうことかなと思うんです。やはり、その中でいうと、先ほどの川上と川下の経済の好循環のためにその使い道を変えるんだということは、非常に今回の趣旨にも合致する話じゃないかという立場です。
 そこで、少し先ほどの話に戻りますが、自治体の超過課税という中で、さまざまな事業を行っております。そこは、使途が、今回の部分は限定をされている。ただし、自治体の部分については、超過課税については少し幅があるということですので、その超過課税の部分と同じ部分といいますか、森林関係のものであれば、それで上乗せをして地方自治体が事業を展開するということは、今回の法の中では許されるといいますか、それは使えるということの理解でよろしいんでしょうか。
 それともう一つ、超過課税をしている中でも、やはり今回の税を使えないという場面も当然あるという理解でいいのか。御答弁お願いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御答弁を申し上げましたとおり、森林環境譲与税の使途につきましては、法律上、森林の整備に関する施策及び森林の整備の促進に関する施策と規定しているところでございますので、その範囲内でのみ使用が可能でございます。
 各地方団体におきましては、この使途の範囲内におきまして、地域の実情に応じて幅広く弾力的に事業を実施することが可能でございまして、超過課税による府県等が実施している事業の上乗せ分への活用も、森林環境譲与税の法律上の使途の範囲内であれば可能な仕組みでございます。
 逆に申しますと、この範囲内でなければ活用はできないということでございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 その意味で、先ほどの、木材の活用等々もその範囲内になるかどうかということが問われるということかと思います。
 それで、次に、お渡しした資料の三枚目をごらんいただければと存じます。
 今、森林環境に関する超過課税、これだけの地方自治体が超過課税を行っている。都道府県では三十七団体、市町村では横浜市一団体ということで、税収も三百億を超えるということになっているということでございますが、これは、今回同じものに課税をするということで、同じ住民税の均等割に対して課税をするということで、これは二重課税だと思いますが、その点どうかということを御答弁お願いします。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。
 現在、三十七の府と県、それから一つの政令市におきまして、森林整備等を目的とした地方独自の超過課税が行われているわけでございます。委員お示しの資料のとおりでございます。
 そして、その上で、今回の国の森林環境税は、昨年成立いたしました森林経営管理法も踏まえつつ、主に市町村が行う森林整備等の財源として創設する、こういったものでございます。したがいまして、両者は、財源の帰属主体が基本的に異なるというわけであります。
 ただ、府県等が行う超過課税の使途はさまざまでございますから、使途において重複する可能性がございまして、その点、国の森林環境税は平成三十六年度から課税をすることといたしておりまして、それまでの間に全ての超過課税の期限や見直し時期が到来するというわけでございますから、関係府県等におきまして超過課税の取扱いを御検討いただけるもの、このように考えているところでございます。
 なお、現時点におきます地方団体への聞き取り結果によりますと、平成三十年度末に期限等を迎える超過課税を実施している五団体につきましては、いずれも森林環境税の導入を見据えて御検討をいただいておりまして、両税の考え方を整理した上で超過課税を延長する予定である、このように伺っております。
 総務省といたしましても、森林環境税との関係の整理が円滑に進むように、林野庁とも連携をしながら、関係府県等の御相談に応じまして助言を行ってまいりたい、このように考えております。
 以上でございます。

稲富委員 政務官、なかなか二重課税だとはおっしゃれないのは理解しつつも、国税庁のホームページにこうあります。「二重課税とは、多義的な不確定概念であるが、一般的に、一の納税者に対して、一の課税期間において、一の課税要件事実、行為ないし課税物件を対象に、同種の租税を二度以上課すことを指す」ということで、まさにこれはそのものです。
 その他、もちろん課税に、二重課税はたくさん、その他もありますけれども、今回、新税をつくって、結果としてというか、二重課税があるままで、整理がないままでこれをつくるということで、果たしていかがなものかということは率直に思うわけです。やはり、整理した上でどうするかということが大事ではないか。だからといって、二重課税そのものが即座にだめだということにはならないということも一方ではあるものの、わざわざ、今回新税を導入するに当たって、整理もないままこれをやるのはどうかということは、私は思います。
 ただ、御答弁あったように、各自治体においては、それぞれが、それぞれ期限が切られているので、途中でやめるところもあるかもしれない、そしてその中で、地方自治体が整理をするということですが、ただ、いかがでしょうか。これはある意味、丸投げをして、地方自治体においてそれをどう整理するかということを任せるということになろうかと思うんですけれども、その点は、どこかで国がやはり主導してやるか、何かをしないといけないのではないか、そう思いますが、政務官、いかがでしょうか。

古賀大臣政務官 まさに、今委員御指摘の点は、地方の実情を踏まえまして、各地方団体において御判断をいただくことかな、こういうふうに考えているところでございます。三十六年度の税の施行までの間に見直し期間がございますので、各自治体でそれぞれの実情に鑑みまして御判断をいただければ、こういうふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

稲富委員 この点なんですけれども、地方自治体が独自で課税をするということは、これは私はいいことだと思っています。今回、国税という形で国が課税をして、それによって地方の独自の超過課税がなくなる、あるいは独自の課税がなくなるというのは、むしろ私は、今の地域主権とか地方の、地域のことは地域で決める、地方のことは地方で決めるという考え方からすると逆行するんじゃないかと思うんです。
 と申しますのは、今回は、冒頭申し上げましたように、森林環境の防災力強化とともに、国として、パリ協定があって、それを達成するために森林吸収源対策として、これは国税として、そして課税をし、それに対するお金を国としてやるというのは、それはわかります。ただ、そのことによって地方が、福岡もそうなんですけれども、福岡が課税している、国からお金が来るから自分たちはもう課税をしない、あるいは、国からの財源に頼る、国からの決めたことに頼るというのであれば、私は今の流れと逆行するんじゃないかと思うんです。
 ちょっと大臣、ここは通告をしておりませんでしたが、超過課税をするということは、各自治体が、まさに政務官おっしゃったように、各都道府県が独自に御判断をして課税をして、その財源でもって事業をしているということは、これはいいことだと。それを、国税が来ることによって、各自治体の判断が、ある意味変えて、国税の来るものを頼るようになるということになると、私はそれは、やはり違う、むしろ逆行するんじゃないかと思うんです。その点、もし、大臣、所見があればお伺いします。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。
 森林環境税は、今いろいろと御議論いただきましたけれども、森林の有する公益的な機能の重要性に鑑みまして、地方団体が実施する森林整備等に必要な財源を安定的に確保する観点から創設されるものでありまして、この森林環境税の創設につきましては、私も実は与党の税制調査会で長年おりましたけれども、随分与党の税制調査会でも丁寧に議論をしてまいりました。
 また、長年にわたって地方団体からの要望もたくさんいただいているわけでございまして、今回の法案の提出につきましても、地方団体からも高く評価をしていただいているというふうに承知いたしておりまして、御指摘の問題については、地方公共団体にも御理解いただいているものと考えております。

稲富委員 時間となりましたので、最後、一言申し上げて、終わりたいと思います。
 冒頭申し上げましたように、新税の導入ということで、非常に大きな政府の御判断かと思います。これからしっかりと議論して、更に論点を深めてまいりたいと思います。
 きょうはありがとうございました。

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