国会活動

平成31年2月5日 総務委員会「特別交付税について」

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案件:
■国政調査承認要求に関する件
■平成三十年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案

江田委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 国民民主党・無所属クラブの稲富修二でございます。
 きょうは、発言の機会、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、平成三十年分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案について御質問申し上げます。
 先ほど来、各委員からございましたように、昨年は本当に多くの災害がございました。我が福岡においては七月豪雨が、多くの人的、物的被害を受けました。中四国の皆様にとどまらず、広範囲にわたっての被害がございました。
 そして、一昨年、平成二十九年には九州北部豪雨という災害がございました。これも、多くの被災をされた方、地域が多くのダメージを受けたことがございました。
 九州は、毎年のように豪雨そして地震ということで災害が続いております。そういった意味で、このように補正予算を通じ地元支援をするということは大いに進めるべきという立場からお伺いをいたします。
 各委員からもう質問がございましたので、私からは、改めて、この今回の特別交付税の加算七百億についてなんですけれども、今回、七月豪雨はかなり広範囲にわたっております。中四国、そして九州、そして岐阜まで、多くの範囲にわたっております。その自治体の皆様におかれては、この支援がどこまで来るのかということは大いに関心があるところかと思います。十分に被災地に対して、この特別交付税、支援が行くのかどうかということを改めてお伺いをいたします。

鈴木(淳)副大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、今年度の被災状況は大変多岐にわたっておりますが、広く、広範囲でありますけれども、特別交付税七百億円増額でございます。
 これは、災害関連経費の今年度の算定見込み額が過去五年間の算定額の平均を上回る額を増額したものでございまして、具体的には、十二月交付における災害関連経費の算定額をもとに、被災団体へのヒアリング等を踏まえて、今年度の算定額を千百四十億円と見込んだところでございます。
 一方で、過去五年間の災害関連経費の平均は、およそ四百四十億でございますので、全国の地方団体の財政需要に応えるためには、これを上回る七百億円につきまして、特別交付税を増額して対応する必要があると判断したものでございます。
 現在、各被災団体へヒアリングを行いながら今年度の特別交付税の算定作業を進めているところでございますが、各地方団体の実情を丁寧に丁寧にお伺いしながら、財政運営に支障がないように適切に対応してまいりたいと思います。

稲富委員 よろしくお願いいたします。
 防災力について引き続きちょっと質問をしたいと思いますので、ちょっと質問の順番を変えて、防災について引き続き御質問させていただきます。
 防災力をつける、あるいは防災体制をしっかりととるということは大きな我が国の課題であるという中で、消防の役割が非常に大きくなっていると私は思います。
 そこで、消防についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 昨年の十二月四日の当委員会において消防を取り上げさせていただいて、緊急防災・減災事業債についてお伺いをいたしました。この活用状況についてお伺いしたところ、三十年度地方債計画で五千億という計上をしている、そして、そのうち約五五%、うちというか、その中で二千七百四十三億円が活用されるということと当時御答弁をいただきました。
 あれから二カ月たっているわけでございますが、この活用、どこまで広がったのか、どこまで進んだのか、御答弁をお願いします。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。
 この緊急防災・減災事業債は、緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災のための地方単独事業を対象としているというところでございまして、今年度は、先ほど委員御指摘のとおり、地方債計画に五千億円を計上しておりますけれども、先月末の時点におきましたら、本事業債の発行のために必要な手続が行われた同意等額は二千七百六十八億円という状況でございます。
 本事業債につきましては、これまでも、現場の声を聞きながら、対象の拡充も行った上で、東日本大震災の復興・創生期間である再来年度まで継続をしているというところでございますし、そういう状況でございます。
 今後とも、この執行に向けて、適切に総務省としても対応してまいりたい、このように考えております。
 以上でございます。

稲富委員 前回お尋ねしてから二カ月たって、二十五億円その活用が広がったということなんですけれども、年度末をもうあと二カ月に控えて、六割にもこの活用が至っていないという状況がございます。
 あと残り、年度末に向けて具体的にどのような取組をするのか。前回御質問させていただいたときは、周知に努めるということを御答弁いただきましたけれども、これからどうするのか、改めてお伺いします。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。
 これまでの周知につきましては、市町村職員向けの説明会等々やってきておるわけでございますけれども、今回、この補正予算関係の議案を国会で成立していただけましたならば、そういったものも含めまして、また、総務省としても、地方に対して通知等を発出する、そういった機会もございますし、そういった機会を捉えまして、総務省としても各地方団体に対する周知を行っていきたい、このように考えているところでございます。
 以上でございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 周知をするということなんですけれども、これは前回の御答弁と変わらないということで、平成三十二年までということとなると、あと丸二年あるわけです。
 私は、この事業はいい事業だというふうに思うので、むしろ、もっと地方が活用するべきだ、活用するいいものだと思っている立場から質問させていただいています。
 そうすると、六割も活用が進まないかもしれないということは、そもそも需要がないか、おっしゃるように周知が足りないか、この事業そのものが魅力がないのか、どれかですよね。その場合に、私は、これ自体の、緊急防災・減災事業債そのものは、この需要がないとは思えないです。毎年これだけの災害が起きている以上、各地方自治体にとっては非常に大きな、やはり大切な、非常に有利な仕組みだと思うんです。
 したがって、周知が足りないか、事業の、そのものの見直しが必要なのかということかとすると、もちろん周知も必要なんですけれども、やはり対象事業そのものが、もっと現場の意見を聞いて見直す余地があるんじゃないかというふうに思うわけです。
 その点、もう少し柔軟に、この活用促進をするために、単に周知をするというだけでは六割もいかないというのであれば、この事業債の中身の見直しをしてはどうでしょうか。その点、御答弁をいただければと思います。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。
 対象につきましては、先ほども少し御答弁申し上げましたけれども、これまでも、現場の声を伺いながら、拡充をしてきているという状況にございます。これまでも、指定避難所における避難者の生活環境の改善のための、例えば空調設備とか、拡充をしてきた、そういった実績がございます。
 その上で、確かに、平成二十八年度に一回また延長いたしまして、そのときに実績が少し減ったということで、反動が来たという時期もございましたけれども、またそこそこに、今年度も、昨年度に比べますと、これでもまたふえてきているという状況にございますので、そういった周知とともに、現場の声をきちんと聞きながら適切に対処していきたい、このように考えております。
 以上でございます。

稲富委員 繰り返しになりますけれども、この緊防債は、私は、いい制度だ、ぜひ活用していただきたいという立場から、ぜひこれは、この課題を追っていきたいと思います。
 次に参ります。
 昨年十二月十四日に、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策が閣議決定をされております。平成三十年度から三十二年度まで、おおむね七兆円という大規模な対策を打つということ、この中では、ハードのみならずソフトもという点は、私は評価できるという中において、消防についてはどのような強化策がなされるのかということを御説明をお願いいたします。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。
 近年、災害が激甚化する中で、国民の生命、身体、財産を守る消防防災の役割、これは一層重要になっているものと認識をいたしております。
 平成三十年七月豪雨や北海道胆振東部地震等における救助活動それから情報伝達等のさまざまな課題、これを踏まえまして、消防庁におけます防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策といたしましては、その内容でございますが、一つには、大規模風水害や土砂災害に対応した津波・大規模風水害対策車や大型の救命ボートの整備、さらに、地域防災力の中核を担う消防団の災害対応能力向上のための資機材の配備、また、高齢者世帯等に確実に避難勧告等の情報を提供するための戸別受信機の配備の促進、さらには、地方公共団体の災害対策本部設置庁舎や消防庁舎の非常用電源の確保、さらには耐震化の促進などを行うこととしております。
 これらのために、平成三十年度第二次補正予算案で四十四・一億円、平成三十一年度当初予算案で三十二・三億円の確保をお願いし、また、地方財政措置の一部拡充も図ったところでございます。
 この三カ年緊急対策のもと、地方公共団体と緊密に連携しながら、国民の安全の確保のため、総力を挙げて対策を推進してまいりたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
 お手元に資料を配らせていただいております。この大規模風水害、土砂災害に対応するための緊急消防援助隊に関する緊急対策等に予算が割かれるということで、このような緊急対策における援助隊に対する新たな機材を投入するということが今回決まったということかと思います。
 そこで、私が問題提起したいのは、消防本部についてでございます。
 もちろん、緊急対策、広域化をする上で、さまざまな対策が必要であることは言うまでもありません。しかし、消防本部そのもの、各地域にある消防本部ですね、委員の皆様の御地元にあると思われる消防本部ですが、地元では大きな、構造的な課題を抱えていると思います。
 例えば、自治体の財政が逼迫しているということで、人的にふやすことはできないということ、あるいは、高齢化が進んで、救急車の出動が非常にふえているということ、消防団員が減少していること、あるいは、緊急出動が常態化しているなどなど、消防本部が抱える構造的な課題、問題があるかと思います。
 このような緊急対策をするということは非常に大事ではあるんですけれども、当然なんですけれども、ただ、消防本部そのものが機能強化をしないと、幾ら緊急消防援助隊に対する財政措置をふやして、そして新たな機材を投入したとしても、支えているのは消防本部である、全国にある消防本部であるという観点からすると、この消防本部が抱えている課題についてどう対処するか、どう考えるか、どう課題を認識するかというのが極めて大事だというふうに思います。
 そこで伺います。今、我が国の消防本部の課題、どのように認識をされているか、お伺いをいたします。

横田(真)政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘のように、消防本部が抱えている課題でございますが、実は、消防本部といっても、大きいものから小さいものまでさまざまな本部が七百以上ございまして、一番大きい本部は、東京消防庁、御案内の東京消防庁ですが、これは職員数が一万九千百五十五名います。一方で、一番小さいのは、同じ東京都の三宅村消防本部、これはもう職員数が十七人という状況でございます。ここはちょっとあれですが、通常でも、管轄人口が十万人以下の消防本部、これが全消防本部の六割を占めております。大体十万人といいますと、職員数でいいますと百人ちょっとというようなところが多うございますけれども、こういう本部でございます。
 したがいまして、どうしてもやはりこれから限界が出てくるのではないかということで、消防庁といたしましては、消防の広域化を今、今といいますか、前から進めておりまして、そういう小さな本部が一緒になって、委員御指摘のように、本部としての機能を高めていくという方向で広域化を進めているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 中長期の課題として広域化が必要だというのは全く私も同感です。
 今ちょっと私が申し上げたいのは、例えば七百二十八ある本部を、広域化を進めてどんどん、要するに集約化していくというのは、今すぐはできない話だと思うんですね。
 それはそれで一方で進める中にあって、今足元にある、おっしゃるようにその規模はありますけれども、各消防本部が抱えている問題をどうするかということは、同時にこれはやらなきゃいけないという意味でいうと、私の地元の声でいうと、例えば、緊急消防援助隊の緊急対策は必要だ、一方で、使っている消防車両が物すごく古い、もう二十年たっているのをいまだに使っている。でも、おっしゃるように、これは各自治体が更新計画に基づいてそれをやるものだ。だから、今回の、例えば緊防債にしても緊急対策にしても、普通の消防車両について国が何か補助をするというのは、ごく限られた部分になると思うんです。
 でも、繰り返しになりますけれども、消防車両が古いのを、言うと故障リスクを抱えながら緊急出動しているという状況の中で我が国は消防力をつけようというのは、少し、やはり消防本部そのものの、今の足元にある課題を解決しなければいけないんじゃないかという問題意識を持っているわけです。
 改めて申し上げますけれども、各消防本部における消防力について、これは各消防本部がみずから分析をしてということを前回答弁がございましたけれども、私は、消防力、それぞれの消防本部の消防する力については、これは国として、あるいは消防庁自身がやはり把握をしていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、御答弁をお願いいたします。

横田(真)政府参考人 各本部の消防力につきましては、消防力の整備指針というものを消防庁として示しておりまして、それに基づいて各自治体が消防力を整備してほしいというふうに考えておりまして、その財源といたしましては、普通交付税によりきちんと措置をいたしまして、地方債の対象にもいたしておりますし、そういう財政支援も行っているところでございますので。
 それで、各消防本部がどういう消防力を整備しているかにつきましては消防庁の方で調査を行っておりまして、それで一応、各自治体でも当然調査の段階で把握するようになっておりますし、消防庁としても、調査をすることによって、各本部がどんな状況か、一応ペーパー上もそれで把握できますし、また、当然ながら、いろいろな相談もお受けしますし、各本部に出向いていろいろ助言もさせていただいているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 交付税措置をしているというのはそのとおりです。ただ、実際問題は、それが交付税措置をされているから、じゃ、各自治体が消防力を高めているかというと、冒頭申し上げましたように、各自治体の今の財政状況の中でなかなかそこに至っていないからこそ、これはどうするんだという問題になっている。
 それは、もちろん制度としてはそうだと思います。しかし、現実問題、各消防本部、先ほどおっしゃっていただいた小さなものから大きなものまであって、大きなものは財政力はあるかもしれませんが、そうでないところは、百人以下のところは四割だと聞いています。
 そこの消防本部をどうするかということは、もちろん、交付税措置しているじゃないかと言ってしまえば終わりですけれども、でも、現実、それで本当に消防対応できるのか、あるいは防災力をつけられるのかということが問題なので、先ほどの、政務官も御答弁いただいた、例えば緊防債の対象については、私は、拡大をして、ある意味柔軟にもっと考えるべきじゃないかと思うんです。
 各自治体において本当に消防力をつけるために必要なことについては、やはり広く認めていくようなことを考えるべきじゃないかということを思いますが、改めて、これはどちらか、政務の方に御答弁いただければと思いますが。

古賀大臣政務官 この点については先ほども御答弁申し上げておりますけれども、我々は、現場の意見を丁寧にお伺いしながら、どういった即効性のある効果的な減災・防災対策ができるかという観点からいろいろと検討を行っておりますので、またそういった現場の意見も伺いながら考えてまいりたい、このように考えております。
 以上でございます。

稲富委員 広域化についてさきの国会でも質問させていただいたところ、平成十八年の広域化、法律上位置づけられてから、五十二地域で広域化が実現したということなんですけれども、七百二十八あって、三十万規模というと、少なくとも四百本部ぐらいに集約をするのがいいという基本方針があると思うんですね。
 さらに、例えば、基本方針の中では、全県で一つの本部にするとか、そういう理想のあり方があるということからすると、今の七百二十八、えらい先の話になります。これは、やはりもう政治主導で進めるしか私はないんじゃないかと思うわけです。
 さまざまな、さきの国会でも副大臣に、財政支援あるいは消防広域化アドバイザー派遣などの実施を考える、それで広域化を進めるんだという御答弁がありましたけれども、これだけだと、七百二十八ある消防本部の広域化を進めるというのは、もう何年かかるかわからない。
 今、足元にあるさまざまな災害に対応できるのかといったときに、何らかこれは、もっと強力に政治主導で進めるべきじゃないかと思うわけですけれども、なぜ進まないのか、そして今後どうするのか、改めてお伺いします。

鈴木(淳)副大臣 お答えいたします。
 なぜ広域化が進まないかでありますが、その理由を聞き取ったところ、山で地域が分断されるなどの地形的な理由がまず一つ、それで広域化のメリットが見出せない。次に、比較的大規模な団体におきましては、今度はみずからの団体の消防力が周辺地域に流出してしまう、そういう懸念もある。また、比較的小規模な団体におきましては、みずからの団体に消防本部がなくなってしまう、こういうことに心理的抵抗感があるというふうに聞いております。
 さらなる消防の広域化を進めるためには、広域化の推進期限を延長しまして、平成三十六年四月一日としたところでございまして、現在、都道府県におきましても、広域化に向けた推進計画の再策定に取り組んでいるところでございます。
 消防庁としましても、指令センターの整備を始めとする、広域化に伴い必要となります経費に対する財政支援、また、消防広域化推進アドバイザーの派遣、消防の広域化及び連携・協力モデルの構築事業などを通じまして、引き続き消防の広域化を積極的に推進してまいりたいと思います。

稲富委員 どうもありがとうございました。終わります。

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