国会活動

令和元年5月22日 厚生労働委員会「児童虐待防止について」

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案件:
■児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案
■児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案

冨岡委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 国民民主党の稲富修二でございます。
 きょうも質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。
 きょうは、政府と、そして議員立法提出者に質問させていただきます。
 まず、ちょっと順序を変えて、児童虐待防止強化法案についてお伺いをしてまいります。これまで当委員会でも随分と議論を重ねてまいりましたが、重なる部分もありますが、大事な点でございますので、改めてお伺いをしてまいりたいと思います。
 まず、児童相談所の設置についてでございます。
 きょうも各委員から御質問がありましたけれども、改めて議法の提出者にお伺いをいたします。まず、与野党の違いと、その目的、狙いと背景についてお伺いをいたします。

源馬議員 お答えいたします。
 本法案では、政府提出案と異なり、中核市及び特別区について児童相談所の設置を義務とするとともに、児童相談所の数の基準を法定化し、人口五十万人に一カ所以上設置することを標準としています。こうした児童相談所の数の基準の法定化によって、一つ一つの児童相談所が過度に多くの人口を管轄することを防ぎ、それぞれの児童相談所が児童虐待により適切に対応することが可能になるものと考えています。
 なお、児童相談所の数については、地方分権の観点から、地域の実情に応じて判断されるべきとの考え方もあると思いますが、児童の生命及び身体を保護するための事項については、国において必要と思われる対応を統一的に行うことが必要と考えます。

稲富委員 ありがとうございます。
 政府案では、先ほど大臣からもありましたけれども、「政令で定める基準を参酌して都道府県が定める」ということになっておりますが、その基準とは何か。あるいは、その検討状況についてお伺いをいたします。

根本国務大臣 今回の改正では、児童相談所の管轄区域について、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとする旨の規定を新設することとしております。
 今、具体的な基準設定の御質問でありますが、過去、人口五十万人に一カ所程度という基準があったことも踏まえて、虐待予防、早期発見から虐待発生時の迅速的確な対応を切れ目なく行うとともに、一つ一つのケースに対して一層きめ細やかな対応をとることが可能となるよう、今後、地方公共団体等とも協議しながら検討していく予定であります。
 各地方公共団体においては、新プランに基づく人員増とあわせて、児童相談所の配置等についても計画的に整備を進めていただく必要があるため、法案成立後、国と中核市及び都道府県等の関係団体が参画する協議の場を設置、活用しながら、速やかに準備を進めたいと考えています。

稲富委員 その基準の中に人口は入りますか。それと、いつごろまでにその基準を設置するということは言えるでしょうか。現時点で結構ですが。

根本国務大臣 かつて、人口五十万人に一カ所程度という基準があったことも踏まえて考えていきたいと思いますが、どういう書きぶりにするかということはありますけれども、人口は一つの基準になると考えています。

稲富委員 済みません。大体いつごろまでにこの基準を設けるかということもお伺いをいたします。

根本国務大臣 児童相談所の配置等については、各地方公共団体において計画的に準備を進めていただく必要がありますので、法案成立後、速やかに協議の場を設置、活用して、速やかに準備を進めたいと思います。法案成立後、速やかに準備を進めたいと考えています。

稲富委員 できるだけ早く、ぜひお取組をお願いしたいと思います。
 次に、中核市、特別区への児童相談所設置についてお伺いします。
 議員立法提出者にお伺いします。義務化をする目的そして背景についてお伺いをいたします。

源馬議員 お答えいたします。
 現行法上、児童相談所については、都道府県及び指定都市に設置が義務づけられており、中核市等については設置することが可能とされていますが、現在、中核市等で設置されているのは横須賀市、金沢市及び明石市であり、必ずしも設置が進んでいない状況であります。その原因は、児童相談所の設置が自治体にとって負担になることもあると考えます。
 そこで、人口規模、財政規模等を勘案して、改正後の児童福祉法第五十九条の四第一項において、中核市及び特別区について児童相談所の設置を義務づけるとともに、同条第七項において、児童相談所の設置が過度な負担とならないよう、国による児童相談所の職員の人材育成やその確保のための支援、財政上の措置等の規定を設けております。
 最近の虐待対応件数の増加を踏まえると、基礎自治体におけるきめ細やかな対応が必要であり、また、児童と家庭に関する相談についての基礎自治体の役割が強化されている中で、基礎自治体において、子育て支援から児童虐待への対応まで一貫した児童福祉施策を実施することが求められていることからも、中核市、特別区への児童相談所設置の義務化が必要であると判断したものです。

稲富委員 ありがとうございます。
 政府に伺います。
 さまざまな財政措置等を含めて、児童相談所設置について促進をする案を、これから基準を含めてつくっていくということが政府の姿勢かと思います。しかし、こういったさまざまな事件、そして今回の法案に際して、結局のところ、児童相談所をこれからふやしていく意思が政府としてあるのかどうか。我々は、必要だ、要するに、ふやすべきだと思っています。ただ、最終的に都道府県が決めると幾ら言っていても、ふえるかどうかというのはわかりません。
 ぜひそこを、ふやす意図があるのかどうか、ふやすのか、そうではないのか、大臣の決意を含めてお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 今回、具体的な基準設定、これは先ほど申し上げたとおりですが、要は、今後、地方団体などとも協議しながら検討していきたいと思っております。
 やはり中核市の児童相談所設置は必要だと我々も思っておりますが、ただ、児童相談所の設置を一律に義務化する、これについては、児童福祉法上の都道府県と市町村の役割分担を踏まえて、市区は地域に根差したきめ細やかな支援に特化し、都道府県は専門的、広域的な観点での支援等に特化すべきという意見、あるいは、限られた福祉人材について都道府県と市区で分散させることは、それぞれの体制を弱くするのではないかという意見、あるいは、中核市は人口二十万人程度から六十万人程度とばらつきがあることや、都道府県の体制や近隣自治体の状況、地理的条件など、その置かれた状況もさまざまであり、一律に義務化することは適切ではない等の意見が公共団体から寄せられております。
 こういうことを踏まえて、本法案においては、一律の義務化を前提とした検討を行うのではなくて、まず、施行後五年間は、中核市及び特別区が児童相談所を設置できるよう、児童相談所の整備あるいは職員の確保及び育成の支援措置、これを講ずる。そして、その支援に当たっては、地方団体との連携、要は十分にお互いに話し合っていく。そして、施行後五年をめどとして、児童相談所の整備並びに職員の確保及び育成の支援のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされております。
 中核市及び特別区における児童相談所の設置が進むよう、地方公共団体と丁寧な意見交換を行って、必要な支援を講じていきたいと思います。

稲富委員 ありがとうございます。
 都道府県に児童相談所を設置するということは法で明記できるわけです。だから、やろうと思えば法律に書ける。ただ、地方公共団体からの意見があってできない、法律には書けないという御答弁かもしれません。
 ただ、私がお伺いをしたいのは、これだけ多くのことがあって、そして今国会でこれだけ大きな法案として扱い、そして政治家としての大臣に対して、ふやす意思があるのかどうかということを再度お伺いしたいと思います。

根本国務大臣 私も、中核市に児童相談所の設置をする、これは必要なことだと思っておりますが、やはり地方公共団体と丁寧な意見交換を行いながら、国として必要な支援を講じていきたいと思います。

稲富委員 ぜひ、これは必要だと思いますので、政府としてもお取り組みいただきたいと思います。
 引き続き、保護者の支援の拡充についてお伺いをします。
 議員立法提出者にお伺いをします。
 政府は、児童虐待防止対策の抜本的強化を閣僚会議で三月十九日にまとめる中で、保護者支援プログラムの推進ということをここでも書いております。しかし、議員立法提出ということで、これを法定する、法に書くということでございますので、その目的、背景をお伺いいたします。

岡本(充)議員 児童虐待が起きた場合、児童虐待を受けた児童の保護や支援が必要なことはもちろんですが、児童虐待の再発を防止するためには、児童虐待を行った保護者が虐待の事実を受けとめ、みずから変わることが重要であります。
 現行法においても、児童虐待を行った保護者に対する指導を実施しておりますが、これを一層充実する観点から、本法案では、改正後児童虐待防止法第十一条において、保護者の意に反する一時入所等の措置がとられた場合には、その保護者に対して再発防止のための指導を行うことを義務づけるとともに、それ以外の一時入所等の措置や一時保護の場合においても、再発防止のための措置に係る規定を設けております。
 いずれの措置も、虐待を行った保護者に対して再発防止を特に重視したプログラムを実施することにより、当該保護者の自覚を促し、効果的に児童虐待の再発の防止を行うものと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
 保護者の支援拡充、これは極めて大切なことだと思います。ぜひ、政府におかれても積極的にお取り組みいただきたいと思います。
 続きまして、情報共有、そして、先ほど大西委員からもありましたけれども、引継ぎ等についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 結愛ちゃんの事件があった後、子ども虐待による死亡事例等の検証結果というのが専門委員会でも平成三十年十月に出されております。その中においては、「問題点」として、転居前の自治体におけるリスクアセスメントが不十分だったという評価がございます。そして、その次に、「引継ぎ」のところで、以下のような問題点そして課題がこの検証でなされております。
 一つは、移管元の児童相談所からの引継ぎ書類は、ケースの特徴や危機度のアセスメントが不明確であった。次に、移管元の児童相談所は、転居の数週間前に児童福祉司指導を解除、移管先の児童相談所では緊急性の高い事例と判断しなかった。三番目に、移管元と移管先では対面の引継ぎが行われなかった。四番目には、児童相談所への引継ぎが遅く、転居先の市区町村と児童相談所で直ちに連携した対応ができなかったということが書かれております。そして、転居先の自治体においてもリスクに対するアセスメントが不十分であったということで、そういう検証結果が書かれております。
 結愛ちゃんの事例も心愛ちゃんの事例も、五歳、十歳のお嬢さんで、私もちょうどその同年代の娘がおります。大変これは言葉にならない事案でございまして、これを何とかしたいという多くの親の思いがあると思います。皆さん思っていらっしゃると思います。
 しかし、この検証結果の中で、最後に「国への提言」のところで書かれていることは、平成三十年の十月、要するに心愛ちゃんの事件の前です、「死亡事例等の検証でも指摘された内容や、平成二十八年の児童福祉法の改正をはじめとした虐待防止のために取り組んできている内容が多く含まれている。」要するに、これまで指摘されてきたことが多く含まれているんだと。最後にこう書かれています。「全国で取組が確実に実践されるような体制整備を進めることが必要」だと。
 要するに、紙を幾ら書いても、検証を幾らやっても、実践が足りないんだ、だからまた同じことが起こる、国会で幾ら議論しても、それをどう実行するかということがなければ意味がないということかと思います。
 そういう意味で、今回の事例でいうと、ちょっと質問させていただきますのは、引継ぎの部分です。これは何とかしないと、幾ら議論してもよくならないと思いますので、これについて伺います。
 まず、議員立法提出者にお伺いします。児相間の引継ぎ、情報共有、これはどうやったら改善できるのか、改めて提出者の意思をお伺いします。

岡本(充)議員 私も、昨年、香川の事案も調査に現地へ行ってまいりました。委員御指摘のとおり、大変その点が重要だと思っています。
 児童虐待を受けた児童が転居しても、対応の必要性は変わらない。しかし、実際には、転居に伴って支援が途切れてしまっている事例があり、また、指導を逃れている事例があるという話を先ほども答弁させていただきました。
 本法案においては、転居後の児童相談所が迅速に対応できるよう、児童相談所が通告を受けた児童等が転居する際の児童相談所間の情報共有について規定をしています。
 その上で、転居前の都道府県知事又は児童相談所長は、児童虐待を受けた児童について指導措置がとられている場合において、当該児童が他の自治体に転居することを知ったときは、転居の前日までに措置を解除してはならないこととしております。
 さらに、転居後の児童相談所長は、転居前の児童相談所長から情報提供を受けた後、直ちに指導措置をとらなければならず、措置開始から一カ月の間は、一時入所等の措置に移行する場合などを除き解除してはならないこととしております。
 これに加えて、転居を理由として施設入所等の措置や一時保護が安易に解除されることのないよう、これらを解除しようとするときは、転居後の家庭環境等を勘案しなければならないこととしています。
 以上の措置により、児童虐待を受けた児童が転居する場合であっても切れ目のない対応が可能になるものと考えておりまして、こうした悲しい事案を二度と繰り返さないために、ぜひこうした措置を実現したい、このように思っております。

稲富委員 ありがとうございます。
 政府におかれては、与党と今の議法の方で、何とかここの点は、やはり引継ぎの点を切れ目のないようにしたいということ、これがないといつまでたってもこのような事案がなくならないという意思を、ぜひ各党間で話し合って、いいところで私は結論を見出していただきたいと思います。
 そして、政府におかれては、情報共有については、当委員会でも鰐淵委員が情報共有の大切さについて質問されたことがありました。
 そこで、改めて伺います。国による標準的な情報共有の仕様、システムの共有化ということをおっしゃっておりますが、具体的にお伺いをいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。
 児童虐待の対応に当たりましては、支援の対象としております家庭が転居する際に、自治体間のケースの引継ぎが必要不可欠でございます。この引継ぎをより効率的に引き継ぐためには、ICTを活用したシステムを使用することが有効だと考えております。
 このため、今年度の予算におきまして、同一の都道府県内での児童相談所と市町村の情報の集約あるいは共有を可能とするシステム構築を支援するために、必要な費用を計上したところでございます。また、このシステムで扱う情報の項目も含めまして、国が標準的な仕様を示す予定でございます。こうしたことによりまして、今後、都道府県等で構築されるシステムの標準化を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、情報共有システムを活用いたしまして、今申し上げましたのは都道府県内でございますけれども、都道府県間で情報共有を行うことも検討課題というふうに考えております。
 より効率的に情報共有を行うことができるシステムの構築に向けて、努力してまいりたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
 情報共有、そして児相間の引継ぎ、これがやはり防止するための肝の部分だと思います。ぜひしっかりとしたお取組をお願いします。
 そして次に、児童虐待防止対策及び社会的養育の予算についてお伺いします。
 昨日の参考人の皆様の陳述、恐らく共通していたのは、予算が必要だということ。人、物、金ということでいうと、人とお金の部分が必要だということ。いろいろな意見があったにもかかわらず、そこはほぼ全ての参考人の皆様が共通していたことだったと思います。
 この予算についてお伺いをします。
 児童虐待防止及び社会的養育関係予算なんですけれども、ここ五年間の国の予算の変遷について、まずはお伺いをいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。
 児童虐待防止対策及び社会的養育関係の予算につきましては、ここ五年間ですけれども、平成二十七年度は千百九十八億円、二十八年度千二百九十五億円、平成二十九年度千四百九十三億円、平成三十年度千五百四十八億円、令和元年度千六百九十八億円ということでございまして、平成二十七年度との比較でいいますと、一・四二倍となっております。

稲富委員 ありがとうございます。
 予算としては、毎年百億円から百五十億円、この五年間ふやしてきているということでございます。
 そして、その中で、内訳を見ますと、平成三十一年度予算で見ますと、千六百九十八億円の中で児童入所施設措置費が千三百十七億円なので、約八割を占めているということで、児童虐待等の支援事業というのは、あくまで千六百九十八億円の中の十分の一の百六十九億円に限られているということ。
 これは大臣にお伺いをいたします。
 先ほど西村委員その他の委員も、やはり予算が必要だということをおっしゃってまいりましたし、私もこれはそうだと思います。これこそ、やはり政治の意思だと思います。どれぐらいここに予算を振り向けるか、次年度に向けて、ぜひ大臣のここは強い意思を示していただきたいなと。やはり先ほどの、児童福祉司が交付税に算入されてどうなっているかわからないなんということは、この期に及んであっちゃならないと思います。それは、別の何らかの形で、ふやすための予算を国からぜひ分捕ってきてほしいです、財務省から。
 ぜひ大臣、これは来年度に向けて強い決意を示していただけないでしょうか。よろしくお願いします。

根本国務大臣 昨年十二月に決定された新プラン、あるいは本年三月の関係閣僚会議決定に基づく事業の実施、これに必要な予算の確保に全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。交付税措置も講じたところでありますが、交付税を含めて、必要な予算の確保に全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。

稲富委員 大臣、ぜひ全力を挙げてよろしくお願いいたします。
 それでは次に、里親委託についてお伺いをいたします。
 資料の一枚目でございます。先ほどありましたけれども、社会的養育ビジョンがあって、これからは施設から家庭へということで里親委託率を上げていくということが決まって、各都道府県が推進計画を今年度じゅうにつくるということを前回の本委員会で御答弁いただきました。
 この表を見ると、新潟市と堺市では、里親委託率が随分と開きがございます。これはなぜかということをまずお伺いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のように、里親等の委託率につきましては、全国平均としては平成二十九年度末時点で一九・七%でございますけれども、自治体ごとに大きく差がありまして、秋田県の九・六%から新潟市の五七・五%まで、大きなばらつきがございます。
 この理由につきましては、自治体によって事情がさまざまでございますので一概には言えないわけでございますけれども、例えば、里親を含めました社会的養護の受皿の状況が地域によって異なることなどもあるのではないかと考えております。
 一方で、里親等委託率を伸ばしている自治体もございまして、例えば福岡市や大分県におきましては、児童相談所へ専任の里親担当職員の配置をするとか、里親支援を行う民間などの機関との積極的な連携を行う、あるいは体験発表会、市町村と連携した広報、NPOや市民活動を通じた口コミなどさまざまな努力を行っておりまして、里親の登録の増加あるいは里親支援の充実を図っているものと承知をいたしております。

稲富委員 ありがとうございます。
 先ほど大西委員からもありましたけれども、ここは数字ありきではなく、地域の事情に応じて、施設から家庭へという流れを一律じゃなくやっていくんだということを、先ほどもそうでしたけれども、前回、当委員会でも御答弁いただきましたので、その点はよろしくお願いいたします。
 次に、里親制度の周知啓発についてお伺いします。
 資料二枚目でございますが、日本財団が二〇一八年一月に公表した「里親」意向に関する意識・実態調査というのがございます。その中でいうと、里親になってみたいという意向を持たれている方は全体の六・三%ということで、単純に言うと、潜在的な里親家庭候補は全国に百万世帯と推計されるということでございます。
 ただ、里親の意向はあるけれども現状里親になっていない理由は、例えば経済的負担が心配だから、あるいは子供の人生を左右するので責任が重いからということで、理由があります。
 他方で、里親には子供の生活費として養育費が支給されているとか、あるいは二カ月など短期間でも里親があるということについては、ほとんどの方が御存じなかった。例えば、養育費が支給されるということを御存じの方は一・九%、短期間でもできるという方が二・六%ということで、意向はあるものの、なかなか中身についてのお知らせが行き届いていないということかと思います。
 もしその内容等がよりわかれば、先ほど申し上げたような六・三%の潜在的な里親家庭は増加するのではないかとも考えられますが、大臣、この点の御見解をお伺いいたします。

根本国務大臣 里親は、平成二十八年の児童福祉法改正で定められた家庭養育優先の原則を推進していくために重要な役割を担っていると思います。
 今、委員からも御紹介がありました。やはり、今御紹介のような、里親制度というのは具体的にどういう制度なのか、あるいはその意義、役割、こういうものをしっかりと周知する、これは重要だと考えております。
 厚生労働省では、毎年十月を里親月間と位置づけて、里親委託を推進するための集中的な広報啓発を実施しております。
 例えば昨年度においては、具体的に次のような取組を行っております。ポスター三万枚とリーフレット六十四万枚を作成し、全ての都道府県及び市町村に配布、関係団体や首都圏の鉄道事業者にも掲示を依頼、あるいは、厚生労働省ツイッターやフェイスブックを活用した周知を実施、一般メディアを活用した取組や、政府広報として新聞やインターネット、テレビ、雑誌による広報啓発活動、里親月間に合わせて地方自治体が取り組む広報啓発活動を報道発表として当省のホームページで紹介しております。
 さまざま取り組んでおりますが、今後も、関係機関と連携しながら、まさに委員が御提案するように、周知にしっかりと取り組むことによって里親制度の社会的認知度や里親登録数の向上を図っていきたいと考えています。

稲富委員 以上で終わります。ありがとうございました。

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