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【議事録・動画】令和3年3月23日 法務委員会「相続、住所変更登記の義務化」等

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案件:
■相続、住所変更登記の義務化について
■土地所有権を国庫に帰属させる制度について
■所有者不明土地の利用の円滑化を図る方策等について

稲富委員 立憲民主党の稲富でございます。今日はよろしくお願いいたします。
大部の法案でございますので、以下、確認をさせていただければと思います。
まず、基本事項についてなんですけれども、所有者不明土地の割合は、令和元年の法務省調査によれば約一九・七%。所有者不明土地の発生予防のために相続登記、住所変更登記の申請の義務化が盛り込まれておりますが、昨年の相続登記のまず件数、また、相続が発生した場合に実際に登記されている割合と義務化による相続登記の件数増の見込みについて、まずお伺いをいたします。

小出政府参考人 お答えいたします。
令和元年度につきましては、土地、建物、合わせて百二万八千九百六十九件の相続による所有権の移転の登記がされております。例年の統計を見ましても、相続その他一般承継による所有権の移転の登記につきましては、おおむね百万件程度の申請がされているものと承知しております。
お尋ねがございました、相続が発生した場合に実際に登記される割合や相続登記の申請を義務化した場合における申請件数の増加に関する具体的な見込みにつきましては、そもそも個々の土地の所有者について死亡の事実が発生したかどうかを全国的に漏れなく把握すること自体が現状では困難な状況にございますため、法務局において御指摘の数値等を把握することはできておりませんので、お答えすることは困難でございます。

稲富委員 次に、先ほど来ありますけれども、国民への周知について伺います。
相続登記、住所変更登記の義務化がされたからといってすぐに登記が、皆さんされるわけじゃないということだと思います。実効性を高めていくためには、周知とともに経済的動機づけ、時には負の動機づけの二つが欠かせないと私も思います。先日の参考人質疑でも、様々な参考人から同趣旨の御発言がございました。
まず一つ目の、国民が誰もが義務化を知らなければならないわけですが、相続する人も、相続されるであろう人への周知も欠かせないと思いますが、具体的にどのような取組をするのかまず伺います。

小出政府参考人 お答えいたします。
相続登記の申請を促進し相続登記の申請義務の実効性を確保するためには、関係者において相続登記の重要性等を御理解いただき、相続開始後に自発的に相続登記を申請することができるような環境整備を手続面、費用面で図っていくことが不可欠であると考えております。
今般の不動産登記法の見直しにおきましては、相続登記の申請義務の実効性を確保するために、申請人である相続人の手続的な負担を軽減する観点から、申請義務の簡易な履行手段としての相続人申告登記という新たな登記を創設するとともに、相続登記の漏れを防止する観点から、被相続人が所有権の登記名義人となっている不動産を相続人が一覧的に確認することも可能にする所有不動産記録証明制度を創設するなどの環境整備策をパッケージで講じております。
法務省といたしましては、相続人及び被相続人となられる方双方の理解と協力の下、相続登記の申請義務が実効的なものとなるよう各種施策の周知啓発に努めてまいりたいと考えております。具体的な周知方法につきましては今後検討しておきますが、例えば、説明会の開催、パンフレット等の配布、法務省法務局のホームページを活用した広報など、国民に直接周知する取組のほか、遺産分割や相続登記を専門に扱う法律実務家と連携して国民への周知を図る取組をしていくことなどを想定しているところでございます。

稲富委員 是非お取組をお願いします。
次に、二つ目の経済的動機づけ、登録免許税について伺います。先ほど他の委員からもございました。
先日の参考人質疑において、登録免許税の軽減の必要性については各参考人の皆様から御指摘を様々いただきました。今改正においても、環境整備策パッケージの一つとして登録免許税の軽減が検討されているということでございます。
資料一を御覧いただければと思います。
現在においても、数次相続などについて登録免許税の免税措置が取られているということで、今日は財務省から政務官にお越しをいただきましてありがとうございます。この免税措置の目的あるいは効果、そして今後の取組について、政務官からお伺いをいたします。

船橋大臣政務官 お答えいたします。
相続登記に係る登録免許税については、令和三年三月末までの措置といたしまして、長期間相続登記がされていない土地への対応といたしまして、相続登記がされないまま数次の相続が発生している土地について、相続登記をせずに亡くなった故人を登記名義人とするために受ける登記を免税するとともに、相続登記が未登記の土地を発生させないための対応といたしまして、相続登記の促進を特に図る必要がある一定の土地について、一筆当たり価額が十万円以下の土地を免税とする措置を講じているところでございます。
両措置の適用件数につきましては、前者、数次相続が発生している土地に関しましては令和元年度で六千九百十五件、後者、十万円以下の土地に関しましては令和元年度で十二万五千十七件と承知いたしておりまして、登記名義人と実際の所有者の名義が乖離している状態を解消するとともに、地方部を中心に相続登記を行うことの経済的なインセンティブが低い土地につきまして、所有者不明土地の発生の防止に一定の効果があったものと考えてございます。
その上で、これらの措置につきましては、与党税制改正大綱におきまして、不動産登記法等の見直しを踏まえ、相続登記に係る登録免許税の在り方について令和四年度税制改正で検討するとされたことを踏まえまして、今般の令和三年度税制改正法案におきましては、適用期限を一年間延長することとさせていただいております。

稲富委員 ありがとうございます。
今御答弁ありましたように、今回の免税措置、数次相続について、その他もありましたけれども、免税措置が一定効果を上げたという御評価をされてのことと思います。
登免税が下がれば、確かに登録する側の手続コストは下がりますので、登記促進にはつながると思います。しかし、他方で、土地に価値があれば経済的動機づけは働いておりまして、今でも登記は行われているわけでございます。したがって、登録免許税の減税がどの程度効果を発揮し登記促進につながるのか、効率性の観点から私は更なる検証が必要だろうと思います。
また、例えば高額の土地登記のような場合を想定すると、高額所得者ほど登録免許税の軽減を受けることになるかもしれません。公平性の問題からも検証があろうかと思います。当然、登免税の軽減というのは私も必要だという立場からあえて申し上げております。
そこで、大臣に伺います。
登免税について、先ほど来ありましたけれども、令和三年度税制改正大綱検討事項の中に必要な措置を検討するとあります。
資料二を御覧をいただきたいと思います。
一口に登録免許税といっても、様々ございます。不動産登記の中で、ここでは二つ書いてありますが、相続の移転登記、その他の原因による移転登記、あるいは先ほど、数次相続の場合の付記登記など、様々な項目があります。
具体的に、その必要な措置をどのようなことを考えているのか、それが相続登記、住所変更登記未了の解決につながり、所有者不明土地解消につながると考えていらっしゃるのか、大臣の決意を含めてお伺いをいたします。

上川国務大臣 今回、これまで任意とされていた相続登記や住所等の変更登記の申請の義務づけをするところでございますので、それに対応して、その実効性を上げるための環境整備策の導入、パッケージの政策は極めて重要だというふうに思っております。
具体的な政策については先ほど民事局長が答弁したところでございますが、相続登記に限りませんで、今回新設する相続人申告登記や、登記官が職権的にする住所等の変更登記などに係る登録免許税の在り方も含めまして、今後しっかりと検討していく必要があるというふうに認識をしているところでございます。
この不動産登記法の見直しの成案が得られた場合におきましては、相続登記等がなされるという大目的を達成するための様々な負担軽減策につきましては、これまでの実績も踏まえまして、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

稲富委員 ありがとうございます。
財務政務官、もうこれで終わりました。ありがとうございました。

宮崎委員長代理 船橋政務官は御退席いただいて結構です。

稲富委員 次に、司法書士の役割について伺います。
先ほど大口先生からもありましたけれども、先日の参考人質疑において、日本司法書士連合会の今川参考人から以下のような趣旨の御紹介、御発言がございました。今年三月一日、全国の五十の司法書士会に相続登記相談センターを設置した旨。また、こういった御発言もございました。本改正による新制度の運用に当たっては、正確な情報、適切なアドバイスなど、専門家がしっかりとサポートすることが不可欠である。力強い、心強い御発言でございました。
他方で、これだけ大きな改革ということになりますので、業務範囲がかなり拡大をするということだろうと思います。司法書士さんたちのような専門家の数が今のままで、現状で、この膨大な改革を対応できるのか、増やす必要があるのではないかというふうに思うわけですが、認識をお伺いをいたします。

小出政府参考人 お答えいたします。
司法書士の会員数、現在約二万二千人を超えておりまして、二〇〇〇年代になってからも一貫してその人数は増加しているものと認識しております。そして、司法書士の方々には市民に身近な存在として御活躍をいただいているものと認識しておりまして、現状では、法務省において、司法書士の数が不足しているといった声は特に聞いてはいないところでございます。
もっとも、御指摘のとおり、今般の不動産登記法の見直しを始め、本法律案が成立した場合には、司法書士の業務も増大することが見込まれるなど、その役割は一層大きなものとなっていくことが想定されるため、法務省といたしましても、引き続き、司法書士の現状等についてしっかり注視してまいりたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
次に、登記官の人員についても同じような趣旨で御質問いたします。
住所変更未登記の対応として、変更登記の申請を義務づけると同時に、他の公的機関から取得した情報に基づき登記官が職権的に変更登記する新たな方策を導入することとなります。登記官の役割も更に大きくなるわけでございまして、この業務拡大の中、人員増加が必要なのか、その見込みについてお伺いをいたします。

小出政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、今般の民法等の一部を改正する法律案及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案におきましては、法務局が実施する新たな施策が多数盛り込まれておりまして、登記官の担う業務が増加することが見込まれます。
法案が成立した場合には、これらの業務を適正に遂行することができるよう、法務局において必要となる人的体制の整備にしっかり努めてまいりたいと考えております。

稲富委員 次に、所有権の国庫帰属について伺います。
相続土地国庫帰属法案について、要件では、通常の管理又は処分をするに当たり、過分の費用又は労力を要する土地に該当しないこととなっております。相続により取得した土地を手放して国庫に帰属させる、どれぐらいの割合がこうなるのかという見込みをされているのか、お伺いをいたします。

〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕

小出政府参考人 お答えいたします。
令和二年に法務省が実施したニーズ調査によりますと、土地を所有する世帯のうち、土地を手放して国庫に帰属させる制度の利用を希望する世帯の割合は約二〇%と推計されております。この調査によれば、法制審議会の民法・不動産登記法部会の中間試案における要件設定を前提として、利用希望世帯の約五%、すなわち、土地を所有する世帯全体の約一%がその要件を充足するものと見込まれると推計されております。
もっとも、これらの推計は本法律案における承認要件等の詳細を示した上でのニーズ調査に基づく結果ではないために、現時点では、国庫に帰属させることができる土地の数や、逆に国庫に帰属させることができない土地の数について、具体的な見込みをお示しすることは困難でございます。

稲富委員 ありがとうございます。
大体の規模感は何となく伝わりましたけれども、どれぐらいのボリューム感になるのかということ、また是非これは運用する中で教えていただければというふうに思います。
次に、民法の共有制度の見直しについて伺います。
利用の円滑化を図る方策の中で、先ほども御議論ありました管理行為の拡充、明確化についてでございますが、共有者の一部が不明であっても土地の利用が可能となるということでございますが、仮に、不明共有者が後で現れた場合で異議を唱えた場合、どのような解決方法があるのかということをお伺いをいたします。

小出政府参考人 お答えいたします。
所在等不明共有者以外の共有者の同意又はその持分の過半数による決定により、共有物の変更、管理を行うことができる旨の裁判がされて、それが確定した場合には、その裁判に基づいてされた共有物の変更行為あるいは管理行為は、その後、所在等不明共有者が現れて異議を述べたとしても適法でございます。
ただし、所在等不明共有者は、他の共有者が共有物を単独で使用しているような場合には自己の持分に応じて使用の対価の償還を請求することができますし、共有物を使用している共有者は、使用について善管注意義務を負っておりますので、それに反すれば所在等不明共有者に対し損害賠償責任を負うことになると考えられます。

稲富委員 ありがとうございます。
次に、財産管理制度の見直しについて伺ってまいります。
私の地元は福岡なんですけれども、この所有者不明土地、どちらかというと山林とか放棄耕作地など、何となく郡部というか、都市部には余り関係のないことのように思われるかもしれませんが、実は私の、住宅地なんかも相続がうまくいっていなくて所有者不明のところ、もちろん空き家とセットでそういう問題が実は住宅地にもかなりたくさんあります。なので、今回、この法案は、もちろん多くはそういう大きな、あるいは田舎の方でということかもしれませんが、我々の住宅地の中でも非常に大きな課題というか、適用することがございます。その中でいうと、この財産管理制度の見直しというのは非常に大きいものがございます。
そこで、お伺いをいたします。
この中で、所有者不明土地・建物管理制度の創設がされるということで、所有者に代わって所有者不明土地を売却するなどのために、ここは誰が裁判所に対して管理人の選任を申し立てることができるのかということ。あわせて、管理不全の土地についてでございますが、土地、建物の管理制度の創設がされますが、放置している土地の管理人を選任するよう、誰が、こちらも同じ種類の質問ですが、裁判所に申し立てることができるのか。併せて、誰がというところをお伺いいたします。

小出政府参考人 お答えいたします。
所有者不明土地あるいは所有者不明建物管理命令及び管理不全土地、管理不全建物管理命令の申立て権者につきましては、改正案ではいずれも利害関係人と規定しておりますところ、これには各制度の対象となる土地、建物の性質に応じて、その管理について利害関係を有する者が該当することになると考えられます。
まず、所有者不明土地あるいは建物管理制度は、所有者又はその所在が判明しないために適切な管理が困難になっている土地や建物を対象とするものでございまして、そのような土地や建物の管理について利害関係を有する者が申立て権を有するものと考えられます。
具体的にどのような者がこれに当たるかについてでございますが、個別の事案に応じて裁判所により判断されるものではありますが、一般論としては、例えば公共事業の実施者などの土地の利用、取得を希望する者がこれに当たり得るものと考えられます。
もう一つ、管理不全土地、管理不全建物管理制度は、管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益の侵害又はそのおそれがあるという土地や建物を対象とするものでございまして、そのような土地や建物の管理について利害関係を有する者が申立て権を有するものと考えられます。
どのような者がこれに当たるかにつきましても、個別の事案に応じて裁判所により判断されるものでございますが、一般論としては、例えば、隣地に擁壁が設置されているわけですが、劣化して倒壊して、それによる土砂崩れが生ずるおそれがあるというようなケースで、そのことを主張するその隣地の所有者などはこれに当たり得るものと考えられます。

稲富委員 ありがとうございます。
先ほど山下先生からもごみ屋敷の話がございました。これ、誰が利害関係人かというのは、もちろん隣接しているところの方はそうだとは言える。ただ、その周辺の、町内会の方、どこまでそれが言えるのかということ。あと、それを、本来であればもちろん自治体が、先ほどの御議論ありましたけれども、やればいい。だけれども、それができなくて、町内会で何とかやりたい、何とかしたいという場合、それは利害関係人と言えるのか。そこら辺はいかがですか。

小出政府参考人 個別の事案に応じて、管理不全の方は、他人の権利又は法律上保護される利益の侵害又はそのおそれがあるかどうかというところで判断されることでございまして、ごみ屋敷、あるいは所有者が無関心に放置されているといってもいろいろなケースがございますので、例えば、ごみ屋敷状態で、草が生えて獣が入って悪臭が漂うとか、具体的な意味での隣地に対する影響が出ていればこれに該当するのではないかと思われますが、いずれにいたしましても、この問題につきまして、町内会あるいは自治体も含めて申立て権を認めるかどうか、利害関係に含めるかどうかにつきましては、引き続き議論をして検討していきたいというふうに考えております。

稲富委員 誰がこれを言えるのかということは、要するに利害関係人が、この管理不全土地の対応について誰がこれを裁判所に申し立てられるのかというのは、この法律のまさに大事なことだと思うんですよね。だから、先ほどもちょっと大口先生もおっしゃいましたけれども、何らかの誰がというガイドラインなり何か、誰がこういうことを申し立てられるのかということをどこかで示していただくことはできないでしょうか。

小出政府参考人 利害関係人の範囲につきまして、可能な限り検討して、周知の方法を取りたいというふうに考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
次に、民法の相隣関係規定の見直しについて伺います。
隣地を使用する場合の方法について、隣地のために損害が最も少ないものを選ばなければならないとされておりますが、運用基準はどのようになるのか、お伺いをいたします。

小出政府参考人 お答えいたします。
現行法の下でも、土地の所有者は一定の目的のため必要な範囲内で隣地の使用を請求することができるとされておりますが、その限界等に関する規律は設けられていないわけでございます。
もっとも、隣地使用権の行使は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者の権利を制約し得るものでありまして、現行法上も、隣地の使用が必要である場合であっても、具体的に使用が許される隣地の範囲、使用方法、使用の日時等については、当該隣地使用に必要な限度に限られると考えられております。
そこで、現行法におけるこれらの解釈を明確化する観点から、今回の改正法では、使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者のために損害が最も少ないものを選ばなければならないとしているところでございます。
隣地使用が認められる限度につきましては、具体的な事案に応じて定まるべきものでございまして、現時点において隣地使用に関する限界を示す運用基準等を作成する具体的な予定はありませんが、改正法の趣旨については十分に周知する必要があると認識しておりまして、御指摘を踏まえまして、その周知方法あるいは周知の内容についても今後検討してまいりたいと考えております。

稲富委員 次に、隣地等の円滑、適正な使用という中に、同じく、越境した枝の切取りを認める規律の整備というのがございます。
督促しても越境した枝が切除されない場合などについてどうするかということなんですけれども、今回、越境されている土地の所有者が自ら枝を切り取ることができる仕組みということになりました。その場合の費用を請求することができるということでございますが、費用請求が両者に折り合いがつかない場合はどのように解決をするのか、お伺いをいたします。

小出政府参考人 お答えいたします。
改正案では、竹木の所有者に越境した枝を切除するよう催告したにもかかわらず、相当の期間内に切除されないときなどの一定の場合には、土地所有者が自ら越境した枝を切り取ることができるとしております。
改正案では土地所有者が越境した枝を切り取る場合の費用に関する規律を設けておりませんが、枝が越境して土地所有権を侵害していることや、土地所有者が枝を切り取ることにより竹木の所有者が本来負っている枝の切除義務を免れることになることを踏まえますと、枝の切取り費用は基本的には竹木の所有者が負担することになると考えられます。
最終的には個別の事案ごとに判断されることになりますが、枝の切取り費用の負担について当事者間で合意ができない場合には、土地の所有者は、竹木の所有者に対して、最終的には裁判手続により不法行為に基づく損害の賠償あるいは不当利得の返還を求めることになると考えられます。

稲富委員 これはすごくあると思います。
それで、もう一回ちょっと要件を伺いたいんですけれども、どのような場合に切除をしていいのかということをちょっと分かりやすく、どういう場合がその要件を満たすのかということをもう一度御説明願えますでしょうか。

義家委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

義家委員長 速記を起こしてください。
 小出民事局長。

小出政府参考人 お答えいたします。
 まず、条文の構造といたしましては、「土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。」という条文がございまして、違う項で、この場合において、「次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。」という記載がございます。
 その具体的な内容でございますが、「竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。」「竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。」これが二つ目でございます。最後が「急迫の事情があるとき。」以上の三つの要件を満たすときには土地の所有者はその枝を切り取ることができるという条文になってございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 これは結構、やはり実際ある問題でございますので、また、事実上どういう場合に具体的に当てはめが利くのか、あるいは費用請求の場合、これはかなり多くの場合があると思いますので、そういったことも是非具体的にガイドライン的なものがあればというふうに思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

 
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