国会活動

平成31年3月14日 総務委員会「受信料値下げについて」等

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案件:
■放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
■参考人出頭要求に関する件

江田委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。国民民主党の稲富修二でございます。
 同僚議員の受信料等についての質問が多々ございまして、重なる部分もありますが、質問をさせていただきます。
 まず、受信料値下げについてでございます。この概要について改めて御説明願います。

松坂参考人 お答えいたします。
 受信料の値下げ関係ですけれども、ことしの十月に消費税率が上がった場合でも受信料額を改定しないことによって二%程度の実質値下げ、それから、来年の十月からは二・五%の値下げを予定しておりまして、合わせて四・五%。この値下げの影響ですけれども、二〇二一年度以降は年間三百二十八億円の減収影響があると見ております。

稲富委員 個人としてはどれぐらいの値下げ効果があるんでしょうか。

松坂参考人 ことし十月の受信料額の据置きは、受信料額をそのまま据え置くということでございますが、来年の十月の二・五%の値下げでいいますと、今、口座、クレジット払いの振替で一カ月千二百六十円、受信料がありますが、地上契約の場合は、これが三十五円下がって千二百二十五円、それから衛星契約の場合は、二千三百三十円が六十円下がって二千百七十円というふうに見込んでおります。

稲富委員 この値下げなんですけれども、先ほど来御議論がありましたが、当初の経営計画になかったことを、マイナス、赤字になるとわかっていても実行するわけですが、なぜ値下げをするのか、値下げに踏み切ったのかということを改めてお伺いします。

上田参考人 お答えいたします。
 まず、収入につきましては、公平負担の徹底にしっかりと取り組んできたことに加えまして、おととし平成二十九年十二月の最高裁判決以降、自主的に受信契約を申し出る方がふえたことなどによりまして、当初の計画を上回る形で受信料収入を確保できる見通しになりました。
 一方、支出につきましては、以前は十分に見通せていなかった4K、8K放送への対応や東京オリンピック・パラリンピック対応など、大型の支出への備えに一定程度のめどがつきました。
 今後、世帯数の減少やテレビ保有率の低下など、経営環境が厳しさを増すことを見据えつつ、NHKが果たすべき公共の役割や、中長期の事業計画、収支の見通しなどを真剣に検討し、収支相償の原則にのっとり、受信料の値下げを実施すべきだと判断し、今の三カ年経営計画の修正案を経営委員会に議決していただいた次第であります。

稲富委員 ありがとうございます。
 先ほど、二〇一九年度に関しては、軽減額を含めるとマイナス百三十九億円、そして、フルで軽減がきく二〇二一年度以降は、軽減額、値下げと合わせてマイナス四百二十二億円という御答弁があったかと思います。しかし、これで本当に大丈夫なのかということを率直に思うわけです。
 まず、マイナス四百二十二億円ということは六%に当たるという御答弁がありました。そして、他方で、この間、ずっと赤が続く間は、財政安定のための繰越金を崩しながら維持をして経営をしていくということですが、そのことで理解はよろしいか、伺います。

上田参考人 お答えいたします。
 財政安定のための繰越金というのが今一千億強あるんですが、当面これで収支差金がマイナスになった分は補填していきますけれども、できるだけ早く、先ほど来申し上げていますように、二〇二三年には黒字化し、かつ、一定水準、受信料収入の一〇%強ぐらいの水準を予定いたしておりますが、財政安定化のための繰越金もしっかりと確保できるよう、そういう形で、健全な形にしっかりと戻していくべく、業務改革等を推進してしっかりやっていきたい、こういうふうに考えております。

稲富委員 その繰越金なんですけれども、いただいた資料の収支計画の中でいうと、その一千億の繰越金が、二〇一九年度には八百七十八億、そして二〇二〇年度には六百二十二億ということになるということで、二〇二一年そして二二年も赤字計上で、二三年が黒になるということですけれども、その道行きについてなんですけれども、この間は果たしてどういうふうになるのか、繰越金、そして毎年の収支見通しについてお伺いをいたします。

松坂参考人 お答えいたします。
 三カ年の経営計画を修正しましたものに記載しておりますけれども、来年度については予算を提出しておりますが、三十億円のマイナス、それから、二〇二〇年度については、修正した収支計画では二百十五億円のマイナスということを立てております。
 その先の中期については、あくまでもシミュレーションですけれども想定をいたしまして、二〇二一年度、二二年度は赤字となりますけれども、二〇二三年度は、事業収入が七千七百七十二億で、事業支出が七千八十八億というふうな数字を想定いたしまして、二〇二三年度には八十億を超える黒字に転換するというようなシミュレーションを行いました。
 今後につきましては、赤字については繰越金で対応していきますけれども、受信料の収入の増収を図るとともに、支出、事業規模を一定の水準におさめるように厳正に管理していくということが重要になっていくと思っておりまして、繰越金についても適正な水準の確保にできるだけ早く努めていきたいと思っております。

稲富委員 ありがとうございます。
 二〇二一から二三年に関しては次の経営計画でということ、そういう御答弁だったと思いますが、かなり繰越金が二百億単位でどんどんと減っている姿を見ると、確保しながらということが果たして本当にいくのか、そういう懸念を申し上げたいと思います。
 それと、もう一つ、今回、受信料がふえて、それを視聴者へ還元するという形で値下げをするわけでございますが、値下げをすることの方法以外にも、やはり視聴者への還元の仕方はあると思います。今回、視聴者への還元という意味で、値下げ以外、どのようなことがあったのか、お伝えをお願いします。

松坂参考人 お答えいたします。
 値下げ以外に四つの負担軽減策というのを実施しております。
 具体的には、去年の四月から、社会福祉施設への免除の拡大を行っております。また、ことし二月からは、奨学金を受給されて親元から離れて暮らしていらっしゃる学生の方への受信料免除というのを始めております。ことし四月からは、ホテルや会社などの事業所で多数の契約をいただいております、BS契約をいただいているところに対する割引の拡大。それから、ことしの十月からは、テレビを設置した月の無料化、受信料の設置月の無料化。このような四つの施策を、来年度については七十四億円、その次の年からは九十四億円規模でやることにしております。

稲富委員 そこで、視聴者への還元の方法なんですけれども、受信料収入がふえた、それを、これは総務省にお伺いしたいんですけれども、例えばですけれども、インターネットのNHKオンデマンド等、そういう有料の配信の部分について、そこを軽減するなど、そういった形でより広く、支払いのふえた部分のメリットを享受できるような方法がないのかと思うわけですけれども、総務省の見解を伺います。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。
 委員御指摘のNHKオンデマンドを含みますインターネット活用業務の財源についてでございますが、こちらの方は、放送法に基づきまして、NHKが総務大臣の認可を得てみずから定めるインターネット活用業務の実施基準において規定をするものでございます。
 そして、インターネット活用業務といたしましては、まず、NHKの目的の達成に資するものであること、そしてまた、受信料制度の趣旨に照らして不適切なものでないことなどが求められるものでございまして、委員御指摘の点につきましては、まずNHKにおいてこうした点を踏まえて検討をすべきものであると考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
 やはり、これから受信料がふえるといったときに、それを視聴者にどう還元するかということで、幅広くぜひ考えていただきたいなということを申し上げさせていただきます。
 次に、受信料収入がふえている、それは受信料支払い率が非常によくなっているということでございますが、この間、最高裁の判決前から徐々に徐々によくなっているというわけでございますが、その原因をお伺いをいたします。

松原参考人 お答えいたします。
 近年における受信料収入の安定的な増加は、契約収納体制の整備、訪問によらない契約収納活動の促進、公共企業等との連携など、営業改革を着実に進めるとともに、全役職員挙げて受信料制度の理解促進活動に取り組んできた成果だというふうに考えています。
 平成三十年度における受信料収入の増加は、今申し上げたこれまでのこうした取組に加えて、平成二十九年十二月の最高裁判決が大きく影響したと考えています。
 引き続き、より効率的な体制、手法による契約収納活動など、営業改革を更に推進して、受信料収入の確保に最大限努力していきたいというふうに思います。

稲富委員 今回の経営計画、二〇一八から二〇二〇年の中で、二〇二〇年には八三%を目指すと。その先なんですけれども、先ほどもこの場で議論がありましたけれども、どこまで、何%ぐらいまで目指すのか、お伺いをいたします。

松原参考人 お答えします。
 今の経営計画では、二〇二〇年度末に八四%の支払い率を目指してやっていくということを決めておりますけれども、今後は、更に世帯数やテレビ保有率の減少、営業環境がますます厳しくなるという認識を持っています。
 将来的な受信料支払い率については、その時点の社会経済状況とか営業を取り巻く環境等を見きわめた上で、適切に計画をしていきたいというふうに思います。

稲富委員 そこでなんですけれども、先ほどの事業のこれからの収支のことにもかかわるんですけれども、フルで軽減がきいたときは約六%に当たるマイナス四百二十二億円の還元がある、八四%までは計画を立てているということですけれども、今、約八割とすれば、単純に言って八六%あるいは八七%ぐらいまでいかないとどうしてもマイナスにならざるを得ないということかと思うんですね。
 ですので、これはまだ答えられないということなんですけれども、ただ、一方で、八割の徴収率というんでしょうか支払い率というのは、かなり私は、本当に営業努力で高くなったなという感じがします。さらに八十後半に差しかかるというのは、相当の努力になろうかと。そうでなければ、毎年赤字を計上せざるを得なく、あるいは繰越金を取り崩さざるを得なくなるということで、その点が非常に見えないところかなということを今回は指摘をさせていただきたいと思います。
 そこで、支払い率が地域間で随分とこれは違います。地域間で違う格差と、それを解消するための取組についてお伺いをいたします。

松原参考人 お答えいたします。
 支払い率の地域格差についてですが、受信料の支払い率については大都市圏で低い傾向にあります。大都市圏では、世帯の移動が多いこと、単身世帯やオートロックマンションなどの集合住宅の割合が非常に高くて、面接自体が難しいことなどが影響しているというふうに考えています。
 こうした大都市圏において支払い率を向上させていくということは、NHKの重要課題の一つというふうに考えておりまして、公共企業との連携の強化とか、なかなかお会いできないので、専用資材を活用したポスティング対策、訪問によらないさまざまな契約収納活動の促進とか、法人委託の拡大等、契約収納活動の一層の充実を図って、受信料制度に対する理解を深めてもらうための広報活動なども含めて、総合的に対策を強化していきたいというふうに思います。

稲富委員 ありがとうございます。
 都市部においては非常に支払い率が低くなる傾向にあるということ、非常にそうだなと思うわけです。
 全国的に見ても都道府県によっては随分とその差があって、全国的には七九・七%の支払い率で、我が福岡はその若干下のところにあって、これは、今おっしゃっていただいたように、営業の形を随分と変えて御努力をされてきたということでございますので、先ほど申し上げた八十後半に向けてということになると、さらなる努力ということになりますが、この点のお取組も更に進めていただきたいと思います。
 片方で、消費者センターに受信料徴収に関する相談件数というのも毎年ふえているということなんですけれども、その実情と、そのふえている内容について、どのような相談がふえているのか、お伺いをいたします。

松原参考人 お答えいたします。
 消費者センターに寄せられている相談のうち多いのは、訪問員のマナーや説明内容に関するものと、あとは受信料制度とか支払い等に関するものというふうに承知をしています。
 訪問要員に関する相談が多い主な理由としては、特に業務を開始して間もない訪問要員の業務知識の不足や対応マナーの未熟さがあるというふうに考えています。
 このため、今、営業部門では、最優先の課題として、訪問要員に対して、訪問マナーやコンプライアンス意識の徹底を促す講習会とか研修、あるいは職員が現地でお客様対応の指導を行うというような取組を行っています。
 今後も、訪問員の教育指導を更に徹底をして、丁寧な説明、クレームの発生の抑止に努めていきたいというふうに思います。

稲富委員 ありがとうございます。
 次に、新放送センターの建てかえなんですけれども、先ほど二〇三六年からということがございましたが、この稼働はいつになるのか。分けての工期かと伺いましたが、いつから稼働するのかということを改めて伺います。

松坂参考人 お答えいたします。
 渋谷の放送センターの建てかえですけれども、東京オリンピック・パラリンピックが終わった後に工事を始めまして、最初に、第一期工事ですが、報道機能を中心とする情報棟というのを建設いたします。これの運用開始は二〇二五年度中を予定しております。
 それ以降、第二期以降ですけれども、スタジオや事務部門の機能などが入る制作事務棟ですとか、公開機能を担う公開棟などを順次建設してまいります。それらの工期が終わるのは二〇三六年を予定しているというところでございますが、二〇二五年で情報棟の運用が始まって、二〇三〇年でかなりの部分の機能が担えるのではないかと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
 時間が迫ってまいりましたので、最後、上田会長に質問させていただきたいと思います。
 日本社会そのものが成熟化し、人口が減って、先ほど来ありましたように、視聴者が減っていくということが当然予想されております。やはり全体としては、我が国は二〇四〇年に向けて、これから少子高齢化の社会のありようが大きく変わるということで、その二〇四〇年に向けて、いろいろな仕組みをもう一度考えようということをこの総務委員会でも議論をさせていただいているところです。
 そういった意味でいうと、より中長期のところでいうと、今の七千億という大きな、この巨大な経営体をどういうふうにそこに向けて、ある意味、縮めていくかと言うと失礼かもしれませんが、どうやって経営を、ピークをどこに持っていくのかということなんですけれども、会長のお考えをお伺いします。

上田参考人 お答えいたします。
 世帯数の減少とか、それからテレビの保有率の低下など、今後の経営環境は厳しさを増すということは十分に認識いたしております。将来にわたって効率的、効果的で持続可能な業務体制を構築していくために、全役員で構成する業務改革推進会議を改革のエンジンとして、NHKグループ一体で業務改革に取り組んでおります。
 最高水準の放送サービスを実現する東京オリンピック・パラリンピックのあります二〇二〇年度をピークとして、それ以降の事業規模、事業支出を一定の適正な水準におさめるよう、厳正に管理してまいりたいというふうに考えております。

稲富委員 もう一つお伺いします。
 やはりNHKは民間とどう違うのかということなんですけれども、先ほど会長は、業務改革、そして職員のやりがいを喚起することが非常に大事なんだということを別の方のところの答弁でおっしゃいました。同時に、やはり、どう視聴者の方に喜んでいただくかといいますか、お客様目線で考えると、それが必要だというふうに思うわけです。
 そういったときに、NHKの役割は民間放送と何が違うのかということと、もう一つは、先ほど来あったように、インターネット等の同時配信も始まるという中で、NHKのありよう、役割、そして民間放送との違いは一体何なのかということを、会長の基本的な考えをお伺いをいたします。

上田参考人 お答えいたします。
 現在の三カ年経営計画の中で、六つの公共的価値の実現を追求し、公共メディアへの進化を目指すことを明記いたしております。
 これからの時代、世界や日本の課題を広く共有し、正確な情報で人と人をつなぐメディアの公共的な役割はますます重要になると考えておりまして、また、大規模災害時には、多様な伝送路を活用し、一人でも多くの人に命を守るための情報を届けることは、NHKの最も大事な公共的使命だというふうに考えております。
 放送を太い幹としつつインターネットも活用して、信頼される情報の社会的基盤、こういった役割をしっかり果たしてまいりたいというふうに考えております。

稲富委員 ありがとうございました。
 先ほど、防災報道の充実ということ、ぜひこれは充実していただきたいのと、来年、オリンピック、パラリンピックがある、これも充実させるという中で、ぜひパラリンピックについてより充実した報道を御要望申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

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