案件:
■厚生労働関係の基本施策に関する件(障害者雇用について)
冨岡委員長 次に、稲富修二君。
稲富委員 国民民主党の稲富修二と申します。
きょうは、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
先ほど来ございました障害者雇用の水増しの問題について、まずは御質問させていただきます。
けさの午前中の参考人から、五人の方からさまざまな陳述をいただきました。その他の委員からもありましたように、今のこの検証のやり直しをすべきではないか。あるいは、これから来年度末に向けての障害者雇用をふやすということについて、拙速であってはならない、あるいは数合わせであってはならない。あるいは、大変厳しい言葉もありましたけれども、水増しではない、もうこれは偽装だ、そういう厳しい言葉もございました。あるいは、やはり公務部門においても何らかのペナルティーが必要なんじゃないかということ、これは、全員ではございませんでしたが、一部の方からもございました。再発防止としては、やはり意識の向上が必要であるということでございます。
先ほど初鹿委員からもさまざま御指摘がありましたけれども、まず、検証について改めてお伺いをしたいと思うんです。
この検証の中で、やはり、るる御指摘があったように、公務で働いている方の声を聞くべき、あるいはその検証の報告書の中で、意識が低いだとか、関心がないだとか低いとか、ずさんという言葉があるけれども、きょう参考人の方がおっしゃっておりましたが、なぜ意識が低いのか、なぜ関心が低いのか、そこが最も大事なんだ、そこのところの検証がないということであれば、これは検証としての価値がないという御指摘がございました。
結果として、この報告書の中では、障害者の範囲、確認方法を恣意的に解釈し、独自の実務慣行を安易な前例踏襲により引き継いできたとされておりますけれども、最終的には、結果として、水増し計上は、先ほど初鹿議員からも御指摘がありましたように、意図的なものとは認定されなかったというのが結論でございます。
しかし、やはり、大規模かつ長期間にわたってこれほど、先ほどあったように退職した職員まで計上しているということは、意図的ではないというのは余りに無理がある、不自然だと思います。
改めて大臣にお伺いをしたいんですが、この検証についてもう一度やり直す、その気持ちはないか、改めてお伺いします。
〔委員長退席、大串(正)委員長代理着席〕
根本国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、今回の検証委員会、検証委員会は、第三者機関を設置して、福岡高検の検事長も務められた松井委員長をトップに、弁護士などの有識者から構成され、第三者の立場から専門的な知見で検証していただきました。
検証委員会からは、委員話があったように、厚生労働省の問題、職業安定局の問題と各行政機関側の問題が相まって大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至ったものと言わざるを得ないと厳しく指摘されております。私も極めて遺憾だと思います。
しかも、障害のある方の雇用や活躍の場の拡大を民間に率先して進めていくべき国の行政機関の多くで法定雇用率が達成されていない状況が長年にわたって継続していた、これは極めて私はゆゆしき事態であると思います。
そして、不適切計上の方法に特異性が認められる行政機関、これも、報告書によると、法令の勝手な解釈だとか、まことにずさんな事務処理だとか、あるいは障害者の雇用促進に向けての真摯な努力がなされてきたかについて甚だ疑問を抱かざるを得ないという大変厳しい指摘がされております。私も全くそのとおりだと思います。
そして、今回の検証においては、各行政機関において、検証委員会の調査への対応を職務として命じられました。職務として命じられている中で、可能な限り過去の担当者や記録にさかのぼって実態把握を行いました。そしてなお、意図的に不適切な対応を行った例は把握していない、その旨が報告書に記載されております。
私は、検証委員会、例えば、七日間、延べ、三十五時間徹底的にやっているし、あるいは専門委員の方がそれぞれ各省庁とヒアリングをして、書面調査そしてヒアリング調査、そして、問題がありそうなやつは、またそこは直接徹底的にやっていただきました。その意味で私は、検証委員会の目的は実態と原因を明らかにするという目的でありますので、どうしてこういうことが起こったかという基本的な構図、るる報告書に書かれておりますが、私は、そこは検証委員会として役割を果たしていたものと考えております。
稲富委員 御説明をさまざまいただきましたけれども、もう一度伺います。
例えば、退職をした職員を計上している、先ほど初鹿議員からもありましたように、さまざまな事象を客観的に、大臣、この場で先ほどお聞きになって、これが意図的ではなかったということを本当にお感じになるのかどうか、お伺いをいたします。
根本国務大臣 お話をさせていただきたいと思います。
意図的かどうか。これは、それぞれの行政は職務として命じられていますから、ちゃんとした答えをしなければいけない、職務命令違反になりますから。その中で、過去の担当者や記録にさかのぼって実態把握を行った、意図的に不適切な対応を行った例は把握していないとの回答がなされております。
このトップである松井委員長、意図的かどうか、それをどう考えるかという意味では、松井委員長は、意図的とは、法令やルールに反して許されないものであると認識しながらあえて計上したものと整理をしております。私も、これは、検証委員会の福岡高検長まで務められた松井委員長が会見においてそういうことを整理をして言っておられて、そういう観点からすると、意図的に不適切な対応を行った例は把握していないという検証委員会の報告がなされていると思います。
稲富委員 なかなか私の御質問に答えていただけないというか、福岡高検長だからこうだろうと言われても、なかなか、大臣、そうですねと言えないわけでございます。
というのは、中央省庁の旗振り役の省庁が水増しを行っているということからこの問題は発しているわけで、中央省庁に対する信頼が本来ではある、あるいはそういった肩書のある方には信頼があるという中でこれが起こっているからこそ、これって本当にどうなのかということを政治家としての大臣にお伺いをしたかったわけでございます。
それを踏まえて、厚生労働省では大臣による事務次官及び職業安定局への注意と指導が行われたというふうに伺っておりますが、他の府省の一部も同様の方針であるというふうに報道されております。違法行為でないこと、あるいは個人に責任を負わせるのは難しいとの判断かと存じますが、やはり事は、私はかなり悪質だと思います。改めて、この責任の所在、あるいは厳正に対処をするということが必要ないのか、大臣にお伺いをいたします。
根本国務大臣 障害のある方の雇用や活躍の場の拡大、これを国は民間に率先して進めていくべき、この国の行政機関の多くで法定雇用率が達成されていない状況、これが長年にわたって継続していたこと、私は極めてゆゆしい事態だと思います。
特に、不適切計上の方法に特異性が見られる行政機関、もう先ほど申し上げましたが、法令の勝手な解釈とか、まことにずさんな事務処理等々、大変厳しい指摘がなされており、私も全くそのとおりだと思います。
この意味で、私は、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至ったとされたこと、極めて遺憾であり、深く反省するとともに、改めておわびを申し上げます。
そして、私自身も含め、今般の事態を深く反省し、再発防止に取り組むことはもとより、障害のある方々が働きがいを感じられ、持てる力を最大に発揮できるように、全力で取り組んで責任を果たしていきたいと思います。
この点についての、今回の事案について、総理から私を含む各大臣へ指示があった。これは直接行われたものであって、私自身、重く受けとめておりますし、また、厚生労働省においての注意、指導、これは、人事権者である私から事務次官、職業安定局長へ直接行いました。これは極めて重いと思います。
このような重みをしっかりと受けとめて、今後、全力で取り組むことで責任を果たしていきたいと思います。
稲富委員 責任の所在と厳正なる処分が必要ではないかということをお伺いしているわけですが、結論的には、それはないということかと今受け取らせていただきました。
そこで、先ほど午前中の参考人の皆様から共通して心配をしている声がございました。それは、来年度に向けて約四千名の雇用をする、全省庁を挙げて四千名の雇用をするということに関してでございました。
これはなかなか厳しい数字であろうという御指摘もありましたし、それぞれの省庁が目的を持ってやるんだろうと思います。私は、数字は恐らく達成するんだろうと正直思っております。ただ、皆様が不安に、あるいは御指摘があったのは、やはり、民間から人材が流出するのではないか、あるいは国と民間の間で人材のとり合いになるのではないか、ただの四千人という数合わせであれば、これは一旦勤めたとしても定着をしないのではないかという危惧でございます。
先ほど大臣は他の御質問の中で、速やかに法定雇用率を達成することが必要だということ、これは法律上そうなんでしょうけれども、おっしゃいました。しかし、四千人という規模でございます。本当に達成するとしたときに、今申し上げた民間の団体からの危惧の念や懸念、本当にこれが実際大丈夫なのかということ。これは、ごめんなさい、午前中の陳述の中での私の質問でございますので通告はできておりませんが、もしお答えができるのであればお答えを賜れればと思います。
〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕
根本国務大臣 四千人、果たして達成できるのかという御質問であります。
障害者雇用促進法、これは委員からもお話がありました、法定雇用率を達成していない公的機関、これは法定雇用率の達成に向けた障害者採用計画をつくらなければならない、法律に規定されております。そして、その計画期間は、関係法令により一年間とされております。
厚生労働省としても、各府省の取組を最大限支援をしていきたい。例えば、障害者雇用に精通したアドバイザーを選任して各省庁に専門的な助言をする。あるいは、ハローワークにおける積極的な職業紹介。
各府省においても、我々厚労省の支援を活用しながら、採用計画が着実に進捗するように最大限努力してもらいたい、すべきだと思います。
確かに、三十一年末までに採用できるか、これは、率直に申し上げて容易なことではなく、相当な困難を伴う面もありますが、まずは、関係法令に沿って取組を開始し、進捗状況や課題について関係閣僚会議でフォローアップしながら、政府一体となって取り組んでいきたいと思います。
そして、民間の皆さんとの、国あるいは自治体が採用する場合に、今委員が、そこは大丈夫か、そういうお話でしたよね、とり合い。
今般の事態を受けた取組によって公務部門における障害者雇用の需要がふえる、これは事実であります。それによって民間との競合が起きないように対応していくことが私も本当に重要だなと思います。
その意味で、厚生労働省としては、現在就職が実現していないハローワークの求職者、あるいは障害者就労支援機関の利用者、特別支援学校の卒業生などに対して、ハローワークと関係諸機関との連携により、やはりこれは障害者御本人の希望が大事ですから、その希望に沿って、これまで以上にきめ細かな職業相談や職業紹介などのサービスを行っていきたいと思います。
こういうことを通じて、障害者の就職促進や職場定着、官民問わず進展して、全体として障害者雇用の底上げが図られるように最大限の努力をしていきたいと思います。
稲富委員 私は、個人的には四千人というのを達成すべしと思って実は申し上げているわけではないんですよね。そのことを目標にする結果として、民間にいらっしゃる、今現に働いていらっしゃる、あるいは職を探そうとしていらっしゃる方の雇用を国が奪うことになるんじゃないかということから、むしろ、四千人という来年度の法定されている目標を変えるべきだという立場から私は申し上げております。
長年にわたってこれだけ、偽装と言われるような、要するに水増しが行われてきたわけで、それを来年度に全部一挙に解消しようというのがどだい、私は無理な話で、これまで法律を守っていなかったのに、この法律だけは守らなきゃいけない、来年まではということに、むしろ無理があると思います。率直に、現状の中で何ができるのかということを話をしないと、四千人国で抱えて、その結果として、周りの民間団体等が雇用を奪われ、そして雇用をむしろ剥がされるようなことがあっては、国としての責任は極めて大きくなると思います。
改めて問います。大臣、四千人というのは法定をされているから仕方ないんだ、来年度に向けて、来年度末にやるんだとおっしゃっておりますが、これは考え直すべきじゃないですか。
根本国務大臣 障害者雇用促進法、先ほど私が申し上げました、法定雇用率を達成していない公的機関、これは障害者採用計画をつくらなければいけない。これは法律上の義務であります。そして、その計画期間が、関係法令により一年間とされております。ですから、我々も最大限支援をしていきたいと思いますが、委員も御懸念のように、三十一年末までに採用する、これは確かに容易なことではないし、相当な困難を伴う面もありますが、まずは、関係法令に沿って取組を開始して、進捗状況や課題について関係閣僚会議などでフォローアップしながら、政府一体となって取り組みたいと思います。
その上でなお法定雇用率を達成できない府省がある場合には、その要因が何であるか、どのような課題があるか、これを検証した上で、具体的な取組を再検討して、新たな採用計画を策定して進めていくということで対応していきたいと思います。
稲富委員 最後に申し上げます。
これは、先ほど申し上げましたように、結果として、民間に雇用されるべき方が、国がその雇用を剥がすようなことになってしまう可能性があるんじゃないかということです。
この障害者の水増しの問題によって、国は、障害者団体あるいは障害のある方を一度裏切っているわけでございます。そして、今度、また新たに雇用するということになって、そして、仮に国が四千人雇用をやるといったときに、今度は民間団体から障害者の方を、雇用を奪うということになれば、これは、二重三重に、国として、団体、障害のある方を私は裏切る行為になるんじゃないかと思うんです。だから、再々にわたって今指摘をさせていただきました。
ぜひ、これは、法律があるからというのであれば法律を変えればいいだけの話でございますので、私は改めて申し上げさせていただきます。
もう一つ、ペナルティーに対してでございます。
先ほど西村議員からもありましたけれども、私もこれはやはり必要ではないかと思います。率直に言って、やはり、民間企業の方からすると、納付金という義務が課され、しかし、他方で、国としては、先ほど大臣からも、なぜそれが無理なのかという御答弁がございましたけれども、その御答弁をそのまま民間企業の方に言ったら、ああ、そうだね、それはそうや、国はそれはせぬでいいとはならないと思います。
とてもじゃないけれども、国にはペナルティーはない、そして民間にはこれが強いられるということ、やはりそれをもっと、もう一度申し上げますけれども、なぜそうなのかということを、私にというか、民間企業の方にわかるように説明していただけませんか。
根本国務大臣 国の機関への納付金制度の適用、まずは、先ほども申し上げましたが、この納付金制度がどうしてつくられたか。これはたしか、昭和五十一年度の法改正で、法定雇用率というものを導入した際に、民間に対しての、努力義務から義務化されましたが、そのときに、やはり、障害者雇用ですから、これは社会連帯の発想、考え方に基づくものだろうと思いますが、これはある意味で、障害者の雇用に伴う経済負担を調整して事業主間の公正な競争条件を確保しようとする、そういうことで導入されて、まあ、法令の解釈によると、共同拠出金の制度のようなものではないかと思います。
その意味で、経済的負担の調整と公正な競争条件を確保しようとすることで導入されましたので、この制度の趣旨からすると、これを国の機関に導入する、適用するというのは、私はなじまないのではないかと。
やはり、国は民間に率先してこの問題に取り組む立場がありますから、法定雇用率を達成していない状況を速やかに解消することが重要であると考えており、これは、政府一体として、国の機関の法定雇用率の達成、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
稲富委員 ペナルティーがなぜ国にないのか、それを一般企業の方にもわかるように御説明をと申し上げたんですけれども、なかなか難しいかなという感想を思いました。
改めて申し上げますが、これは他の、フランス、ドイツでもやっていらっしゃるということでありますので、ぜひ研究の一つのテーマとして取り上げていただければと思います。
時間がもう迫ってまいりましたので、次の技能実習生のことにちょっと移らせていただきます。
昨日、本会議でも幾度も取り上げられてまいりましたが、失踪した外国人技能実習生の聞き取り調査の件でございます。
誤った集計、失踪動機のごまかし等があったのは、指摘をされてきました。ここでは、そのずさんな問題ではなくて、技能実習生の労働実態についてお伺いをしたいと思います。
法務省の調査結果によれば、失踪動機のうち、低賃金が六七・二%で最大であった、そして、月給は半数以上が十万円以下というふうに回答をされております。
労働行政の責任者たる厚生労働省として、この外国人技能実習生について、その失踪者が二〇一七年に七千八十九人いたということを御存じだったでしょうか、把握していらっしゃったでしょうか。お伺いをいたします。
根本国務大臣 これは、法務省が調査していると思います。その意味では、厚生労働省としても、その事実については把握をしております。(稲富委員「最後、語尾が聞こえませんでした。ごめんなさい」と呼ぶ)その事実については把握をしている、把握をしております。
稲富委員 それでは、その主要な理由が低賃金ということであったということは、そこは、もちろん法務省の調査ではありますが、要するに、労働行政をつかさどる厚生労働省として把握をしているかということをお伺いいたします。
吉本政府参考人 答弁申し上げます。
ただいま御指摘のございました調査の内容につきましては、法務省入国管理局におきまして、失踪者で行方がわかった方々についての聞き取りという形で聴取をしているものでございます。
その内容につきましては、法務省の集計によりまして、私どもも承知をしております。
稲富委員 ということは、二〇一六年にはその失踪者が五千五十八人だったということも、法務省が調査した結果を厚労省として理解をしているのかということをお伺いします。
吉本政府参考人 答弁申し上げます。
過去、暦年において何人だったかといった人数については、法務省から聞いて承知をしております。
稲富委員 ということは、おととしから去年にかけて失踪者が二千人ふえたということは把握をしていた、理解をしていたということかと思いますが、それに対して厚労省として、この労働環境が悪いのではないかということから何か対処をしたのか、何もしなかったのか、それについてお伺いします。
吉本政府参考人 昨年の十月、十一月に新しい技能実習制度が施行になっておりますので、それの中で新しい取組をしているところでございます。
具体的に申し上げますと、監理団体の許可制、それから個別の計画の認定ということはもちろんでございますが、その後、実際にきちんとそれに沿った実習が行われているかどうかということについて、外国人技能実習機構の方から計画的に実地調査、実地検査を行いまして、その実態を把握し、必要な改善指示など行ってきているところでございます。
稲富委員 今、何か対処をしたのかという質問をさせていただいたんですけれども、少し明確ではなかったかなと思います。
技能実習生は、今、七千人が注目されていますけれども、二十六万人いらっしゃいます。やはり、その労働環境がどうなのかということは、厚生労働省として、これは、法務省は入管として、そして厚生労働省としてその労働環境がどうなのかということは私は調べる必要があるのでないか、あるいは、理解をする、あるいは調べようとすることが必要なんじゃないかなというふうに思います。
済みません。時間となりましたので、きょう、子ども・子育ても御質問させていただこうと思っていたんですが、政務官、参考人、済みません。
御質問させていただきまして、ありがとうございました。
以上で終わります。