国会活動

【議事録・動画】令和3年2月8日 衆議院 予算委員会「大学生支援について」等

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案件:
■大学生支援について
■生活困窮者に対する支援について

稲富委員 立憲民主党の稲富でございます。
 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 これまで、当予算委員会では、コロナの影響を受ける様々な議論がされましたが、今日は、まず、大学生の支援についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 現在、まさに大学入試の真っ最中で、また、卒業を間近に控えた大学生は、卒業旅行なし、あるいは謝恩会も控えるようにということも言われております。卒業旅行なしということだけが取り上げられますけれども、大学生にとっても忍耐の一年だったと思います。
 全てオンライン、遠隔授業、この一年間一度も大学に行っていないという学生もいます。サークル活動も数回、友達に会うこともほとんどないという学生の生活でございます。一年生は、大学に入ってから、もちろん友達と会う機会もない、相談する相手もいない。二年生であれば、やっと学校に入って、二年目に例えば海外で留学を考えていたということがあっても、全部なくなった。一方で、小中学校、義務教育は学校が再開をしている。大学生はオンライン中心になっている。最もコロナの打撃を受けた、影響を受けたのが大学生、専門学校生と言っても過言ではないと思います。
 資料一を御覧ください。
 これは、先日、同僚の菊田議員が少し触れましたけれども、筑波大学、一月二十二日の食料支援の事業でございますが、総理に伺います。このニュース、映像で御覧いただいたでしょうか。

菅内閣総理大臣 見ています。

稲富委員 どうお感じになられましたでしょうか。

菅内閣総理大臣 御指摘の映像は、近隣の企業などから食料品の提供を受け、配布を行っている、筑波大学の支援の取組を紹介した番組だというふうに承知しています。
 学生に寄り添った、特色ある取組だなというふうに思いました。

稲富委員 ありがとうございます。
私は、これは美談の部分もあるけれども、非常に、学生さんが並んでいる、ああいう状況は、もちろん学生ですから、私もそうでしたけれども、決して豊かではない、あるいは困ることもある、だけれども、私にとっては物すごくショッキングな映像でした。
そこで、文科大臣に伺います。このコロナ禍において、大学生の経済状況や学修の状況など、どう把握されているかお伺いします。

萩生田国務大臣 お答えします。
学生の昨年四月から十月までの修学の状況を調査した結果、大学の中途退学者数については令和元年度よりやや少なく、休学者数についても大きな変化は見られていない状況となっています。一方で、学生等の修学状況等については、なお予断を許さない状況が続くため、引き続き注視していく必要があると考えており、現在、昨年十二月時点の状況についても調査を行い、集計をしているところです。
文科省としては、高等教育の修学支援新制度や貸与型奨学金において、家計が急変した学生への支援を行うとともに、学生の“学びの支援”緊急パッケージを昨年十二月に改定し、無利子奨学金の充実などを行っており、引き続きしっかり支援をしてまいりたいと思っております。

稲富委員 今大臣おっしゃった、恐らく、資料二ページを御覧ください、新型コロナウイルスの影響を受けた学生への支援状況等に関する調査というのを十二月二日時点でされている。結果として、中途退学者も休学者もほとんど昨年と変わらないということでございました。
 他方で、資料五ページからを御覧いただければと思います。これは、あしなが育英会が調査をした結果でございます。例えば、五ページでいきますと、右側に行きますと、今年度における今後のあなたの収入について考えるといったときに、不安だ、非常に不安というのが七四・二%。次のページ、六ページに行きますと、左側が、コロナ禍以降のあなたの学生生活については、不満、非常に不満が合わせて六〇・三%。そして、右側に行きますと、退学を考えたことがあるのかという質問に対しては二五・七%ということで、四分の一が考えたことがあるということでございます。
 対象者も違いますし、調査の仕方も違います。しかし、先ほど筑波大学のことを申し上げましたけれども、現場の、あるいは学生の生活を直接聞くと、今大臣がおっしゃったことと、このあしなが育英会の調査と、あるいは報道されていることが、余りにも私にはかけ離れていると思います。
 なぜ、こういう違う、何というんでしょうか、調査結果といいますか、これだけ違うように映るのか。どう分析されているのか、大臣にまず伺います。

萩生田国務大臣 大切な視点だと思います。
 先生、冒頭に、今年一年を振り返って、多くの学生がキャンパスに通うこともできなかった、大変寂しい思いをして、中にはこの年末や年度末に休学を申し出る学生がいる、こういう実態も含めてお話をいただきました。
 他方、大学に調査をかけると、多くの学生がオンライン授業に満足しているという結果が上がってきてしまうんです。したがって、学校経由で物事を聞きますと、どちらかというと学校の判断の基準で返ってくる可能性がありますし、学生の生の声を聞くとまた違った声が返ってきます。学校は学生に対して、オンライン授業に満足していますかということを、名前や学生番号を書いてアンケートに答えろと言われれば、学生さんは、納得している、理解していると書かなければ単位がもらえないんじゃないかという恐怖心を持っているということを、私どもの方に申し出てきた子もいました。
 したがって、本当はすごい不満なんですけれども、しかし我慢をしている、納得しているというアンケート結果が多くなると、学校は胸を張って、うちの学生はオンライン授業に満足している、こういう結果が文科省に上がってきてしまいますので、先生御心配の生活実態についても、これは学校経由もやっていますし、直接、現場もきちんと抽出をしながら、学生の困窮状態も含めてしっかりウォッチをしていきたい、こう思っております。

稲富委員 ありがとうございます。
 今大臣がおっしゃったところでいえば、学校経由と学生の実感が違う、違うものが上がってくるというのは、まさにそのとおりでございます。
 この文科省の、先ほどの二ページの資料を見ますと、大臣おっしゃったように、これはまさに大学あるいは高等専門学校に対象を置いて調査をしているわけです。
 そして、これが私、非常に、十分にその実情を表していないのは、まず、対象が、大学に聞いているということと、あと、三ページを御覧いただければ、例えば、経済的に困難な学生を支援するための、授業料の、様々な措置を講じているかといって一から五まで答えさせるんですけれども、当然、何らかのことはやっているわけですよね。だから、八六・四%が何らかをやっていると答える。
 四ページ目に行きますと、問十七に行きますと、様々な文科省の支援パッケージを取りまとめて、これが学生の退学や休学の防止などに効果があるかという質問なんですけれども、当然、何らかのことをすれば効果があるということで、効果がありというのが七八・一%だといって、非常に効果が高いかのように出ているわけです。
 私は、先ほど文科大臣おっしゃいましたけれども、じゃ、学生の実態、学生の生の声というのが書いてある調査、これを是非、国としてやはり出していただきたいと思うんです。直接、学生の生の声を聞いて、何に困っているか、現場の声、それを取り上げたものを、私は是非調査をして、上げていただきたいと思います。
 これだと、この国のやつであれば、とにかく、いろいろな施策はした、退学も休学も考えていない、うまくいっていると言わんばかりの結果でありますので、総理、文科省は、この調査であれば、ちゃんとやっているということになるんですよ。だけれども、実際は、学生の生活を見ると違うんですよ。総理、学生に直接、生の声を聞くような調査を是非していただきたいと思うんですが、いかがですか。学生の声です。直接の声です。現場の声を聞いてほしいです。

菅内閣総理大臣 当然、大臣もそうやられると思いますし、私もやるべきだと思います。

稲富委員 文科大臣、今ありますか、これ。じゃ、学生の直接の声を聞いた何か、調査結果。

萩生田国務大臣 文部科学省として取りまとめをして、先生方に御披露するような資料というものはないんですね。
 私がさっき申し上げたのは、文科省でやっているアンケートというのは大学経由で行うものですから、多少大学の視点のものが上がってきて、ただ、念のため申し上げておきますけれども、これは困窮調査じゃなくて、修学を諦めることがないようにということで中退や休学申請の調査をしたときのアンケート用紙なので、もっときめ細かく現場を聞かなきゃいけないという問題意識は持っています。
 それから、我々の元に直接来る学生からのお申出、それから民間の企業や団体などを通じたアンケート調査の結果を提供していただく、こういったことを総合的に考えて、実態と合っていないということを私自身は承知をしていますということを先生にお答えをしました。
 今後、今年はまず、とにかく、このコロナで学校をやめちゃいけない、続けてくれ、こういう中で大学と連携を取ってきましたけれども、こういう状況がしばらく続くとすれば、学生の皆さんの生活実態については更にきめ細かく調査をする必要があると思っておりますので、何らかの形で資料をまとめて、またいずれかの時期に報告したいと思っております。

稲富委員 それでは、委員長にお願いいたします。
 今おっしゃった、何らかの形で報告したいということですので、当委員会に是非御提出をお願いしたいと思います。

金田委員長 ただいまの件は、理事会で協議をしていきます。

稲富委員 次に、対面授業と遠隔授業について伺います。
 文科省としては、リモート授業がほとんどだったという生徒さんもたくさんいらっしゃいました、現在の状況、今後に向けた具体的な取組についてまず伺います。

萩生田国務大臣 昨年九月に結果を公表した本年度後期の授業の実施方針に関する調査では、ほぼ全ての大学が何らかの程度で対面による授業を実施する予定となっていた一方、約四割の大学において対面授業の割合が半分未満となる見込みとの回答でありました。
 その後、これらの約四割の大学の実際の授業の状況等を調査したところ、そのうちの約半数が対面授業の割合を半分以上に拡大しており、残りの半数も、学生への丁寧な説明など、学生の理解、納得を得るための工夫をしているとの結果が得られました。
 文科省としては、大学教育において豊かな人間性を涵養するためには、学生同士や学生と教職員の間での対面による交流が行われることも重要な要素であると考えております。このため、各大学に対しては、累次にわたり、十分な感染対策を講じた上での対面授業の実施を検討することを要請するとともに、感染症対策と対面授業を両立している好事例の収集、発信等に取り組んでまいりました。
 他方、依然として対面授業が十分に実施されていないことや、キャンパスが十分に利用できないことについて、特に今年度新たに入学した一年生等から不安の声も聞こえてくるところです。
 文科省としては、各大学等がしっかりと感染対策を講じつつ、学生の学修機会を確保できるよう、感染の状況も見極めながら、引き続き、各大学等に対して必要な助言や支援を行ってまいりたいと思います。

稲富委員 このリモート関係で、第一次補正予算で二十七億円、第二次補正予算で七十三億円で、大学等における遠隔授業の環境構築の加速による学修機会の確保という予算がありますが、これらの使い方について、どのように学生にとってそれが環境整備に役立ったか、それは何か調査はありますか。

萩生田国務大臣 この予算の中では、遠隔授業の環境整備に必要な経費として、令和二年度第一次、第二次補正予算において合わせて百億円を計上し、大学や専門学校等の支援を行っております。
 各大学等に対しては、これらの予算を活用し、特に学生に貸し出すためのモバイルルーターやタブレットなどを整備することにより、学生側の通信環境等への十分な配慮をお願いしています。また、遠隔授業等で不安を抱える学生の心のケアのため、各大学等には、学生の悩みや不安に寄り添ったきめ細かな対応をお願いしています。
 今後とも、遠隔授業の場合であっても学生が安心して学びに打ち込めるよう、必要な支援に取り組んでまいりたいと思います。

稲富委員 ここのところでいえば、今、文科省の調査では、パソコン、タブレット端末、WiFiルーターの無償貸与など、物品措置をやっていると。一方で、五ページを見ていただきますと、オンライン授業の受講環境について、これはあしなが育英会の調査ですけれども、この赤線を引いたように、スマートフォンを使ってオンライン授業を受けているという方が三割、PC、タブレットが七割ということでございます。
 総理、スマホで授業を受けているという学生がいる。これは、まず、この現状といいますか、スマホで大学で授業を受けているという現状を、総理、御存じでしょうか。

菅内閣総理大臣 たまにはあるのかなとは思っていましたけれども、これだけ象徴的にというんですか、見える形であるとは思っていませんでした。

稲富委員 率直に御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 これは、私は学生と話して何が一番驚いたかというと、スマートフォンでずっと授業を受けているという学生がいるということです。この状況、本当に、これは来年も恐らく、当然、コロナが収束すればいいけれども、続く可能性もあるといったときに、来年度どうするのか。
 今、文科大臣、るる御答弁いただきましたけれども、政府はやっている、こんなことをやってきたと。だけれども、一方で、学生はスマホで授業を見ているというのが現状だということです。全員じゃないです、もちろん、一部だと思いますけれども、そういう現状がある。
 そこで、伺います。
 要するに、タブレットやパソコンを用意することは、総理にとって、これは自助の世界ですか。それとも、これは自分で用意すべきものなのか、公的に何かをすべきものなのか、どうお考えでしょうか。

菅内閣総理大臣 まず、今年の補正予算において、学生が利用するWiFiやタブレットを整備する大学、専門学校への支援を行うとともに、家計が急変した学生を無償化の対象に追加したり、授業料の減免を行う大学の支援も行っています。コロナの影響が長引く中で、学生の修学環境に対しても支援に取り組んでいきたいと思います。
 そういう意味では、公助です。

稲富委員 もうちょっと質問を変えます。
 小中学校には、端末、義務教育には一台、うちの子供もそうですけれども、タブレットを配られて、徐々にそういう意味ではそういうICTが進んでいっている。徐々にこれからは高校あるいは大学、高等教育にも行くという中にあって、スマホで一年、例えば、全部じゃないとしても、スマホで授業を受けなきゃいけないというこの教育環境については、現実いろいろやっているけれども結局そうなっているということを、次の年にどうするのかということを私は伺いたいんですよね。
 何とかしなきゃいけないと思うのか。いや、それは自助の世界なんだ、個人の責任でやってくれと言うのか。政府としてはこれぐらいやっているから、あとは、それは自分でやってくれということなのか。そこは大きく、私、哲学の話だと思うんです。もちろん私立の大学もあります。でも、国立もある。じゃ、私立の大学の学生にタブレットを配るのか。もちろんここは大きな差です。
 なので私は伺っているんですけれども、総理の哲学でいえば、自助、公助、共助で、学生に、例えば、私は、公助だから、公助の世界で少なくともタブレットは配るべきだと思う。総理はどうお考えなのか、そのことを伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 私は、先ほど、政府として、WiFiやタブレットを整備する大学、専門学校の支援をやっている、現実的に行っています。家計が急変した学生を無償化の対象に追加したり、授業料の減免を行う大学を支援しています。
 いずれにしろ、そういう私の考え方からして、これは公助で更に行っていくべきだというふうに思います。

稲富委員 公助だという御回答でした。
 それでは、であれば、今、実際に、先ほど来言っていますように、そうじゃない学生がいるということを、どれぐらいの学生、これは、あくまで民間団体の調査が三割だと、スマホを使って授業を受けているのは。それも、恐らく、スマホとタブレットやいろいろな組合せで使っていると思います。なので、実際にどういう通信環境でリモート授業を受けているのかということを是非私は調べていただきたいんですよ。
 そして、今、公助だと言っていただいたので、学生さんたちがリモート授業をしっかりとタブレットで受けられるような環境整備を私はしていただきたいと思うんですけれども、もう一度御答弁いただけないでしょうか。

〔委員長退席、山際委員長代理着席〕

萩生田国務大臣 あしなが育英財団のアンケートがいつのものだかちょっと分からないんですけれども、確かに、一定程度の学生さんがスマートフォンで授業をオンラインで受けている実態は承知をしています。
 それで、ほとんどの大学生の皆さんは、アンケート上は、九割の学生が自分のパソコンないしタブレットを所有しているというアンケートも手元にいただいております。
 その中で、これは当初、コロナで休校が進んでいる中で、オンラインを急遽始めたものですから、九月までの間、二十五歳の契約者に対してWiFiの容量を開放していただいたんですね、大手三キャリアに対して。これは、菅当時の官房長官が大変お骨折りいただいたんですけれども、その関係もあって。
 在宅のパソコンじゃなくてタブレットで、そして、自宅はWiFi環境が余りよくないものですから、学校近くの図書館ですとかそういったところでスマホを使って授業に参加をした学生さんが一定程度、夏までの間はいたということは承知していますけれども、来年以降は是非、学校それぞれもうWiFi環境を整えておりますので、仮に御自分で用意できない学生さんに対してはモバイルルーターやタブレットの学生貸出しという仕組みも学校と連携してやっておりますので、是非よりよい環境でオンライン授業に臨んでいただきたい。できれば対面を増やしていくということが最も大事だと思っていますので、その両面、ハイブリッドな授業ができるように後押しをしてまいりたいと思っています。

稲富委員 もう実は時間がなくて。小学校、中学校には配っているわけですよね。先ほど来、やってきた、これからもやると言っているけれども、現実にはそうなっていないので、来年度はすぐ始まりますので、その学生が使えるような状況にしていただきたいんですよ。そうしないと、先ほど来言っているように、学校の調査になると、やっている、やっているなんですよ。タブレットもやっている、WiFi環境も、伝えていると言っているんですけれども、実際はそうなっていないんですよね。
 来年四月から始まりますので、是非これは、学生の学修環境を整えるということは、これは与野党関係ないので、是非進めていただきたい。これはしっかりとチェックしていきたいというふうに思いますので、お願いします。
 次に、ちょっと話題を変えて、総理は五十年以上にわたって新聞連載の人生相談欄を愛読しているというふうに伺っています。雑誌にも、二〇二〇年五月から十月まで十一回にわたって戦略的人生相談というのを連載をされました。私、非常に、本当に興味深く、面白く拝読をさせていただきました。
 その中で、第二回に、四十代無職の方からの御相談の中で、御家族から仕事をするように言われているけれどもどうしたらいいかという御趣旨の御相談があった。覚えていらっしゃると思います。
 その相談に対して総理は、人生のある時期のつまずきが後々の人生にまで影を落とす、まさに社会問題であり、国としても対策は急務だと。その後で、国や自治体がどんな施策を講じても、実際に状況を好転させるかどうかは最終的には本人だということで、最初は公助を言って、そして自助だということをおっしゃっております。
 学生と私もいろいろ話す中で、ここを、どこまでが国がやって、どこまでが御本人なのかというのは非常に難しいところがある。ただ、今の状況でいえば、大学生の状況は、アルバイト収入が減っている、学費、生活費が厳しい、学校には一年間一度も行けなくて、サークル活動もほとんどない、友達とも会えない、思い描いた大学生活からほど遠い、大学生活に意味を見出せなくなってきていると。
 今後どうするのか、そういう状況にあるときに、総理であれば何というふうに答えられますか、そういう学生の相談に。どこまでが公助で、どこまでが自己責任なんだ、どうお答えになられますか。

菅内閣総理大臣 総理の立場で、そうした様々な環境整備、その人が働くことができるような、相談をできるような環境を整備するのが政府だというふうに思います。そして、ただ、最終的にはやはり御本人の意思ということは物すごく大きいというふうに私は思います。

稲富委員 ありがとうございます。
 総理に是非提案をさせていただきたいのは、今、私が聞いている範囲ですけれども、学生の抱える悩みは三つあって、就職が不安である、アルバイトが、ある業界にはあるけれども、ない、削られているところはたくさんある、学費の支払いに非常に苦労している。
 例えばで言いますと、まあ言うと、学校に在籍はしているものの、定期を買うかどうか迷っているわけですね、週一回行くかどうかも分からないから。あるいは、遠方の通学の場合、定期代をどうするのかということを悩んでいる。あるいは、下宿がある場合は下宿先の、実家にいて下宿先だけはキープしている、維持しているという場合は、空き家賃をどうするのか。でも、払わざるを得ない。そういった悩みですよね。トータルに言って、やはりお金の心配が非常に大きいわけです。
 文科省の対策で、資料の七ページを御覧ください。萩生田文科大臣、様々な対策をこれまで打たれて、この左側ですね、文科省は様々されている。だけれども、はっきり言えば、これは、いろいろされていることは大いに評価をするものの、非常に分かりづらくて、どれが使えるか分かりづらい。私も、これまで多くの御相談、いろいろな御相談をいただく中で感じているのは、やはり、分かりづらいと結局使えないということですね。
 そこで、是非、これは総理にお願いをしたいんですが、例えば、今申し上げたような、タブレットだとか、WiFi環境だとか、あるいは奨学金、様々な政策を一つ一つやるのではなくて、昨年五月十一日に、これは右側のことですけれども、我々野党が提出したコロナ困窮学生等支援法案の中、これを是非実行していただきたいんですよね。分かりやすく、今、これは書いてありますように、授業料の半額減免などをはっきりと打ち出していただきたい。是非、これからでも結構ですので、この法律、与野党で合意できないでしょうか。総理、いかがでしょうか。

〔山際委員長代理退席、委員長着席〕

萩生田国務大臣 学生のことを思うという気持ちは与党も野党もなく同じだと思うんですが、授業料の減額については、今年度から開始した高等教育の修学支援新制度により支援を行うとともに、授業料の減免を行う大学等への支援を補正予算で措置するなど、これまでもしっかり取り組んでまいりました。
 アルバイトの減収による困窮している学生への支援については、学生支援緊急給付金を予備費で措置をし、これまでに約四十二万人に支給を行ってきました。
 奨学金の返済免除については、返還金が次世代の学生への奨学金の原資となるため、奨学金事業の健全性確保の観点や、既に返還を完了した方との公平性の観点からも慎重な検討が必要ですが、返還が困難な方に対してはきめ細かな対応が必要と考えており、これまでも返還期限を猶予する制度の充実を図ってきたところです。
 先ほど申し上げましたけれども、昨年十二月に学生の“学びの支援”緊急パッケージを改定したところであり、新型コロナウイルス感染症の影響で学生が修学、進学を諦めることがないように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

稲富委員 しっかり取り組んでいらっしゃったというのは分かるんですけれども、じゃ、それで、今おっしゃったことで、今困っている学生、先ほど申し上げたような就職、アルバイト、学費、苦労されている学生が、そうだそうだ、なるほどとなるかというと、ならないと思います。
 本当に、今、来年度に向けて、是非、これは総理からも一言いただけないですかね。この中でいえば、1だけでもいいんですよ。学費の半額だけでもいいんですよ。是非検討していただけないでしょうか。

菅内閣総理大臣 今文科大臣が申し上げましたように、国、政府として対策を取っているわけでありますけれども、私自身、今の三点について更に、常に気にしながら、学生に対して気にしながら取り組んでいきたいと思います。

稲富委員 常に気にしながらということでございますので、気にしながら是非お願いいたします。
 この学生関係の質問、最後にします。
 総理に伺います。
 直近の就職内定率は、十二月一日で前年比マイナス四・九、専修学校はマイナス一一・七%というふうに、急落をしております。やはり、就職氷河期の再来というのは絶対に阻止しなきゃいけないと思います。それは、望まない非正規雇用を生み、また、雇用の不安定化は賃金の低下、未婚化、少子化を加速させるという循環にもなってしまいます。
 ここは、就職氷河期の再来を防ぐ方策、決意について、総理に伺います。

菅内閣総理大臣 新型コロナの影響が長引く中にあって、政府としては、経済団体に対して、卒業後三年以内の既卒者は新卒扱いにしてほしいという要請をするなど、大学生の就職支援を行ってきています。また、大学の就職担当者や、いわゆる新卒応援ハローワークにおいて、新卒者や既卒者に個別に丁寧な就職支援を行うよう、促しをしております。
 こうした取組によって、新型コロナによって第二の就職氷河期をつくることのないように、しっかり取り組んでいきたいと思います。

稲富委員 よろしくお願いします。ありがとうございます。
 次に移ります。
 生活困窮者に対する支援について、当委員会でも、生活保護についてこれまで様々な議論がございました。
 総理に確認します。生活保護は権利、受給することは権利ということで御答弁ありましたけれども、それでよろしいのかということをまず確認をさせてください。

田村国務大臣 必要のある方が生活保護を受けられるのは、これは権利であります。

菅内閣総理大臣 まず、新型コロナの影響が長引く中で、政府としては、緊急小口資金などの特例貸付けあるいは住居確保給付金などの重層的なセーフティーネットを構築して、生活に困窮している人をまずは重層的にお支えをしたい。
 私が、最終的には生活保護、こう述べた趣旨は、こうした重層的なセーフティーネットとは別に、憲法に基づく国民の権利として生活保護がある、このことを申し上げたところです。

稲富委員 権利ということでいいんですよね。
 そうすると、これまでも議論になりましたが、扶養照会についてですけれども、やはりこれで、なかなか申請をためらう場面があると。
 先日、厚労省からいただいた資料によると、平成二十八年七月の保護開始世帯約一・七万世帯の状況について調査をされたと。その中で、やはり、私も初めて、驚いたのは、親子だけでなく、祖父母だけでなく、曽祖父母、ひいじいちゃん、ひいばあちゃんまで、あるいは、子や孫だけではなく、ひ孫まで照会をかけるということでございますが、総理、先ほど権利と言いながら、実はそこまで照会をかける、これはやり過ぎだと思うんですけれども、総理、いかがお考えですか。

田村国務大臣 三親等までそういう意味ではお声がけするという話でありますが、言うなれば、親、子、兄弟ぐらいが基本的に扶養照会の対象で、あと、本当に扶養実態があるような場合は更に幅広く、今言われたおじ、おば等々も含めて、それぞれの現場で運用していただいているというふうに思いますが、基本的には、親、子、兄弟というようなところを中心に扶養照会をしているというのが実態であります。

稲富委員 これは範囲が広過ぎるんじゃないかという指摘が当委員会でも何度もされておりますが、私もさすがに、ひ孫、ひいじいちゃん、ひいばあちゃんというのは、これは行き過ぎじゃないかというふうに思うんですけれども。

田村国務大臣 今申し上げたとおり、実態として扶養されているということがあれば、平素よりですね、そういう場合にはお声がけをするという形でありますけれども、基本的には、家族の実態というものが、例えばそこまで広がると、ないということでありますから、基本的には、親、子、兄弟というところに扶養照会をしていくということでありまして、実態が認められる場合にはそういうところにも声をかけていくということはあるというのが現場の運用というふうに認識いたしております。

稲富委員 総理、最後、この生活保護について伺います。
 要するに、権利だと言いつつ、やはり様々な、扶養照会が、まあ言うと障害になって、なかなかしづらいという状況であれば、使えない権利ということになってしまいます。それは権利と言えないんじゃないかというふうに私は率直に思うわけです。
 最終的な役割として使えない権利、これでは制度の意味がないというふうに思うんですが、総理、御見解を伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、扶養義務者の扶養が保護に優先して行われることは、生活保護法、ここに明記された基本原理であり、扶養照会というのは必要な手続であると思います。
 他方で、例えばDVや明らかに交流が断絶している場合、こうした者については照会を不要とする取扱いを認めております。この取扱いについて、より弾力的に運用できるように、今厚生労働省で検討しています。

稲富委員 厚労省、これはいつ、その検討は出ますか。

田村国務大臣 今総理がおっしゃったとおり、今も、例えばDV、本人の自立を阻害する場合は扶養照会しておりません。それから、例えば扶養する方が、扶養者が老人施設等々に入られて事実上扶養ができないという場合も、これはもう扶養照会の対象にはしていないというのが現場の運用であります。
 問題は、例えば事実関係、家族としての関係が壊れているという一つの基準が、二十年間音信不通というのがあるんです。ところが、それは、まだ電話もなかなかそうは簡単に使えない、メールもないという時代、そういう時代の認識でありますので、今これだけメールがしょっちゅうやれるのならば二十年ということはないだろうということで、本当に家族の関係が壊れているという場合、どういう場合なのかというのを今整理をいたしておりますが、なるべく早く……(稲富委員「いつ」と呼ぶ)なるべく早く、今検討しておりますので、なるべく早くお示しをしたいと思っております。

金田委員長 時間が参りました。よろしくお願いします。

稲富委員 終わります。ありがとうございました。

 
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