広報誌

かわら版 No.6

老後2000万?
正直に「年金」を語るべき

「老後2000万円必要」との政府審議会の報告書が6月3日に出されました。
現役世代の方からは、「そんな大金を貯蓄する余裕なんてない」、高齢世代、直前世代からは「今からどうしろというのか」という怒りの声が聞こえます。
安倍総理は「不正確であり、誤解を与えるものだった」と釈明しました。 

しかし、私は、釈明より真実が知りたいのです。「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20年~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1300万円~2000万円になる。」と報告書にあります。
誤解だけで片づけられません。 

問題なのは、政府が不都合な真実を隠そうと、先送りしようとしている点です。例えば、報告書では、原案を修文する過程で以下の表現が削除されました。
「公的年金の水準が当面低下することが見込まれている」「年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい。」。
なぜこれらの表現を削除したのか。

 大切なことは、現状を明らかにすることです。
年金の「100年安心」はウソではないか、という声に真正面から政治は答えなければならないのです。
情報開示が不可欠です。

年金は5年に一度、年金財政の現状と見通しを示した「財政検証」を行います。この検証に基づいて給付と負担を見直します。
5年前は6月、10年前は2月に示された財政検証が、今年はまだ報告されていないのです。
再三にわたって選挙前に財政検証を示し、有権者の判断材料とすべきと指摘しましたが、政府からは「作業中」の一点張りです。

 「老後2000万円」は、「100年安心」の年金と矛盾するとんでもないことです。
年金の現状を政府は正直に説明すべきです。現状を隠し選挙を乗り切ろうとしても、あるいは、大臣が報告書の受取拒否をしても、年金が安心になるわけではありません。
一刻も早く財政検証を示し、年金の将来の見通しを国民に提示すべきです。

令和元年六月十一日
衆議院議員 いなとみ修二

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