案件:
■厚生労働関係の基本施策に関する件
冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲富修二君。
稲富委員 おはようございます。国民民主党の稲富修二でございます。
きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず、障害者雇用についてお伺いをしてまいります。
きょう三月十三日は、障害者雇用水増し問題に端を発した、中央省庁の障害者雇用の面接試験の最終日ということでございます。そして、その中で、お手元の資料の一枚目で、国土交通省の福岡航空交通管制部のところでございますが、採用予定が一名というふうになっております。
この件に関して、新聞報道等で、この期間内、まだ面接が全て終わる前に内定を出してしまい、そして、まだ面接をしていない方がいらっしゃるにもかかわらず内定を出したということで、結果として、まだ面接を受けていない方にもう一度電話をして意思確認をする等ということが行われたという報道がございました。
この事実関係について、まず確認をさせていただきます。
飯嶋政府参考人 お答えを申し上げます。
国家公務員障害者選考試験につきましては、二月二十二日に人事院より一次合格者が発表され、現在、各省庁の本省及び各地方機関において第二次選考の面接を行っているところでございます。
福岡航空交通管制部では、一名の採用予定枠について、二月二十八日以降、面接希望者に対し順次面接を行い、三月一日に一名に採用内定を出しました。こうした選考の状況について、それ以降の面接予定者の方六名に個別にお伝えし、面接の意向を確認した結果、五名が面接を辞退されたところでございます。
選考期間中に順次採用内定を出すことについては、人事院のルール上特段の問題はないと理解しております。
一方、面接を希望する受験者については、確実に面接を実施すべきことから、福岡航空交通管制部では、面接を予約したが辞退した受験者に連絡の上、希望者に対しては面接を実施しているところであり、その結果に基づいて採用の判断を行う予定でございます。
稲富委員 今の御説明をいただきまして、要するに、九名の方が面接を予定をされていた、そして、三名を面接した時点で一名の方の内定を出したということでございます。もちろん、一枚目にあるように採用予定数は一ですので、一名の内定を出したということで、九名のうち三名の方の面接が既に終わっておりましたので、残り六名の方については意向確認の電話をしたということだったと御説明があったと思います。
それで、三月六日にこういう報道を受けて、そして、もう一度電話をして、それでも面接を受ける意向なのかどうかということを確認したという事実関係でよろしいでしょうか。
飯嶋政府参考人 そのとおりで結構でございます。
稲富委員 そうすると、これは、もう報道等にもありますように、当然ですけれども、一名の採用予定だといって一名の内定を出したと言われれば、残りの六名の方は、もちろん、採用枠はもうないんだ、面接を受ける前に当然そう思うわけで、それで辞退した人がいらっしゃるというのは当然のことです。
報道を受けた後にもう一度電話をして、そして、やはりもう一回面接を受けるかどうかということの意向確認をしていくというのは、これは極めて常識的にはおかしいことだと思うんですね。
今、現状、事務方の皆さんからお伺いしたところ、それでも、一名だけれども、更に採用する余地がまだあるということで、結論的には、残りの六名の方から二名の方を面接している状況であるというふうに伺っております。
したがって、残りの二名の方が採用されるか否かというのは後ほど、それは面接次第なんでしょうけれども、改めて申しますが、一名の枠で一名内定が出たという電話を受ければ、当然、もう採用はされないと思う。そのための電話であろうかと思います。
ということで、やはり、もともと障害者雇用の水増しの問題から、国として、各行政機関に対して、雇用しなければいけない、法定雇用率を満たしていかなければいけないということで始まったことであって、当委員会でも、さきの臨時会でも、大臣を含め、あってはならないということを何度となく御答弁されたと思います。にもかかわらずこのようなことがあるということなんですけれども、大臣、どのようにこの点を受けとめられていらっしゃいますか。
根本国務大臣 厚生労働省としては、今、国交省から御説明がありましたが、受験者に広く公平な選考の機会を提供すること、これが重要だと認識しています。
人事院では、今回の障害者選考試験における第二次選考である採用面接の実施に当たり、各府省に次の点について指導していると承知をしています。希望する者に対し、可能な限り採用面接の機会を付与すること、採用面接を受けた者については、全員に面接を行い、採用の可否を判断することであります。
障害者選考試験の採用面接について、今月十一日、公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議、これを開きました。そして、その中で、私から各府省に対して、次の点について最大限の配慮を依頼しております。内定予定者数が採用予定数に達していない府省にあっては、受験者に案内を行うなど、積極的に取り組んでいただくこと、採用予定数に達した府省にあっても、いま一度、追加内定の可能性も検討の上、面接の再受け付けを行っていくこと、こういうことを私の方から依頼しております。
これからも、公務部門における障害者の採用に関し、広く選考の機会が提供されるよう、人事院ともよく連携しながら対応していきたいと思います。
稲富委員 ありがとうございます。これからまた柔軟に御対応されるという趣旨かと受けとめました。
今回の福岡の航空交通管制部におかれては、この面接の内容の御案内等、非常に丁寧に実は業務内容あるいは仕事内容等は告知をしていただいている中において、やはり、何度も申しますが、一名枠で一名で、もう採用内定は決まったよという電話は、あなたはもう採用しないよという電話と受け取るのが普通で、もうきょうが面接の最終日ということを先ほど申し上げましたけれども、しかし、先ほど大臣からは、柔軟に何らかの対応、再面接もあり得るというお話だったかと思いますので、ぜひそこは御考慮いただくべきことかなと思います。
それで、さきの臨時会でも、これから年末にかけて各行政機関が採用し、そして一番大事なことは、受入れ体制が十分でなくてということはやはり誰もが心配をされていることです。雇用する方も雇用される方もそれが十分でないと、お互いハッピーな状況にはならないと思います。それが一つ。
あと、こちらの委員会でも参考人の方が心配をおっしゃっていましたけれども、本来であれば民間企業で雇用されるべき方が、来る意思を持っていた方が、むしろ、公的部門にということで、雇用が剥がされるようなことがあってはならないという御指摘があったかと思います。
改めて、こういった意見を含めて、これから、もう採用は終わりますけれども、どう雇用していくのかということを伺います。
北條政府参考人 各府省の障害者の採用につきましては、採用計画期間が一年ということになっております。この一年の間に採用予定数を満たすべく、まずは各府省で採用に一生懸命取り組むということでやってまいることでございます。
それから、民間からの転職、引き抜きの問題も確かに指摘されているわけでございますけれども、障害者の就職活動につきましては、まず、障害者御本人の希望に沿った職業選択がなされることが重要であるというふうに思っております。その上で、政府におきましては、現在、就職が実現していないハローワークの求職者等に対して、きめ細かな職業紹介を行い、民間との競合が生じないように丁寧に対応しているところでございます。
このような中で、公務部門で短期間に大量の採用が行われるということにより、民間企業で転職者が発生するなどの影響については、労働政策審議会などの場を活用しながら実態の把握に努めることとしてまいりたいというふうに思っております。
稲富委員 障害者の立場に立って、雇用そして職場環境の整備に努めていただきたいと思います。
次に、単身世帯の問題について質問してまいります。
大臣の所信の中で、ひとり暮らし、あるいは単身世帯の問題が触れられませんでした。私は、これは、大きなこれからの社会の中の構造的な問題、変化であろうかと思います。これは、社会保障の中で、年金や医療、介護、それぞれの縦割りの中では解決ができない、供給者の立場に立つと、このひとり暮らしの生活実態の中で、どうその生活を守っていくかということは見えてこないんじゃないかと私は思います。
より生活者の立場から、このひとり暮らしの世帯をどう考えていくのか、どう生活を国として保障していくのかということが極めて大切だ、その思いから、少し質問してまいります。
二〇四〇年に向けて、政府はさまざまな、大臣もそうですけれども、政策をつくっていくという方針かと思います。
そういう中にあって、資料の三枚目をごらんいただけますでしょうか、二〇一五年、単身世帯が三四・五%、三世帯のうち一世帯が単身である。二十年前は二五・六ですので、急激にふえております。二人世帯は、二十年前は二三%が二七・九%、微増ですけれどもふえている。三から四人世帯が、三七・四から三〇・八ということで、減っているということでございます。その他の世帯、五人以上が一四・一から六・八ということで、急激に減っている。
私が単身世帯を取り上げるのは、決してそれを推奨するという意味ではなく、私はむしろ一番大世帯に所属している者なので、必ずしもそういう意味じゃないんですね。社会構造が変わっていっているということの中で、これからは単身世帯が最も大きな世帯の割合になる、二〇四〇年には単身世帯が四〇%になるということも言われております。
したがって、四割が単身世帯という中にあって、大臣、これは本当に大きな社会の変化だと思われますが、その点の基本的な認識をお伺いいたします。
根本国務大臣 私も、委員が御指摘されているということだと思います。
今御紹介がありましたが、総世帯に占める単独世帯の割合は過去年々増加しておって、今後も増加が続くと推計されています。
年齢階層別に二〇一五年と二〇四〇年の単独世帯数を比較すると、人口の高齢化などにより、五十四歳以下の全ての年齢階級で減少する一方、五十五歳以上の全ての年齢階級で増加する見通しとなっています。
単独世帯の増加は、高齢者における増加が要因であります。これは、社会全体の高齢化に加えて、次のことなどが影響していると考えられます。子供世帯と同居する高齢者の割合が減少していること、未婚のまま高齢期を迎える高齢者の割合が増加していることなどだと思います。
単独世帯の増加による課題は、委員からも今お話がありましたが、ひとり暮らしが直ちに生活の困難をもたらすというわけではありませんが、それぞれの状況によっては、例えば次のようなリスクがあると考えられます。介護が必要になるなどの生活上の困難が生じたときに身近な家族のサポートが得られなくなるなど社会的に孤立してしまう、あるいは生活に困窮してしまうというような課題が出てくると思います。
これから未婚の高齢者の割合が増加していく見込みであります。子供のサポートが得られない高齢者の単独世帯がふえていくことを踏まえると、単独世帯の増加は非常に重要な課題であると考えております。
稲富委員 ありがとうございます。課題そして原因について触れていただきました。
その中で、やはり孤立するリスクというのがあります。私の地元でもやはり、かつては二人でお住まいだった方が、今、もう一回訪ねてみるとお一人になっている方、そして、都市部では恐らく多くあると思いますが、お一人で暮らしていらっしゃる高齢者の方もいらっしゃいます。町内会等にも出られない、本当に、その隣、あるいはお隣がどういう方がいらっしゃるのかわからないということが、都市部ではより顕著にこれから問題になろうかと思います。
そこで、常に自治会というか地元の町内会で話題になりますけれども、誰がどこに住んでいるのかわからないという問題があって、そういった住民台帳というんでしょうか、誰がどこに住んでいるかという情報がなかなか制限されている中で、地域と人を結んでいくというのは非常に難しいというのが現実に起こっていることです。
その点、どこまでそういった情報を開示できるのか、あるいはしていくべきなのか、見解を伺います。
吉川政府参考人 お答えいたします。
住民基本台帳の一部の写しの閲覧制度につきましては、個人情報保護に対する意識の高まり等を踏まえまして、平成十八年の住民基本台帳法の改正により、それまでは何人でも閲覧を請求することができるという制度であったところ、国又は地方公共団体の機関による法令に定める事務の遂行のための閲覧、世論調査、学術研究など公益性の高い活動を行うために必要であると市町村長が認める閲覧に限定されまして、個人情報に十分留意した制度として再構築されたものでございます。
このうち、国又は地方公共団体の機関以外の者による閲覧につきましては、世論調査、学術研究などのほか、公共的団体が行う地域住民の福祉の向上に寄与する活動のうち、公益性が高いと認められるもの等の実施のために閲覧が必要であることを申し出、市町村長が相当と認めたときにも可能とされているものでございます。
個別具体的なケースにつきましては、閲覧が認められるかどうか、市町村長の判断によるということになりますが、例えば、単に隣人が独居老人か否かを確認するという目的で閲覧することは困難と考えます。
一方、公共的団体である自治会が、高齢者に対する敬老会、敬老事業を実施する場合など、地域住民の福祉の向上に寄与する活動を行う目的で閲覧を申し出た場合などには、一般的には閲覧が認められるものと考えております。
稲富委員 ありがとうございます。
高齢単身世帯について、どのような対策が、まあ、今のことも一つだと思いますが、あるかということを、もう一度答弁をお願いします。
大口副大臣 お答えさせていただきます。
今、大臣からも答弁がありました、また先生からも御指摘がありましたように、社会的孤立のリスク、これにどう対応していくか。
これは、各地域において地域包括支援センターがございます。介護事業者や医療機関等とのネットワークを構築し、支援が必要な高齢者を早期に発見して対応する取組をしていく、また、民生委員の方々による地域の見守り活動の実施など、地域の関係機関のネットワーク強化や見守り体制の構築が進められております。
また、貧困のリスクということもありますので、それを軽減する観点から、ことし十月の消費税率の引上げを財源として、低所得者に対する介護保険料の軽減の強化、また、低年金、低所得の方に対する年金生活者支援給付金制度の創設など、総合的な取組を進めてまいります。
これに加え、生活困窮者自立支援窓口において、個々の生活状況に応じたきめ細かい支援を行ってまいりたいと考えております。
稲富委員 ありがとうございます。
これまで取り上げさせていただいたのは、主に高齢者の問題です。しかし、この課題について、私が勉強し、そして問題だと思った発端は、ある中高年の女性からそういう話をいただいたときでございました。
どうしても、最後の資料の四枚目なんですけれども、「見落とされる独身女性」というところで、高齢者と子供、あるいは子育てということは非常に注目はされるけれども、働ける世代のところで独身の女性がいらっしゃる、しかし、なかなかそこに対しては政策がないのではないか、あるいは、将来的に経済的に不安であるというお話をいただきました。
これを見てみると、済みません、時間が限られますので私から申し上げます、なかなか経済状況も、単身世帯においては非常に限られている。女性の単身世帯においては、単身男性と比べても、経済状況は大変厳しいのではないかと推察をされます。
そこで、ひとり暮らしの中高齢の女性の経済状況についてお伺いをいたします。
佐伯政府参考人 直接経済状況ということではございませんが、平成二十七年の国勢調査の結果では、四十歳以上の単独世帯の女性は六百十万五千二十八人、それから、四十歳以上の女性に占める単身世帯の女性の割合は一五・二%となっています。このうち、正規の雇用者は七十一万六千五百九十九人、非正規の雇用者は七十五万六千七百十人となっており、雇用者に占める非正規の割合は五一・四%となっております。
稲富委員 ありがとうございます。
これは、生活実態のそもそもデータがないんですよね。なので、恐らく、今御答弁いただける範囲は、正規、非正規の割合ぐらいしか国としてはわからないというのが実態だと思うんです。
大臣、これは、先ほど冒頭申し上げましたように、私は、ひとり暮らし、単身世帯の問題は、これから、高齢者もそうですけれども、現役世代の未婚がふえている中で、女性も大きな課題になるというふうに思うんです。
したがって、これは、国は実態がわからないということではなく、生活実態も含めて、単身世帯がどうなるのか、もう四割単身世帯になるというのが確実になっている中で、やはり社会保障の中で強くこれを打ち出すべきだ、あるいは政策の柱にすべきだと思いますが、済みません、大臣、答弁をお願いします。
根本国務大臣 今の委員の問題意識に答えたいと思います。
長期的に、ひとり暮らしの高齢者等に対してどう対応していくか、今、大口副大臣からお話がありました。今、我々が長期的に取り組んでいること、これからの二〇四〇年を展望した社会保障について、高齢者世帯増への対応をどう位置づけるかということも視点に入れながら検討していきたいと思います。
二〇四〇年代を見据えると、団塊ジュニア世代が高齢者となり、委員からお話がありましたように、高齢者はピークを迎えるとともに、現役世代が急減する時期になると見込まれますから、二〇四〇年を展望して、ひとり暮らしの高齢者も含め、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現、これを目指しております。それで、三本柱ですが、多様な就労・社会参加、健康寿命の延伸、そして医療・福祉サービス改革、こういう政策課題について今検討を進めております。
その中で、委員御指摘のとおり高齢者単身世帯が増加することなどを踏まえると、二〇四〇年ごろには、家族のつながりや地縁が更に希薄化する中で、地域のセーフティーネット機能が弱くなっていく、これが大きな課題になると考えております。
このため、地域住民や地域の多様な主体が参画し、世代や分野を超えてつながることで、住民一人一人の暮らしと生きがい、これを地域とともにつくっていく地域共生社会を実現する、これが私は大きな課題だと思います。
そして、今回の二〇四〇年を見据えた検討作業においても、多様な就労・社会参加、要は、多様な就労の機会をどうつくり上げていくか、そして社会に参加してもらうかということと同時に、地域共生、地域の支え合い、これを重要なテーマの一つとして掲げております。このような地域共生に向けた取組を、就労も含めて、どのように進めていくかということを検討していきたいと思います。
稲富委員 ありがとうございます。単身世帯を、ぜひとも社会保障の中で大きな位置づけを持ってもらいたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。