活動報告

国会

平成31年3月2日 本会議

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案件:
■平成三十一年度一般会計予算
■平成三十一年度特別会計予算
■平成三十一年度政府関係機関予算
■地方税法等の一部を改正する法律案
■特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案
■森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案
■地方交付税法等の一部を改正する法律案
■所得税法等の一部を改正する法律案

議長(大島理森君) 稲富修二君。
    〔稲富修二君登壇〕

稲富修二君 国民民主党・無所属クラブの稲富修二です。
 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案、地方税法等の一部を改正する法律案、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案に対し、反対の立場から、そして、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 まず、統計の問題です。
 毎月勤労統計については、日雇労働者を調査対象から外したり、抽出で行われている中規模事業者の調査について、総入れかえ方式から部分入れかえ方式に変更したり、ベンチマーク更新の補正を取りやめたりすることで、二〇一八年の賃金が大きく上振れし水増しされております。
 我々はかねてより、アベノミクスの問題点として、実質賃金が伸びていないことを指摘してまいりました。高齢化による大量退職時代を迎え、人手不足なのに、なぜ賃金が上がらないのかは、現在の日本経済における大問題であります。しかし、こうした問題に正面から向き合おうとせずに、統計の数字を動かし、賃金が上がったことに見せかけ、今日においてもマイナスの実質賃金の統計を隠し続けております。この現状はアベノミクス偽装であり、到底許されるものではありません。
 以下、個々の法案の内容について述べてまいります。
 まず、ふるさと納税制度の見直しについてであります。
 ふるさと納税の当初の理念自体はすばらしいものですが、現実は、そうした理念とは大きく乖離してしまっております。返礼品競争の過熱で特定の自治体に寄附が集中し、本来恩恵を受けられるはずの地方の町や村でも税収流出に苦しんでおります。また、高所得者ほど控除額の上限が高くなり、豪華な返礼品を得られます。所得再分配とは正反対の方向へ向かっております。
 改正法では、返礼品を地場産品に限定するとされていますが、では地場産品とは何なのか、不明確なままであります。結局、具体的には総務大臣が基準を定め、判断するというのでは、地方の創意工夫の尊重とは言えず、中央集権に逆戻りしてしまいます。
 次に、自動車関連諸税についてであります。
 今回の地方税法改正案の中で、自動車税の税率引下げや地方税財源の確保など、我が党の対案である税制改革新構想と方向性を同じくする部分もあります。
 しかし、今回、与党の税制改正大綱の中で、「車体課税の見直しについては、今般の措置をもって最終的な結論とする。」とされている点は、同意できません。車体課税を減税したと政府・与党は宣伝するかもしれませんが、結局のところ、消費増税と合わせると増税であります。私たちは、ユーザー負担を軽減し、家計を支援する観点からの改正を引き続き求めてまいります。
 次に、特別法人事業税、特別法人事業譲与税についてであります。
 近年、地域間の財政力格差が拡大しています。今回の特別法人事業税、特別法人事業譲与税の創設は、地方法人課税における税源の偏在を是正し、地域間の財政力格差拡大に対応するための措置です。
 しかし、今回の措置は、暫定的な措置として二〇〇八年に導入された地方法人特別税と類似した制度で上書きしたにすぎません。都市と地方の構造問題自体には何ら切り込んでおらず、抜本改革にはほど遠い状況であります。
 次に、森林環境税、森林環境譲与税についてであります。
 森林環境税の賦課の方法、対象、また使途については、疑問点や課題はまだあります。しかし、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する必要に鑑み、賛成いたします。
 安倍内閣の税財政政策に一貫しているのは、高所得者を優遇するという基本姿勢であります。ここが根本的に我々と異なります。
 ふるさと納税についても、高所得者ほど寄附上限額が高くなり、その分、多くの返礼品を受け取れることになっております。高所得者にとって極めてありがたい制度であることは明白です。
 また、消費増税の激変緩和として住宅ローン減税を拡充しますが、これだけでは高所得者優遇です。住宅を新規購入する余裕のある御家庭は恩恵が及びますが、賃貸住宅の方々には全く関係ありません。家を買える高所得者だけを優遇する政策と言えます。
 まだあります。消費税の軽減税率です。累次にわたって我々が指摘してきたように、食料品八%は確かに消費者にとってありがたいですけれども、高所得者ほどその恩恵を受けることになります。国産牛の切り落とし牛肉でも、国産の高級和牛でも、二%の恩恵を受けます。軽減の必要のない高所得者の方がより得をする制度にしか私には思えません。
 話はこれで終わりません。ポイント還元制度です。中小事業者でキャッシュレス決済をすると、二%か五%が還元されます。高級食材、高級絵画、骨とう品、高級時計、高級スーツ、高級電化製品もその対象となります。上限もなく、幾ら購入しても還元されます。このポイント還元事業で最も得をするのは、明らかに高所得者であります。
 また、二〇二五年までにキャッシュレス決済比率を現在の二〇%から四〇%へ目指すそうです。残り六〇%の決済には何の恩恵もありません。約三千億円という巨額の事業費を投じて、カードを使わないお年寄りにカードを持つよう促す政策なんて、どうかしていると思います。結局のところ、一番得をするのは、キャッシュレス決済を多用できる高所得者ではないでしょうか。
 総理が高らかにぶち上げた幼児教育無償化もそうです。消費税引上げの財源で保育園をただにするこの政策。最大の受益者は、先ほど来多くの指摘がありました、今現在最も高い保育料を支払っている高所得者に間違いありません。
 以上のように、現政権の税財政運営には、高所得者を優遇する制度がちりばめられております。そうすれば経済が活性化すると見込んだのかもしれませんが、残念ながら、消費は上向きません。安倍内閣のように高所得者への優遇税制を幾ら繰り返したとしても、格差は拡大するばかりで、日本経済は再生しません。
 今こそ、税の再分配機能を取り戻すことが必要です。高所得者優遇の複雑な税制をやめ、公平、中立、簡素という租税三原則に立ち返り、中間層を復活させることこそ必要です。歯を食いしばって仕事や家事、育児、勉学に励んでいる多くの国民の将来不安を取り除くことが税制に求められております。数字を都合よく取り繕って、アベノミクスの成果を喧伝するばかりの政治では、国民生活も日本経済もよくなりません。
 我が党は、人への投資や地域主権改革などの抜本的な改革を誠実に実行するとともに、国民の皆様の将来不安を解消する税財政政策により、国民生活と日本経済を立て直すことをお約束申し上げ、私の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

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