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【議事録・動画】令和5年4月5日内閣委員会「フリーランス事業者保護法案」について

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案件:フリーランス事業者保護法案について
いなとみ修二 主な質疑内容:
(1)昨年提出に至らなかった理由
(2)特定業務委託事業者の遵守事項
(3)労働者性が認められるフリーランス
(4)フードデリバリープラットフォーム事業者に関する対応
(5)安全衛生の確保及び労災保険

稲富修二 立憲民主党の稲富でございます。どうぞよろしくお願いします。
先ほど、赤澤先生から、今回のフリーランス法に至る経緯などの御説明がありました。まず、一問目です。昨年の臨時国会の冒頭で、総理が所信の演説の中で、フリーランス法整備に取り組むとの発言がありましたけれども、実際には、本法案、今国会に提出ということになりました。恐らく、様々な論点があったのだろうと思います。私は、必要な法律であろうと思うんです。どの点が問題だったのか、なぜ去年提出に至らなかったのかということをまずお伺いしたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の臨時国会においては、与党での法案審査におきまして、本法案の性格でありますとか、本法案において保護の対象とするフリーランスについての考え方について議論がございまして、更に検討を継続すべく、法案の提出を見送ることとしたということでございます。その後、政府において与党とも議論をしながら検討を進め、まず、本法案については、従業員を使用せず一人の個人として業務委託を受ける受託事業者と、従業員を使用して組織として事業を行う発注事業者との間の取引について、交渉力などに格差が生じるということを踏まえ、下請代金支払遅延等防止法と同様の規制を行い、最低限の取引環境を整備するものであるというような法案の性格について整理を行う。若しくは、フリーランスは一般に特定の組織に属さず個人で業務を行う方のことをいうわけでございますけれども、今回の法案において保護対象となるフリーランスについては、フリーランス全体ということではなくて、このうち事業者から業務委託を受けるフリーランスであるということを明確にするために、フリーランスの名称についても特定受託事業者とするといったような点につきまして整理を行い、与党の了承も得て、本法案を国会に提出させていただいたというところでございます。

稲富修二 ありがとうございます。いわゆるフリーランスという方のお話を、地元で私も伺ってまいりました。例えばこういう方です。グラフィックデザイナーの方でございまして、ポスターのデザインとか、企業のロゴを作ったり、ウェブサイトのデザインをされる方、フリーランスで仕事をされているということなんですけれども、フリーランスからフリーランスへの発注がある仕事という形態もあります。その方は、例えば進行管理をされるフリーランスの方からデザインを作成するという受託を自分がする場合もあるし、自身がフリーランスとしてウェブのデザインをして、ウェブ作成を別のフリーランスの方にお願いをするということもあります。
そういうことを考えると、第五条のところ、先ほども御指摘がありましたけれども、代金の減額、買いたたきが行われたとしても、第五条の特定業務委託事業者の遵守事項に関する規定が適用されないこともあり得る。どのような場合に措置があるのか、なぜ業務委託事業者ではなく特定業務委託事業者としているのか、御答弁をお願いします。

岩成政府参考人 お答えいたします。本法案は、従業員を使用せず一人の個人として業務委託を受ける受注事業者と、従業員を使用して組織として事業を行う発注事業者との間において、交渉力などに格差が生じることを踏まえて、取引の適正化等を図るものでございます。個人である発注事業者と特定受託事業者との取引につきましては、両者の間で組織対個人の取引と同視し得るような、構造的に取引上の立場の優劣があるとまでは言えないというふうに考えております。また、事業者間における契約自由の原則の観点から、事業者間取引に対する規制、すなわち行政の介入は最小限にとどめるべきというふうに考えております。したがって、本法案の規制対象を御指摘のあったような取引にまで拡大することは、本法案の立法趣旨に照らすと困難というふうに考えております。
なお、本法案におきましては、書面等の交付による取引条件の明示義務につきましては、トラブルを予防し特定受託事業者に係る取引を適正化する点において、発注事業者が個人であるか組織であるかでは違いはなく、発注事業者の利益にもかなうということから、個人である発注事業者と特定受託事業者との取引であっても規律の対象としております。こうした取引条件の明示の義務づけ等を通じて、個人である発注事業者と特定受託事業者との取引も含めた取引全般の適正化の機運醸成を図るとともに、その状況を見定めてまいりたいというふうに考えております。

稲富修二 もし、支払い遅延があったり、代金の減額を請求されたり、買いたたきが行われた場合、フリーランスからフリーランスへの場合にはどういう救済措置があるかということも併せて質問したんですけれども。

岩成政府参考人 御指摘のありました、フリーランスからフリーランスに対して五条に列記したような行為が行われた場合というところでありますけれども、この法案自体に直接、そういった行為について行政が取り得る措置というのが規定されているわけではございません。
ただ、先ほど申しましたように、まず、三条に規定をされておりますような取引条件の明示というところからいろいろな問題行為の未然防止を図っていくことが大事というふうに考えているところでございます。

稲富修二 ありがとうございます。続きまして、大臣、ちょっと飛ばして六番に行きます。労働者性が認められるフリーランスについて伺いたいと思います。令和三年三月二十六日に、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省で、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインが作成されました。ここでは労働政策審議会への諮問はなかったものと思います。他方で、フリーランスという働き方に対して、このコロナ禍でいろいろな支援策がありました。
例えば、フリーランス向けということで、委託を受けて個人で仕事をされる方向けとして、小学校休業等対応支援金というものがありました。一斉休業のときから始まった支援金の制度は三月末で終了しましたけれども、終了の際には、労使の参画する労働政策審議会の議論を経て決めたと聞いております。したがって、労働者性が認められるフリーランスについて、フリーランスをめぐる諸課題を労働政策審議会に諮るべきではないか、あるいは諮ることもあり得るのではないかというふうに思いますが、見解を伺います。

後藤国務大臣 フリーランスの問題については、例えば法案につきましても、労政審に対しては、建議をするということではなくて、報告をするという形で取り扱っております。それは、フリーランスという働き方については、労働者性を認めるものについては、元々これは労働者性を認めて基準法を適用する労働者なわけですけれども、そうでないフリーランスについては、労働者性を認めるということではないので、労政審等についても報告をするという形での対応をいたしております。

稲富修二 それでは、例えば、第五条の特定業務委託事業者の遵守事項の中で、通常相場に比べて著しく低い報酬の額をしてはいけないと、禁止事項の一つにあります。そのことについて、政府の「「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」に関する意見募集に寄せられた御意見について」という中で、施行までの間に、ガイドライン等で、通常相場に比べて著しく低い報酬の額についてはガイドライン等で明らかにしてまいりますというふうに表現があります。その他、この政府の考え方の中でもガイドラインで明らかにするというふうにありますけれども、例えば、このガイドラインというのは誰がいつ決めるのかということはいかがでしょうか。

品川政府参考人 お答え申し上げます。今お尋ねのありましたガイドラインでございますけれども、これは、今、下請代金法と同じような規定が幾つかございますので、そういった考え方も参照にするとは考えておりますけれども、いずれにせよ、ガイドラインにつきましては、本法案が成立した場合には、各方面から意見を聞いた上で可及的速やかに制定をしたいと考えております。本法案の施行は公布から一年半ということになっておりますけれども、これは周知にかなりの時間を要すると考えておりますので、そういう意味では、かなり早い段階でガイドライン等を作成する必要があると考えてございます。

稲富修二 時期については、今、できるだけ早い段階でと。誰がというのは、どうですかね。各方面からということで、誰が決めるんですか。

品川政府参考人 失礼いたしました。ガイドラインでございますけれども、これは公正取引委員会、中小企業庁、あるいは厚生労働省で決めるということになろうかと思います。各章によって、第二章であれば執行を担うのは公正取引委員会、中小企業庁でございますし、第三章であれば厚生労働省ということになります。実際に決めていく上では、フリーランスの立場の方あるいは発注をする事業者の双方から、実態を踏まえて意見を聴取する必要があると考えてございます。

稲富修二 その中で、先ほど大臣からも御答弁ありましたけれども、労働者性のあるフリーランスという方もいらっしゃるわけですよね。そうなれば、先ほどのように、さっきのガイドラインのように労政審への報告という形を取るのか、今回は諮問するのか、あるいは相談をするのか、その辺りはいかがでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。本法案におきましては、就業環境の整備に関する措置を設けることとしており、特定業務委託事業者が適切に対処するため必要な指針の策定等に当たっては、本法案の対象となるフリーランス関係団体や労使団体等に参画していただき検討を行った上で、労政審にも報告することとしたいと考えてございます。また、これまで、労災保険の特別加入制度へのフリーランスの一部業種の追加や、一人親方等の安全衛生対策について、労政審において御議論いただいてきたところでございます。厚生労働省といたしましては、今後とも、必要に応じて労政審で御議論いただき、フリーランスの方が安心して働くことができる環境の整備に努めてまいりたいと考えてございます。

稲富修二 ありがとうございます。続きまして、第三条のところを伺います。質問七番です。第三条には、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払い期日等を書面又は電磁的方法により明示しなければならないとあります。フードデリバリーの場合を当てはめると、飲食店が委託事業者、配達人が特定受託事業者、プラットフォーム事業者が仲介者となる場合があります。この場合は、誰が、どのような明示の仕方を想定しているのか、お伺いをします。

品川政府参考人 お答え申し上げます。本案におきまして取引条件の明示を義務づける趣旨は、業務委託当初から取引条件を明確にさせて後々のトラブルを未然に防止すること、それから、取引上のトラブルが生じた場合には、取引条件に係る証拠としてその明示した内容を活用し得ることということでございます。これによって、特定受託事業者が安心して取引できる環境の整備が期待できると考えてございます。明示すべき事項について、現時点では、法案の第三条第一項に明記されている給付の内容、報酬の額、支払い期日のほか、受託、委託者の名称、業務委託をした日、給付の提供の場所、給付の期日等を想定しているところでございます。例えば、今御指摘のようなケースにおきましては、飲食店が飲食物の配達を配達人に業務委託をしたというような場合には、当事者の名称、料理を受け取る場所、料理の配達先、配達する日時、報酬の額などを明示することになると考えておりまして、仲介事業者を利用する場合には、飲食店が仲介事業者を介して配達人にこれらの事項を明示するということも認められると考えてございます。なお、明示すべき事項の具体的内容につきましては、本法案が成立した場合に、法施行までの間に関係者の意見をよく聞きながら定めていくことにしたいと考えてございます。

稲富修二 つまり、飲食店が直接明示を必ずしもしなければいけないというわけではなく、仲介事業者がそういうことを明示することによっても、この明示するということに含まれるというか、それでもいい、そういう説明かなと思います。ですよね。はい、ありがとうございます。それで、仲介事業者について伺います。仲介事業者の利用状況は、フリーランスの実態調査によれば、フリーランスの方の約二割ということでございます。今回は仲介事業者に係る規制というのは置いておりません。ただ、二割というのがそれなりの規模感だなというふうにも思います。プラットフォーム事業を通じて請負契約で働く者に対するプラットフォーム事業者の責任を一定程度確立をするための取組を踏まえ、我が国でも関係法令の改正に向けた一定の検討が必要となってくるのではないかというふうに思うわけですけれども、この点、見解を伺います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。お尋ねの点につきまして、先ほど例として委員が挙げられましたフードデリバリーのプラットフォーム事業者を少し例に取りつつ、御説明をさせていただきます。例えば、フードデリバリープラットフォーム事業者、これは元々、おっしゃられているのは仲介ですね、飲食店と配達人というのを結びつけるという形態で始まりながら、一部の事業者は、直接自分が委託者になるという形に契約を変更してきております。要すれば、事業者に応じて契約の関係が結構様々な、多様な形になってきているということでございます。例えば、今申し上げたように、飲食店から一旦自分が配達の委託を受けた上で、自分が直接の委託者となって配達人に対して配達を委託するというような再委託型でやっている方がいらっしゃいます。こういった方々については、その事業者とフリーランスとの間に直接の業務委託関係がある、こういうことになりますので、本法案の規制の対象でございます特定業務委託事業者にプラットフォーム事業者が該当するということになって、規制対象になるということでございます。
また、単に発注事業者とフリーランスとの間の業務委託契約をあっせんしている、仲介しているという場合には、契約形態上は本法案の規制対象に該当しないわけでございますけれども、契約形態だけではなくて取引実態も見て、総合的に判断をして、実質的にその事業者が業務委託を行っていると評価できるような場合には、本法案における規制対象に該当してくる、こういうことになります。さらに、取引実態を踏まえてもなかなか規制対象になってこない、フードデリバリープラットフォーム事業者が直接の規制対象に該当しないような場合についてでございますが、その事業者を利用して業務委託を行う発注事業者すなわち飲食店とフリーランスとの取引関係は、先ほど御説明申し上げたとおり、本法案の規制対象でございます。当該取引に問題があるような場合には、フードデリバリープラットフォーム事業者に対する調査の実施を含めて適切な対応を行っていくということになります。そうした対応を図りつつ、実態も見て、本法案附則にいわゆる見直し規定を置いてございます。三年後の見直し規定を置いてございますので、そうしたプロセスの中で、今申し上げたような対応で十分かどうかということについてはしっかり検証を行っていくということかなというふうに考えております。

稲富修二 ありがとうございます。そのフードデリバリー産業なんですけれども、当初は、コロナ禍において、随分と活用された、利用されている方も多かった。そして、コロナがだんだん落ち着いてきている中で、利用者の方が減ってきているのかなと思ったところ、フードデリバリー産業の方に伺うと、それなりの、一定の利用者、規模、そして利益も出ているということなんですよね。なので、当初、フードデリバリー産業として、特にコロナ禍において、随分と町中でもそういう姿を見ました。そして、プラットフォーム事業者も、継続している者、そして事業を畳んでいる方もいらっしゃいます。しかし、一定の需要、そして産業になっているというふうにも見られるわけです。
先ほど来御説明があったように、配達員と飲食店、プラットフォーム事業者の方々の契約体系というのは、一律ではないということであります。ただ、一方で、先ほど申し上げたように、一つの産業としてほぼ成り立っているということでありますので、業としての在り方をどうするのかということを考えるべきではないかというふうに思います。実際に、フードデリバリーサービス協会さん自身がガイドラインを作っているということなんですけれども、いずれにしても、業界の方も、そこで働く方も、政府はどの程度こういう規制をつくるのか、あるいはどういう体制でやるのかということに大変関心を持っておりますので、業としてどういう在り方をしていくのかということを考えるべきというふうに思いますけれども、その点の見解を伺います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。委員御指摘のとおり、いわゆるフードデリバリープラットフォーム事業者は、近年、その市場規模というのが大きく拡大をしてきているものというふうに承知をしてございます。我々、今回の法案の策定に当たりましても、今言及のありましたフードデリバリー協会とも意見交換を行っておりますし、今後、いろいろなガイドライン等を定める中でも、関係者の一つとしてしっかりと会話をしていきたいというふうに思っております。また、そういった点を超えまして、フードデリバリープラットフォーム事業者に関する政策対応の必要性ですね、取引の適正化に限らないものという部分も含めてということでございますが、恐らく様々な論点があるというふうに考えておりまして、例えば食品産業を所管する農林水産省でありますとか、運輸事業を所管する国土交通省など、多様な関係省庁がございますので、本日の国会での御議論、問題意識も伝えて、適切に対応してまいりたいと考えております。

稲富修二 ありがとうございます。それでは、次に、三章の特定受託業務従事者の就業環境整備について伺います。ここでは、出産、育児、介護に対する配慮、ハラスメントに講ずべき措置が定められております。一方で、安全衛生の確保に関する記載がありません。そこで、例えば長い時間働き受ける健康被害の予防に関する規制というのがない。しかし、そういったことがあってはならないのは当然のことであります。そういったことからすれば、就業環境の整備の中で安全衛生という概念もしっかりと加えるべきではないかと思うわけですけれども、この点をお伺いします。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。本法案におきましては、特定受託事業者に係る就業環境の整備を図るため、育児、介護等と業務の両立への配慮義務、それからハラスメント対策に係る体制整備義務などの措置が盛り込まれております。これらは特定業務委託事業者と特定受託事業者との取引上の力関係から生じる就業上の課題であり、個々の取引関係の中で改善、解決を図っていくべき事項であるとして、本法案において規律を設けたものでございます。他方で、今御指摘ございました安全衛生の確保につきましては、取引当事者の関係だけではなく、実際の就業場所におけます物理的な危険有害要因も大きく影響を受けるものであることや、重層請負構造におきまして、その下で働く多様な関係者全体を統括し得る上位の注文者による対応が必要となる場合もあることなどから、個々の取引当事者間における対応のみでは必ずしも災害を効果的に防止できないため、本法案には盛り込まなかったとしているところでございます。他方、フリーランスが安全に、健康を確保しつつ働ける環境の整備は大変重要でございます。現在、厚生労働省におきまして、個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を開催し、幅広く御議論をいただいているところでございますので、その議論を踏まえて必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

稲富修二 例えばなんですけれども、フードデリバリー事業の場合の安全確保とか、事故に巻き込まれた場合の救済などというのは、現在の法体系で何か対応できるんでしょうか。

美濃政府参考人 お答え申し上げます。労働者性が認められないフードデリバリー事業等の配達員の方につきましては、労働法制における安全確保を目的とした規制は適用されないところでございます。一方で、厚生労働省を始めとする関係省庁では、そのような配達員と契約して飲食物を消費者に提供する飲食業者やプラットフォーマーの関係団体等に対して、配達員の方の安全確保につきまして、リーフレット等も活用しつつ、要請を行っているところでございます。具体的には、配達員の方に対し、交通ルールの遵守等の教育の実施、交通事故等の発生状況の把握、分析と同種事故防止のための情報提供、疲労の蓄積、睡眠不足等による交通事故防止のための長時間にわたる就業の防止等に取り組んでいただくよう、注意喚起を行っております。また、フードデリバリー事業等の配達員の方につきましては、令和三年九月に労災保険特別加入制度の対象に追加されており、同制度に任意で加入している配達員の方につきましては、業務中の負傷等に対しまして労災給付を受けることができるところでございます。引き続き、フードデリバリー事業の配達員の方に関するこれらの取組をしっかりと進めてまいりたい、このように考えております。

稲富修二 ありがとうございます。そこで、今の安全確保の問題ですけれども、例えば、確かに安全衛生法、安衛法は個人事業主というのは保護対象にしているわけではないということでございます。一方で、建設アスベスト訴訟、最高裁判決では、事業者が健康障害防止のために必要な措置を講ずるとしている安衛法二十二条に対して、労働者だけでなく、個人事業主、労働者でない者も同様に保護すべき旨が示されました。したがって、労働者以外の者であっても、労働者と同じ場所で就労する者は安衛法上の保護を受けるべきということも言えます。そういったことで、先ほど来少し説明がありましたけれども、特別加入の制度を進めているということなんですけれども、このことについては、建設業に従事している一人親方、あるいは、芸能従事者の方も、二〇二〇年の四月から、労災保険の特別加入ができるようになったというふうに伺っております。この制度を全般の取引に拡大をするということも一つではないかと思うわけですが、見解を伺います。

岩成政府参考人 お答えいたします。労災、直接という観点ではありませんけれども、本法案に関しましては、報酬額の交渉時に、特定業務委託事業者が、特定受託事業者であるフリーランスから必要とされる経費を勘案した上で報酬額を定めるよう求められたにもかかわらず、十分な協議をすることなく、特定受託事業者が提供する物品や役務と同種あるいは類似のものに係る対価に比べて著しく低い額の報酬を一方的に定めたような場合には、第五条第一項第四号の不当な買いたたきに該当する可能性があるというふうに考えております。そういった経費を報酬額に含めないこと自体が何か直接に第五条の規定に違反するわけではありませんけれども、報酬額の決定に当たっては、特定業務委託事業者と特定受託事業者との間で十分な協議が行われることが重要であるというふうに考えております。

稲富修二 先ほど来申し上げているように、安全確保というのはやはり大事でありまして、しっかりと政府においても御検討いただきたいと思います。以上で終わります。ありがとうございました。

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