活動報告

国会

【議事録・動画】令和5年4月21日 内閣委員会「孤独・孤立対策推進法案」について

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案件:孤独・孤立対策推進法案について
いなとみ修二 主な質疑内容:
(1)孤立を対象に含めた理由
(2)住宅確保支援策
(3)調査研究の推進
(4)孤独・孤立対策地域協議会
(5)NPO等に対する支援
(6)相談支援体制

稲富修二 立憲民主党の稲富でございます。大臣、どうぞよろしくお願いします。
孤独・孤立対策について、私が最初に意識したのは、私の福岡の選挙区なんですけれども、地元でマンションがあるところがありまして、そこの自治会の人、地域のお世話をよくやっている方が、周りに誰が住んでいるかよく分からないと。そして、先ほどありましたように、孤独死という事案もあるということで、お独り暮らしが増えているという現状がございます。そして、そういう自治会のお世話をされている方も、次にバトンタッチをしたいけれども、誰もそれを受ける人がいないという切実な声があったことが、問題を私が意識する発端でございました。五年前に一度この問題を取り上げさせていただいて、今回、法案まで至っているということが一つの大きな節目であり、私にとってもすごく大きな感慨を覚えるところです。
また、単独世帯、独り暮らしが増えているということで、それについて、イギリスで孤独担当大臣、孤独を担当する大臣ができたということは、社会保障制度を最初に生み出した英国でこういった問題を最初にやるということも、また一つの大きな節目かなというふうに思います。そこで、まず、今回の孤独・孤立対策ということなんですけれども、英国では孤独担当ということになっていますが、孤立を入れているということなんですけれども、なぜ孤立ということも概念に入れているのか、まず御答弁をお願いします。

小倉国務大臣 まず、主観的概念であります孤独と客観的概念である孤立は相互に関連するものであって、政府では、孤独、孤立双方を一体として捉えて対応することとしております。また、孤独、孤立は、心身の健康面への深刻な影響や経済的な困窮等の影響が懸念されるものであります。イギリスの例を引用していただきました。イギリスも、孤独が肥満や認知症、高血圧のリスクを高める等の健康被害をもたらす、こういった研究がある一方で、孤立に関しましても、社会的なつながりが弱いと一日十五本の喫煙と同程度の健康への悪影響がある、したがって社会的孤立は健康格差に影響を与えるとの研究もございます。こうしましたところから、政府では、孤独のみではなく孤立も含めて政策の対象としておりますものでありまして、孤立の問題については、英国においても長い対応の歴史があるものと承知をいたしております。

稲富修二 ありがとうございます。
それでは、孤立について少し伺ってまいりたいと思います。二〇二〇年の国勢調査では、単独世帯が三八%、夫婦のみ世帯が二〇%、夫婦と子供世帯が二五%ということで、単独世帯、独り暮らしが今や最大の世帯であるということに、まず私は衝撃を覚えるわけでございます。かつては、独り暮らしといえば、私もそうでありましたけれども、学生時代に田舎から東京に出てくる独り暮らし、若い人たちが家庭を持つ前の住まい方といいますか世帯の持ち方という印象でしたが、今や、独り暮らしというのは、若い方もいらっしゃいますけれども、高齢世帯、高齢のお独り暮らしということでございまして、これは、地域を歩くと、その感覚とこの数字というのは非常に合致するものがあります。そして、かつてはお二人暮らしだった方が、この長寿社会の中でお一人亡くなられて、お一人で大きな家に住んでいらっしゃるような方もいらっしゃいます。
標準世帯という言葉も、昨日総務省にお尋ねしたところ、二〇〇四年の家計調査年報を最後に、今や使われていないということです。両親プラス子供二人という家庭は今や少数になっているということです。これは社会の構造的な変化であり、社会保障制度の根幹に関わることだと私は考えます。二〇四〇年に、更にそれが、一人世帯が四割になるということで、加速化をしていくということで、少しその点について伺いたいと思います。
まず、高齢者の一人世帯の現状というのを、資料をお持ちしましたので、少し御説明したいと思います。
資料一を御覧いただければと思います。六十五歳以上の方がいる一世帯当たりの平均所得を見ると、この黄色のところで、単独世帯が二百八・四万円、夫婦のみ世帯が四百四十五・七万円ということ、そして、単独世帯の主な収入源というのは当然公的年金であるということで、これは大体予想されることなんですけれども、問題は、夫婦のみ世帯と単独世帯を比べると、急激に、大幅に収入が減るという現状です。
そして、さらに、次の資料二を御覧いただければと思いますが、単独世帯の二百八・四万円、平均ですけれども、所得階層別に見ると、一番所得が高い方から低い方まで五つに分けた場合の一番低い方でいえば、単独世帯の収入は年約百二十七・六万円であるということで、約十万円程度の収入で暮らしているというのが第一の層であるということなんですよね。つまり、高齢者は、二人よりも一人になった場合に急激にリスクが拡大をするという現状があるということです。
例えば、収入のリスク、貧困のリスクというのが今申し上げたことで、また同時に、介護について言えば、二人暮らしであれば、一人が例えば何らかの介護が必要になったとしても、もう片方の方が分かる。しかし、一人だと、どうなっているのか分からない。あるいは、もう一つは孤立のリスクでありまして、これは、一人であると、ほかの方と話す機会が減っていくということもデータで出ております。これまで、社会保障制度は、リスクを軽減するために年金、医療、介護を充実させる、あるいはそれを最適化するために制度としてやってまいりましたが、しかし、例えば、今見ていただくように、リスクを軽減するために年金を増やせるのかといえば、今の財政状況で実は難しいというのが現状かと思います。したがって、個々の制度を充実させてリスクを軽減できるかというと、そういう状況ではない。
したがって、私は、極端に言えば、これからの高齢、更に進む一人社会の中では、二人よりも一人の方が格段にリスクが増えるという意味では、独り暮らしの方をどうするのか、どうやってリスクを軽減するのかというのが最大の社会保障のテーマになり得ると思っています。そこで、コロナ禍において拡充された制度が、住居確保給付金という制度があります。コロナによって収入が減った、あるいは生活に困った方が、衣食住といいますけれども、最初に住のところで困って、そして住居確保給付金が随分と活用されたというふうに思います。まず、この住について。住居確保給付金について、コロナ前、そしてコロナピーク時と、現在、どれぐらいの世帯が使っているのか、事実関係を教えてください。

本多政府参考人 お尋ねの住居確保給付金の支給実績についてお答え申し上げます。
住居確保給付金は、求職活動中の住まいの安定を確保することで自立を促進するため、一定期間、家賃相当分を給付する制度でございます。最近の支給実績ですが、コロナ前、令和元年度が三千九百七十二件。令和二年度が十三万四千九百四十六件、令和三年度が四万五千六百七十一件、令和四年度が、十二月までの累計でございますが、一万九千八百九十七件となっております。

稲富修二 ありがとうございます。
今御説明があったように、コロナピーク時は急激に使用が増えた。要件の緩和というのもあったとは思いますが、やはり、住をどうするかというのが収入の貧困あるいは生活を守るために非常に重要になってくるというのが、コロナ禍で明らかになったわけです。
そこで、資料三を御覧いただけますでしょうか。収入は先ほど申し上げたような状況ですけれども、単身世帯の支出はどうなっているのかを見ると、これは月ごとですが、住居についてはこの黄色で囲ってあるような一万三千三百十円、あるいは光熱・水道は一万二千円で、消費支出は十三万七千円ということなんですけれども、つまり、収入を増やすことは非常に難しい、例えば年金を充実させるというのは現実的には難しいという中で、どうやってリスクを軽減するかというのは、私は住のところではないかと思うわけです。我が党も公約において住宅手当というのをうたってまいりましたが、やはり住宅に対する政府の政策というのが必要になってくるのではないか、リスクを軽減するために必要になってくるのではないかというふうに思うわけですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

小倉国務大臣 先ほども厚生労働省の政府参考人より、住居確保給付金の支給実績等についての答弁がございました。コロナ禍での生活困窮者の生活の下支えとして大きな役割を果たしてきたものと承知しております。また、生活の基盤となる安定した住まいの確保は、孤独・孤立対策の観点からも大変重要であると考えております。例えば、住宅セーフティーネット制度による住宅確保要配慮者への経済的な支援として、家賃や家賃債務保証料の低廉化の仕組みを活用することも孤独・孤立対策に資するものと考えております。私どもの孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの会員には、この制度を活用して孤独・孤立対策に資する活動をしている団体、例えば一般社団法人全国居住支援法人協議会などにも御加入いただいておりまして、孤独・孤立対策としての様々な支援の議論に当たって、こうした団体との連携も図ってまいりたいと考えています。

稲富修二 ここは住宅政策に関わるところで、ちょっと幅広な議論が必要なので、今日は大臣の答弁を伺いまして、少し私も研究を深めてまいりたいと思いますが、やはり住に対する支援が私は必要だというふうに思います。
続きまして、法案の十四条について、少し要望そして意見を申し述べたいと思います。調査研究を推進というところでございまして、国は、孤独、孤立の状態にある者の実態に関する調査研究を進めるということなんですけれども、今回の法案の中で、私は、この十四条の調査研究を進めるということが対策本部の中で最も重要な機能の一つだと思っております。これはいわばすぐできることでありまして、それについて三つ意見を申し述べたいと思います。
一つは、この孤独・孤立対策について、これまで政府は、令和三年、四年と、人々のつながりに関する基礎調査をされました。しかし、これだけでは不十分じゃないかと思うわけです。そこで、まず一つ目は、孤立に関する生活実態が分かるような既存のデータを政府はたくさん実は持っております。しかし、先ほど私がお示ししたものは総務省のデータであり、厚労省のデータでありということで、ばらばらに存在しているし、独り暮らしあるいは孤立という面では切っていないので、一つ一つ出してこなきゃいけないわけです。そして、何があるかというのも、私はよく、全部を、つぶさに分からないわけです。
例えば、内閣府が平成二十六年に、平成二十六年度一人暮らし高齢者に関する意識調査結果というのも作っておりまして、平成十四年度、十一年度、六年度にも同趣旨の調査を行っております。今回の人々のつながりに関する基礎調査よりもサンプルは少ないですけれども、個別面談で、孤独の状態や住宅、収入、あるいは都市規模別にもあります。ということで、かなり充実した内容だと私は思います。こういう既存のデータ、調査があるはずでありまして、それを是非、対策本部で集約して、政策に生かせるように総合化をするといいますか、そういう既存のデータを活用していただきたいというのが一つ目なんですけれども、大臣の答弁を求めたいと思います。

小倉国務大臣 孤独・孤立対策における施策の効果的な実施に当たりましては、これまで二回行いました孤独・孤立の実態把握に関する全国調査結果のみならず、孤独、孤立に関連する既存データの活用も重要と考えております。稲富委員に参考資料でお示しをいただきました総務省の家計調査ですとか厚労省の国民生活基礎調査、こうした生活実態に関する既存データをどのように組み合わせれば、より深く正確に孤独、孤立の実態把握ができるのか、孤独・孤立対策の施策の推進に当たっては、しっかり考えていきたいと思っています。

稲富修二 ありがとうございます。
調査研究について、二つ目の要望です。都市と地方の課題がありまして、孤独、孤立に関しては、都心部と地方では大きく異なると思います。冒頭申し上げましたように、私の地元では、独り暮らしの方が非常に増えている。マンション暮らしの方も多くいらっしゃる。孤立を、なるべく人と接しないことを望んで、マンションに住んでいらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。そして、同僚の早稲田議員がおっしゃいましたけれども、孤独死という問題もあります。恐らく、地方と比べると急激な形で独り暮らしが増えているということかと思います。そして、内閣府の、先ほど御紹介した平成二十六年度の一人暮らし高齢者に関する意識調査というのがありまして、それによれば、都市規模別に大都市、中、小都市、町村の四つに分けていて、それぞれで随分と意識が違います。
例えば、孤独死を身近に感じますかという問いに対して、大都市は四六・七%に対して、町村は三七%ということで、やはり都市部とそうじゃないところでは、孤独感といいますか、孤独に対する考え方も大きく違うと思います。したがって、今後、調査研究において、令和三年、四年にされたところは都心部と地方という差はありませんでしたけれども、これから是非、地方と都心部というのが分かるような形での調査を進めていただきたいということを思っておりますが、大臣の答弁を求めます。

小倉国務大臣 私どもも、委員御指摘のように、孤独・孤立対策の施策を実施する上で、都市部と地方での課題の違い、これを考慮することは重要と考えています。都市部と地方のそれぞれの課題の把握をどうするかという点については、現在政府で実施しております孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の中で、標本設計や集計内容の工夫も含め、有識者を交えてしっかり議論をしてまいりたいと考えています。

稲富修二 ありがとうございます。
もう一つ、この調査研究について御要望申し上げたいと思います。女性の独り暮らし、特に中高齢の方の実態についてであります。これも地元の方からお声をいただいたことなんですけれども、例えば子供がいらっしゃる御家庭については、様々な政策、ある意味いろいろな政策の取組がある。そして、高齢者、六十五歳以上になれば、先ほどお示ししたような六十五歳以上の女性のお独り暮らしというのが、実態がある程度分かります。しかし、子供がいない中高齢の女性というのには余り政策が行き届いていないということを要望でいただいて、確かに、見てみると、子育て世帯についてはこういうことがある、しかし、そうではない中高齢の方々に対する光がなかなか当たっていないんじゃないかというのは、そうだなと私も思うんですね。
調べてみると、確かに、六十五歳以上の女性については、お独り暮らしになると最も貧困率が高いと言われております。そして、現在、例えば高齢の前のところ、中高齢の女性でいえば、今や生涯の未婚率は女性では一七・八%、どんどん上昇しているということで、独り暮らしがどんどん増えていっているわけです。そして、女性の労働者に占める非正規の割合というのは約半分、五四%ということですし、賃金で考えれば、非正規の労働者は正規の労働者のほぼ七割の給与ということを考えれば、お独り暮らしの女性は、非正規が一定程度いて、そして収入も少ないということが予想されるわけです。
したがって、収入が少ない独り暮らしの女性がたくさんいらっしゃるということで、その方々が、今、人生百年時代ですので、長生きをして、六十五歳以上になって、当然、収入が低ければ年金も低いということになるわけです。そういうサイクルの中で、将来的にすごく不安を抱えているという声だったんですね。そういう中高齢の女性の生活実態というのを是非、今後、調査研究の中でしていただきたいということなんです。例えば、横浜市は二〇一六年に、非正規のシングル女性ということで、非正規で働く三十五歳から五十四歳で子供のいない女性に対するウェブアンケート調査をしております。そうすると、年収が二百五十万円未満というのが六八・二%という現状もあります。これからこの中高齢の女性の生活、リスクをどう軽減していくのか、是非、これから調査を進める上で、その視点から取り入れていただきたいというふうに思うわけですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

小倉国務大臣 現在、政府で実施しております孤独・孤立の実態把握に関する全国調査では、我が国の孤独、孤立の実態を概括的に把握する設計となっており、御指摘のような、独り暮らしの女性といった、特定の属性の方の生活実態の把握には必ずしも適していないと考えております。しかしながら、孤独、孤立の状態は、人生のあらゆる段階において何人にも生じ得るものであり、孤独、孤立の対策は、御指摘にもありました、独り暮らしの中高齢の女性も含め、あらゆる人が対象となるものと考えております。
私の地元にも、例えば御夫婦で年金暮らしの方で、夫が亡くなられて、いきなりダブルインカムからシングルインカムになって非常に生活が困窮をしているといった方にも多くお話を伺いますし、稲富委員御指摘のように、男女間の賃金格差というのが日本は大きいという状況にございますので、例えば中高齢になったときに蓄えが少ないですとか年金が少ないというのは、やはり女性の中高齢に偏っているのだろうということも推察をされます。そういった中で、実際に、実態調査結果に係る有識者の分析によりますれば、中高齢に孤立の傾向があることも分かっております。これまで議論がありましたように、例えば様々な既存のデータを組み合わせて、より分析をするというやり方もありますでしょうし、自治体のデータを活用させていただくという方法もあろうかと思います。御指摘の点も踏まえながら、毎年の施策を検討してまいりたいと考えています。

稲富修二 是非、充実した調査にしていただければと思います。ありがとうございます。
続きまして、十六条のことをお伺いしたいと思います。情報の交換、情報の提供に関してであります。協議会の中で情報の交換を行うことができるということとなっております。個人情報保護法では、本人の同意がなければ情報を提供することができないとなっておりますが、三項によって、当事者の同意がなくても情報の提供が、共有が可能となっているということに今回なっております。似たような制度で、児童福祉法の制度がありまして、二十五条の三でも同じように情報の提供そして共有ということが記されておりまして、そこでも情報の提供ができるということになっております。
これも地元から非常に強い声があるのは、誰がどこに住んでいるのかよく分からないという方がたくさんいらっしゃるということ。地域で、特に自治会で地域のお世話をされている方からすれば、住んでいる方が分からない。そして、先ほども同僚の議員からもありましたように、孤独死の問題が発生をする。情報の提供をどうするのかということは極めて大事であると思います。特に、大臣も度々答弁されているように、孤独、孤立から生じる問題を予防していかなきゃいけないということからすれば、協議会における情報の共有をどうするのかというのは、個人情報保護法との関係で非常に難しいですけれども、どこまでどうするのかということは極めて大事な点だと思うんですね。そうでなければ、逆に言うと、午前中にあったような孤独死の問題というのは私は防げないんじゃないかというふうに思うわけです。難しいところなんですけれども、どうやってその情報共有をするのか、その点についてお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 まず、御指摘の孤独・孤立対策地域協議会、これは、各地域において、個々の当事者等への具体の支援内容について関係機関等の間で協議をする場となっております。個々の当事者等への効果的な支援を実施するためには、地域における当事者等への支援に携わる様々な関係者のネットワークの下で、孤独・孤立対策地域協議会を構成する関係機関等が共通の情報と認識を持つことが重要と考えております。支援に当たりまして必要となる当事者の個人情報、これにつきましては、基本的には本人の同意を得た上で協議会の構成機関等が共有することになるものです。他方で、例えば当事者がセルフネグレクト状態にあるなど、本人に自覚がなく、個人情報の提供に同意しないケースも想定され、こうした場合においても、協議会の構成機関等が必要な個人情報を共有した上で適時適切に支援を行っていくことが求められております。このため、今回の法案では、今申し上げたようなケースで、協議会が、必要があると認めるときに、構成機関等に対して必要な情報の提供を求めることができるとしたところであります。
今後、この規定の求めに応じることが、個人情報保護法上、例外的に本人の同意なく個人情報を第三者に提供できる場合である「法令に基づく場合」に該当する具体のケースについて、関係機関と調整して整理をし、法案成立後の法の施行までに通知等でお示しをすることといたしております。そういう意味では、個人情報の保護との兼ね合いで、委員の御指摘のとおり、今回の条文に「必要があると認めるとき」としたわけでありますが、実際にこの条項があることによって支援が手遅れになってしまうという委員の懸念も踏まえまして、しっかり、そういったことがないように、これから関係機関の意見も丁寧に聞きながら、運用上の工夫をしてまいりたいと思っております。

稲富修二 ありがとうございます。
大臣から御答弁いただきましたように、必要があると認めるときということは、いわば事態が発生してから情報共有するのでは遅いという御答弁をいただきました。したがって、これをどう考えるのか、必要があると認めるときをより早く考えるのかどうか、よりそれを幅広に考えるかどうか、考えないと、私はこれが意味のない規定になってしまうというふうに思いますので、その点も踏まえて是非御検討いただいて、これが本当に地域で活用され、例えば孤独死という問題を少しでも減らせるような、役に立つような法律にしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
続きまして、孤独・孤立対策協議会についてなんですが、先ほど申し上げたように、いろいろな協議会が地域、地方にありまして、要保護児童対策地域協議会、社会福祉法による支援会議、あるいは生活困窮者自立支援法による支援会議、様々な会議があって非常に分かりづらいのではないかというふうに思うわけですけれども、孤独、孤立の協議会はそれらが手が及ばないところをやろうとしているのか、それとも、重なる部分もあると思うんですけれども、それを統合した形でやろうとしているのか、どういう役割をそこで果たそうとしているのかということを御説明いただきたいと思います。

小倉国務大臣 今回の孤独・孤立対策の地域協議会では、確かに稲富委員御指摘のような、要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協ですとか、社会福祉法上の支援会議、生活困窮者自立支援法上の支援会議といった既存の会議がございます。そういった既存の会議で対応できないような複合的な課題を抱えているケースを対象に、幅広い関係者が連携した支援を行うことを想定いたしております。他方で、こういった新たな協議会の設置が自治体やあるいは関係者の過剰な負担にならないようにしなければならないというふうにも思っておりまして、協議会の運用においては、こうした既存の組織を活用しながら、各自治体や地域の実情に応じた形で柔軟に設置することも可能とすることを想定しております。この点も含めた協議会の運営等の考え方につきましては、地方自治体を始めとする関係者の意見も聞きながら整理をし、法案成立後の法の施行までに通知等でお示しをしてまいりたいと考えています。

稲富修二 ありがとうございます。
続きまして、NPOについてお伺いしたいと思います。先日の委員会でも、NPOのガバナンスについて、自民党の議員さんが質問されておりました。そして、同僚の我が党の議員もNPOの促進について質問をしておりました。今回、NPO等への支援として約六十億円を計上し、その活動を支援するということがうたわれております。私も確認したところ、例えば、子供の居場所づくり、生活困窮者等支援、自殺防止対策ということで、NPOは行政が届かない現場に即した支援活動を展開をしており、その活動は不可欠だと私も思います。重点計画にも、NPOの活動をきめ細かく支援し、官、民、NPO等の連携を強化する、そしてまた、NPO等の活動に対して安定的、継続的にきめ細かな支援を行うということで、いわばこの対策の中でNPOというのが制度として組み込まれているわけであります。その中で、私が感じておりますのは、先日、平沼先生が御質問された、お金を出す以上はそのガバナンスをしっかりしてくれというのは当然のことだと思うんですね。
そのときに、参考人からこういった答弁がございました。補助対象団体に対する指導監督を行う必要があると認識をしている、そして、本格的な支援が可能になる、あるいは、NPOの持続的、安定的な活動に向けた支援を実施する必要があるということなんですけれども、私も、現実には、NPOが果たす役割は、先ほど申し上げたように非常に大きいと思いますし、それが大事だと思います。しかし、かといって、同じ党の同僚議員と全く違う意見で恐縮なんですけれども、恒常的にいわば財政支援をし続けるという姿が果たしていいのかというふうに思うわけです。NPOはあくまで民でありまして、先ほど申し上げましたように、当然、指導監督をするということになるわけですよね。財政支援をする以上は、それがどういうふうに使われるのかという指導監督をするわけです。しかし、民だからこそNPOの存在意義があるわけであって、したがって、恒常的に財政支援をし続ける、あるいは継続的に続けるということが、果たして本当に、これからNPOを育てていく、あるいは更に活動を活性化させるためにいいのかということを考えていかなければいけないのではないかという問題意識を私は持っております。
当然、NPOは、特定NPOの場合であれば税金の控除も受けられるわけでございまして、それを通じて財務あるいは経営というのを透明化を図られているわけです。したがって、更にそれに財政支援をするということになると、私は、やり得ることはずっとこれをやりますよということよりも、財政的じゃない部分も含めて、例えば、最初のところはこれぐらいやります、しかし徐々に徐々にそれが自律的に活動していけるような環境をつくっていかないと、いつまでたっても政府が支援をし続けるということであれば、それは、いわばNPOというよりも、政府のやっている仕事を請け負っているという姿になってしまうのではないかという危惧を持っています。したがって、ちょっと長くなりましたが、ガバナンスが必要というのもそのとおりだと思います。しかし、一方で、ずっと続けるのかどうかということは慎重に考えなきゃいけないのではないかということを思うわけですが、大臣の基本的な認識を伺いたいと思います。

小倉国務大臣 NPO法では、法人の自律性、市民の自発性及び自由な活動を保障し、法人運営の自主性を尊重することを理念といたしております。NPO法人と行政においては、適切なパートナーシップの下で活動していくことが重要だと考えております。確かに、NPO法人の活動の目的達成のために、行政からの補助金や委託事業費など、行政資金が活用されるものもありますので、そういった使い道についてはきちんとチェックをしなければいけないことも承知をしておりますが、その運用に当たりましては、NPO法に掲げる理念に即して適切に行われる必要があるとも考えております。委員御指摘のように、ずっと行政資金を入れていくことが全てではないという話は、私も同意をいたしております。まさに、早稲田委員と議論をさせていただいたように、休眠預金口座における支援のような、そういう支援を行うことによって、呼び水といいますか、それが触媒となって更に寄附が集まり、自律的に、より幅広い範囲で活動できるようになるNPOも出てくると思いますので、どうやってNPOを支援していくかというのは、まさに政策ごと、ケース・バイ・ケースで判断されるべきだと思っております。実態といたしましても、行政からのNPO法人等への支援につきましては、今申し上げたように、活動内容によって支援手法は異なっているものと考えておりますので、内閣官房としては、令和五年度に実施するモデル調査の取組状況等を踏まえて、孤独・孤立対策に関するNPO法人等の諸活動への支援策の在り方について検討していきたいと考えています。

稲富修二 よろしくお願いします。
続きまして、相談ダイヤルについてお伺いしたいと思います。孤独・孤立相談ダイヤル、試行的にされたということでございますし、これからも本格実施に向けてという言葉もありましたので、恐らく相談窓口として活用していくものと想像しています。しかし、他方で、資料を御覧いただくと、最後の資料ですけれども、いのちの電話というのがありまして、その他、例えばこの記事に書いてある、こころの健康相談統一ダイヤル、あるいは、よりそいホットライン等々、様々な電話窓口があります。したがって、相談窓口を充実させて、そういった困った声をしっかりと受け止める窓口が必要だというのはそのとおりだと思いますし、それは進めるべきだと思うんですね。ただ、こういう、いのちの電話という長い歴史を持った相談窓口がある、あるいはほかにもあるということで、孤独・孤立ダイヤルとその他の電話のどこに電話をするのかといったときに、やはりちょっと分かりにくいんじゃないかと思うわけです。何が違うのかもよく分からない、私自身もよく分からないし、困った方が、実際にどこに電話しようと思ったときに、どこにしていいかよく分からないのではないかと危惧するわけです。
それと同時に、先ほど申し上げたように、いのちの電話はかなり長い歴史を持っておるやり方で、そして、そこで働く方は、随分と訓練を受けて、ボランティアで研修を受け、そして様々な訓練を受けて相談員となられているわけです。そうやって考えると、例えば政府の孤独・孤立ダイヤルができたことによって、いのちの電話をやっていた方がそちらを辞めてこちらに来るとか、これまでやってきた、積み上げてきた方がこちらに移ってくるということになると、一体何のためにこれをつくったのかということにもなりかねないと思うんですね。
もう一つ言えば、いのちの電話をずっとやってきている方にお話を伺うと、やはりそんな簡単にすぐできるものじゃないと。訓練が要るし、したがって、すぐ誰か人がいればいいというわけではないということを考えれば、やはり、相談員として訓練を受け、そして経験を積む。そして、ダイヤルをつくればすぐにそれを受けられるというわけではないんじゃないかというふうに思うわけです。したがって、分かりづらいんじゃないかということと、人材が移動してしまうんじゃないかという懸念があるわけですけれども、その点について、大臣の見解を伺いたいと思います。

小倉国務大臣 この孤独・孤立相談ダイヤルは、孤独、孤立に関する個人の悩みが複雑多様化し、相談窓口も分野やエリアに応じた様々なものが存在する中で、各相談窓口の主体のみでは複雑多様な課題への対処には限界があること、あるいは、相談者の立場からは、様々な相談窓口があるがゆえに相談をどこにすればいいか分からず諦めてしまう状況を打破することを狙いとして取り組んでいるものであります。具体的には、委員が御紹介いただいた日本いのちの電話連盟を含む官民連携プラットフォームの関係団体の協力を得まして、シャープ九九九九という分かりやすい番号で一元的に相談を受け付け、必要に応じて相談から支援制度や地域の支援機関につなげる実践的な試行を行っております。
そういう意味では、いのちの電話も含め、より幅広い孤独や孤立の課題について一元的に総合的に受け付けるのが私どもの電話相談窓口でありまして、必ずしもかち合う、重複するものではなくて、むしろ連携してより広範囲に取り組んでいるもの、そういう認識でございます。もちろん、人材育成は重要でございます。今回関係している団体というのは、いずれも、いのちの電話のようにしっかり経験を積んだ団体にお願いをしておりますが、これを広げるとなると、先ほど来申し上げているように、相談員の体制の強化等々も課題となってくると思いますので、その点につきましては、今後、環境整備に取り組んでいきたいと考えております。

稲富修二 どうもありがとうございました。これで終わります。

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