活動報告

国会

令和元年5月15日 厚生労働委員会「単独世帯、社会的養護について」

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案件:
■厚生労働関係の基本施策に関する件
■児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律案
■児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案
■児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案

冨岡委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 国民民主党の稲富修二でございます。
 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、単独世帯についてと、あと社会的養護について質問させていただきます。
 まず、単独世帯について、先月の四月十九日に、人口問題研究所から、日本の世帯数の将来推計、都道府県別のものが発表されました。資料一枚目でございます。
 そこで、この単独世帯については、当委員会でも実は三度目なんですけれども、今回は都道府県別のデータが出たということでございますけれども、今回、この将来推計からわかることをまずお伺いをいたします。

藤澤政府参考人 今御質問がございましたように、先日、国立社会保障・人口問題研究所から、日本の世帯数の将来推計、都道府県別の推計が公表をされております。
 これによりますと、主な結果のポイントでございますけれども、一つは、単独世帯の割合が二〇二五年には全ての都道府県で最多となる。また、二つ目には、二〇四〇年には全都道府県で三割を超え、全国平均は三九・九%、これは二〇一五年比で四・八%の増に達し、最も高い東京都で四八・一%、二〇一五年比で〇・八%の増、最も低い方になりますが、山形県は三一・四%、二〇一五年比で五・九%の増となるといったような結果が得られたところでございます。

稲富委員 次に、都道府県別ということで、お手元の資料でもごらんになっていただけますように、かなり都道府県別にばらつきがございます。都市圏ではやはり単独世帯がふえているなと言えるかもしれませんし、その他、都道府県別からわかるばらつきについてどのように分析をされているか、お伺いをいたします。

藤澤政府参考人 都道府県別の世帯数の将来推計によりますと、単独世帯の割合につきまして、高い県から順番に並べますと、二〇一五年、足元では、東京都四七・三%、以下、京都府、大阪府でありますが、二〇四〇年は、東京都四八・一%、以下、京都府、大阪府となっております。
 また、逆に、低い県から順に並べますと、先ほど申し上げましたように、二〇一五年、山形県二五・五%、奈良県、岐阜県という順番でありまして、二〇四〇年は、山形県が三一・四%、富山県、福井県というふうな順番になっております。
 また、単独世帯の世帯数の二〇一五年から二〇四〇年までの増加率を見てみますと、これは、高い県から順番に並べますと、沖縄県がプラスの三一・七%、以下、滋賀県、埼玉県といった順。また、低い県から逆に並べますと、高知県がマイナス八・八%で、以下、青森県、秋田県といったような順番になってございます。
 今申し上げましたように、二〇四〇年の将来の単独世帯割合の推計結果は、足元、直近で言えば二〇一五年の数字でございますけれども、足元において単独世帯割合が高い地域では将来の割合も高くなるといったような傾向があることがうかがえるところでございます。
 その足元の状況を見てみますと、非大都市圏と比べて単独世帯の割合が高い東京や京都や大阪といったような大都市圏は、未婚率が高いことや三世代の同居率が低いこと、一方で、非大都市圏の中でも北海道、高知、鹿児島は、三世代の同居率が低く単独世帯の割合が高いといったような特徴が見てとれるわけでございます。
 また、単独世帯の世帯数の増加率について見てみますと、既に高齢化が進展をしている県は二〇四〇年に向けて増加率が低く、これから高齢化が進展していくような県は増加率が高いといったような傾向が見てとれるところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 この単独世帯がふえていくという問題については、当委員会三回目ということと、実は私はその他の委員会でも、厚生労働委員会にとどまらないということで、内閣あるいは総務委員会でも質問してまいりました。
 それで、これからちょっと大臣と議論をさせていただきたいんですけれども、これから長生きになってそして未婚化が進んで、二〇四〇年には四割単独世帯になる。今御説明にあったように、二〇二五年には全ての都道府県で単独世帯が最大の世帯数になるということ。
 そのことに関して、前回、そういった単独世帯に対するリスクは三つあって、介護と孤立と貧困のリスクがあるということに対して、大臣からは、それらのリスクに対しては、一つは社会保険で対応するんだと。先日の答弁でいうと、介護保険料の軽減等、あるいは年金の二十五年から十年にする等で対応するんだと。もう一つは、福祉というところで、生活保護前のセーフティーネットとしての生活困窮者への支援制度を設けることでそのリスクに備えるんだという御説明がございました。
 ただ、もう一つの孤立というリスクに対しては、実は決定的な政府としての政策というのがございません。その際に、地域共生を目指すんだという大臣のお言葉がありましたけれども、どうやってこれを防ぐのかということは極めて大きな課題かと思います。
 今申し上げた三つは、孤立も介護も貧困のリスクも、私からすると、むしろ孤立することによって、その他の介護もあるいは貧困のリスクも高まるという関係があると思います。どうやってこの孤立を防ぐかということがまさに大事で、それに対して政府としてどうするかということが必要なんだと思います。
 しかし一方では、孤立というのは、まさにそれは自助の世界だろう、政府が手を出す話じゃないだろうというのも、その点は恐らくそうだと思います。しかし、だからこそ今申し上げた三つのリスク、これから単身世帯が最大になる、そして三つのリスクを抱える、その中の大きな、最初になる孤立のリスクをどう防ぐかということは、これからは、自助の世界ではなくて社会化し、それをどうやって問題として対処するかというのが必要になるんだと私は思います。
 そこで伺います。
 イギリスでは、こういった孤独に対する問題に対峙するに当たって、昨年の一月に孤独担当の大臣を設置いたしました。そういったことも含めて、大臣の基本的な認識をお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 英国では、二〇一八年一月に、孤独と社会的孤立への対策を政府横断的に行うため、孤独担当の政務職が任命されて、二〇一八年十月には、今後の取組をまとめた孤立戦略が策定されたと聞いております。
 私もイギリスでそういう担当大臣が起用されたという話は耳にしておりましたが、稲富議員の御提起もありましたので、改めてイギリスにおける取組、これも勉強させていただきました。
 その意味で、イギリスの孤立戦略、これは非常に日本とも共通する問題だし、我々も手がけている政策もありますけれども、イギリスでの取組については、一つは、かかりつけ医による地域活動やコミュニティー活動の紹介、あるいは郵便配達員による通常業務の一環での見守り、コミュニティーカフェやアート空間などのコミュニティースペースの増設、こういう取組を進めることとされております。
 一方で、我が国も、もう既に委員から、これから単独世帯や高齢者単身世帯、一人親世帯が増加する、あるいは、もう一つは五十歳時の未婚者の割合が上昇という状況が見られます。
 さらに、ここは委員と共通するところでありますが、特に地域社会との関係性の希薄化、こういうものを契機として、生活困窮者自立支援の実践においても、新規相談者の抱える問題として、経済的な困窮のみならず、家族の問題、あるいはニートや引きこもりなどを含む社会的孤立といった課題が今相当出てきております。
 英国同様、我が国においても孤立は個人が抱える重要な課題の一つであって、生活困窮者の自立支援や市町村における包括的支援にしっかり取り組んでいく必要があると考えております。

稲富委員 ありがとうございます。
 要するに、高齢者の貧困の問題とは違うということで、それは一つであって、これは、孤独である、そしてそこから発生するさまざまな問題は単なる貧困対策ではないということでございます。
 先ほどおっしゃっていただいたように、現役世代も同じようにこの問題は直面することであるということも、当委員会で前回お話をさせていただきました。単身の女性、四十歳以上の問題でございます。非正規の割合が五割を超えている、恐らく所得水準も低いであろうということ、そして、将来不安がやはりそれに従って大きくなるであろうということでございます。
 何度も繰り返しになりますけれども、この孤立、孤独という問題は、もちろん個人の問題だというのはこれまでの考え方だと思います。私がここで申し上げたいのは、それを社会化し、そうじゃないんだということから出発しないと、この問題は解決しないんだということなんですよね。
 そこで、この問題を、ぜひ二〇四〇年の社会保障の制度を考える際の、やはり構造変化だと捉えて、何らかの実態調査なり、新たな社会保障の枠組みの中で単身世帯のあり方を私は論じるべきだし、それを考えていかなければならないと思います。
 繰り返しになりますが、介護あるいは貧困という個別の政策ではこれは捉え切れない課題で、一体として、単身世帯としてどうするのか、孤立をどうやって防ぐのかということを社会保障の中で打ち出していくべきだというふうに考えます。
 それと同時に、やはり単身世帯にある人の生活実態を、先ほどの現役の中高齢の女性の生活実態、そして高齢者の実態をぜひ調査していただきたいと思いますが、大臣の見解を伺います。

根本国務大臣 単独世帯の生活実態でありますが、例えば調査として、国民生活基礎調査では、単独世帯における所得の種類別の金額、あるいは、国立社会保障・人口問題研究所の生活と支え合いに関する調査においては、人と人とのつながりの状況として、世帯別の会話頻度あるいは頼れる人の有無などの状況を把握しております。これによると、単独世帯では他の世帯と比べて、所得水準が低く、他者との関係性が薄くなる傾向にある、こう認識しております。
 一方で、今委員からもお話がありますが、委員の問題意識でもありますけれども、孤立や生活困窮などの問題が我が国全体の重要な課題となっている、こういうことを踏まえますと、世帯の類型を問わず、さまざまな支援を必要とする方々に対し確実に支援を届けていくことが必要だと思っております。
 昨年施行された改正生活困窮者自立支援法において、基本理念、例えば生活困窮者が置かれている状況の例として、地域社会からの孤立の状況、こういうものを位置づけておりますし、生活困窮者の定義を明確化することで、例えば生活困窮者の定義は、経済的困窮に至る背景事情として、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情、こういうものを明示して、要は、生活困窮者の定義を明確化することで、生活困窮の背景に社会的孤立の問題が存在し得ること、これを明示して支援の展開を図っています。
 また、昨年施行された改正社会福祉法においても、地域住民相互の支え合いの体制づくりや関係機関の連携による相談支援の強化など、包括的な支援体制の整備を推進しております。社会的孤立状態にある方に対して、問題の深刻化を防止する観点を含めて、早期に、かつ、きめ細かな支援を行っていきたいと考えています。

稲富委員 ありがとうございます。
 繰り返しになりますが、二〇四〇年に向けての社会保障制度のあり方を考える上で、これは社会の大きな構造変化だ、そして、ぜひそれを社会保障制度の中に位置づけていただきたいということを申し上げて、次の話題に参りたいと思います。
 社会的養護についてでございます。
 平成二十九年の八月二日に、新しい社会的養育ビジョンが示されました。私の知人の社会的養護に携わる仕事をしている方にとってみれば、黒船だというふうな表現をしておりましたけれども、衝撃的なインパクトを持って捉えられたビジョンでございました。
 そもそも、なぜこの方針が、ビジョンが示されたのか、そして、なぜこの中でこれまでと大きく違う方向感が示されているのか、お伺いをいたします。

根本国務大臣 社会的養護が必要な子供たちが安心して生活できる里親や児童養護施設等の受皿を整備すること、これが重要だと考えています。
 厚生労働省では、平成二十三年七月に「社会的養護の課題と将来像」をまとめました。社会的養護の受皿について、おおむね三分の一を里親及びファミリーホーム、おおむね三分の一をグループホーム、おおむね三分の一を児童養護施設等の本体施設にするよう目標を設定し、整備に取り組んでまいりました。
 一方で、平成二十八年の児童福祉法改正では、昭和二十二年の制定以来見直しがされていなかった理念規定などの改正を行って、子供が権利の主体であること、実親による養育の支援や実親による養育が困難であれば、里親や特別養子縁組などで養育されるよう、家庭養育優先の理念、この家庭養育優先の理念というのを法律に規定をいたしました。
 この改正の理念を具体化するために、平成二十八年から有識者による検討会を設置して、平成二十九年八月に、新しい社会的養育ビジョンを提示しました。この新しい社会的養育ビジョンでは、三歳未満についてはおおむね五年以内、それ以外の就学前子供についてはおおむね七年以内に里親委託率七五%以上を実現すること、おおむね五年以内に年間千人以上の特別養子縁組の成立を目指すことを始めとした、社会的養育のあり方を提示いたしました。
 新しい社会的養育ビジョンを受けて、現在、各都道府県に、里親等委託率の目標設定を含む家庭的養育推進のための都道府県社会的養育推進計画について、今年度中の策定を依頼しております。

稲富委員 もう一度申し上げます。
 なぜこれを大きく変えたのかということを、これはぜひ政治家としての大臣の言葉を聞きたいということでございますので、もう一度お答え願えますか。

根本国務大臣 要は、社会的養育の問題、これは非常に重要な問題ですから、昭和二十二年の制定以来見直しがされていなかった理念規定、私はここが大事だと思いますが、子供が権利の主体だ、そして、実親による養育の支援や実親による養育が困難であれば、里親や特別養子縁組などで養育されるよう、家庭養育優先の理念、やはりこの理念をしっかりと位置づけた。
 社会的養護が必要な子供たちが安心して生活できる里親や児童施設等の受皿を整備することが重要ですが、この背景となる考え方や必要性、あるいは理念規定を置いて、そして具体化するために、先ほど私が申し上げましたが、具体的な制度を推進することに今精力的に取り組んでいるということであります。

稲富委員 なぜ変えるかというところがすごく私は大事だと思います。そこが非常に不明確といいますか、ストレートに伝わってこないなというのが率直な感じです。
 そこで、先ほど大臣が先に答えていただきましたけれども、さまざまな数値目標の年限等がございます。資料二ページを見ていただきますと、工程で示された目標年限として掲げられている、「平成三十二年度までに全国で行われるフォスタリング機関事業の整備を確実に完了する。」と書いてありますが、この達成状況についてお伺いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。
 まず、このフォスタリング機関でございますけれども、基本的には民間の機関でございますけれども、里親のリクルート及びアセスメントから、里親の研修、子供とのマッチング、養育に至るまでの各段階における一貫した里親養育支援を実施する機関でございます。具体的には、経験を有するNPO法人とか乳児院が担っているものでございます。
 こういった目標を掲げておりまして、現在、国の予算措置におきましてもこのような機関に対する補助金がございますけれども、これを大幅に拡充いたしております。現在、手元には具体的な数字はございませんけれども、そういった予算措置を通じて、目標達成に向けて今努力をしている、そういう最中ということでございます。

稲富委員 ありがとうございます。
 この中の、一点確認なんですけれども、施設での滞在期間は、原則として乳幼児は数カ月以内、学童期以降は一年以内ということがございますが、この中の想定しているものの確認なんですけれども、要するに施設の滞在であって、例えば乳幼児だったら数カ月以内、あるいは学童期は一年以内ということは、里親はその対象と想定しているわけではないということかと思いますが、その確認をさせてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。
 結論としては、里親は対象外ということでございます。
 それで、補足いたしますと、先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますけれども、二十八年改正法におきまして、要は、養育の原則論を立てたということでございます。
 それは、まずは実親による養育が基本だ、それが適当でない場合には、家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるような措置が必要だ、これがいわば里親等でございます。里親等での措置が難しい、適当でない場合には、できる限り良好な家庭的環境で養育されるよう必要な措置を講ずる、これが施設でございますけれども、施設の中でも小規模型の施設、それも難しい場合にはいわば大規模な本体施設、こういった原則論を立てまして、そういった考え方のもとに政策を進めるということでございます。
 そういった中で、施設につきましては期間限定でございますけれども、里親については特に期間がないということでございます。

稲富委員 地元でちょっと誤解があるところがございまして、里親はこの期間の制限の対象ではないということをぜひ徹底していただければなというふうに思います。
 次に、実親家庭へ里子が復帰するに当たって、実親に対する改善教育のような例えばプログラム等は何かございますか。お伺いをいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。
 児童相談所におきましては、家庭復帰に当たりまして、保護者への指導、援助を行っておりまして、その手法の一つといたしまして、御指摘のように、保護者の特性に合わせて各種の保護者支援プログラムによる支援を行っております。
 このプログラムでございますけれども、大きく二つございまして、一つは、日常的な子育てスキルを高めるようなプログラム。例えば子供とのかかわりに具体的に役に立つようなプログラムでございます。もう一つが、保護者自身の心理的な課題に焦点を当てて解決方法を見出すようなプログラム。これは、精神医学的な治療とか保護者自身のトラウマに合わせた心理療法等々でございます。
 この保護者支援プログラムでございますけれども、虐待を行った保護者本人が問題意識を持って取り組むことが効果的ということで、強制ではございませんけれども、家庭復帰に当たりまして、保護者が従うべき児童福祉司指導などの行政処分も含めまして、児童相談所から保護者に対しまして必要な指導が実施されております。
 ちなみに、この保護者支援プログラムがどの程度実施されているかということでございますけれども、調査をした結果でございますが、児童相談所百七十二カ所のうち、平成二十八年度の一年間で保護者支援プログラムを実施したのは百十八カ所、七割弱ということであります。
 ただ、実際のケースに占める実施割合で申しますと、虐待ケースにおける実施数の割合では平均で三・二%、それから、プログラムを実施した児童相談所の中で、年間で五ケース以下が五十カ所、百ケース以上が三カ所となっておりまして、児童相談所によって実施状況にかなり幅がございます。
 そういう意味では、これまでも児童相談所で保護者支援プログラムは一定程度行われておりますけれども、例えば職員数の不足とか研修のための予算が不足しているとかそういった課題がありまして、十分には活用されていない状況でございます。
 今後、厚生労働省といたしましては、さらに、保護者支援プログラムの実施を担う専門人材の養成、あるいは実施する場合の支援の拡充、そういったことなど、より児童相談所でプログラムを実施しやすいような環境整備、あるいは保護者がプログラムによる支援を受けやすくするための仕組み、アプローチについて検討してまいりたいというふうに考えております。

稲富委員 まだ十分にそれが活用されていない部分があるという御説明もございました。
 これから里親をふやしていくということですよね。実際は、より家庭的な養護に移っていく。施設から家庭へ、あるいは家庭的なところへ移っていくという中にあって、実親へ復帰する場合の、今のようなプログラムもそうですし、移行のときの体制、そして大事なのは移行した後のフォローアップについて、十分に、何もないのではないかという指摘が実は地元でございます。
 これから施設から里親にというふうになった場合に、今施設は六割が虐待という理由で入所している、その子供たちが今度は里親さんが預かるということになると、そしてまたさらには実親のところに戻るとなると、そのフォローアップをしっかりしないとこれは大変なことになるんじゃないかと思うんです。
 しかし、残念ながら、マンパワーも少ない、でも他方で、フォローアップをしっかりしないと子供たちの優先ということにならないのではないかということを思いますが、その移行の体制そして移行後のフォローアップについてお伺いをします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。
 移行前後のフォローアップ体制でございますけれども、まず、家庭復帰移行期間中における児童相談所の対応でございますけれども、児童相談所におきましては、子供の家庭復帰に当たりまして、まずは、チェックリストの活用等によりまして、保護者に対する支援の状況あるいは地域の支援体制などについて客観的に判断した上で判断するということでございます。
 その後、家庭復帰に向けまして段階を踏んでやっていくということでありまして、まずは、実親と子供が面会、外泊等によりまして段階的な親子交流を行う。それから、環境整備といたしまして、要保護児童対策地域協議会を活用して、関係機関への情報共有及び家庭復帰後の支援策の具体的な検討を行うということであります。そういった環境整備をした上で、保護者に対して戻していくということでございます。
 また、家庭復帰した後でございますけれども、家庭復帰から少なくとも六カ月程度はリスクが高まる期間として、児童福祉司指導、これは行政処分でございますけれども、こういった指導等の措置をとる、家庭訪問あるいは児童相談所に通所していただく、こういったことを通じまして、養育状況をきっちり把握する、あるいは関係機関が連携して必要な支援を切れ目なく実施する、こういった対応を行っているところでございます。

稲富委員 実際には、里親、平均で約四年だというデータを見たことがあります。まだ小さい子供を預かって、そして、例えば小学校三年生のときに実親に戻して、そして半年間はそうやって見るといっても、その後まだまだ成人するまで長い期間があります。この子たちをどうするかということを行政だけで見るというのは大変厳しい、難しいところはあると思います。ぜひ、そのフォローアップ体制をしっかりとその他の、まさに養護施設なのかそういった既存の機関なのか、知恵を絞ってしていかなければいけないのではないかと思います。よろしくお願いします。
 時間が限られておりますので、次に移ります。
 里親の委託率についてでございます。
 最後の資料に行っていただくと、委託率、随分と自治体によって違うということなんですけれども、目標としては、国としては七五%、あるいは五割ということを目指しているということがあったかと思います。これは、一律に自治体に求めるのか、いや、そうではないのか、その点をお伺いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。
 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、現在、都道府県に対しまして、里親等への委託の推進に向けました取組の体制構築を含めた社会的養育の推進計画を、二〇一九年度中、今年度中に策定いただくよう依頼しております。
 この中で、国におきましては、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、三歳未満についてはおおむね五年以内、それ以外の就学前の子供につきましてはおおむね七年以内に里親委託率七五%以上といった目標を掲げて、実現に向けて取組を推進しております。
 一方で、各都道府県の計画における里親等の委託率の目標につきましては、これまでの地域の実情は踏まえつつ、子供の権利や子供の最善の利益はどの地域でも実現されるべきものであることと、国の目標を十分に念頭に置いて、数値目標と達成期限を設定していただくよう求めているということでございまして、そういう意味では、基本的な考え方、国の目標を十分に念頭に置いてということをベースにしながら、最終的には各都道府県で判断していただく、そういう性格のものでございます。

稲富委員 非常に高い目標で、機械的な数字達成というふうにならないように、ぜひ、今御答弁いただいたように、地域事情に応じて御対応いただければと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。

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