活動報告

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【議事録・動画】令和4年4月8日 財務金融委員会「公認会計士法及び金融商品取引法の一部を改正する法律案」等

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案件:公認会計士法及び金融商品取引法の一部を改正する法律案
いなとみ修二 主な質疑内容:
(1) ロシアによるウクライナ侵略
ア 金融制裁の効果についての大臣の見解
イ ロシアによって行われたとする民間人殺害等について我が国として戦争犯罪と認定しているか否かの確認
ウ 戦争犯罪と認定した上での今後の我が国の対応
(2) 公認会計士法及び金融商品取引法改正案
ア 昨今の不適切会計、特に粉飾決算の発生状況に対する大臣の認識
イ 不適切会計の発生を防ぐため企業のガバナンス改善など総合的な対応を行う必要性
ウ 監査法人とクライアント企業との力関係がある中において監査法人が資本市場のゲートキーパーとしての役割を果たすことの困難性についての大臣の認識
エ 上場会社監査において大手監査法人のシェアが低下し準大手、中小規模の監査事務所のシェアが拡大傾向にある理由
オ 上場会社監査に関する登録制度の導入
a 適格性の確認を担う日本公認会計士協会の中立性、厳格性の担保策
b 公認会計士制度部会報告で指摘された監査法人の規模等に応じた実効性のある規律を求める監査法人のガバナンスコードとするために必要な改訂についての検討状況
カ 金融庁から公認会計士・監査審査会に委任されるモニタリング権限に虚偽証明等に係る監査手続の検証が加わることに伴う業務の増加量についての政府の想定
キ 女性公認会計士の人数や割合が低位に留まる構造的要因に対する分析状況
ク 女性公認会計士の活躍を後押しする制度の必要性についての大臣の見解
(3) 従業員の定年延長に伴い退職金の一部として準備した養老保険が在職中に満期が到来することによる保険に対する課税関係の不都合等に対する大臣の見解
(出典:衆議院財務金融委員会ニュースより抜粋)

稲富修二 立憲民主党の稲富でございます。この法案質疑の前に、対ロシア経済制裁について数点確認をさせていただきたいと思います。これまで当委員会でも、経済制裁の一環として、金融制裁、資産凍結、SWIFTからの排除等々を我が国としても実行してまいりましたが、まず、その金融制裁の効果について大臣に見解を伺います。

鈴木国務大臣  これまでの金融制裁に当たりましては、G7各国が緊密に連携して広範な措置を課してきたことで、ロシア経済に深刻な打撃を与えているものと考えております。例えば、金融市場では株価の急激な下落、国債利回りの上昇が見られ、生活必需品も含めて消費者物価が急上昇するなど、様々な面でロシア経済に影響が出ている、そのように認識をいたしております。引き続きまして、G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、制裁の実効性が上がりますように、適切に対応を続けていきたいと思っております。

稲富修二 ありがとうございます。外務省にも来ていただいておりますので、お伺いします。このロシアによるウクライナ侵略から一か月以上過ぎて、戦況にも大きく変化が出てまいりました。キーウ周辺からの撤退をして、東部に軍事リソースを集中をさせ、クリミア半島、ロシアとの地続き化を図っているともされております。やはり見過ごせないのは、撤退地域において非人道的かつ国際法に違反する民間人の殺害など、数々が報道されているところでございます。昨日、総理からも、戦争犯罪という厳しい言葉もございました。改めて外務省に伺いますが、ウクライナでロシアによって行われたとする民間人殺害等について、戦争犯罪というふうに認定をしているのか、我が国としての基本的な認識をお伺いします。

德田政府参考人  お答え申し上げます。ウクライナ政府の発表や各種報道により、ロシア軍が占拠していたキーウ近郊の地域において、無辜の民間人が多数殺害されるなど、残虐な行為が繰り広げられていたことが明らかになっているところでございます。こうした多数の無辜の民間人の殺害は、重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪でございます。

稲富修二 ありがとうございます。今御答弁があったように、かなりステージが変わったというふうに私は考えます。来週にも関税措置法の改正、外為法改正が審議をされる予定と伺っておりますが、これは戦争犯罪と我が国として認定する前に方法として考えていたということで、ステージが変わった以上、更なる追加制裁、対策が必要になろうかというふうに想像するわけですが、改めて、このロシアによる非人道的振る舞いを受けた上で、戦争犯罪と認定した上で、我が国としてどのような対応を考えているのか、大臣に伺います。

鈴木国務大臣  ただいま外務省からも答弁がございましたけれども、今般、ロシア軍の行為によりまして、ウクライナにおいて多くの無辜の市民が犠牲になっていること、これは極めて深刻に受け止め、まさに戦争犯罪に当たるものと考え、断じて許されず、厳しく非難をするものであります。こうした状況を受けまして、昨日七日でありますが、発表されましたG7首脳声明では、ロシアにとって侵略の代償を更に高めるため、G7で協調して、ロシア経の主要分野への新規投資を禁止する、ロシアの銀行を引き続き国際金融システムから遮断する等の措置を取るとされております。そして、我が国の更なる制裁措置についてでございますが、今予断を持って申し上げることは控えますけれども、昨日のG7首脳声明も踏まえて、関係大臣と連携して迅速に対応すべく、調整をしっかりしてまいりたいと思っております。

稲富修二 ありがとうございます。ここはやはり一致結束して我が国としても当たっていくということを、是非、私自身としても後押しをしたいと思います。他方で、冒頭、効果についてお伺いしましたけれども、これは当然、我が国としての経済制裁をする以上、我が国にとってもその反作用が来るということは当然のことでございまして、国として、ある意味、ここに立ち向かっていく以上は、我が国としてどういう負の影響があるのかということも併せて、大臣におかれては、国民にやはり説明をいただきたいということを要請したいと思います。続きまして、法案審議に移ります。この公認会計士法及び金融商品取引法改正案についてでございますが、企業の不正ということはなかなか絶えないわけでございまして、私にとっては、二〇〇一年のアメリカのエンロン事件というのが非常に私も印象に残っております。その翌年のワールドコムも潰れ、当時のアーサー・アンダーセンも解散に追い込まれるということがあって、それが非常に印象的でございました。二〇〇七年に我が国の公認会計士法が改正をされて、監査法人の品質管理、ガバナンス、ディスクロージャーの強化が図られたところでございます。しかし、その後、名立たる企業が不正に手を染め、そして、監査法人におかれても、それに一種手をかすような事象もあったかと思います。そこで、なかなかこの不正と企業監査というのがなくならないわけでございますが、昨今の不適切会計、特に粉飾決算の発生状況について、基本的な大臣の認識をお伺いをいたします。

鈴木国務大臣  昨今の不適切会計、特に粉飾決算の発生状況でございますが、不適切会計を公表した上場企業数について、民間調査会社による調査によりますと、調査が開始された二〇〇八年以降、増加傾向で推移をしております。二〇一五年からは年間五十社から七十社で推移しているというふうに承知をしております。そして、この民間調査によりますと、二〇二一年の不適切会計のうち、これは五十一件でございましたけれども、そのうち粉飾によるものは十五件となっていると承知をしているところでございます。

稲富修二 ありがとうございます。今のデータの中で、五十一件のうち、経理、会計処理ミスが二十四件、粉飾が十五件、着服横領が十二件ということで、不適切会計の開示件数は七年連続で五十件を超えておる、名立たる企業もそこに入っているということでございます。今回の監査についてだけではなくて、企業のガバナンス改善など総合的に対応する必要があるかと思いますが、その点について大臣の見解を伺います。

鈴木国務大臣  不適切会計の発生の原因、これは様々であると思います。企業における不適切会計を防ぐ仕組みである、例えばコーポレートガバナンスや財務報告に関する内部統制、これが十分機能していないこと、これが不適切会計の発生の一因となっていると認識をいたしております。そして、対策といたしましては、適切な情報開示を確保するため、コーポレートガバナンス・コードにおいては、これまでも、実効的なコーポレートガバナンスを実現する観点から、会社の財務情報やリスクガバナンス等に関する非財務情報についての開示の充実を求めてきたところでございますが、さらに、昨年六月の改定では、適切な内部統制の構築、内部監査部門が取締役会や監査役会などに対しても直接報告を行う仕組みを構築するなどが盛り込まれたところでございます。また、公認会計士に対しましては、これまでも、日本公認会計士協会が主導をして不適切会計に関する研修等に取り組んできているところでございます。さらに、実効性を高める観点から、金融庁の会計監査の在り方に関する懇談会の昨年十一月公表の論点整理では、今後検討すべき事項として、公認会計士の研修において不正のケーススタディーを学ぶことや、AIを含む新たなデジタル技術を用いた不正の発見等に資する方策などが盛り込まれているところでございます。金融庁として、引き続き、企業の不適切会計を防ぐ仕組みであるコーポレートガバナンスの充実等を推進するとともに、監査法人の監査の品質が確保されますよう、日本公認会計士協会などの関係各所と連携をして取り組んでまいりたいと考えております。

稲富修二 ありがとうございます。その品質管理についてでございますが、金融審議会公認会計士制度部会報告によれば、「監査法人・公認会計士が「資本市場のゲートキーパー」としての役割を適切に果たし、会計監査が資本市場を支えるインフラとして十分に機能することが求められている。」というふうにあります。ゲートキーパーの役割ということで、そこにもまた書いてありまして、不正を行う企業の資本市場への参加を防止するということが一つ、もう一つは、企業から資本市場への情報提供に介在し情報の信頼性を確保するという役割が期待をされているわけでございますが、不適切会計、特に粉飾決算が発生する原因として、やはり、企業側と監査法人側との力関係があるのではないかと思われます。また、長期間にわたる契約関係の中でのなれ合いの関係といいますか、そういったものもあるかと思います。これも、その品質を担保するために、監査法人は、クライアントである企業との力関係においてゲートキーパーの役割を果たすことができるのかということ、基本的な認識を大臣にお伺いします。

鈴木国務大臣 企業の財務情報に関する開示の信頼性を確保するためには、監査法人が公正不偏の態度を保持し、独立の立場で監査を行うこと、これが極めて重要であると考えております。この点、公認会計士法では、公認会計士の職責として、独立した立場において公正かつ誠実にその業務を行わなければならないこととされておりまして、また、監査基準や公認会計士協会の指針等でも、独立した立場で監査を行うことが求められております。稲富先生御指摘の、企業と監査法人との力関係につきましては、監査の現場に応じて様々と考えられますが、どのような場合であったとしても、監査法人は、中立性を維持した公正妥当な監査がしっかり確保される必要があり、金融庁としても、公認会計士・監査審査会や日本公認会計士協会と連携をしながら、監査制度の的確な運営に努めてまいりたいと考えております。

稲富修二 ありがとうございます。次に、登録制について、今回の柱であります登録制の導入についてお伺いをいたします。登録制の導入の背景として、世界標準と合わせることと並んで、上場会社監査の担い手の裾野の拡大がうたわれております。金融庁の資料によれば、直近、二〇二一年六月期において、先ほど来御指摘ありましたけれども、大手監査法人の監査数は対前年度比マイナス百二十四社、準大手監査法人、中小規模の監査事務所合わせてがプラス百二十四社ということになっている。同じく、直近五年では、大手監査法人がマイナス三百六社、準大手、中小は毎年増加傾向ということでございます。金融庁の資料を見れば、監査人の異動理由の変遷も、なぜ異動したのかという理由も随分と変わってきているわけでございます。上場会社監査者数において、大手監査法人のシェアが低下をして、準大手、中小規模の監査事務所のシェアが拡大をしているという傾向でございますが、この理由について、また、この傾向についてどう評価しているか、伺います。

鈴木国務大臣  監査人の交代理由につきましては、企業側と監査法人側、それぞれに要因があり、個別事案ごとに様々であると考えております。中小監査法人にシフトする企業側の理由といたしましては、監査報酬の低さなどが挙げられております。一方、監査法人側においても、大企業の事業活動のグローバル化や複雑化、多様化に対応するため業務が増大する中におきまして、大手監査法人を中心に、監査メンバーの確保が追いつかないという声も伺っているところでございます。そうした大手監査法人の実情も一つの要因として、中小監査法人へのシフトが生じていると考えております。また、上場会社と一くくりで申し上げましても、グローバルな事業活動を行い、業務内容が複雑化した大規模な会社もあれば、海外拠点を有さず、業務内容も比較的単純な小規模の会社もございます。特に、こうした小規模の上場会社において中小監査法人の選任を検討することが多くなってきているのではないか、そのように考えております。こうした状況も踏まえまして、特に、中小監査法人を始めとして上場会社の監査の担い手全体の監査の品質向上、これが急務であり、その品質確保に向けた制度枠組みをこの法案で整備しておく必要があると考えております。

稲富修二 ありがとうございます。その傾向を受けて、先ほど大臣もありましたように、品質管理のために、今回、適格性についてお伺いをしたいと思います。今回、登録制導入に際し、その適格性は日本公認会計士協会がすると法定をされるということとなりました。上場会社等監査人名簿に登録済みの公認会計士及び監査人でなければ、金融商品取引所に上場される有価証券発行会社等の財務書類、内部統制報告書について、監査又は証明を行うことが法律上禁止をされる。今回の改正案は、平成十九年からの自主規制で行っているものを厳格化をし、品質向上を期するものと理解をしておりますが、一方で、公認会計士協会の権限は強化をされ、その中立性、厳格性がより問われることとなろうかと思います。権限を付与される公認会計士協会の中立性、厳格性、いかに担保するかについてお伺いいたします。

鈴木国務大臣  上場会社監査に関する登録制度について、本法律案で日本公認会計士協会が登録の適格性の確認を実施することといたしましたのは、これまで自主規制として登録制度を運用してきた協会の知見、ノウハウを有効に活用することが有益であること、特に中小監査法人等については、協会において、登録制度に基づく規律づけと併せて、上場会社の監査の担い手として十分な能力、体制を整えられるよう育成支援策を講ずることが有効であるといった考えに基づくものであります。協会がこうした役割を果たすに当たりましては、職業専門家団体としての自律性とともに、十分な独立性及び透明性を確保することが求められます。こうした観点から、協会では、会員外の学識経験者を中心とした自主規制モニター会議を設置して、協会の運営状況をモニタリングしていると承知をしているところでございます。このような協会自らによる取組を前提としつつ、万一、協会の運営等に疑義が生じた場合には、当局において、必要に応じ、報告徴収や立入検査等を通じて、協会における適切な制度運用を確保してまいりたいと考えております。

稲富修二
ありがとうございます。続きまして、ガバナンスコードについてお伺いします。これも、先ほど来何度か質問が出ておりましたが、改正案第三十四条の三十四の十四では、上場会社の監査事務所に対して、適切な体制整備を規律づけております。具体的には、監査法人によるガバナンスコードの受入れや情報開示の充実を想定をしているということで、部会報告では、大手上場企業等の監査を担い、多くの構成員から成る大手監査法人における組織的な運営の姿を念頭に策定されていると指摘がされているということでございまして、中小監査法人は、令和三年十二月一日時点ではこのコードを受け入れているのは九法人にすぎないということで、必要に応じて、改定すべき点がないか検討すべきだとされておりますが、この点、改定すべき点がないか検討すべきということでございますが、検討しているのか、また、その検討結果についてお伺いします。

鈴木国務大臣  稲富先生御指摘のとおりに、金融審議会の公認会計士制度部会の報告では、上場会社監査を行う監査法人への規律づけといたしまして、監査法人のガバナンスコードの受入れを求めることが考えられるとされております。その際、現行のコードでございますが、これは大手監査法人における組織的な運営の姿を念頭にして策定されたものであることから、大手監査法人のみならず、中小監査法人による上場会社監査の品質確保にも資するものとして、監査法人の規模等に応じた実効性のある規律を求めるよう、改定すべき点を検討すべきだ、そのようにされているところでございます。コード改定の検討はこれからでありますけれども、こうした指摘も踏まえまして、監査法人の規模等に照らして実効性のある内容となりますように今後検討をしてまいりたいと考えております。

稲富修二 ありがとうございます。今後検討ということなんですけれども、先ほど来もありますように、スピードが速くなり、今回も法改正が十五年ぶりということでございます。やはり、時代に応じて、早く検討、そしてその改定を望みたいというふうに思います。続きまして、公認会計士・監査審査会によるモニタリングについて伺います。この審査会は、金融庁長官から、公認会計士、監査法人のモニタリングを一部委任されております。監査法人等の業務運営についてのみ検証を委任されておりましたが、今回の改正によって、金融庁のみが検証権限を有していた虚偽証明等についても委任されることとなります。その分、業務、作業工程が、審査会、増加をするということと想定をされますが、このモニタリングの範囲拡大に伴う審査会業務の増加量をどう考えているのか、想定しているのか、伺います。

鈴木国務大臣  本法案によりまして、金融庁から公認会計士・監査審査会に委任されるモニタリング権限として、従来からの監査法人等の業務の運営の状況の検証のほか、虚偽証明等の検証が加わることになります。これに伴いまして、審査会業務の増加量をどう想定しているかというお尋ねでございますが、これは一概にお答えすることは困難でございますけれども、例えばここ五年間における虚偽証明事案は二件でありまして、業務の増加量は今後の虚偽証明事案の数でありますとか内容によると考えているところでございます。

稲富修二 なるほど。五年に二件ですね。分かりました。であれば、今すぐ職員の体制整備を充実しなければいけない状況というわけではなく、状況を見ながら人員の充実、体制整備を行っていく、そういう認識でよろしいですかね。分かりました。ありがとうございます。続きまして、もう一つの今回の法改正の柱であります配偶関係に基づく業務制限見直しについてお伺いをいたします。国際的標準に準拠し、やや過剰な規制を見直す点に異論はございません。本改正案に至る背景として、共働き世帯の増加、女性活躍の進展が挙げられているものの、金融庁の資料によれば、二〇一六年から二〇二〇年の五年間で女性の公認会計士さんは僅か〇・八%の増加ということで、女性の比率は一四・五%にすぎないということでございます。女性の公認会計士の人数が少なく、割合も微増にとどまるという、何か構造的な原因があるのではないかと思いますが、それについての分析をお伺いをいたします。

鈴木国務大臣  日本の女性公認会計士の人数や割合でありますが、過去五年間に微増しているところでございます。このように、微増ではございますけれども増加が見られるものの、英米の会計士や日本の弁護士に比べますと、例えば女性割合は依然として低い、そのように認識をいたしております。日本の女性公認会計士の人数や割合が低い要因といたしましては、公認会計士に関心を持つ学生が比較的多いと考えられます社会科学専攻の女性学生比率が約三五・七%にとどまり、公認会計士試験の受験段階から女性割合が低いことのほか、例えば、出産、育児との両立の難しさ、労働環境に関する懸念などが指摘されている、そのように承知をいたしております。

稲富修二 そこで、やはり、公認会計士業務が企業の不正会計を防ぐ、あるいは社会の繁栄の一つであるとすれば、その構成は、やはり、女性の活躍を後押しするという意味でも、より参画をいただく方が望ましいのではないかと思います。急激な改善が望めないにしても、今おっしゃったような原因を改善をし、より参画をしやすい環境をつくることが必要じゃないかと思います。金融庁におかれても、公認会計士のダイバーシティーの進展が必要だということも書かれております。そこで、今おっしゃったような構造的原因を是正し、やはり女性の公認会計士さんが活躍できるような制度的な後押しが必要かというふうに考えるわけですが、この点の見解を伺います。

鈴木国務大臣  女性公認会計士の活躍の推進に向けまして、制度的対応として、本法案では、監査法人の社員の配偶者関係に基づく現行の業務制限を見直すことといたしております。これは、現行の業務制限によりまして女性社員の登用を見合わせた、そういう事例があることを踏まえたものであります。また、日本公認会計士協会では、二〇三〇年度までに公認会計士試験合格者の女性割合を現在の二一%から三〇%へ、また、二〇四八年度までの会員、準会員の女性割合を現在の一四%から三〇%へ、それぞれ上昇させるというKPIを設定をしております。その達成に向けて、女性公認会計士向けのキャリアプランに関する研修あるいは広報等の取組を進めていると承知をいたしております。さらに、公認会計士・監査審査会におきましても、公認会計士試験の女性受験者拡大のため、高校や大学での講演でありますとか、公認会計士試験パンフレットを通じて公認会計士の魅力ややりがい、キャリアプランなどについて、女性の公認会計士からのメッセージを発信をしております。本法案における制度的対応の周知徹底を含めまして、協会と連携しつつ、監査業界における一層の女性活躍の推進を後押ししてまいりたいと考えております。

稲富修二 ありがとうございました。お取組をお願いいたします。以上、法案についての質問でございました。次、ちょっと別の質問をさせていただきます。四月一日から、公的年金の受給を七十五歳まで後ろ倒しで受けられるというふうに制度が変わりまして、人生百年時代に備えて、働く期間が六十歳から六十五歳まで、そして年金を受け取れる開始年齢が後ろ倒しになっているということでございます。特に今日お伺いしたいのは、定年とそれに関わる税の問題でございます。高年齢者雇用安定法によって定年が六十歳から六十五歳に引き上げられ、二〇二五年から全ての企業において六十五歳が定年制、定年が義務化をされる。これに先んじて、全国では、私の地元でも、やはり中小企業が、六十五歳定年になるのであればということで、徐々に定年を後ろ倒しをしているという現状が、今まさにその移行期間にあるかと思います。そこで、一つだけ問題提起をさせていただきたいのは、退職年齢を六十五歳までするという企業がございまして、従業員のために準備していた退職金についてなんですけれども、この会社は、従業員の退職金の一部として、養老保険という生命保険を用いて準備をしてきた。本来は保険料全額は資産計上でございますが、一定基準を満たすと半額は損金扱いをすることが可能となっております。しかし、保険契約自体は六十歳ということになっておりましたので、全て、退職年齢と同じ六十歳に満期で契約を終える。退職年齢、しかし、この会社は社員のことを思い、六十五歳に定年を延ばしているということなんですけれども、この保険契約は六十歳で満期を迎え、六十五歳の退職の五年前の六十歳に満期の保険金が法人に支払われるということで、それが課税をされるということになるわけです。すなわち、本来であれば六十歳で定年、六十歳で満期とそろえばいいんですけれども、六十五歳に世の中なる、法定もされている、社会も六十五歳にいくというんですけれども、課税関係は六十歳のままになっているという課題があります。これは、詳細はまた別途どこかで議論させていただければと思いますが、この問題、やはり解決しなきゃいけないんじゃないか。より心ある企業ほどそういう六十五歳定年延長をしているという現状がありますので、この点、一言だけ、大臣、御答弁いただければと思います。

鈴木国務大臣  私の所管事項から外れる部分もあると思いますが、その上で申し上げますと、元気で意欲のある高年齢者がその能力を十分に発揮をして、年齢にかかわりなく活躍できる環境を整備すること、これは重要なことである、そういうふうに思います。このような観点から、企業に対しましては、法律、これは高年齢者雇用安定法でございますが、六十歳未満の定年設定を禁止するとともに、雇用確保措置として六十五歳まで雇用を継続的に確保する義務を課している、そのように承知をしております。一方で、企業を取り巻く状況が様々であることや、高年齢者の特性やニーズも多様であることを踏まえまして、この雇用確保措置については、定年の引上げや廃止だけでなく、再雇用を含めた、希望者に対する継続雇用の導入も認められていると承知をいたしております。その上で、退職金の準備について、これは個々の企業の実情、様々であろうと思いますが、一般論で申し上げますと、例えば、例えばでありますが、六十歳定年制と六十五歳までの継続雇用を導入した上で、六十歳で定年を迎え、雇用契約が一旦終了する時点で退職金の支払いを行い、新たに
六十五歳までの継続雇用契約を締結するという形で運用することも可能だと思ってございます。財務省といたしましては、各企業において、制度の趣旨を踏まえつつ、それぞれの企業が自らの実情に応じて高年齢者雇用に係る取組を行っていただくことが望ましい、そのように考えているところでございます。

稲富修二 どうもありがとうございました。終わります。

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